本の紹介
あきらめない 働く女性に贈る愛と勇気のメッセージ 村木厚子(著) 難易度:☆ 村木厚子さんは、地方国立大学(高知大学)を出たあと、キャリア官僚として労働省に入省、事務次官まで上りつめた人。 僕は地方国立大学で教えているので、地方国立大学経由でこう…
病気の子どもの教育入門 改訂増補版 全国病弱養育研究会(編) 難易度:☆☆ 病気の子ども、というのは世の中に結構たくさんいる。 考えればわかるのだが、病気になっていると、通常の教育制度では満足に教育を受けられない。 そこで、病気の子どものために用意…
アメリカの大学・ニッポンの大学 苅谷剛彦(著) 難易度:☆ 著名な教育社会学者が、まだ新人だった頃に書いたアメリカの大学に関する本。 専門書ではなく、本人がアメリカの大学での教育経験を踏まえた軽い読み物。 数年前に読んだのを再読したのだが、おもし…
わが指のオーケストラ 山本おさむ(著) 難易度:☆ 我が国の近代的な学校制度が始まったのは明治の初め。 わりと早い段階で各地に小学校が開設された。 しかし、障害児教育が義務化された(障害の程度によらず義務教育を受けられるようになった)のはかなり遅…
僕は幼少中高の先生向けに「特別支援教育」という免許必修科目を担当している。 今回はこの科目向けに教科書調査した中から、良さそうな本を紹介する。 授業だけではよくわからんという人や、もっと知識を深めたい人はぜひ読んでいただいて。 もちろん、この…
花は咲けども 噺(はな)せども 神様がくれた高座 立川談慶(著) 難易度:☆ ここ数年、テレビを見る時間よりラジオを聴く時間の方が多い。 ラジオではテレビとは全く異なるコンテンツがあり、その一つが、物語の朗読。 その朗読で聞いて、これは読みたいとな…
大学で障害のことを教えるようになってずいぶんたった。 この分野、障害の原因として遺伝か環境か、を考える機会は多いのだが、そもそも遺伝子ってなあに?DNAってなぁに?という話を理解している人は少ない。 授業でも扱うのだが、どうもとっつきにくくて難…
DNAと遺伝子・進化を学ぶための本で紹介した本は、絞りに絞ったもの。 この分野、のせきれなかったけどおもしろい本はたくさんある。 ここでは、そんな本たちを短評とともに紹介する。 随時更新する予定。 遺伝とDNAの基礎的な本 この分野は発展がめざましい…
公務員という仕事 村木厚子(著) 難易度:☆ 村木厚子さんをご存知だろうか。 知っている、と答えた人は、大阪地検特捜部の冤罪逮捕事件の被害者として、ではないだろうか。 大阪地検特捜部が当時厚労省局長だった村木さんを逮捕。 のちに担当検事による証拠…
ことばの発達の謎を解く 今井むつみ(著) 難易度:☆ 赤ちゃんはことばをどのように学んでいくのか。 多くの人が特に苦労なく環境から学ぶ形で言語能力を獲得していくので、簡単なことのように思える。 しかし。 大人であればわからない言葉があった時、他の…
高崎山のサル 伊谷 純一郎(著) 難易度:☆ 高崎山という山がある。 名前から群馬県にあると勘違いされるが、大分県にある。 大分駅からバスで2−30分くらいで行ける小さな山の名前。 この山の麓には、高崎山自然動物園という施設がある。 普通の動物園とは違…
ゴリラとピグミーの森 (岩波新書) 伊谷純一郎(著) 難易度:☆☆ 伊谷純一郎さんをご存知だろうか。 霊長類研究・人類学研究界隈では有名な人で、(広い意味での)サルの研究者。 生まれは大正15年だから、青春時代を戦争と共に過ごした世代。 野生のサルやゴ…
ロヒンギャ危機―「民族浄化」の真相 中西嘉宏(著) 難易度:☆☆ ロヒンギャの問題をご存知だろうか。 ミャンマーで大量に生じている難民の問題。 数年前にミャンマーの国内問題からロヒンギャ難民が大量に発生して国際的に問題となっている。 問題自体は知っ…
少年事件に取り組む: 家裁調査官の現場から 藤原 正範 (著) 難易度:☆ 家庭裁判所調査官という職をご存知だろうか。 家庭に関する事件について、必要な調査を行う職種。 家庭裁判所は少年法の審判を行うため、これに先立ち調査官は様々な調査を行う。 心理…
アメリカの教室に入ってみた: 貧困地区の公立学校から超インクルーシブ教育まで 赤木 和重(著) 難易度:☆ 研究業界にはサバティカル休暇というものがある。 研究休暇とも言われる。 大学に何年か務めるともらえ、一定期間(長いと1年間)通常の業務が免除さ…
電池が切れるまで 子ども病院からのメッセージ すずらんの会(編) 難易度:☆ 世の中には、病気のため通常の学校に通うことができない子どもたちがいる。 ただ、我々には教育を受ける権利があるため、これを保障するために様々な仕組みが用意されている。 院…
心の理論―心を読む心の科学 子安 増生(著) 難易度:☆☆ 心の理論という言葉をご存知だろうか。 心理学の世界では知らない人がいないくらい有名。 僕も発達心理学や発達障害系の授業で必ず扱うトピック。 心の理論。 簡単に言うと、他人が何を考えているかを…
15メートルの通学路 山本 純士(著) 難易度:☆ 久々のこのシリーズ。 紹介したい本は結構あるんだ。 ただ、書くにあたっては本を読み直しているので、ちと時間がかかる。 忙しいと、なかなかね。 言い訳はすんだので本題。 みなさんは病弱教育という言葉をご…
戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗 加藤 陽子(著) 難易度:☆☆ 僕が二十歳の頃からずっと知りたいことの一つに、なぜ日本はあの無謀な戦争をしたのか、というのがある。 学校で学んだことや常識では、どう考えても無謀な戦争。 じゃあなんで戦争に突入…
スライド発表に関してはよく学生にアドバイスするので、その時紹介する本たちをまとめて記事にしてみた。 この技術は社会に出ても使えるので大学を出るまでに身についておくとよいと思う。 ここで紹介する本は、社会人や高校生にも使えると思う。 本記事の書…
大学生になるとレポートや論文を書くようになる。 単位評価のためのレポート、プロジェクトの大きなレポート、総仕上げとして卒業論文・修士論文。 4年間を通じて逃れることができないのがこの書くという作業。 面倒くさいと思われがちだが、この能力をしっ…
窓ぎわのトットちゃん 黒柳 徹子(著) 難易度:☆ 僕は大学で教員を目指す学生さん相手に話す機会が多い。 特に、一般の教室で困ってしまう子どもたちの教育についてよく扱う。 そんな授業で、時々紹介するのがこの本。 この本の主人公は著者の黒柳徹子さんの…
安倍官邸 VS. NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由 相澤 冬樹(著) 難易度:☆ 著者の名前をご存知の方、そんなに多くないと思う。 森友問題で近畿財務局の職員さんが自殺した。 その真相について、職員さんの遺書をもとに文春にスクープした人、と言え…
遥かなる甲子園(山本おさむ) 著者(著) 難易度:☆ かつて沖縄に北城ろう学校という学校があった。 ご存知だろうか。 沖縄の人でも知らない人は多いのではないかと思う。 この学校はかなり特殊な学校で、1学年・同一世代のみで構成されていた。 その学年が…
合理的配慮 — 対話を開く、対話が拓く 川島 聡 他(著) 難易度:☆☆☆ 合理的配慮という言葉をご存知だろうか。 これは障害者権利条約において提唱された概念。 日本は2014年に批准した。 これに対応した障害者差別解消法などが整備され、この中で合理的配慮が…
理科系の作文技術 木下 是雄(著) 難易度:☆☆ すべての大学生に早い段階で読んでほしいと思っている本がこれ。 「理科系の」とは書いてあるものの、内容は理科系に限られない。 報告書や論文などを含め、すべてのビジネス系の文章をわかりやすく書くための技…
読めなくても、書けなくても、勉強したい ディスレクシアのオレなりの読み書き 井上 智、井上 賞子(著) 難易度:☆ ディスレクシアという障害をご存知だろうか。 世の中には生まれつき読むことが極端に苦手な人たちがいる。 このような障害をディスレクシア…
伝えるための心理統計: 効果量・信頼区間・検定力 大久保街亜、 岡田謙介(著) 難易度:☆☆☆☆☆ ここではやさしめの本を扱うことが多いのだが、今回は少しマニアックなやつを。 心理学をやっていると統計検定をよく使う。 この統計検定についてまず整理し、問…
おさなごころを科学する: 進化する幼児観 森口 佑介(著) 難易度:☆☆☆☆ 乳幼児期の心理発達について、さまざまな角度から解説した本。 無能とされていた古い乳幼児観から、意外と有能だと考え直された新しい乳幼児観、大人との質的な違い、脳研究の知見など…
大学とは何か 吉見 俊哉(著) 難易度:☆☆☆ 大学とは何か。 こう問いかけられた時、さっと答えられるだろうか。 大学を目指す高校生や現役の大学生に問うてみると次のような答えが返ってくる。 専門的な知識を学ぶところ。 これはある意味では正しいが、十分…