雑記帳(ブログ)

担当授業や研究についての情報をメインに記事を書いていきます。

ゼミでの論文紹介発表〜心構え編(研究をしよう26)

ゼミ配属になった。
いよいよゼミで論文の紹介の発表。
しかし。
発表ってどんな感じかわからない。
どんな資料を作っていいかわからない。
そういう人に向けて、今回より何回か記事を書いてみようと思う。
ゼミの形式については、所属ゼミやその分野によってルールがある場合があるので、それがある場合は参考程度にとどめていただいて。

で。
今回は心構え編。

まず。
ゼミ発表で何が身につくのか。
まず、発表技術。
与えられた時間を使ってメンバに情報を伝える。
自分の言葉で説明して、理解してもらう。
これは真面目にやると結構力がつく。
ゼミのいいところは、いろいろな人の発表を聞くことができるところ。
発表がうまいなぁ、という人の技術を見て真似するといったことができる。
これは研究を離れても役に立つ汎用的な能力なのでぜひ身につけてほしい。

研究に関する様々な知識も身につく。
例えば方法論について。
同じ分野に興味を持ったメンバが集まっているので、毎回内容を丁寧に理解することで、分野の方法論を網羅することができる。
分析方法なども同じで、出てくるものをしっかりと学ぶことで、自分の研究に役立てることができる。
出てきた方法論・分析方法などで、これはテキストを使ってしっかり学んどいたほうがいいな、と知ることできるのもゼミのいいところ。
ゼミを通じて体系的に勉強したほうがいいと感じた知識・技能については早めにテキストを読むなり勉強会を企画するなりして身についておきたい。

発表した上で、メンバにきちんと伝わると、コメントをもらえることがある。
これがまた役に立つ。
自分ではこう、と思ったことが、別のメンバのコメントを聞くと、思いがけない視点からのコメントをもらえるかもしれない。
少なくとも教員からは自分では気づけなかった点のコメントがもらえる。
これらを通じて、発表内容に関する理解が深まる。
これを繰り返すことで、研究技能がレベルアップしていく。

他にも質問力や質問への回答力などが身につく。
毎回ゼミメンバが発表するので、聞くだけで分野の研究動向がわかるのもいいか。
上級生もいるゼミだと、教員とは違ったタテの繋がりができるのも悪くない。
学べることについては、ゼミで学ぶことにも書いてるので、こちらも参考にしていただいて。

さて。
そんなゼミ。
いくつか気をつけなければならないことがある。
これを守らないとゼミが実りのあるものならないので、よくよく気をつけてほしい。

まず。
発表者は内容についてわからないことがないように準備しておこう。
やりがちなのが、方法論や分析のところの統計の数字等をよくわからないからと飛ばすこと。
これをやってしまうと、これらについての知識を学べないことになる。
時々、メンバ全員でこれを卒業までずっとやり続ける、という場合があるらしい。
すると、自分の卒論での道具立てが全くなくなってしまう。
教員の言うがままでしか方法や分析の選択ができなくなる。
絶対に避けたい。
聞くはいっときの恥、聞かぬは一生の恥ともいう。
事前に、なるべく調べて、どうしてもわからなかったら教員にあらかじめ質問に行って理解してから発表したい。

続いて、聞き手として。
発表者が言っていることがわからなかったら、わかるまで質問しよう。
わからないまま発表が流れていく、というゼミはあまりよくない。
どんな些細なことでも構わない。
わからないことは質問をして、発表内容をきちんと理解することに努めよう。
なお、発表者も発表技術が未熟であるため、そういう質問が発表者の技術を上げる。
ゼミの雰囲気として、わからないことはみんなで克服しようというのがあると、全員にとってためになる。
自分がわからない場合は、たいがい他のメンバもわかっていないので、質問は喜ばれると思っていい。
遠慮せずに質問をしまくろう。
質問をすることで質問力や質問度胸がついていくので、その辺りの力をつけるためにも意識的にやってほしい。
質問力や質問度胸というのは、研究を離れた後でも社会においてとても役に立つ。
質問力については、別記事にも書いているので参考にしていただければ幸い。


つらつら書いたが、心構えとしてはだいたいこんな感じか。
次は、発表資料について書く予定。
ではまた。





f:id:htyanaka:20210620231749j:plain 鳥取城跡かな。


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2021/06/20 23:12
よい子の寝る時間がすぎてしまった。
自宅にて。


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Update 2021/06/20
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スペースのはなし

TwitterにSpaceという機能がついた。
現在はスマホアプリからのみ利用可能なようで、PCやタブレット経由の方は名前しか聞いたことないかもしれない。
学生さんや有名ツイッタラーがよく利用しており、ちょっと気になっていた。
どんな機能かといえば、公開おしゃべりとそれを視聴するというもの。
誰かがホストとなりおしゃべりの場を設定、そこにリスナーとして聞きに行く。
本人がリクエストして許可されるか、招待されるかした場合、スピーカーとして喋る側に混ざれる。
まあ、clubhouse Twitter版といった感じだと思う。

で、このSpace。
鍵付きのアカウントでも関係なく参加できる。
参加しているアカウントは参加者間で共有されており、ホスト、スピーカーとして参加するとアプリ上部にSpaceのマークが表示されフォロワーさんにも参加していることが知られる、という仕様のよう。
リスナーとして参加している場合は、アプリ上部の表示を通じてフォロワさんに知られるということはないよう(ちょっと自信なし)。

というあたり、なんだかよくわからず、使用を躊躇していた。
有名ツイッタラーのを聞きに行く、知り合いのを聞きに行く、などを繰り返しつつ様子を見ていた。
音楽を紹介しながら喋るという、ラジオパーソナリティ的なのをやってみたいと常々思っており、これが実現できないかと考えたりしていた。

が、先日。
いつもの花金でにわかに酔った。
酔うといつもとは思考パタンが変わるのもので、ちょっと試してみよう、という気になった。
特に何も考えずに、「懐メロについて語る(テスト)」とスペースを設定。
10分だけ、どういう感じになるのか、機能テストをすることにした。
よく絡む学生さんが2、3人来てくれるだろうから、ちょっと教えてもらいつつ、試してみる、という思惑。

ところが。
これがいけなかった。
ホストになること1分強。
酔っ払ってポーッとしているうちに、一気に二桁のリスナーが参加。
軽くパニック。
だいたい、なにをするかを全く決めていない上に、こちとらヘベレケ末期の酔っ払い。
頭が全く回らない。
リスナーには学生さん多数以外に、同業者っぽいフォロワーさん、鳥取クラスタのフォロワーさん、初見のリスナーさんもちらほら。
結局、よく慣れた学生フォロワーさんにスピーカーとして助けてもらい、2時間強しゃべり続けることとなった。

で、以下、感じた点を備忘録的に。
まず、音楽を紹介しながらというのが難しい。
YouTubeで好きな音楽を紹介しつつ、しゃべりたいのだが、おそらく聞き手にこれを求めるのが難しい。
リスナーはYouTubeを開くと、おそらくスペースの声が聞こえない。
つぶやきながらYouTubeのリンクを紹介、というのはやったことあるのだが、スペースではひと工夫いるか。
他にも、ホストの側は音源を探すために端末が複数必要なこともわかった。
音源映像を探している間が無言になるので、おしゃべり役がもう1人いるとラクか。

こちらの声がどう聞こえているかがわからない、というのも困った。
音楽を流しつつ、みたいなこともやってみたものの、リスナー側では聞きにくかったのじゃないか、と思った。
声については、スピーカの人数が増えると発言者の表示にタイムラグが生じて誰が発言しているのかわからなくなる。
スピーカの人数をうまくコントロールするのも必要な気がした。

あとは、誰が聞いているかわからない、ということの問題も強く感じた。
どういう人が参加しているのか、バックグラウンドがわからないので、これはそういうものだと意識しておいた方がいいな、と思った。
知り合いの知り合いが信頼できるかはわからないし、そもそも知り合いの知り合いではない可能性もある。
これは仕様なので、最初からわかっていたことではあるが。
しゃべることで一気に親近感がわく、というのは、いい面でもあり怖い面でもあると思う。
これはユーザの皆さんも気をつけたほうがいい。


そんなわけで、そのうち仕切り直しでやってみようと思っている。
1時間くらいの予定で、前々から告知して、テーマ縛りとかでいきたい。
音楽談義もいいのだけど、学問的なおしゃべり回も悪くない。
まあよろしければ聞いていただいて。

ではまた。




f:id:htyanaka:20210606225604j:plain 渋谷ですな。


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2021/06/01 14:33
今日は創立記念日でお休み。
鳥駅スタバにて。


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卒業研究の進め方と落とし穴(研究をしよう25)

今回も悩める卒論生への記事。
卒論を進めていく中で、よく見られる注意点を書いてみようと思う。

論文の読み方

卒論を進めている最中に、論文を読むことは日常。
ただ、その読み方が気になることがある。
どういうことか。

卒論も中盤くらいになってくると論文はだいぶ読めるようになってくる。
最初から最後まで熟読して、趣旨の理解から問題点の指摘までしっかりできる卒論生もしばしば。
これができるようになることはとても大事なことなので、ゼミの初期段階はそういう読み方が求められる。

ところで、この読み方。
当然ながらとても時間がかかる。
全ての論文をこの読み方で丁寧に読んでいく学生さんを見ることがたまにある。
そのため、なかなか読むべき論文の数がこなせない。

論文の読み方は目的によって変化するということを知っておきたい。
例えば、その研究の明らかにした事実を根拠として自分の論文に使いたい場合。
時間がない場合は、その研究の明らかにした事実が確からしいかを判断するために、方法と結果をきちんと読めば足りる。
イントロと考察は熟読しなくても目的は達成する。
自分の論文で引用する時に、論文で言いたいことの根拠として使えるのか、そこに最適化して読んでいく。
これで、時間はだいぶ短縮されることと思う。
論文を目的を意識して、最低限の労力で進めていく、というのも時には大事。

もちろん、超重要な論文や上手な論文は精読した上で、全体を参考にすることも必要。
ただ、それは時間とにらめっこしながら、精選した論文でやればよいと思う。


ベストを尽くそう

研究活動は正解が存在せず、学校での授業を中心とした学びとは全く異なる。
このため、戸惑うことは多いし、とても苦しく感じることもあるかもしれない。
それゆえに、今までとは異なった様々な能力が伸びる機会でもある。
物事の真偽を見定めた上で、総合的に問題点も見つけ出し、そこに一定の答えを導き出す。
これはものすごく汎用性の高い能力で、研究に限らず社会に出てからかなり役に立つ。
これ以外にも、構成も含んだ文章作成能力、ロジカルな思考力、プレゼン力など、様々な能力が身につくというのは、本シリーズで触れてきたこと。

ただ。
この研究活動。
その自由度の高さゆえ、適当にそれとなく進めることができてしまう。
特に卒業研究レベルだと、形にさえすれば不合格になることは少ない(これは大学によるかも)。
それゆえ、易きに流されることがある。
で、その場合、上述の育つであろうはずの能力はおそらく育たない。
研究を通じて身につく能力は、使った時間に比例するし、打ち込んだ分だけ身につくと思って間違いない。
そういう意味で、ベストを尽くす、というのはとても大事。

特に学部4年生になって卒業研究が生活の中心になってないような場合は、もったいないなぁ、と思って見ている。
なぜ卒業研究に単位が多くついていて、4年生のカリキュラムがゆるいのか。
その意味を考えて取り組むと、とても実りあるものになると思う。
その過程で身につけた能力は、一生モノになるハズ。

ちなみに、卒論がそれなりの学術誌に掲載されることはある。
そういうことをゼミ生なりに言うと、私にはとても無理、と最初から萎縮することがあるが、そんなことはない。
本気で取り組んだ卒業研究は、半端なマインドで取り組んだプロの研究よりも優れていることはありうる。
これはプロが1つの研究に全時間を割けない(授業や雑務、複数の研究をやるため)のに対し、卒論生の場合はそれが可能だから。
研究能力は未熟ながら、時間で質を補う、ということ。
ベストを尽くした卒業研究から、一定の割合で学会発表や学術誌発表になるものが出てくる印象を持っている。
ただ、ベストを尽くしていない卒業研究がそのレベルの研究になることはほぼない。


失敗はよい

いよいよ卒論もまとめの季節になり、ある程度結果が出た。
それ以降の時期に卒論生と話すと、結果がしょぼいので恥ずかしい、とか、研究は失敗だった、とか言って落ち込んでいる場合がある。
これらについてはさほど気にする必要はないと思っている。

そもそも、プロであっても思った通りの結果が出ない、ということは多い。
いざ結果をまとめる段になって、ああこうしておけばよかった、と思いつくこともしょっちゅう。
というか、そういうことの連続である。
我々の場合、〆切がないため、追加の調査・実験をやったりして、研究をまとめていく。
場合によっては、どうやってもうまくいかず、そのネタはお蔵入りということもないわけではない。
で、そういうのはかなり運の要素が大きい。

卒論生の場合、〆切が4年生の学年末と決まっているため、やり直しがきかない。
よって、ベストを尽くした上で結果が出なかったり失敗したりするのは、運の要素やはじめての研究であることを考えると、仕方ないことだと思っている。
というか、卒論に関しては、その過程で学ぶ様々なことが重要なのであって、結果そのものはそこまで大事ではないと考えている。
よって、失敗に関しては全然気にする必要はない。
ただ、これはベストを尽くした場合の話。

そもそも、自分の研究について、結果がしょぼい、とか、失敗だ、とか言えるようになっていること自体、かなり成長している。
ベストを尽くしていないタイプの卒論生は、そもそも結果の良し悪しを判定するだけの力がついていないため、そういうことは言い出さない。
ベストを尽くしたのであれば失敗であっても胸を張ったらいいと思う。


では、今回はこの辺で。
また。




f:id:htyanaka:20210502193936j:plain これも横浜か。

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2021/05/01 19:16
GW3日目。
鳥駅スタバにて。


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おみやげ・サバイバル

僕は客先におみやげを持って行かない。
これは仲間内では結構有名で、社会人としていかがなものか、と自分でも思わないではないのだが、まあ持っていかない。
本日は、そんな僕の反社会人的な特性への言い訳的な記事。
例によって、何の役にも立たない。

まず。
おみやげという文化自体になじみがない。
遠足や修学旅行等々、おみやげ文化を学ぶ機会はたくさんあった。
おみやげのお相手は家族。
もちろん、僕もこの機会はあって、家族へおみやげを買ったかわいい回もあった。
小学校の時だったと思う。
みんながおみやげを買っている側で、僕も、となにかおみやげを買ったのを覚えている。
ただ。
帰って親におみやげをあげたところ、予想に反して怒られることに。
「いらないって言ってあったでしょ!」
まあ確かに、おみやげを買うお小遣いは通常とは別枠でせしめているわけで、わからないわけではない。
が、こういうのは心理学でも理論づけられているように、「おみやげ上げる→よろこばれる→うれしい→またおみやげをあげる」となるわけで、初回でそうならず、おみやげ文化を学ぶ機会を永遠に失うこととなった。
僕は悪くない。

しかし。
社会人になるとそうも言っていられなくなる。
無礼にならないよう、お世話になる感謝の気持ち等々、おみやげを持っていきたくなることもある。
が、これがなかなか大変。

まず、買うことが難しい。
だいたい、旅のスタイルからしてぎりぎりで、余裕をもって駅へ、なんてことになかなかならない。
駅について買う時間が確保できず、遅刻と天秤にかけた上で断念するというのがよくあるパタン。
幸いにして駅に余裕をもってついたとしても、買うことを失念してしまう、ということもしばしば。
これは僕の特性みたいなものなのでどうしようもない。
この関門でおみやげがなしになる、というのは結構ある。

続いて。
運よくおみやげが買えたとする。
しかし、僕は忘れっぽい。
小学校の時はランドセルを忘れたことがあるくらい、忘れっぽい。
当然、これはおみやげにも及ぶ。
網だなの上に乗っけたら最後、降りるときにはすっかり忘れているということが起こる。
そして、旅好きなので、乗り換えの多い旅程を選びがち。
乗り換えのたびにこの置き忘れリスクにさらされることになる。
ここで、おみやげ氏、生き残れないことが結構ある。

次。
乗り換えサバイバルも無事乗り越え、運よく目的地までおみやげが運ばれたとする。
ここで、安心してしまうのだね。
宿に忘れてしまう、というのこともわりあいある。
この場合、のちほど宿にて反省とともに僕の口に入ることになる。
メンタル的なダメージは大。
たいがい、相手先についてところで気づくが、場合によっては宿に戻ってきてから気づく。
本当に悲しい気分になるのだ。
ただ、この段階まで生き残ったおみやげ君は、いちおう誰か(主に僕)には食べられるので、まあそこまでかわいそうではない。
かわいそうなのは僕。

さあ。
宿から渡す相手のところで運ばれたおみやげ君。
ここまでくるともう大丈夫、と思いきや、そうでもない。
最難関。
渡すのを忘れる、というのがある。
この場合のメンタルダメージは計り知れない。
後で自分でおみやげを食す時の塩味はちょっと強めとなる。
ただ、この場合は奇跡の復活劇がないわけではない。
渡すのを忘れたおみやげを相手先に忘れてくるという、、、ね。

かくして、おみやげを買ったのに渡せなったという体験が、次回のおみやげを買うという行動を抑制し(専門的には負の強化という)、ますますおみやげは買われにくくなるという負の連鎖により、今にいたっている。

そういうわけであるから、決して不届き者でおみやげがないわけではなく、いろいろある、ということを理解していただけば幸い。
なお、届いた場合はものすごい確率で届いたと思っていただいて差支えないと思う。

ではでは。
また。




f:id:htyanaka:20210510073125j:plain 浜坂駅か。

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2021/05/09 23:02
ひきこもり。
自宅にて。


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学振のこと(大学院へ行きたい人へ7)

学振。
このタイトルを見て、なんのことかわからなかった人。
今回はそんなアナタにこそ読んでほしい記事。
前回の記事で少しだけ触れた
博士課程に進んで研究者になりたい。
でも、経済的な問題から躊躇してしまう。
これは学生さんからよく聞かれる悩み。

実は、収入を得ながら博士課程に進む方法というのが存在する。
一つは社会人大学院生というもの。
研究職や研究ができる職に就いて研究しつつ大学院に通う。
この場合、所属先よりお給料をもらいながら大学院に通うことができる。
詳しくは、社会人経由研究者のススメで書いた。
他にもお給料をもらいながら大学院に通うシリーズとして、キャリア官僚や大手企業社員になって、社内研修の一環として選ばれるというコースもある。
博士号院生は難しいかも(研究職以外だと少ない)しれないが、修士号院生、海外MBA等はわりとある。
就職活動の際に、これらの可能性を調査してはいるというのも手。

社会人大学院生には、職場とは関係なく大学院に通うというタイプもある。
これでは、昼間は仕事に通い、夜間と休日に大学院に通うということになる。
大学院はこういった人たちに対応できるように、夜間休日に特例で授業ができるように仕組みが整えられているところが結構ある。
昼間の仕事に研究的な要素がないと仕事と学業ということになり、かなりハードになるがいないわけではない。
このコースを考える人は「あるキャリア官僚の転職記~大学教授公募の裏側~ 」あたりを読むといいかもしれない。

で、本題。
本タイトルの学振について。
ストレートの博士課程に進んだあとで、毎月の生活費を得るという方法が存在する。
これのメインの方法が、日本学術振興会・特別研究員DCに採用される、というもの。
研究業界では、略して学振という。
日本学術振興会とは文科省系の独立行政法人で、競争型の科学研究費等を出しているところ。
博士課程の院生の中から優秀な人を特別研究員DCとして採用し、毎月の生活費と自由に使える研究費を交付する。
毎月の生活費はやっと暮らせる程度のものだが、親の扶養から離れて独立するため学費が免除になる可能性が高い。
貧乏ながら研究を自力で続けることができる。
加えて、生活費とは別に院生としては少なくない額の研究費が出るため、学会参加等の経費負担がなくなる。
さらに、優秀であることが履歴書上に残るため、将来の職が得られやすくなるというメリットもある。

この学振。
DC1とDC2という2種類がある。
DC1は修士2年の春ごろに申請し、博士課程の正規年限期間が採用期間。
DC2は博士課程在学中の各春ごろに申請し、2年間が採用期間。
なお、PDという博士課程修了者向けの特別研究員もあり、これは毎月の生活費と研究費の額が上がる。

では。
この学振、どうやって取るかというと、研究計画書や研究実績などを書類申請して、審査によって競争的に勝ち取る。
審査は分野の複数の研究者が行う。
よって、研究計画書をうまく書けるとともに、学会発表や論文発表等の実績をあげておく必要がある。
勝負の相手は自分の分野の大学院生達。
腕に自信がある人は、家庭の事情で研究をあきらめなくて済むコースでもある。

さて。
この学振を取るにはどうしたらいいか。
研究能力を上げることが大事なのだが、実績の部分を意識する必要もある。
特にDC1を目指すのであれば、学部の卒論を学会発表できるか、論文発表できるか、がかなり大きい。
修士の2年生になりたての段階での業績、ということになると、修士の院生になってからの仕事ではなかなか難しい。
よって、博士課程の院に進むことを強く意識している人は、学部卒論から勝負が始まっている、と思っておいた方がいい。
もちろん、DC1に関してはそういう状況なので、研究計画でおもしろいものが書けるか、というのもポイントになる。
DC2ということになると、修士課程の仕事も大事になってくる。

取りやすい研究室、というのもある。
審査の時には、所属研究室はあまり関係ないはずなので、おそらく内部で書類の書き方や業績の書き方等のノウハウの蓄積があるのだと思う。
研究能力や業績に加えて、書類の作り方や見せ方など、通るためのテクニックというのはやはり存在する。
狙っている人やこれがないと困る人は、これを意識して研究室選びや進学先選びをするといいかもしれない。
研究室のHPのメンバの欄を見ると、その辺りが載っていることが多い。
研究室選びの訪問をする際に、学振とった人はいるかというのを聞いてみるのも手。

ただ、あまりこれにこだわりすぎて、好きな研究テーマから遠ざかる、というのは本末転倒な気はしている。
それなら企業研究員コースの方がいい。

では今回はこの辺で。
また。




f:id:htyanaka:20210516163316j:plain 羽田空港にて。

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2021/05/15 20:33
今日から梅雨入りらしい。
鳥駅スタバにて。


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Update 2021/05/15
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政治を勉強したい人のために No.1 時事と問題を知る

「政治のことを勉強したいのですが、どうしたらいいですか。」
これはたまに質問されること。
SNSで発言したり、ここでものを書いたりしているせいか。
そこで、今回はこのことについて書いてみようと思う。
ここでいう政治は学術的なことではなく、あくまで一般的な社会人としてのお話。
なお、民主主義社会とは、一人一人が政治参加する社会だと思っている。
構成員がよく考えて政治的意思を表明することは、それだけ社会がよくなることだと思っている。

さて。
では具体的に何をすればよいか。
そこまで難しいことはない。
日々の生活の中に、少しだけそのための時間を取る程度でいい。

幅広く時事情報を仕入れる

いきなり政治のことを考えようとしても何もできない。
まずは幅広く社会のことや問題を知っておく必要がある。
これは昔からやり方は同じで、日々新聞を読む、ニュースを聞く、が基本。
今もかなり有効な方法だと思っている。
そして、この積み重ねは無視できない。
冒頭の質問をするような人は、まずこれをやっていないことが多い。
でも、政治は社会のことになんらかの判断を行うことなので、これを知らなければ何もできない。

まあ、NHKニュースを毎日見る、あたりから始めるのがいいのではないか。
ポッドキャストにはNHKラジオニュースも出ているので、それを必ず聞くようにする、でもいいと思う。
オススメはNHKラジオニュースの夜10時のニュースジャーナル。
平日1時間程度幅広くやってくれるので、ポッドキャストを流しっぱなしにしておくだけでも違う。
朝7時、夜7時の20分のやつもある程度世の中のことを俯瞰できる。
新聞だと、日経新聞、大手紙なんかを購読して、毎日目を通すようにするのがよいか。
オンライン版だと安価で読めるので、契約してスマホで読むのがおすすめ。
これらは、就活はもちろん、社会に出てから仕事をする上でも役に立つので早めにはじめるのがいいと思っている。

もちろん、メディアには偏りがある。
その組織の色のようなものがあって、政治介入などよって内容に影響を受ける。
なので、過信は禁物なのだが、それはある程度時事情報に触れてからでいいと思っている。
ある程度、時事の流れが頭の中に入ったら、コンビニで他紙を買って読み比べてみたりするとおもしろい。
同じ出来事を伝えるのに、新聞社によって印象や内容、扱いがこんなに違うのだということがわかる。
これをいくらか繰り返すと、新聞社やメディアの色がわかって、それを加味した上で情報を解釈することができるようになる。
このくらいまでいくと、新聞社を複数契約するような人が出てくる。
が、それは社会に出てからでもいい。
ちなみに、僕は国内はオンライン版を3紙、海外を1紙、オンライン版で契約している。
全部合わせても、紙配達版と比較したら安価で、いい時代になったと思っている。

なお、契約せずともネットで出てくるニュース記事を読めばいい、という意見があるかもしれない。
これに関しては、ここでの目的から不適当。
ここでは、現在の社会の状況について、幅広く知ることが目的なので、契約して最初から最後まで目を通すことが大事になる。
ネットの記事は無料で便利なのだが、無意識のうちに自分の知りたい情報に偏って選んでしまいがちになるのが難点。
これは、SNS経由の新聞記事も一緒。

トピックを絞って勉強する

時事情報を仕入れていくと、特に興味がわく問題が出てくる。
重要そうだけど、自分でどっちをとればいいのかわからない。
ニュースや新聞だけだと内容がよくわからない。
意見が割れていて、どっちの論がいいのかわからない。

こういうのが出てきたら、これらのトピックについて勉強してみる。
個人のブログやSNSでも意見が流れてくるが、情報の質にこだわるのであれば、まずは書籍がいい。
新書かブックレットクラスの簡単な本を読んでみる。
できれば専門家が書いたものがよい。
明らかに専門家でもなんでもない人が書いた本が書店に並ぶことがあるが、事実自体に間違いが含まれる可能性があるので避けたい。
専門家の場合、その領域について専門的な技能を持っている上、フェイクを流すと専門家間で信用を失うので、あまり変なものが出てこない。
書いた人がその分野の研究者なのか、分野を語る上で信用に足る職歴の人かどうか、を判断基準にしたい。
もちろんそれ以外の人が書いたものでもいいものはあると思うが、知識的に真偽が判断できない状態でそういう情報に接してしまうと間違う可能性が高くなる。
間違った情報からは間違った判断しか出てこない。

できれば、同じトピックについて複数の本を読んでみるといい。
内容について食い違う箇所があれば、その箇所は事実としてアヤシイ(未確定、どちらかが間違っている)と考える。
逆に、みんな同じことを言っていれば、そのことは事実としての信憑性が高いということになる。
専門家が書いた書籍自体に意見の異なるものがあれば、これは専門家間で意見が割れているということを意味する。


もっとコンパクトに書く予定だったが、あまりに長くなった。
他にも書きたいことがあるのだけれど、今回はこの辺で。
シリーズ続編を書く予定。




f:id:htyanaka:20210228231357j:plain ニコタマかな。


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2021/02/23 20:18
ひきこもり。
自宅にて。


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研究計画を立てる〜実践編(研究をしよう24)

このテーマではすでに何度か書いた。
それでもなお、難しいらしい。
そこで。
理想的なことはわかった、でも、どうしていいかわからないんだ、という人向けに。
研究テーマを決める研究計画を立てよう 前編研究計画を立てよう 後編がまだの人は、まずはそちらから読んでいただきたく。

まず。
卒論には〆切がある。
手順に沿って研究計画を作っていたらもう間に合わない、という場合もあるだろう。
もう研究計画が出来上がるべき時期が過ぎてしまっている、ということは多いと思う。
このあたりは、卒論のスケジュールを考えるあたりを読んでいただいて。
もはややるだけのことはやったけどうまくできず、何をやっていいのやら途方に暮れている人もいるのではないだろうか。

で、そういう場合はどうしたらいいか。
研究の目的から書こう。
これは相当に未熟でも構わない。
まずは、文字にして書類という形にする。
今一番興味を持っている、もしくは、詳しいことについて、なんでもいいから研究の目的を書く。
やりたい調査法があれば、それも意識した目的にしておくとよい。

おそらくそうやって書かれた目的は、自分でも何をしていいかよくわからない、具体性のないものだと思う。
そこからスタートする。
続いて、その目的に向けて、段落構成を考える。
これもこの際根拠とかどうでもいい。
まずは、この段落でこういうことを言いたい、というような筋立てを勝手に考える。
引用も、根拠探しも、何もいらない。
とにかく、完成させる、というのを第一に考える。
形式については、研究計画を立てよう 前編研究計画を立てよう 後編に準拠するといいか。

そうすると、1日もあれば、なんだこりゃ、というような研究計画らしき文書ができる。
それでいい。
ここからが勝負。
勝手に考えた段落構成において、それぞれの段落で言いたいことの根拠を探しては書き込んでいく。
根拠が見つからない場合はその箇所を保留して、とりあえず最後まで根拠を探しては根拠となる文献を書き込んでいく。

これをやると、どうしても根拠が見つからない場合がある。
その場合、そもそもそのことを調べることを研究の目的に変更した方がいいかもしれない。
どうあっても無理っぽければ、ここで目的を変更した上でやり直してみてもいい。
そこまでの流れはあるので、このやり直しは初版に比べると時間がかからない。
ただ、その前に指導教員に見せてコメントをもらってみるのもいい。
漠然と質問をするよりも、格段に有益なコメントがもらえると思う。

この段階まで来ると、過去に書いた「研究計画を立てよう」の記事の内容を見ながらある程度自分でできるのではないだろうか。
加えて定期的に教員に見せてはコメントをもらうことで、それなりに進んでいくことと思う。

この、未熟でもいいからとりあえずやってみる、は結構大事で、研究の各段階でも意識しておきたいこと。
まあ、研究に限らず、何かをやる時には大事なことかもしれない。

ではまた。


おまけTIPS

なお、この未熟な研究計画の更新。
古いバージョンは残しておくのがよい。
過去に作ったものは、その後部分部分使えることがあり、将来資源になる。
時々、消して書き換えて作成して最新バージョンしかない学生さんに会うことがあるが、あれはもったいない。
ファイル名の末尾に日付を仕込んでおき(例えば、卒論研究計画210429.docx)、改訂のたびにファイル名を変更して作業をしたい。
こうすると、全てのバージョンが残ることになり、便利。




f:id:htyanaka:20210430200820j:plain 横浜かなー。

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2021/04/29 21:10
GW1日目。
鳥駅スタバにて。


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Update 2021/04/29
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