週刊雑記帳(ブログ)

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本の紹介,「電池が切れるまで 子ども病院からのメッセージ(すずらんの会,角川文庫)」

電池が切れるまで 子ども病院からのメッセージ
すずらんの会(編)
難易度:☆


世の中には、病気のため通常の学校に通うことができない子どもたちがいる。
ただ、我々には教育を受ける権利があるため、これを保障するために様々な仕組みが用意されている。
院内学級はそのうちの一つ。
正式名称を訪問教育という。
教員が家庭に出向く教育、病院のベッドサイドで教育を行う等、様々なバリエーションがある。
院内学級はその名の通り、病院内に教室を設置し、そこに入院中の子どもたちが通ってくる。
院内学級にも2種類あり、地域の小中学校の特別支援教室(病弱・身体虚弱)として設置するものと、特別支援学校(病弱)の分教室として設置するものがある。
この本は、前者の院内学級についてのもの。
なお、後者については 別の本を紹介しており、そちらもオススメ。

この本は、長野県のとある小児病院に設置された院内学級に通う子ども達の作品をまとめたもの。
詩や文章を中心に、絵などの美術作品も収録。
病弱教育を受ける子どもたちは、抱えている病気も様々。
長期入院だけど治るものから、何度も入退院を繰り返すもの、余命があるもの、など多様。
ある日突然命を落とすようなこともある。
そんな子どもたちの声を聞くことができる。
この本の作品はもともと誰かに向けて書かれたものではなく、教育の中で出てきたもの。
それだけに子どもたちの本音のようなものに触れることができる。

本の後半は保護者や教員、本人など、当事者たちの想いを綴った文章が載る。
これがまたよい。
作品を書いた子どもの当時の状況、院内学級を経て医療職を目指している将来の本人、院内学級の先生の解説等々。
普段知らない世界のリアルを垣間見ることができる。

病弱系の授業の副読本として調査したが、そうでない全ての学校の先生やその卵にもぜひ読んでほしい本。
もちろんそれ以外の子どもと関わる全ての人にもオススメ。
いろいろ考えさせられることと思う。

では今回はこの辺で。
また。




f:id:htyanaka:20210220184312j:plain 大好きな横浜にて。

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2021/02/20 18:02
今日は大変のんびりモード。
鳥駅ドトールにて。



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Update 2021/02/20
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