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本の紹介,「伝えるための心理統計: 効果量・信頼区間・検定力(大久保街亜、 岡田謙介,勁草書房)」

伝えるための心理統計: 効果量・信頼区間・検定力
大久保街亜、 岡田謙介(著)
難易度:☆☆☆☆☆


ここではやさしめの本を扱うことが多いのだが、今回は少しマニアックなやつを。
心理学をやっていると統計検定をよく使う。
この統計検定についてまず整理し、問題点を挙げて、いくつかのアドバンスドな方法を紹介したのがこの本。
t検定、分散分析、相関、重回帰分析。
この辺りのことを一通り知っていて、使ったことある人が次に読む本。
興味はあるけどまだ学んでいないという学生さんや上記のキーワードにピンとこない学生さんは、まずは以下の本を読んでほしい。
‪はじめての統計学‬
入門はじめての分散分析と多重比較‬

心理学を含め、数字のデータを扱う分野でよく使うのが統計検定。
簡単に言うと、確率的にこのデータとこのデータには差があるよ、と主張するときに使う道具になるのがこいつ。
世に出ている論文には大体こいつが使われていて、統計検定で差があるよ、とされたものを根拠として結論が導かれる。
ただ、本当にそれでいいの?と言う論が出てくるようになる。
例えば、鳥取県民と島根県民の年収を比べてみたら統計検定で差があるとされたとする。
でも、その平均値はたった1円しか違わなかった。
確かに統計的には差があるのだろうけど、1円の差なんて本質的な意味はない。
このあたりが統計検定の限界になるわけだが、そこで新たな統計的道具立てが必要となる。
それが、効果量という概念。

まあ、そういう系統の話をわかりやすく解いてくれている良書である。
特に効果量の話はすごくわかりやすいので、コイツについていまいちよくわからない人は、学部生、研究者問わず、ぜひ読んでほしい。
他にも統計推定からメタ分析、ベイズ統計まで、初歩の統計学の問題点と、その先にある統計学のツールを知ることができる。
統計書というと難解で難しいイメージがあるが、この本はサクサクと軽い読み物であるかのように読むことができた。
統計を使ったことある人であれば、難なく読み進めることができると思う。
書名は心理統計になっているが、統計検定を使っているあらゆる分野の人の役に立つと思う。

かなりオススメです。




博多かな。
たぶん、どんたく。



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Update 2019/01/27
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