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本の紹介,「安倍官邸 VS. NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由(相澤 冬樹,文春e-book)」

安倍官邸 VS. NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由
相澤 冬樹(著)
難易度:☆


著者の名前をご存知の方、そんなに多くないと思う。
森友問題で近畿財務局の職員さんが自殺した。
その真相について、職員さんの遺書をもとに文春にスクープした人、と言えばわかるだろうか。
読んでいない人はその記事もご一読いただきたく。

彼の名前はこのスクープ以前から知っていた。
彼はもともとNHK大阪放送局の記者で、森友事件を追っていた人。
クローズアップ現代で森友のスクープ特集を飛ばしたのが彼である。
その後、森友問題のスクープが原因で、記者職を外され、記者を続けるためにNHKを辞めた。
その話をどこかで目にし、名前が頭に残っていた。
前から読もう読もうと思って先送りになっていたのだが、冒頭の文春スクープを読み、改めて手にとったのがこの本。

この本はそんな相澤さんが、NHKを辞めたときに書いた手記。
辞職時に書く本というのは、告発本が多い。
が、この本はその類の本ではない。
NHKで何をして、どうして辞めるという決断に至ったのか。
その辺りが淡々と書いてある。
これがとてもおもしろい。

NHKという組織を通じて、ニュースというものがどのように出来上がっていくかがよくわかる。
どのような事実をもとに記事やニュースが出来上がるのか。
スクープとは何か。
スクープを他社に抜かれたらどうするのか。
報道各社それぞれの性質。
そういうマスコミ・報道の裏側を知ることができる。

特に、ネタがニュースに選ばれる過程がおもしろかった。
記者が集めてきたネタはたくさんある。
しかし、ニュースの時間は限られている。
そこで、ニュース番組ごとに現在上がっているネタから報道するものを選んでニュースを組んでいく。
その過程で、ネタへの価値づけが行われるし、忖度が入り込む余地がある。
報道が政権批判を報じなくなったと言われるが、その理屈がよくわかる。
特定の個人が原因の場合もあれば、組織の中でなんとなく規制が発生することもある。
そんな裏事情が見えてくる。

報道とは何か。
報道で出てくる情報とはどんなものなのか。
その上で、報道各社に何を求めるべきか。
この本を読むとその辺のことがよくわかる。
現代社会の情報リテラシーとして、ぜひ読んでおきたい。
マスコミ業界に興味ある若人にもオススメ。




いつか乗ってみたいな、クルーズ列車。
門司港かな。

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2020/05/06 19:27
GWだけれども。
職場にて。



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Update 2020/05/06
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