週刊雑記帳(ブログ)

担当授業や研究についての情報をメインに記事を書いていきます。月曜日定期更新(臨時休刊もあります)。

特別支援教育を学ぶための本

僕は幼少中高の先生向けに「特別支援教育」という免許必修科目を担当している。
今回はこの科目向けに教科書調査した中から、良さそうな本を紹介する。
授業だけではよくわからんという人や、もっと知識を深めたい人はぜひ読んでいただいて。
もちろん、この分野に興味ある人、他大で同様の授業を受けている人、教員採用試験対策として勉強したい人にもおすすめ。
初めて特別支援系の担当になった教員も、まずはこのあたりから勉強するのがよいと思う。

勉強の仕方としては、まずはざっくりと通読する。
続いて、1章ずつていねいに読む。
この際、わからないところ、興味を持ったところに付箋などを貼って、場合によってはもっと詳しい本やWEBサイトにあたる。
余裕があれば、紹介した本を複数読むのもおすすめ。
経路の違う本を紹介しているので、別の本ではまた違った学びがあるはず。

読んでみるとわかると思うが、障害理解の部分は、発達心理学や臨床心理学の基礎知識がないとよくわからないという箇所もある。
これについては、自分が必要だと感じたら、別途学んでみよう。
関連分野の本の紹介については少しずつ追加で書いていく予定。
現在アップしてある記事のうち関係ありそうなものを下に貼っておく。

独学で心理学を学びたい人のためのガイド〜初級編
IQとはなにか

はじめての特別支援教育 改訂版(柘植雅義 他編)

『はじめての特別支援教育--教職を目指す大学生のために 改訂版』柘植雅義 他(2014)

初学者に一番おすすめなのがこの本。
特別支援学校の教員ではなく、幼少中高の教員を目指す人に照準を絞って書かれた教科書。
コンパクトに必要なことがまとまっていて、まず学ぶには最適。
難易度も、この手の本としては平易でわかりやすい。
特別支援教育の理念、現行の制度、歴史から、各種障害の理解、関係機関や職種との連携まではば広く解説されている。

内容は、特別支援教育の授業15回を想定したもので構成。
大学で教員養成に関わる現役の大学教員が分担して執筆している。
2014年とやや古いものの、現行の制度を知るには特に問題はない。
障害理解については、診断マニュアルや心理検査の最新版に対応していないものの、ざっくりと知るという目的上は問題にならない程度のもの。
このあたりは、各論として深く知る際に気にすればいいと思う。

教職を目指す大学生の他、福祉や医療等の関連分野で働く人への、当事者の家族なども学べる。
もちろん、現場にいる教員で特別支援教育について学び直したい、という方々にもおすすめ。

各章末にはさらに学ぶための本の紹介があり、この本を足掛かりにもっと深く学ぶこともできる。
バランスがよく、まずはおススメしている本。

よくわかる特別支援教育 第2版 (湯浅恭正 編)

『よくわかる特別支援教育[第2版]』湯浅恭正(2018)

特別支援教育の入門書。
見開き2ページか、多くとも4ページで1トピックが終わるように構成されている教科書。
そのため、隙間時間を使って読んだり、気になるトピックだけを選んで読んだり、という使い方ができる。
『はじめての特別支援教育--教職を目指す大学生のために 改訂版』柘植雅義 他(2014)と比べると、基礎部分・理論部分が弱く、全くの初めての人が読む本としてはやや難があるかもしれない。
ただ。
この本の特徴は教育場面での具体的な記述が豊富なところ。
すでに授業や教科書で基礎的な内容はおさえている、といった人が、具体的にどんなことをやるのか、といったことを知るために使うことができる。
授業で質問を受け付けると、基礎的なことはわかったが具体的にはどういうことなのか、という質問を多くもらうが、そういう人たちにこそおすすめ。
具体的な実践例が多いので、現場に出て初めての特別支援教育に携わることになった人が、様々な実践や具体的な制度の利用方法を知るためにも使える。

また、注に関連書籍情報が豊富にあるため、さらに深く学ぶための本探しのために読むこともできる。

障害のある子供の教育支援の手引

『障害のある子供の教育支援の手引~子供たち一人一人の教育的ニーズを踏まえた学びの充実に向けて~』文部科学省(2021)

文部科学省がWebで公開している関係者向けの資料。
特別支援教育の関係者であれば、だいたい誰でも知っているほど有名なものである。
関係者向けに書かれているので、入門編ほどやさしくは書かれていないが、基礎的なことはだいたい網羅されており、入門編は終えた人、現場に出て基礎的な事項を確認したい人にはおススメ。

1編が総論と2編は就学相談・支援などで、3編に各種障害の詳しいことが載る。
3編の各論は障害の基礎理解をコンパクトに、教育的対応について詳細に記述しているのが特徴的。
各論の項目は、障害の種類ごとに完結しているので、読みたいところからすきに読むことができる。
障害のある子を担当することになった時に、まずその障害の項目について目を通す、といった使い方が想定されているように感じた。
無料でダウンロードできる資料だが、本編だけで300ページ強、資料もあわせると500ページ弱になる大著で、文科省がかなり力を入れて作っている資料でもある。

その他、教科書系本の短評


軽い読み物系の短評





このページは、関連本を読み次第、適宜更新して本を追加していく予定。
ではでは。





新山口にて。


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2023/06/05 18:20
ひきこもり。
自宅にて。


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Update 2023/06/05
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