週刊雑記帳(ブログ)

担当授業や研究についての情報をメインに記事を書いていきます。月曜日定期更新(臨時休刊もあります)。

本の紹介,「ロヒンギャ危機―「民族浄化」の真相(中西嘉宏,中公新書)」

ロヒンギャ危機―「民族浄化」の真相 中西嘉宏(著) 難易度:☆☆ ロヒンギャの問題をご存知だろうか。 ミャンマーで大量に生じている難民の問題。 数年前にミャンマーの国内問題からロヒンギャ難民が大量に発生して国際的に問題となっている。 問題自体は知っ…

進学で研究室を変えることのあれこれ(大学院へ行きたい人へ8)

久々このシリーズ。 大学院に進学したい。 ではどこに進学しようか。 今いる研究室はわりと気に入っている。 でも、他大の院に進学してみたい。 こういう悩みは結構耳にする。 今回はこういう人に読んでほしい記事。 まず。 他大に行け、というのが僕の個人…

大学教育の問題 その3 時間以外編

前回は大学教育の問題について、時間の観点から書いた。 今日はそれ以外の観点から書いてみる。 時間の話と全く独立の話ではなく、主には時間配分で教育以外のことに時間を使いたくなる要因が存在する、という話。 評価の問題 大学教員は研究者である。 その…

大学教育の問題 その2 時間編

前回のつづき。 大学教育の問題は、大きくは時間がないというところに帰結するということを書いた。 なぜ時間なのか、今回は具体的に掘り下げていく。 教育には手間がかかる 当たり前のことなのだが、教育には手間がかかる。 そして、当然ながらこの手間が授…

コロナの「自粛」の話

先日Twitterに以下のつぶやきをした。 自粛はあくまで自粛なので、無理ならする必要はないし、それ見ても特に悪い感情はわかない。仕方ないよ、1年半だもん。— Hisakazu YANAKA (@htyanaka) August 6, 2021 すると、知り合いの学生さんの質問箱に、以下の投…

大学教育の問題 その1 導入編

僕が大学生の時。 大学の授業にはひどいものが残っていた。 授業のレベルが学生に全くあっていないもの、準備を全くしていないと思われるもの、教科書を読み上げるだけのもの。 学生のことを考えて練られた授業というものもあったものの、ひどいものもいくら…

エビデンスの話

エビデンスという言葉がある。 ここ20年くらいでよく聞くようになった言葉で、主張されている事柄についての科学的な裏付けのことをいう。 医学や心理学の臨床など、ケースバイケースで進める現場系分野でよく用いられるようになった。 SNSで主張されている…

企画の人(僕のなりたかったもの8)

大学教員になりたいなぁと思って修士課程に進学も、かなり早い段階で萎えた話は書いた。 だいたい、早く結婚したい。 博士課程なんて行っている場合じゃあない。 当時北の大地に渡っていた僕は、土地の重要性についても痛感していた。 やはり故郷の横浜に住…

ゼミでの論文紹介発表〜資料編(研究をしよう27)

ゼミでの論文紹介。 今回は資料編。 実際の発表で気をつけることは別の記事に書いているので、そちらも併せて読んでほしい。 ゼミ資料はなんのためにあるのか。 これは、ゼミメンバに伝えるため、これに尽きる。 多くの研究室に所属してきたが、大抵の場合は…

政治を勉強したい人のために No.2 政治家を知る

前回は時事に詳しくなるなど、ごく基本的なことを書いた。 その先に何をしたらいいか。 思いつくものをいくつか書いてみようと思う。 あくまで私見ではあるが、ある程度は役に立つと思う。 で、今回は政治家を知る編。 政治家の考えを知る まずはその人がど…

ゼミでの論文紹介発表〜心構え編(研究をしよう26)

ゼミ配属になった。 いよいよゼミで論文の紹介の発表。 しかし。 発表ってどんな感じかわからない。 どんな資料を作っていいかわからない。 そういう人に向けて、今回より何回か記事を書いてみようと思う。 ゼミの形式については、所属ゼミやその分野によっ…

スペースのはなし

TwitterにSpaceという機能がついた。 現在はスマホアプリからのみ利用可能なようで、PCやタブレット経由の方は名前しか聞いたことないかもしれない。 学生さんや有名ツイッタラーがよく利用しており、ちょっと気になっていた。 どんな機能かといえば、公開お…

卒業研究真っ最中の学生さんへのアドバイスなど(研究をしよう25)

今回も悩める卒論生への記事。 卒論を進めていく中で、よく見られる注意点を書いてみようと思う。 論文の読み方 卒論を進めている最中に、論文を読むことは日常。 ただ、その読み方が気になることがある。 どういうことか。 卒論も中盤くらいになってくると…

おみやげ・サバイバル

僕は客先におみやげを持って行かない。 これは仲間内では結構有名で、社会人としていかがなものか、と自分でも思わないではないのだが、まあ持っていかない。 本日は、そんな僕の反社会人的な特性への言い訳的な記事。 例によって、何の役にも立たない。 ま…

学振のこと(大学院へ行きたい人へ7)

学振。 このタイトルを見て、なんのことかわからなかった人。 今回はそんなアナタにこそ読んでほしい記事。 前回の記事で少しだけ触れた 博士課程に進んで研究者になりたい。 でも、経済的な問題から躊躇してしまう。 これは学生さんからよく聞かれる悩み。 …

政治を勉強したい人のために No.1 時事と問題を知る

「政治のことを勉強したいのですが、どうしたらいいですか。」 これはたまに質問されること。 SNSで発言したり、ここでものを書いたりしているせいか。 そこで、今回はこのことについて書いてみようと思う。 ここでいう政治は学術的なことではなく、あくまで…

研究計画を立てる〜実践編(研究をしよう24)

このテーマではすでに何度か書いた。 それでもなお、難しいらしい。 そこで。 理想的なことはわかった、でも、どうしていいかわからないんだ、という人向けに。 研究テーマを決める、研究計画を立てよう 前編、研究計画を立てよう 後編がまだの人は、まずは…

東海道を歩いた話

僕は歩くのがとても好き。 カメラ片手にぶらぶらしていると、気付けば数キロ歩いているとういうのはザラ。 都内散策なんかすると、新宿・渋谷から東京駅まで歩く、ということもよくある。 で、若かりしのある日。 僕は思いついてしまった。 東海道を歩いてみ…

論文に嘘を書いたりしないの?(研究こぼれ話 No.1)

数年前のゼミでの話。 確か、統計を使った数字バリバリの研究論文だったと思う。 その論文を読んでいる最中に、学生さんが素朴な疑問を持った。 「論文に嘘を書いたりしないのか?数字が嘘ってことはないのか?」 実に、いい質問。 今日はこのネタについて。…

本の紹介,「少年事件に取り組む: 家裁調査官の現場から(藤原 正範(著),岩波新書)」

少年事件に取り組む: 家裁調査官の現場から 藤原 正範 (著) 難易度:☆ 家庭裁判所調査官という職をご存知だろうか。 家庭に関する事件について、必要な調査を行う職種。 家庭裁判所は少年法の審判を行うため、これに先立ち調査官は様々な調査を行う。 心理…

障害児等神経生理学研究2021(鳥取大学)

授業内容 第1回 オリエンテーション(4/20) 脳と神経の基礎(1) 最初~ニューロンの基本構造 第2回 脳と神経の基礎(2)(5/11) 神経細胞の情報処理:最初~活動電位が生まれるまで 第3回 脳と神経の基礎(3)(5/14) 神経細胞の情報処理:活動電…

肢体不自由児等の教育課程と指導法2021(鳥取大学)

授業内容 第1回 オリエンテーション(4/21) 肢体不自由の概要(1) 最初~中枢神経と末梢神経 第2回 肢体不自由の概要(2)(4/28) 脊髄の概要~肢体不自由の病理ラスト 第3回 肢体不自由の概要(3)(5/12) 肢体不自由の教育 肢体不自由教育の歴史…

肢体不自由児等の生理・病理・心理2021(鳥取大学)

授業内容 第1回 オリエンテーション(4/21) 肢体不自由の概要(1) 最初~筋系まで 第2回 肢体不自由の概要(2)(4/28) 骨系~重度・重複障害 第3回 肢体不自由の概要(3)(5/12) 重症心身障害~ラスト 身体の構造と機能(概要)(1) 最初~呼…

特別支援教育(初等)2021(鳥取大学)

授業内容 第1回 オリエンテーション(4/19) 特別支援教育の概要(1) 最初~インクルーシブ教育まで 第2回 特別支援教育の概要(2)(4/26) 合理的配慮~発達障害 第3回 特別支援教育の概要(3)(5/10) 特別支援教育の目的~免許制度まで 第4回 …

院に行きたい人が知っておきたいこと(大学院へ行きたい人へ6)

僕は地方国立大の学部経由、大手国立大学・大学院(修士)というコースをたどった。 周りには院への進学を志す人がほとんどおらず、研究大学の学生なら当然知っていることを知らなかった。 そこで、当時の僕を想定しつつ、知っておきたいことをいくつか書く…

大学教員(僕のなりたかったもの7)

いろいろと書いてきたが、いよいよコイツ。 これになりたいと思ったのは大学生の中盤ごろ。 もともと修士で他大の院に行くことは大学入学時から決めていた。 その延長線として大学教員という選択肢が出てきた。 理由はいろいろある。 まずは、大学教育に関わ…

本の紹介,「アメリカの教室に入ってみた: 貧困地区の公立学校から超インクルーシブ教育まで(赤木 和重(著),ひとなる書房)」

赤木 和重 赤木 和重(著) 難易度:☆ 研究業界にはサバティカル休暇というものがある。 研究休暇とも言われる。 大学に何年か務めるともらえ、一定期間(長いと1年間)通常の業務が免除される。 この期間を利用して、充電したり研究したり他機関に留学に出た…

震災10年

あの日、僕は福井のとある大学にいた。 脳波実験をしていて、実験室の外で実験用のモニタを見ていた。 14時46分。 ゆっさゆっさと静かに揺れ始めた。 天井にぶら下げていた、予備の脳波電極がゆっくりと揺れていた。 小さくゆるい周期で少し長めのその揺れを…

夜行列車のはなし

今はもう残り少なくなったが、僕が大学生くらいまでは夜行列車というのが存在した。 夜に、東京駅、上野駅の在来線ホームに行くと、行き先案内板には全国の地名が並んでいた。 これらの駅に行けば、本当に全国各地どこにでも行くことができた。 南は西鹿児島…

本の紹介,「電池が切れるまで 子ども病院からのメッセージ(すずらんの会,角川文庫)」

電池が切れるまで 子ども病院からのメッセージ すずらんの会(編) 難易度:☆ 世の中には、病気のため通常の学校に通うことができない子どもたちがいる。 ただ、我々には教育を受ける権利があるため、これを保障するために様々な仕組みが用意されている。 院…