週刊雑記帳(ブログ)

担当授業や研究についての情報をメインに記事を書いていきます。月曜日定期更新(臨時休刊もあります)。

意見

学校教員の労働環境の話

学校の先生の労働環境が悪い。 こういうことが言われるようになって久しい。 これは、だんだんと知られるようになってきたようで、最近は教員志望者が減り、現場で教員が確保できない、といったことも増えているらしい。 数値的なこと、詳しいことは書籍や新…

わかりやすく伝える人は頭の良い人、なのか

SNSで「難しい言葉をいっぱい言うのは簡単」「わかりやすく伝える方が頭良い」というのを見た。 有名人の投稿だったので、結構注目を集めていたよう。 なるほど、確かに!みたいな反応が多かったか。 さっそく、知り合いの学生さんが、これを引き合いに出し…

日本語の論文は必要

英語は研究業界の共通語である。 よって研究者は英語で論文を書くべきである。 日本語の論文なんて不要。 研究業績としては評価しない。 この業界にいると、そういう極端なことをおっしゃられる方にお会いする。 と、いうか、それがスタンダードで疑われてす…

核は抑止力になるのか

核抑止力、という言葉をよく聞く。 核戦力を持っていると、相手から攻撃されない。 特に、核による攻撃。 まあそんな意味らしい。 核で攻撃すれば、こちらも核で攻撃する。 やれるもんならやってみろ。 そうやって力で牽制し合う。 お互いが大ダメージになる…

どうせ評価指標は変わるんだよ

僕は評価というものに対して結構懐疑的。 GPA、TOEIC、業績評価、などなど、世の中評価があふれているわけだが、それを追い求めることに対して否定的な態度を取ることが多い。 他人に評価されたい。 会社や業界などで評価されたい。 潜在的なのか意識的なの…

国会議員の報酬は多すぎない

国会議員の歳費(給与・報酬)を減らすべきだ。 身を切る改革として、国民感情に配慮して、などなど、さまざま理由からこの主張がなされる。 ただ、僕はこの主張には反対。 民主主義という仕組みを維持するために、今の水準の歳費は必要という立場。 今回は…

小学校学級会と民主主義

民主主義とは何か。 ここ10年、この問いについて考えるようになった。 それより前はあまり考えたことがなかったので、民主主義的な何か、が脅かされているのではないかと思う。 民主主義とは多数決である。 これは若い人に多い印象で一部政党が強く持ってい…

評価の性質

前に書いた「数値評価は難しい」の続編。 前回は評価のための数値指標を作ることの難しさについて書いた。 今回は数値評価というものの特性について。 仮に評価の数値指標について完璧なものが作れたとしよう。 これで各々をきちんと評価することができるの…

数値評価は難しい

厳密な数値評価、客観的な評価、評価指標の開発。 成果主義、GPA、PDCA。 評価を厳密に客観的に数値で行う、というのは世の中で多く行われるようになった。 特に、組織経営、国家経営をする人、数値評価で高得点をとる人はこの傾向が強い。 数値評価を行い、…

エビデンスと確からしさ

前回の続編。 前回は科学的なエビデンスについてと、経験知だって役に立つ、ということを書いた。 今回は、エビデンスについてもう少し。 ある事実について、研究論文によるエビデンスがあるとする。 この事実は正しい、と信じてよいのだろうか。 正解は、ダ…

教員養成と研究振興のはなし

僕は現在、教員養成に携わっている。 そのため、教員が将来の選択肢である学生さんや、その養成に携わっているさまざまな大学教員と話をする機会が多い。 そして、これら方々から、気になることを聞くことがある。 教員養成に理解がない、それどころか、自分…

大学教育の問題 その3 時間以外編

前回は大学教育の問題について、時間の観点から書いた。 今日はそれ以外の観点から書いてみる。 時間の話と全く独立の話ではなく、主には時間配分で教育以外のことに時間を使いたくなる要因が存在する、という話。 評価の問題 大学教員は研究者である。 その…

大学教育の問題 その2 時間編

前回のつづき。 大学教育の問題は、大きくは時間がないというところに帰結するということを書いた。 なぜ時間なのか、今回は具体的に掘り下げていく。 教育には手間がかかる 当たり前のことなのだが、教育には手間がかかる。 そして、当然ながらこの手間が授…

コロナの「自粛」の話

先日Twitterに以下のつぶやきをした。 自粛はあくまで自粛なので、無理ならする必要はないし、それ見ても特に悪い感情はわかない。仕方ないよ、1年半だもん。— Hisakazu YANAKA (@htyanaka) August 6, 2021 すると、知り合いの学生さんの質問箱に、以下の投…

大学教育の問題 その1 導入編

僕が大学生の時。 大学の授業にはひどいものが残っていた。 授業のレベルが学生に全くあっていないもの、準備を全くしていないと思われるもの、教科書を読み上げるだけのもの。 学生のことを考えて練られた授業というものもあったものの、ひどいものもいくら…

エビデンスの話

エビデンスという言葉がある。 ここ20年くらいでよく聞くようになった言葉で、主張されている事柄についての科学的な裏付けのことをいう。 医学や心理学の臨床など、ケースバイケースで進める現場系分野でよく用いられるようになった。 SNSで主張されている…

成功の理由と失敗の原因と格差社会の話

成功するとお金持ちになり、そうでないとお金持ちになれない。 ある職業は収入が多く、ある職業は収入が少ない。 同じ会社でも、地位によって収入に格差が生じる。 仕事ができる人は富み、仕事ができない人は貧する。 新自由主義の中で、当たり前に受け入れ…

戦争を考える

この国は何十年か前に国を滅ぼしかねない大きな戦争をやった。 この戦争での日本人の死者は300万人と言われている。 日中戦争が始まる前の人口が7000万人くらい。 人口比でもかなりの数字である。 うち、軍人・軍属以外が80万人くらい。 沖縄や国外にいた日…

原発のハナシ

原発について。 僕は福島に住んでいたことがある。 友人もあっちの方にたくさんいて、震災と原発事故についてはいろいろ思うところがある。 そんなわけなので、このトピックに関してはちゃんと書きたいと思っていた。 僕は原発という発電の仕組みについては…

日本の研究力低下についての雑感

どうも、相対的に日本の大学の研究力が落ちているらしい。 他の国の発表論文数の伸びに対して日本のは伸びが悪かったり、影響力のある論文が相対的に少なくなったり。 正確な数字やそれを元にした議論は世の研究者がやってくれているので、そういうのはここ…