何年か前にTwitterで流行ったときに乗っかったのがコレ。
そうそう変わることもないと思うので、ちゃんと記事にしておこうと思って書いたのが今回の記事。
Twitterで前に載せたやつの加筆修正版。
では参ります。
1冊目:戸田山和久(著)「新版論文の教室」
最初の2冊は書く技術を磨くための本。
書く力は大学生のうちに身につけたい大事な力の一つだと思っている。
大学生になるとレポートを書く機会が増える。
そして、最終学年にはその集大成としての卒業論文が待っている。
これらの機会を活かしてぜひ書く力を磨きたい。
漠然と書き殴っても力はつかないので、なるべく早く読んでほしいのがレポートや論文の書き方本。
その1冊目がこの本。
この本は普通のレポート書き方本とは少し違う。
本の中で学生役がレポートを作成し、先生がダメ出しをしていくとスタイル。
大学生が書きがちな間違いを通して、レポートと何か、論文とは何か、を理解できる。
うちの卒論生の場合、一番初めに読めと言われる本。
どうせなら本格的にレポート課題がやってくる前に読んでおきたい。
2冊目: 木下是雄 (著)「理科系の作文技術」
論文の教室と併せて読んでおきたいのがコレ。
理科系とうたっているが、論文やレポート、ビジネス系の文書全般に使える。
戸田山さんのとは趣が異なっており、伝える文・文章の技術的な本。
文は短く、こういう文は文として正しくない、段落はこうあるべき、といった感じ。
伝える文章をどうやって書けばいいのか、ヒントが散りばめられている。
この内容を知った上でレポートや文章を書くと、格段にいいものが書ける。
あとは4年間使って内容を実践して練習すると、4年後にはかなりちゃんとしたものが書けるようになる。
社会に出てからも役に立つ名著。
3冊目: 吉野源三郎(著)「君たちはどう生きるか」
太平洋戦争が開戦する何年か前に書かれた本。
もともとは旧制の中学生に向けての内容。
大人になると忘れてしまいがちな、人として大事なもの、を考えさせる内容で、物語と手紙で構成。
あるエピソードがあって、物語の主人公が悩み考え、それに対して主人公のおじさんが手紙でコメントする、というもの。
これがね、いいんだ。
大人になって忘れがちなものを教えてくれる。
大学生という大人になりかけな時期だからこそ、オススメしている本。
4冊目: 加藤陽子(著)「戦争まで」
大学で何を学ぶのか。
よく返ってくる答えは、専門の知識技能。
ただ、それなら、大学でなくてもいいのではないだろうか。
大学というのは、専門と教養の両方を学ぶところ。
専門的な知識技能を教養でコントロールするという設計。
この辺りは別のシリーズにも書いたので、そちらを読んでいただいて。
で。
前置きが長くなったが、その教養。
中でも近現代史はかなり重要だと思っている。
そんな近現代史の中でも、戦前史は大事。
なぜあの無謀な戦争に突入していったのか。
悲惨なストーリを繰り返さないためにも、歴史からきちんと学んでおきたい内容。
この本は、そんな日本の戦争までの道について、深掘りして知ることができる。
普通の歴史書のような本ではなく、歴史好き中高生と交流しながらその謎に迫るという講演録のようなもの。
とてもおもしろい。
5 冊目: 佐藤広一 (著)「泣きたくないなら労働法」
法律は知っているものにしか味方しない。
大学生になるとアルバイトすることもあるだろう。
卒業すれば働きにもでる。
労働というものを避けて生きるのはなかなか難しい。
そんなわけで、労働法についてはなるべく早い段階で知っておいた方がいいと思っている。
そんな労働法を知るシリーズの中で、簡単でバランスがよい新書がこれ。
トピックごとに事例を紹介しながら、法的なポイントを解説するという内容。
読みやすくておもしろい。
個人的には水町雄一郎さんの労働法入門が好きなのだが新大学生ということを考えてこの本を挙げた。
なお、労働法についてはブログで何冊か紹介しているので、次の記事も参考にしていただきたく。
労働法を読む(雑学・読書のタネ1)
6 冊目: 勝間和代(著)「お金は銀行に預けるな」
日本は資本主義の国に属していながら、資本主義的な考え方が根付いていない、というのは常々感じていること。
しかし、この仕組みを知るのと知らないとのでは、生涯での損得はかなりのもののになる。
いいや、私は労働で稼ぐからいい、という人もいると思う。
が、資本主義の仕組みを知った上でその志を貫くのと、知らずに突き進むのとでは意味が違う。
そんな資本主義とお金について。
簡単に学べるのがこの本。
銀行のビジネスモデルから資本主義的なお金の役割・性質を知ることができる。
このトピックの本の中では圧倒的に読みやすい良書。
なお、資本主義・投資についての本は他にも以下の記事で紹介している。
投資マインドを読む(雑学・読書のタネ2)
勝間さんの本についてももう少し詳しめに書いている。
7 冊目: 伊谷純一郎(著)「高崎山のサル」
大分県に高崎山という山がある。
餌付けされたニホンザルの群れを間近で観察できることで有名な場所。
かつて、まだ餌付けを行う以前、ここでニホンザルの生態を追ったサル研究者の奮闘記がこの本。
研究とは何か。
そういうおもしろさを知ることができる。
絶版だが最近Kindle版が出た。
中古本や図書館を探すのもあり。
8 冊目: 黒柳徹子(著)「窓ぎわのトットちゃん 新組版」
僕は本務校・兼務先を含め、教員養成を担当している。
そこで教育に関連した本の中からイチオシな本も挙げる。
黒柳徹子さんをご存知だろうか。
徹子の部屋で有名な、髪型がトレードマークの彼女。
彼女は小学校の時、そのADHD的な特性によって地域の小学校から追い出された。
そんな黒柳さんが小学生の頃通ったちょっと不思議な学校の思い出エッセイがこれ。
教育とは何か。
特別支援教育とは何か。
そういったもののの本質に触れられる。
この中で出てくる校長先生がとてもえらい。
が、それと同じくらい、お母さんもえらい。
教員志望の人はもちろん、将来親になる予定の人にもおすすめな一冊。
9 冊目: 玉瀬 耕治 他(著)「心理学 新版」
僕の専門の一つが心理学。
認知、生理、発達、教育、障害児の各心理学を中心に教える。
この心理学。
結構興味がる人が多いようで、心理学に興味あるんですけど、どう勉強したらいいですか?という質問を受けることがある。
この問いに対してとりあえずオススメしているのがコレ。
広く浅く、心理学の各分野を眺められる。
専門書のように見えるが、教養レベル。
おもしろい。
これを読んだ上で、さらに、という本についてはいずれ改めて書く予定。
本学の学生なら研究室に来ていただいても。
10 冊目: 松村 道一(著)「ニューロサイエンス入門」
いよいよラスト。
僕のもう一つの専門が脳。
その本の中からお気に入りを。
こいつは、僕が大学生の時に書店で見つけていたく興味をそそられた本。
この本にやられて大学院で脳研究を志すことになる。
大学時代に何気なく読んだ本が人生を変えることがある。
今回紹介した本たちに限らず、大学ではそういうことがある、というのは意識しておいてもいいか。
そういうつもりで色々読んでみるのはおすすめ。
なお、脳に関する本たちは以下の記事にもいくらかおすすめを載せているので興味ある人は参考にしていただいて。
脳科学に関する本(総論編)
おわりに
大学生は気づいていない人が多いのだけど、大学生は読書に贅沢に時間をとれる数少ない時期。
大学卒業後に、こういう時期がやって来るのは定年後、という人はわりと多い。
せっかくなので、たくさん本を読んで、自分を磨いていただいてはいかがでしょうか。
この時期に読みまくって、読書が趣味、となると、その後の人生は楽しみながら知識を磨ける、というおまけまでつきます。
本当はもっと勧めたい本がたくさんあるのだけれども、すでにこの記事、投稿記事史上最大の長さに。
ツイッターでも読んだ本、読みたい本の発信をしているので、もっと知りたい方はそちらも拾っていただければ。
本学の学生であれば、研究室にでも遊びに来ていただければお教えします。
ではでは。
また。
鳥取の春。
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2022/03/29 18:23
今日は休暇だよ。
鳥駅スタバオフィスにて。
Update 2022/03/29
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