雑記帳(ブログ)

担当授業や研究についての情報をメインに記事を書いていきます。

僕の授業の目的外使用

今日はちょっとへんな記事。
僕はこの大学で特別支援学校の教員免許状に関わる科目を担当している。
以下は科目の一例。
病弱児等の生理病理心理
病弱児等の教育課程と指導法
肢体不自由児等の生理病理心理
肢体不自由児等の教育課程と指導法
障害児等神経生理学研究(大学院)
などなど。
ちょっとみると特別支援学校の免許を取らない人には興味がわかないかもしれない。

ところが、これらの授業。
本来の目的以外でも、こういう人たちの役に立つなぁ、というのがある。
今回は、そんな僕の授業の目的外使用法を紹介する。

心理学を学ぶ人

心理学を学ぶ人にオススメなのが、「肢体不自由児等の生理病理心理」。
この科目は神経系の基礎をかなり扱う。
もちろん脳機能も厚い。
こころは脳と表裏一体の関係になっているので、心理学科などでは必ず脳の科目が用意されている。
うちは心理学科ではないため、脳の基礎講義はないが、この科目で代用することが可能。
なお、とってもおもしろいと感じた人で物足りない人は、大学院科目「障害児等神経生理学研究」がオススメ。
学部生でも正課の教育に支障のない範囲で聴講を許可することがあるので相談のこと。

ちなみに、心理学科では医学総論的なことも履修することが多い。
これに関しては、「肢体不自由児等の生理病理心理」に加えて、「病弱児等の生理病理心理」を受けることで、大体の内容をカバーできると思う。
大学院で心理系に進みたい、将来こころのケアの仕事に興味ある、教員としてのそういうこともできるようにしておきたい、という人は履修して見るといいと思う。
なお、いずれもテストは厳しい。


幼小中高の教員になりたい人

特別支援の免許はいらない人で、教員になる人は病弱系、肢体不自由系の授業は取らないことと思う。
ただ。
障害があろうがなかろうができる限り地元の学校で教育を受けよう、という、インクルーシブ教育の流れが進んでいる。
特別支援学校に通うレベルの重い障害のある幼児児童生徒でも、通常学級で学んでいることはある。
また、特別支援学級を担当するには特に免許が必要なわけではなく、幼少中高の学校に所属する教員の中から選ばれて担任をすることになる。
つまり、特別支援教育は特別支援学校の教員でなくとも教員なら誰もが経験する可能性があるということ。
そこで、少しでも在学中に特別支援教育について知っておきたい、という人にオススメなのが、「病弱児等の教育課程と指導法」「肢体不自由児等の教育課程と指導法」。
前者の方が入門要素が強く、後者の方が詳しい。

「病弱児等の教育課程と指導法」は慢性的に病気を持つ子の教育制度と実際について扱う。
特別支援学校(病弱)だけでなく、特別支援学級や通常学級の話も多い。
入退院を繰り返す子どもに気をつけること、院内学級の実際、子どもに多い疾患と注意点などなど、特別支援学校の免許を取らない人でも役に立つ内容がたくさん。

「肢体不自由児等の教育課程と指導法」は「病弱児等の教育課程と指導法」よりも詳しく、特別支援教育の方法を学ぶ。
一般校でも特別の支援を要する子どもがいる場合は個別の指導計画や教育支援計画を立てることになる。
この辺の仕組みと具体例について、肢体不自由を中心にしながら見ていく。
もちろん、仕組みの基本を学んだ上で、他の障害種に当てはめるのも可能。
僕の特別支援系の科目では一番最後に聞く位置づけのもの。
免許取らなくても役に立つ内容だと思う。

人体の不思議展

ラストはコレ。
「肢体不自由児等の生理病理心理」は神経系、骨、筋肉などを中心に、「病弱児等の生理病理心理」はそれ以外の系統を中心に、かなり詳しく身体の仕組みを解説する。
どうやったらこの内容で授業がおもしろくなるか考えた結果、人体の不思議展的な授業にしようというところに至った。
目指せ、NHKスペシャル人体の不思議、くらいな気分でやっているので、生物学とか身体のこととかに興味ある人にオススメ。
質問コーナーが充実しているので、かなりマニアックな質問を持ってきても答えてもらえると思う。
実は医学系に行きたかったんだ、とか、小学校で理科を力入れて教えたいんだ、とか、理科の免許を取ろうと思っている、という人にオススメ。


以上、僕の授業の目的外使用について、でした。
実は僕のに限らず、どの先生の授業もそう言った使い方が可能なので、受講した友人や担当教員から情報を仕入れてみるといいと思う。

ではまた。




高松港にて。

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2020/01/12 22:31
仕事後。
取り駅スタバにて。


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Update 2020/01/12
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授業を疑ってみよう(大学生のための学び方入門5)

授業の内容は正しくないかもしれない。
いきなり何を言い出すのか、と、思われるかもしれないけど、大学の授業はそのつもりで聞いた方がいい。
どういうことか。

まず、高校までの学習内容について。
小中高で教えられることは文科省によってかなり厳密に決められている。
専門家が複数人参加して、専門的にゆるぎない内容を選んで、難易度・系統性も考えながら慎重な議論の上に構成される。
こうして出来上がった「教えるべき内容」に基づいて、各出版社が教科書を作る。
教科書の執筆についても、その分野の専門家が複数人集まって行われる。
教科書の後ろの方に執筆者一覧が載っているが、専門分野の結構な大御所から教科教育の専門家、学校の先生まで幅広くかなり多くの人が参加していることがわかる。
もちろん、その執筆段階でも入念なチェックが行われる。
そして、いざ教科書が出来上がってもそのままは発行されない。
次は文科省のチェック(検定)が入る。
ここでも専門家が複数人参加。
いろいろなクレームをつけて対応を求められる。
こうしたプロセスを経て作られるので、教科書の内容は基本的に正しい。
少なくとも、その時代においては。
これに加えて各教科書会社が出しているしっかりとした指導書があるので、教員が授業する段階においては間違いが起こりにくくなっている。
もちろん、各教員の力量で間違っていることを教えていることはある。
でも、基本的に間違いにくい仕組みにはなっている。
そして、どの教科書で学んでも基本的には同じ内容を学べるようになっている。
これも高校までの教育の特徴。

一方で大学。
大学は各学問分野の最先端のことを学ぶ場所。
それがゆえに、高校までの検定教科書のようなものを作ることができない。
それどころか、その分野の教えるべき内容を統一することすらおそらくできない。
が、これは長くなるので次の回に改めて書く。
そんなわけだから、教えるべき内容について、組織的なチェックが入らない。
ここに間違いが入り込む余地がある。
うっかりミスで自分の作った資料が間違っているなんてことはまああるし、
使用している教科書にミスを見つけて授業中に訂正の指摘をすることもある。
だって人間だもの。

教える教員はプロなんだから間違うなよ、というツッコミもあることと思う。
ごもっともな意見だと思うが、これも難しい理由がある。
そもそも大学の教員は研究者等の専門家である。
この専門家の専門領域というのは一般の方が思うよりもずっと狭い。
例えば、僕が教養の心理学を教えるとしよう。
ところが、僕が直接研究している分野の知見が教養の心理学にどのくらい入り込むかと言えば、おそらく15回のうち1回程度。
自分の研究の話はといえば教養レベルだとスライド数枚になるのではないか。
専門科目だともう少し多くなるかもしれないが、やはり自分の専門分野の話ばかりできるわけではない。
専門科目ではあるものの、組織のマンパワーの問題で専門外の教員が教えている例もある。
ここにも間違いが入り込む余地がある。
もちろん、間違わないように各教員それなりに注意をするのだが、限界はある。
専門分野から離れれば離れるほど間違いに気づきづらくなる。

でも一番は、大学で教えられる知が最先端である、ということに由来する間違いがあること。
日々研究は進んでいる。
授業で教えられることはその時点で正しいとされるものに過ぎない。
明日新しい発見がなされ、授業の内容が正しくなくなるかもしれない。
話している内容に重要な論理矛盾を含んでおり、指摘次第で正しさが覆ることがあるかもしれない。
専門分野で論争が起こっている場合、教員は自分の側の知見を正しいと思って話すが、それは正しくないかもしれない。
大学の知というものは出来立てほやほやであるため、そういうことが起こりうる。

まあそんなわけだから、大学の授業の内容(これは本の内容も含む)はそういうものであるという意識で聞かないと間違う。
盲信は危険。
おかしいと思ったら複数の文献をあたって調べてみよう。
間違いだと思ったら教員に質問してみよう。
学生さんの指摘で重要な間違いに気づいたら、教員としては青くなると同時にこれが知的な刺激になる。
きっと教員冥利に尽きることになるのではあるまいか。
大学の知というのは、そうやって発展してきた側面があるので、遠慮はいらない。
間違いを指摘して怒るような教員は大したことないので、ばーか、とでも思っておけばいい。

ではでは。
今回はこの辺で。




川崎の秘境駅にて。かいぎょう
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2019/12/29 18:48
休暇中。
二子玉隠れ家スタバにて。


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Update 2019/12/29
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論文を書く(研究をしよう 17)

研究計画を遂行しさえすれば、結果が出る。
研究計画が完璧なら、ほぼ研究は終わったようなもの。
あとはこれを発表すれば出来上がり。

研究発表には2種類の方法がある。
1つは口頭やポスター等で概要をプレゼンテーションするというもの。
学会発表や卒論発表会なんかがコレ。
これについては、発表をしよう、を参考にしていただきたく。
で、もう1つが論文による発表。
論文とは何かですでに詳しく書いているが、論文は読み手に研究を精査してもらうのが大きな目的になる。
精査には結果の再現可能性の検証も含まれる。
よって、それらが可能なように詳細な記述が求められる。

論文の具体的な書き方については、論文を読もうシリーズが参考になる。
基本的にあそこに書かれていることに気をつけながら執筆していけばよい。
ここでは、論文を読もうシリーズに書かれていない補足情報を書く。

まず、必ず以下の本を読んでから書き始めてほしい。
理科系の作文技術(木下 是雄)
新版 大学生のためのレポート・論文術(小笠原 喜康)
新版 論文の教室(戸田山 和久)
(上記3タイトルの簡単な書評はこちら)
論文を書く、というのはある種の技術が必要。
その最低限の技術を知った上で書くのとそうでないのとでは、作業効率や出来に大きく影響する。
すぐ書きはじめたいのはわからないではないが、騙されたと思って書き方本に目を通してから書いてほしい。
論文がグッとよくなるだけではなく、ビジネス系の文書についても書く技術が上がることになる。

続いては具体的な論文執筆。
イントロと方法については研究計画が役に立つ。
計画の中で段落構成や根拠の先行研究は挙げているはずなので、これを読み手にわかってもらえるようにていねいに書く。
結果、考察、まとめは論文を読もうシリーズに補足することはない。
何をするパートなのかを頭に入れて、その筋から外れないように書きてほしい。

引用文献と引用の仕方、その書き方については まだ説明していないのでここで書く。
まず引用することについて。
先行研究を引用した責任は、先行研究の著者ではなく、引用して知見を載せた論文の著者にある。
「谷中ら(2018)はAがBであることを明らかにした」と引用したとしよう。
この場合、論文執筆者は谷中ら(2018)の研究結果を信じた、ということになる。
原典の論文に不正があった時を除いて、責任は引用した側にある。
よって、論文を精査して明らかに穴があって信じられない知見は根拠としては載せられない。
もちろん、問題のある研究として引用し、その穴を埋めにいくというような引用であれば問題ない。
時々、明らかに読んでいない研究論文や本をたくさん載せている人がいるが、これは論外。
絶対にやめてほしい。
卒論生にありがちな、読んだ本・論文を全部載せるのもよくない。
引用文献は必要最低限、きちんと引用しているもののみにすべき。

続いて引用の書式。
基本的には論文全体にわたって、引用符の付け方や引用文献リストの作り方が統一されていることが大事。
そこでオススメしているのが、学術誌を1つ決めて、その引用ルールをそのまま適用するというもの。
過去にタイトルの読んだ論文の中でしっかりしていると思った学術誌を1つ決める。
あとはその学術誌のホームページに行くと、論文投稿規定や執筆マニュアルがあるので、そこの引用ルールをそのまま真似する。
これで統一感は確実にとれる。
具体的な引用方法で迷いが出たら、その雑誌を何冊か取り寄せ、載っている論文を真似して書けばよい。
これは、書きはじめから気を付けておかないと、のちのち面倒なことになるので注意してほしい。

さあ。
あとは書くのみ。
え?まだ具体的によくわからない?
そんなあなたに、ラストアドバイス
調査で何十本も論文を読んだはず。
その中に、かなり参考になるよい論文があったはず。
そういう論文を何本か用意する。
信頼できる学術雑誌を何冊かそろえるのもよい。
論文執筆の際、そいつらを常に横に置いておき、表現に困ったら参考にする。
自分の使っている表現が、そいつらに載っていないのであればその表現は避ける。
これだけで、わりとよくなるよ。
時々先輩の卒論を参考にする人がいるが、どう考えてもクオリティはプロの書いたよい論文の方が上なことが多い。
良質で刊行された学術論文を頼ろう。

では。
またそのうち。
ある程度かき切ったので、今後は単発トピックで書いていくことになると思う。





羽田にて。

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2019/12/15 0:56
もう寝よう。
自宅にて。


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Update 2019/12/15
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研究計画を立てよう 後編(研究をしよう 16)

さて、前回仮の仮説やら目的を決めたところまで書いた。
今回はいよいよ、研究計画。

仮の目的が出来上がったら、この目的を導き出すためのイントロの骨子を作る。
イントロそのものを書くのではなく、イントロの段落構成を考える。
段落ごとに主張したいこと、を簡潔な一文で書いていく。
例えば、こんな感じ。
(1)人間の特性はのび太型とジャイアン型に分けられる
(2)のび太型の方がジャイアン型に比べて不利な点が多く適応的でないとされる
(3)のび太型の生活環境はストレスフル
(4)のび太型は不利な点の多さのわりに健康的
(5)ストレスフルな環境は精神疾患罹患率と関連する
(6)レジリエンスの高さはストレスを受け流す
目的:のび太型の適応的な側面として、レジリエンスの特性を明らかにする
仮説:のび太型はジャイアン型に比べてレジリエンスが高い
※上記内容はもちろん架空のもの

まあこんな感じ。
これらを眺めながら、論理構造(ロジックが通っているか)を検討していく。
各段落の主張はつながっているか、論理飛躍はないか、無駄なものはないか、必要な段落が抜けてないか、などなど。
この辺はすごく難しいので、教員をうまく使いたい。
作ったものを見せると、コメントしてくれると思う。
先行研究の読み込みの時に、上記点を意識しながら読むと論理構造を検討する力が鍛えられる。

これについて、各段落で主張したいことに対して根拠を与えていく。
(1)人間の特性はのび太型とジャイアン型に分けられる
谷中他(2011)、鳥鈴(2012)、出来杉(2015)・・・
レビューとして、島猫(2018)
(2)のび太型の方がジャイアン型に比べて不利な点が多く適応的でないとされる
谷中(2016)←質研究
(メモ)量の研究が見つからない、根拠として弱いか。これ探す

こんな感じで、根拠となる先行研究を書き加える。
見つからない場合は、問題点や今後の調査のポイントなども書き込んでおくと便利。

これをやっていくと、段落で主張したいことの根拠が見つからないことがある。
この場合、残念ながら当初の論理構造で目的に迫ることはできない。
論理構造を変えるか、目的自体を変える必要がある。
なお、根拠が見つからないということは、その段落で主張したいこと自体が研究のネタになることもある。
これを目的に研究計画を立て直す、というのもあり。

まだやることがある。
目的と仮説に、どういう方法論で迫るか、を決める。
ここまでにたくさん論文を読んでいるはずなので、方法論にもある程度詳しくなっているはず。
使う方法論を決め、具体的な方法を計画する。
分析方法もこの段階で決めておく。
これで、目的を達成できそうであれば、研究計画は完成、ということになる。

ただ。
この段階に来て研究計画がダメになることもある。
目的と仮説までがどんなに完璧でも、それに迫れる方法がない場合。
この場合、方法論自体を自分で工夫するか、あきらめるか、の2択になる。
特に、先行研究から簡単に思いつくネタが他の人によって全然研究されていない場合は、このパタンである可能性がある。
方法論的にどうやっても難しそうなら、早めに軌道修正も考えた方がよい。
もちろん、チャレンジングに方法論の開発に挑む、というのであれば、止めはしない。
研究者たるもの、そういう姿勢は必要だし、偉大な研究はそういう姿勢から生まれる。
ただ、かなりリスキーなことはお忘れなく。

段落の論理構成、段落主張の根拠探し、方法論の選択、はいずれも並行してできるので、それぞれを参考にしながら同時並行的に検討修正をしていくと効率的。
そんなこんなを繰り返しながら、イントロの骨子(段落の主張とその根拠と論理構成)と方法まで書くことができたら、それが研究計画ということになる。
これがしっかりしていると、もうあとは手を動かすのみ。

なお、この方法はあくまで一例。
似たようなことをスライドで求める研究室もあれば、ラフにイントロを書かす研究室もあると思う。
最終的な研究計画の示し方はそこのルールに従ったらいいと思う。
ただ、ここで紹介した方法は研究計画を立てる際の整理にはかなり有効。
そのまま論文のラフスケッチにもなる。
中間発表や指導教員への進捗報告の資料としてもそのまま使える。

参考までに、研究計画の例(のびた、完成版)のファイルを置いておく。
よかったらどうぞ。

ではでは。
また。




あとひと息だよ。
羽田にて。

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2019/12/15 0:56
もう寝よう。
自宅にて。


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研究計画を立てよう 前編(研究をしよう 15)

ある程度、先行研究の読み込みが進むと、その分野で何がわかっていて何がわかっていないのか、何が問いになりうるのかがわかってくる。
分野にもよるが、そうなるまでに論文を3-40本読むことになるか。
この段階になると、ついに研究計画を立てる、ということが可能になる。
そんなわけで、今回は研究計画の立て方について。

研究計画を立てる。
何をすればいいのか。
簡単に言うと、論文のイントロと方法の骨子を作ること。
イントロとは、研究の目的・仮説を学術的かつロジカルに導き出す場。
もちろんその中に、学術的な意義も盛り込む。
イントロについての詳細は、論文の読み方イントロ編を参考にしてほしい。

さて。
論文をある程度読むと、その分野のいろいろなことがわかってくる。
先行研究でやられているのはここまでだな。
最新の研究を読んだけどここが甘い、こうやればよかったのに。
こういう視点での研究はたくさんやられているんだけど、こっちの視点での研究は案外少ないな。
こういう研究があればよいのになぁ。
これらが研究のタネになる。

こういうのが浮かんでくるようになったら、研究計画立てる前段階の論文読み込み時期にしっかり捕まえておきたい。
たいていすぐ忘れてしまうので、論文を読みながら思いつく側からメモをとっておくのがよい。
これらの研究ネタをもとに、読み込む論文の分野を絞り込んでいくと、研究ネタはどんどんはっきりとしたものに深化していく。

あと少しで、研究計画。
前述した研究ネタの中から、一番やりたいもの、一番意義のありそうなものを選ぶ。
次に、仮の目的を決める。
仮説も立つのであれば立ててみる。
研究ネタが思いつかない、目的が作成できないのであれば、論文の読み込みが足りない。
もう少し数をこなしてみよう。

仮の目的や仮説が決まったら、いよいよ研究計画を立てる。
が、長くなったので、また次回。




川崎だろうか。

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2019/12/14 22:21
大阪帰り。
スーパーはくと車内にて。


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イケイケお巡りさんとベテラン刑事とえん罪事件

その昔、家に帰るとポストに名刺が入っていた。
名刺には〇〇警察署 〇△課 巡査長 誰野誰太郎、とある。
名刺の後ろには、とある事件について聞きたいことがあるので連絡ほしい、とのこと。
知らぬ間に法を犯したか、冤罪事件か。
何かわからんがついに僕も逮捕か!
なんてことを考えつつ、非日常ワクワク感が勝り出勤途中に警察署に出頭した。

受付で名刺を渡すと、受付氏はどこかに電話。
受付氏に案内され、殺風景な会議室に通された。
しばらく待つと、2人の私服警官が登場。
疲れた年配おじさんと元気な若いにーちゃんだった。
両者とも、ザ・刑事といった雰囲気がバーンと前面に。
ははぁ、なるほど、これが世に言う刑事さん。

「実は、とある事件を追ってまして。◯月×日夕方、ご自宅におられましたか。」と若いにーちゃん刑事。
確か、いた。
「その時、外で何か見ませんでしたか。」と続く。
「何か、とは?」と、僕。
「隣の畑に、車が入り込んでるのみてないですかね。」
そういえば、見た。
車が道路より一段低い畑に突っ込み、出れずに悪戦苦闘していた。
何度か自力で出ようとがんばっていたが、結局諦めて、仲間と思われる別の車に引き上げられて脱出していった。
その旨を話すと、おじさん刑事の目がキラリと光り、こう聞いた。
「車種、わかります?どんな感じの車だったか、だけでもいいんです。」

ただ、車を見た当時は日もだいぶ暮れかけていた。
暗くて正直車種なんて全くわからない。
力強い走りをしていたので、四駆かもしれない。
その旨を話した。
「よく、思い出してください。」
にーちゃん刑事がそう言った時、ふいに部屋の電話が鳴った。
おじさん刑事が取ると、ふんふんと少し話し、どこかに呼ばれたのか部屋を出て行った。

部屋には僕とにーちゃん刑事が残された。
にーちゃん刑事は心なしか前よりも元気になったように見えた。
彼が僕に問う。
「四駆ってどんな感じでした?」
そんなこと言われてもわからない。
「オフロードみたいな車ですか?」
うーん、そんな感じがしないでもない。
僕は煮え切らない態度。
「もしかして、ランクルではなかってですかね。」
うーん、まあそうと見えなくもないような。
走りはそんな感じのパワフルさだった。
やはり煮え切らない感じでそう伝えた。

そこに、おじさん刑事が帰ってきた。
にーちゃん刑事、おじさん刑事に手柄を立てたかのように喜び勇んでこう言う。
「やはり、ランクルだったそうです!」
えー、それは言い過ぎ、と思った時だった。
「それは、どうやって聞き出したのか。」とおじさん刑事。
「車種を言ったら、そうだって谷中さんが。」と、若刑事。
おじさん刑事は、ああ、と言い、若い刑事さんに何か用事を言いつけ、若刑事氏はどこかへ行った。

部屋には僕とおじさん刑事だけになった。
おじさん刑事は僕の方を見てこう言った。
「せっかくきていただいたのに、ごめんなさい。もう、谷中さんの証言は使えません。車種がなんであったか、情報を与えずに証言を聞き出さなければ意味がないんです。今回はこちらから車種を言ってしまった。これでは証拠としての力はないんです。本当に、ごめんなさい。」

ははぁ、なるほどな、と感心した。
早く犯人を捕まえたいだろうが、証拠は証拠。
恣意性を排して真実に迫る。
こうやって冤罪を防いでいるのだろうな、と。
これって、研究にも、あらゆる仕事にも通ずる姿勢だと思うのだ。
頭の中に正しいと思っているストーリーがあって、ほしい証拠がすぐそばに転がっている。
でも焦らず手続きを踏んで恣意的にならないようにして、きちんとした証拠にする。
プロとして大事なことだなぁ、と。

ただ、にーちゃん刑事が同じような心構えの刑事さんと組んでたら、と思うと少し怖くもなった。
おそらく、事件はスピード解決するのだろうが、ごく稀に冤罪を作り上げてしまう。
これもまた、研究はもちろん、どの仕事でも起こりうる話。
気をつけなきゃな、と思った次第。

まあそんなこんなのお巡りさん話。




たまにはこういう記事も書いてみたいと思っている。
これは横浜か。


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2019/12/08 22:56
日曜が終わる。
自宅にて。


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Update 2019/12/08
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文献を整理しよう(研究をしよう 14)

今回はダラダラ書いているこのシリーズ。
前回までに論文の読み方、探し方などを書いた。

ある程度文献を読むと次の問題に直面する。
どこかに書いてあったのだが、どこに書いてあったのか思い出せない。
たくさん読んだはずなのに、あまり覚えていない。
まあよくある話。
そんなわけだから、将来そういうことが起こることを前提として、早いうちから読んだ文献について整理しておく必要がある。

では、どうやるか。
以下の4点は押さえたい。
①論文は電子化する
②論文は記号や番号で管理
③読み終わったら必ず論文の要点をまとめる
④エクセル等を使ってデータベースを作る

論文の電子化

読んだ論文、読む論文は電子版を保存しておきたい。
紙版を図書館で取り寄せた場合は、スキャナで取り込んで電子版を作成しておきたい。
自分は紙派だという人は、それはそれでよい。
が、紙版をなくす事、紛れて見つからない事はよくあるので、必ず電子版は保存しておくこと。
これは、後々見つけやすくする事が目的なので、次に説明する番号・記号管理による番号や記号をファイル名として使うのがよい。
まとめてやろうとすると大変なので、取り寄せのタイミング、読むタイミングなど、ポイントを決めて徹底するのがオススメ。

番号や記号で管理

論文やそのファイルは番号や記号を使って管理する。
番号について。
例えば読んだ順でも取り寄せた順でもデータベースに登録した順でもなんでもよいので、とにかく各論文に数字を振る。
論文1つが固有の番号を持つようになれば、番号で論文を探せるようになるので文献管理がグッと楽になる。
続いて記号。
これは、例えば、第一著者名字+出版年というようにつける。
谷中久和・鳥取太郎・鳥鈴花子の2018年の論文なら、谷中2018のようにつける。
記号のみ管理の場合は、同じ年に複数の論文が出てることがあるので、それを区別する必要がある。
その場合は、登録・保存順に、谷中2018、谷中2018bのように記号化する。
番号方式は、データベース管理上楽なのに対し、記号方式は直感的にどの論文かを理解できるのが特徴。
僕は番号式と記号式を両方使っていて、p129(谷中2018)のように管理している。
電子版本文ファイルは、p123(谷中2018).pdfのように保存して、1つのフォルダに入れてある。
名前で検索かけてもすぐに見つかるし、番号で探すのも容易。
番号と記号は後述するデータベースに登録しておく。

論文の要点をまとめる

論文を読み終わったら、必ず2,3行で要点をまとめるようにしよう。
これは将来忘れるであろう自分へのメッセージ。
「注意機能の発達に関するfMRI研究。〇〇課題を使用して、右の前頭前野が年齢依存的に活動大。課題に難あり。知見としては使えず。」
のような感じで書く。
後から自分が読んで、内容をうっすら思い出せるような要点の記述がベスト。
全く無関係で自分の研究と無関係な場合も、その旨書いておくと、同じ論文を間違えてまた読んで時間を浪費するのを防ぐことができる。
この情報は後々データベースに登録して検索で見つけたいので、同じ意味の言葉はなるべく統一しておくのもポイント。

データベースの作成

研究をやっていくとたくさんの論文を読むことになる。
人間の記憶やノート等のアナログな方法も使えないことはないが、こういうのはコンピュータの得意分野。
データベース等を構築して効率よく管理したい。
市販の文献管理ソフトやデータベースソフトなどを活用する方法もあるが、文献管理程度ならExcelでも十分に対応可能。
写真はExcelの例。

f:id:htyanaka:20191201225421p:plain
Excelデータベースの例
横一行が1つの論文に対応するようにし、縦一列が各項目と対応するようにする。
各項目は、論文番号、記号、著者、論文名、雑誌名、巻号、出版年、ページ、内容メモ(要点を書くところ)などか。
電子版にすぐアクセスできるのであれば、論文番号、記号、内容メモのみの簡素なものでもよい。
以下に、Excelファイルの雛形も置いておくので、必要な人は落として使っていただければ。
Excelデータベースの雛形ファイル


この整理システムを作り上げておくと、この後のステップでかなり役に立つことになる。
研究計画を作り始めるまでに役に立たない論文を含めると数十本、完成する頃には3ケタの論文を読むことになる。
早めに手を打っておくと、後々の混乱や非効率さを防ぐことができる。

ではでは。
また。




横浜かな。
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2019/12/01 18:17
仕事上がりに。
鳥取市内にて。


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