ちらほらそういう話を聞くので、今回はこのテーマ。
まず。
大学院とは何をするところなのか。
答えられるだろうか。
学部生の中には誤解している人も多い。
「さらに勉強をするところ」と考えた人は間違い。
勉強をするところは大学の学部で、大学院はそういうところではない。
「より深い専門性を身につけるところ」と考えた人は半分間違い。
これもただ勉強によって身につけるのであれば、やはり学部の役割。
大学には学士入学(大卒を資格とした編入学)という制度があり、ただ勉強したい人はこちらがオススメ。
専門職大学院という制度もあり、こちらも勉強メインで専門性を高めることができる。
が、今回は一般の大学院の話。
何をするところだろうか。
答えは、研究をするところ。
研究を通じて深い専門性が身につくことはあると思うが、それは学部で身につく専門性とはちょっと違う。
学部は専門性を身につけるために学問を体系的に勉強することがメインのひとつ。
これに対し、大学院では研究を進めるために専門の勉強をすることはあっても、あくまで研究するのがメイン。
学部までは誰かが作った知識を利用する、という立場。
大学院からは新しい知識を作る立場になる。
似ているようだが、両者は根本的に異なるというとに注意が必要。
ここを間違えると、コレジャナカッタ、となりかねない。
そんなわけで、勉強をするのはサブになるというのは覚えておきたい。
研究を通じて身につく専門性は自分の研究を中心とした、かなり偏ったものになる。
この点が学部と大きく違うところである。
知識の偏りを防ぐためには、独自の勉強が必要。
でも、それは本業の研究の時間を奪う、という構図になっている。
さて。
その大学院(専門職を除く)。
大きくは修士課程と博士課程の2種類に分けられる。
前者は学部卒で標準2年の年限で行くところで、修了すると修士号の学位がもらえる。
後者は修士号の後にさらに標準3年(医歯薬系など学部が6年生まである学問分野は4年)の年限で行くところで、博士号が取得できる。
修士は2年なので、たくさん研究をするのは難しい。
ひと通り研究したよ、そのくらいの専門性があるよ、くらいのレベルか。
もちろんひと通り研究はしているわけだから、研究論文を読むくらいはお手の物なはず、くらいには世間や就職先から見られる。
一方で博士は修了するとプロとして研究できるレベルになっているとみなされる。
プロレベルまで研究能力を上げたい人のみ進む場所と考えたらよい。
企業や大学、研究機関等で研究を生業としたい人の正規のコース。
研究を細々とでもしばらく続けたい人なんかにもオススメか。
ただ、研究がプロレベルなことと、プロとして研究をバリバリこなす人になることとは別問題。
昔はいざ知らず、最近は研究系労働市場の需給が完全に崩れており、供給過多。
かなりの買い手市場になっており、研究レベルが高いから職にありつけるとは限らない。
さらに、非研究業界の同世代が次々と仕事もプライベートも充実していく中で、将来が見通せず、経済的にも雇用的にもキツイ日々が続くことになる。
これにはかなりの覚悟が必要なので、よくよく考えて進学したほうがよいと思っている。
が、この話は長くなるので、またそのうち。
と、いうわけで、大学院話。
今回は、大学院ってなぁに、というのをつらつら書いた。
次回は、大学院へ行きたい人が学部のうちにしておくこと、について書こうと思う。
にゃあ。にゃあ。
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2019/09/11 21:17
出張中。
大阪市内にて。
Update 2019/09/11
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