週刊雑記帳(ブログ)

担当授業や研究についての情報をメインに記事を書いていきます。月曜日定期更新(臨時休刊もあります)。

ゼミでの論文紹介発表〜資料編(研究をしよう27)

ゼミでの論文紹介。
今回は資料編。
実際の発表で気をつけることは別の記事に書いているので、そちらも併せて読んでほしい。

ゼミ資料はなんのためにあるのか。
これは、ゼミメンバに伝えるため、これに尽きる。
多くの研究室に所属してきたが、大抵の場合はA3紙で1枚もしくはA4で2枚程度、ということが多い。
ここに必要な情報を余すことなく入れ込み、かつ、伝えるという目的を達成するために作り込む。

この作業。
ものすごく技術を要する。
ただ、伝えるための資料というのは研究を離れてもどこでも使うため、ものすごく汎用性の高い技術。
ゼミ発表を通じてこの能力を磨いておくと、将来武器になる。
そのつもりで力を入れて取り組みたい。
なお、ゼミの発表形式や資料について所属ゼミやその分野によってルールがある場合はここの情報は参考程度にとどめていただいて。

ちなみに。
A4 2枚やA3に入りきらないからといって、枚数を勝手に増やす人がいるが、これはやめたい。
限られたスペースに必要なことを入れ込む、その技術を磨くことが大事。
枚数を増やしてしまうと、その技術を必要としなくなるため、当然磨かれない。
同じ理由で、文字サイズを小さくしたり、段組や余白を変えて無理やり枚数に収めるのもよくない。
そもそも、そういう資料は読まされる側としてはうれしくない。
自分が読み手だったら、見ただけでうんざりするのではないだろうか。
練習だと思って、読み手のことを考えながら技術を磨いてほしい。

では、具体的にどうするか。
論文の紹介なので、論文の内容を余すことなく書くことが原則。
イントロ、方法、結果、考察をバランスよく書く。
上記に加えて、自分の意見も記載する。
自分の意見とは批判点や疑問点、論文の評価などのこと。
忘れがちなのは論文の書誌情報と発表者の情報。
聞き手が後で資料を見直すときに、重要になるのできちんと書いておく。

作成資料は発表スタイルに依存する。
ここでは聞き手には論文原本も渡されていることを前提に書く。
論文原本が渡されていない場合は、資料に記載すべき情報が異なるので注意が必要。

まずは書誌情報と発表者の情報。
書誌情報は論文タイトルのところに一緒に書くか、タイトルの前の左肩あたりに記載する。
論文原本を見ればわかるからいらない、という意見もわからなくはないが、のちに資料を見直す場合どの論文の発表なのかわからなくなるため、あったほうが無難。
発表者の情報は、ヘッダーあたりに設定するといいか。
発表者と日付は必須。

続いて、要旨やアブストラクト。
これは、なくてもいいと思っている。
A4で2枚程度の資料だと、その資料自体がこれを充実させたものに近いから。
載せられる文字の制限を考えると優先度は下がる。
どうしても載せたいということであれば、目的と方法、結果と結論で、1文ずつ簡潔に書きたい。

次に、イントロ。
これは、なぜこの研究をやったか、を説明するのが目的。
イントロの論理構造の説明とその妥当性を検討できるようにしたい。
段落ごとに1文で要約し、箇条書きで書いていく。
段落にタイトルをつけていくような要領か。
要約したタイトルに捕捉が必要な場合、段落で扱う具体的な根拠・例示を書き込んんだほうがわかりやすい場合は、段落の下に書き込む。

例えば、以下のように。

  • 子どもの自尊感情は教育を行う上で重要
    • 谷中(2004)、野比(2012)等、総説として出来杉(2020)
    • 例えば、廊下に立たせすぎると自尊感情が低下し、成績がますます低下する(野比、2012)
  • 自尊感情は年齢によって影響を与える要因が異なる
    • 青年期は、、、、、

※まあもちろんフィクション


最後に目的、仮説があればそれを書けば出来上がり。
問題は、段落が短すぎる場合。
これは1つの段落から言いたいことを複数見つけて書き出すしかない。
その上で、論理構造や新規性、意義等を検討できるように作成する。

次に方法。
これは簡潔に、やったことをの骨子を書く。
どういう手法で、対象は何で、どういう分析をしたのか。
目的や結果との対応も考えるといいか。
よって、結果の部分を作成した後もう一回戻って方法の部分を見直すのも必要。

方法については、聴衆のレベルに合わせて、捕捉資料を用意しておくといい。
例えば、ゼミのメンバがとある分析方法(例えば、因子分析)を知らないと考えたならば、それを説明するための資料を別途用意しておくといい。
これは、自分で作成してもいいが、書籍のコピー等で代用するのが楽でいいと思う。

次は結果。
これは文でつらつら書くよりも、結果ごとにポイントを1文程度で短く表現するのがいい。
論文中に図や表がある場合は、資料中で参照するようにして、発表時は図表を見てもらうようにするとわかりやすい。

例としては、以下のように。

  • 自尊感情の年齢比較(表1)

    • 年齢グループごとに差あり
    • 小<中<高=大
  • 子どもの学校イベント重要性尺度の基礎的検討

    • 因子構造は2因子(表2)
    • α係数はそれぞれ0.9以上(本文、p112右段下から4行目)
      ・・・・・・・

※例はもちろんフィクション

続いて考察。
これは、単独で書いてもいいが、結果に併記する形でもいい。
ポイントとしては、それぞれの結果の意味すること(解釈)を1文程度で表現すること。
結果併記型の例は以下の通り。

  • 自尊感情の年齢比較(表1)

    • 年齢グループごとに差あり
    • 小<中<高=大
    • →仮説1を支持。先行研究とも一致。
  • 子どもの学校イベント重要性尺度の基礎的検討

    • 因子構造は2因子(表2)
    • α係数はそれぞれ0.9以上(本文、p112右段下から4行目)
      ・・・・・・・
    • →信頼性は問題なし、妥当性はもあると主張。

※くどいようだが例はフィクション

考察の結果としての結論も最後に書いておくといいか。
これで、論文を資料にまとめる、というところはおしまい。


最後。
当該論文に対する自己の見解を書く。
批判できるポイント、改善できるポイント、評価など。
わりと忘れがちなのだが、これが結構大事。
論文はハズレなものが結構多いのだが、そのことが指摘できるれば論文の読み込みや発表としては成功となる。
具体的な指摘法については、研究をしようシリーズの論文を読む各パートに記してあるので、それを参考にしてほしい。

論文を読む〜イントロ編前編(研究をしよう 6)
論文を読む〜イントロ編後編(研究をしよう 7)
論文を読む〜方法編前編(研究をしよう 8)
論文を読む〜方法編後編(研究をしよう 9)
論文を読む〜結果・考察編(研究をしよう 10)
論文を読む〜結論・ラスト編(研究をしよう 11)

例えば、以下のような感じ。

◎批判・評価等 - イントロは論理構造がアマイ。意義が読み取れず。 - 方法はしっかりしている。 - 尺度開発について、妥当性はあると考察も〇〇の数値が低く、言い過ぎではないか - 尺度はあやしいも、××を実証したという点では使えるか

だいたいイメージは湧いただろうか。
作るたびに技術が上がるはずなので、ぜひがんばっていただいて。
最後に、見本のフォームを置いておくので、参考にしていただけたら幸い。

見本フォーム(念を押すがフィクション)
ではでは。
今回はこの辺で。





f:id:htyanaka:20210517182030j:plain
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2021/06/20 16:21
のんびり。
鳥駅スタバにて。


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政治を勉強したい人のために No.2 政治家を知る

前回は時事に詳しくなるなど、ごく基本的なことを書いた。
その先に何をしたらいいか。
思いつくものをいくつか書いてみようと思う。
あくまで私見ではあるが、ある程度は役に立つと思う。
で、今回は政治家を知る編。

政治家の考えを知る

まずはその人がどういう考えの持ち主かを知る。
全員は難しいので、最初は選挙区の有力候補者と国のトップあたりでいいと思う。
前者については、選挙前がよいか。
選挙前になると、選挙公報や政権放送、HPなどを通じて政治家の意見・考えを知ることができる。
それらに一度目を通してみる、というのがはじめの一歩か。
街頭演説なんかを聞きに行く、というのも悪くない。
選挙前に、各新聞が論点別に考えの比較対象表を作ってくれることがあり、こいつも大変役に立つ。
新聞社が考えるその選挙での論点別に、賛成・反対を載せてくれるので、手っ取り早く重要な政策についての考え方を知ることができる。

国のトップになる政治家、ということだと本を読む、というのも手。
トップになるような政治家は、自身の考えを本としてまとめてあることが多く、その人の考え方をざっと知ることができる。
安倍さんも菅さんも、新書を出している。

その政治家がどんな団体に所属しているか、を知るのも一つの方法。
どんな政党に属しているか、政党内でどんなグループに属しているか、どんな役割が多いか、超党派の団体としてどのようなものに参加しているか。
そのあたりは、個人の思想を知る上で、役に立つ。

考え方を知って、推しの政治家を作っておくとおもしろい。
そうでない政治家を選ぶときでも、推しがある種の基準になる。

政治家の仕事ぶりを見る

選挙のための情報や出版された本は、ある種見せるために作られたもの。
ある程度の考えは知ることができるが、実際にどんな人なのかはよくわからない。
立派な考え方なのだけど実行力がなくて実現不能なこともあれば、過激に進めすぎて他の人を傷つけることもある。
考えばかりが立派で人物が伴っていない場合や、政治家としての仕事姿勢に疑問が生じることもある。

そこで推しの政治家(選挙区で投票した政治家、入れた比例で受かった政治家、トップなど)ができたら、実際の仕事風景を見てみる。
一番いいのは、国会をみること。
予算委員会あたりを見ると、質問者として質問に立っている場合もあるし、大臣級以上だと答弁にも立つ。
NHKで中継されることもあるし、中継がない場合でもネットで中継されているのでこれを見てみる。

これは結構オススメ。
わりと政治家の素が出ていて、印象が変わる。
政治家個人としてだけでなく、政党や政府という集団としての性質についても知ることができる。
もっと応援したくなるのであれば、よし。
逆にこれは、、、と思うのであっても、またよし。
仕事を任せるわけだから、素の仕事ぶりを見ておくのは大事。

討論番組やメディアのインタビューや記事なんかにも注目しておくといいか。
Twitterなんかで発言をウォッチングしてくというのもまたよし。

政治家の個人史を知る

ある程度経験のある政治家の場合、その人の過去を知るというのも有効。
政治家として、どういう人生を歩んできたか。
これはかなり色が出る。

一つの政党で中枢を歩んできた。
政党間を渡り歩いてきた。
信念を貫いて愚直に仕事をしてきた。
柔軟に考えを変化させてきた。
良くも悪くもその人の色が出る。

ある程度の経歴を持っていると、政府中枢の役職についている場合もある。
そのとき何をしたのか。
どういう法案に賛成してきて、答弁してきたのか。
どんな仕事をしてきたのか。

若手だと、政治家の前に何をしていたのか。
どういった経緯で政治家になったのかを知っておくのも参考になる。
これも十人十色で面白い。

これらについてはその人についての本や雑誌記事などで知ることができる。
最近ではネットに古い記事が上がっていたりもするので、そういう情報を探してみるのもいいか。
近代史あたりを読んでもその人が出てくることがあるので、そういう本を読んでみるのも悪くない。


ではでは。
今回はこの辺で。




f:id:htyanaka:20210606225242j:plain ワタクシ、鳥取の仁風閣と申します。


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2021/06/06 22:52
ああ、にちよが終わった。
自宅にて。


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ゼミでの論文紹介発表〜心構え編(研究をしよう26)

ゼミ配属になった。
いよいよゼミで論文の紹介の発表。
しかし。
発表ってどんな感じかわからない。
どんな資料を作っていいかわからない。
そういう人に向けて、今回より何回か記事を書いてみようと思う。
ゼミの形式については、所属ゼミやその分野によってルールがある場合があるので、それがある場合は参考程度にとどめていただいて。

で。
今回は心構え編。

まず。
ゼミ発表で何が身につくのか。
まず、発表技術。
与えられた時間を使ってメンバに情報を伝える。
自分の言葉で説明して、理解してもらう。
これは真面目にやると結構力がつく。
ゼミのいいところは、いろいろな人の発表を聞くことができるところ。
発表がうまいなぁ、という人の技術を見て真似するといったことができる。
これは研究を離れても役に立つ汎用的な能力なのでぜひ身につけてほしい。

研究に関する様々な知識も身につく。
例えば方法論について。
同じ分野に興味を持ったメンバが集まっているので、毎回内容を丁寧に理解することで、分野の方法論を網羅することができる。
分析方法なども同じで、出てくるものをしっかりと学ぶことで、自分の研究に役立てることができる。
出てきた方法論・分析方法などで、これはテキストを使ってしっかり学んどいたほうがいいな、と知ることできるのもゼミのいいところ。
ゼミを通じて体系的に勉強したほうがいいと感じた知識・技能については早めにテキストを読むなり勉強会を企画するなりして身についておきたい。

発表した上で、メンバにきちんと伝わると、コメントをもらえることがある。
これがまた役に立つ。
自分ではこう、と思ったことが、別のメンバのコメントを聞くと、思いがけない視点からのコメントをもらえるかもしれない。
少なくとも教員からは自分では気づけなかった点のコメントがもらえる。
これらを通じて、発表内容に関する理解が深まる。
これを繰り返すことで、研究技能がレベルアップしていく。

他にも質問力や質問への回答力などが身につく。
毎回ゼミメンバが発表するので、聞くだけで分野の研究動向がわかるのもいいか。
上級生もいるゼミだと、教員とは違ったタテの繋がりができるのも悪くない。
学べることについては、ゼミで学ぶことにも書いてるので、こちらも参考にしていただいて。

さて。
そんなゼミ。
いくつか気をつけなければならないことがある。
これを守らないとゼミが実りのあるものならないので、よくよく気をつけてほしい。

まず。
発表者は内容についてわからないことがないように準備しておこう。
やりがちなのが、方法論や分析のところの統計の数字等をよくわからないからと飛ばすこと。
これをやってしまうと、これらについての知識を学べないことになる。
時々、メンバ全員でこれを卒業までずっとやり続ける、という場合があるらしい。
すると、自分の卒論での道具立てが全くなくなってしまう。
教員の言うがままでしか方法や分析の選択ができなくなる。
絶対に避けたい。
聞くはいっときの恥、聞かぬは一生の恥ともいう。
事前に、なるべく調べて、どうしてもわからなかったら教員にあらかじめ質問に行って理解してから発表したい。

続いて、聞き手として。
発表者が言っていることがわからなかったら、わかるまで質問しよう。
わからないまま発表が流れていく、というゼミはあまりよくない。
どんな些細なことでも構わない。
わからないことは質問をして、発表内容をきちんと理解することに努めよう。
なお、発表者も発表技術が未熟であるため、そういう質問が発表者の技術を上げる。
ゼミの雰囲気として、わからないことはみんなで克服しようというのがあると、全員にとってためになる。
自分がわからない場合は、たいがい他のメンバもわかっていないので、質問は喜ばれると思っていい。
遠慮せずに質問をしまくろう。
質問をすることで質問力や質問度胸がついていくので、その辺りの力をつけるためにも意識的にやってほしい。
質問力や質問度胸というのは、研究を離れた後でも社会においてとても役に立つ。
質問力については、別記事にも書いているので参考にしていただければ幸い。


つらつら書いたが、心構えとしてはだいたいこんな感じか。
次は、発表資料について書く予定。
ではまた。





f:id:htyanaka:20210620231749j:plain 鳥取城跡かな。


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2021/06/20 23:12
よい子の寝る時間がすぎてしまった。
自宅にて。


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スペースのはなし

TwitterにSpaceという機能がついた。
現在はスマホアプリからのみ利用可能なようで、PCやタブレット経由の方は名前しか聞いたことないかもしれない。
学生さんや有名ツイッタラーがよく利用しており、ちょっと気になっていた。
どんな機能かといえば、公開おしゃべりとそれを視聴するというもの。
誰かがホストとなりおしゃべりの場を設定、そこにリスナーとして聞きに行く。
本人がリクエストして許可されるか、招待されるかした場合、スピーカーとして喋る側に混ざれる。
まあ、clubhouse Twitter版といった感じだと思う。

で、このSpace。
鍵付きのアカウントでも関係なく参加できる。
参加しているアカウントは参加者間で共有されており、ホスト、スピーカーとして参加するとアプリ上部にSpaceのマークが表示されフォロワーさんにも参加していることが知られる、という仕様のよう。
リスナーとして参加している場合は、アプリ上部の表示を通じてフォロワさんに知られるということはないよう(ちょっと自信なし)。

というあたり、なんだかよくわからず、使用を躊躇していた。
有名ツイッタラーのを聞きに行く、知り合いのを聞きに行く、などを繰り返しつつ様子を見ていた。
音楽を紹介しながら喋るという、ラジオパーソナリティ的なのをやってみたいと常々思っており、これが実現できないかと考えたりしていた。

が、先日。
いつもの花金でにわかに酔った。
酔うといつもとは思考パタンが変わるのもので、ちょっと試してみよう、という気になった。
特に何も考えずに、「懐メロについて語る(テスト)」とスペースを設定。
10分だけ、どういう感じになるのか、機能テストをすることにした。
よく絡む学生さんが2、3人来てくれるだろうから、ちょっと教えてもらいつつ、試してみる、という思惑。

ところが。
これがいけなかった。
ホストになること1分強。
酔っ払ってポーッとしているうちに、一気に二桁のリスナーが参加。
軽くパニック。
だいたい、なにをするかを全く決めていない上に、こちとらヘベレケ末期の酔っ払い。
頭が全く回らない。
リスナーには学生さん多数以外に、同業者っぽいフォロワーさん、鳥取クラスタのフォロワーさん、初見のリスナーさんもちらほら。
結局、よく慣れた学生フォロワーさんにスピーカーとして助けてもらい、2時間強しゃべり続けることとなった。

で、以下、感じた点を備忘録的に。
まず、音楽を紹介しながらというのが難しい。
YouTubeで好きな音楽を紹介しつつ、しゃべりたいのだが、おそらく聞き手にこれを求めるのが難しい。
リスナーはYouTubeを開くと、おそらくスペースの声が聞こえない。
つぶやきながらYouTubeのリンクを紹介、というのはやったことあるのだが、スペースではひと工夫いるか。
他にも、ホストの側は音源を探すために端末が複数必要なこともわかった。
音源映像を探している間が無言になるので、おしゃべり役がもう1人いるとラクか。

こちらの声がどう聞こえているかがわからない、というのも困った。
音楽を流しつつ、みたいなこともやってみたものの、リスナー側では聞きにくかったのじゃないか、と思った。
声については、スピーカの人数が増えると発言者の表示にタイムラグが生じて誰が発言しているのかわからなくなる。
スピーカの人数をうまくコントロールするのも必要な気がした。

あとは、誰が聞いているかわからない、ということの問題も強く感じた。
どういう人が参加しているのか、バックグラウンドがわからないので、これはそういうものだと意識しておいた方がいいな、と思った。
知り合いの知り合いが信頼できるかはわからないし、そもそも知り合いの知り合いではない可能性もある。
これは仕様なので、最初からわかっていたことではあるが。
しゃべることで一気に親近感がわく、というのは、いい面でもあり怖い面でもあると思う。
これはユーザの皆さんも気をつけたほうがいい。


そんなわけで、そのうち仕切り直しでやってみようと思っている。
1時間くらいの予定で、前々から告知して、テーマ縛りとかでいきたい。
音楽談義もいいのだけど、学問的なおしゃべり回も悪くない。
まあよろしければ聞いていただいて。

ではまた。




f:id:htyanaka:20210606225604j:plain 渋谷ですな。


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2021/06/01 14:33
今日は創立記念日でお休み。
鳥駅スタバにて。


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卒業研究真っ最中の学生さんへのアドバイスなど(研究をしよう25)

今回も悩める卒論生への記事。
卒論を進めていく中で、よく見られる注意点を書いてみようと思う。

論文の読み方

卒論を進めている最中に、論文を読むことは日常。
ただ、その読み方が気になることがある。
どういうことか。

卒論も中盤くらいになってくると論文はだいぶ読めるようになってくる。
最初から最後まで熟読して、趣旨の理解から問題点の指摘までしっかりできる卒論生もしばしば。
これができるようになることはとても大事なことなので、ゼミの初期段階はそういう読み方が求められる。

ところで、この読み方。
当然ながらとても時間がかかる。
全ての論文をこの読み方で丁寧に読んでいく学生さんを見ることがたまにある。
そのため、なかなか読むべき論文の数がこなせない。

論文の読み方は目的によって変化するということを知っておきたい。
例えば、その研究の明らかにした事実を根拠として自分の論文に使いたい場合。
時間がない場合は、その研究の明らかにした事実が確からしいかを判断するために、方法と結果をきちんと読めば足りる。
イントロと考察は熟読しなくても目的は達成する。
自分の論文で引用する時に、論文で言いたいことの根拠として使えるのか、そこに最適化して読んでいく。
これで、時間はだいぶ短縮されることと思う。
論文を目的を意識して、最低限の労力で進めていく、というのも時には大事。

もちろん、超重要な論文や上手な論文は精読した上で、全体を参考にすることも必要。
ただ、それは時間とにらめっこしながら、精選した論文でやればよいと思う。


ベストを尽くそう

研究活動は正解が存在せず、学校での授業を中心とした学びとは全く異なる。
このため、戸惑うことは多いし、とても苦しく感じることもあるかもしれない。
それゆえに、今までとは異なった様々な能力が伸びる機会でもある。
物事の真偽を見定めた上で、総合的に問題点も見つけ出し、そこに一定の答えを導き出す。
これはものすごく汎用性の高い能力で、研究に限らず社会に出てからかなり役に立つ。
これ以外にも、構成も含んだ文章作成能力、ロジカルな思考力、プレゼン力など、様々な能力が身につくというのは、本シリーズで触れてきたこと。

ただ。
この研究活動。
その自由度の高さゆえ、適当にそれとなく進めることができてしまう。
特に卒業研究レベルだと、形にさえすれば不合格になることは少ない(これは大学によるかも)。
それゆえ、易きに流されることがある。
で、その場合、上述の育つであろうはずの能力はおそらく育たない。
研究を通じて身につく能力は、使った時間に比例するし、打ち込んだ分だけ身につくと思って間違いない。
そういう意味で、ベストを尽くす、というのはとても大事。

特に学部4年生になって卒業研究が生活の中心になってないような場合は、もったいないなぁ、と思って見ている。
なぜ卒業研究に単位が多くついていて、4年生のカリキュラムがゆるいのか。
その意味を考えて取り組むと、とても実りあるものになると思う。
その過程で身につけた能力は、一生モノになるハズ。

ちなみに、卒論がそれなりの学術誌に掲載されることはある。
そういうことをゼミ生なりに言うと、私にはとても無理、と最初から萎縮することがあるが、そんなことはない。
本気で取り組んだ卒業研究は、半端なマインドで取り組んだプロの研究よりも優れていることはありうる。
これはプロが1つの研究に全時間を割けない(授業や雑務、複数の研究をやるため)のに対し、卒論生の場合はそれが可能だから。
研究能力は未熟ながら、時間で質を補う、ということ。
ベストを尽くした卒業研究から、一定の割合で学会発表や学術誌発表になるものが出てくる印象を持っている。
ただ、ベストを尽くしていない卒業研究がそのレベルの研究になることはほぼない。


失敗はよい

いよいよ卒論もまとめの季節になり、ある程度結果が出た。
それ以降の時期に卒論生と話すと、結果がしょぼいので恥ずかしい、とか、研究は失敗だった、とか言って落ち込んでいる場合がある。
これらについてはさほど気にする必要はないと思っている。

そもそも、プロであっても思った通りの結果が出ない、ということは多い。
いざ結果をまとめる段になって、ああこうしておけばよかった、と思いつくこともしょっちゅう。
というか、そういうことの連続である。
我々の場合、〆切がないため、追加の調査・実験をやったりして、研究をまとめていく。
場合によっては、どうやってもうまくいかず、そのネタはお蔵入りということもないわけではない。
で、そういうのはかなり運の要素が大きい。

卒論生の場合、〆切が4年生の学年末と決まっているため、やり直しがきかない。
よって、ベストを尽くした上で結果が出なかったり失敗したりするのは、運の要素やはじめての研究であることを考えると、仕方ないことだと思っている。
というか、卒論に関しては、その過程で学ぶ様々なことが重要なのであって、結果そのものはそこまで大事ではないと考えている。
よって、失敗に関しては全然気にする必要はない。
ただ、これはベストを尽くした場合の話。

そもそも、自分の研究について、結果がしょぼい、とか、失敗だ、とか言えるようになっていること自体、かなり成長している。
ベストを尽くしていないタイプの卒論生は、そもそも結果の良し悪しを判定するだけの力がついていないため、そういうことは言い出さない。
ベストを尽くしたのであれば失敗であっても胸を張ったらいいと思う。


では、今回はこの辺で。
また。




f:id:htyanaka:20210502193936j:plain これも横浜か。

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2021/05/01 19:16
GW3日目。
鳥駅スタバにて。


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おみやげ・サバイバル

僕は客先におみやげを持って行かない。
これは仲間内では結構有名で、社会人としていかがなものか、と自分でも思わないではないのだが、まあ持っていかない。
本日は、そんな僕の反社会人的な特性への言い訳的な記事。
例によって、何の役にも立たない。

まず。
おみやげという文化自体になじみがない。
遠足や修学旅行等々、おみやげ文化を学ぶ機会はたくさんあった。
おみやげのお相手は家族。
もちろん、僕もこの機会はあって、家族へおみやげを買ったかわいい回もあった。
小学校の時だったと思う。
みんながおみやげを買っている側で、僕も、となにかおみやげを買ったのを覚えている。
ただ。
帰って親におみやげをあげたところ、予想に反して怒られることに。
「いらないって言ってあったでしょ!」
まあ確かに、おみやげを買うお小遣いは通常とは別枠でせしめているわけで、わからないわけではない。
が、こういうのは心理学でも理論づけられているように、「おみやげ上げる→よろこばれる→うれしい→またおみやげをあげる」となるわけで、初回でそうならず、おみやげ文化を学ぶ機会を永遠に失うこととなった。
僕は悪くない。

しかし。
社会人になるとそうも言っていられなくなる。
無礼にならないよう、お世話になる感謝の気持ち等々、おみやげを持っていきたくなることもある。
が、これがなかなか大変。

まず、買うことが難しい。
だいたい、旅のスタイルからしてぎりぎりで、余裕をもって駅へ、なんてことになかなかならない。
駅について買う時間が確保できず、遅刻と天秤にかけた上で断念するというのがよくあるパタン。
幸いにして駅に余裕をもってついたとしても、買うことを失念してしまう、ということもしばしば。
これは僕の特性みたいなものなのでどうしようもない。
この関門でおみやげがなしになる、というのは結構ある。

続いて。
運よくおみやげが買えたとする。
しかし、僕は忘れっぽい。
小学校の時はランドセルを忘れたことがあるくらい、忘れっぽい。
当然、これはおみやげにも及ぶ。
網だなの上に乗っけたら最後、降りるときにはすっかり忘れているということが起こる。
そして、旅好きなので、乗り換えの多い旅程を選びがち。
乗り換えのたびにこの置き忘れリスクにさらされることになる。
ここで、おみやげ氏、生き残れないことが結構ある。

次。
乗り換えサバイバルも無事乗り越え、運よく目的地までおみやげが運ばれたとする。
ここで、安心してしまうのだね。
宿に忘れてしまう、というのこともわりあいある。
この場合、のちほど宿にて反省とともに僕の口に入ることになる。
メンタル的なダメージは大。
たいがい、相手先についてところで気づくが、場合によっては宿に戻ってきてから気づく。
本当に悲しい気分になるのだ。
ただ、この段階まで生き残ったおみやげ君は、いちおう誰か(主に僕)には食べられるので、まあそこまでかわいそうではない。
かわいそうなのは僕。

さあ。
宿から渡す相手のところで運ばれたおみやげ君。
ここまでくるともう大丈夫、と思いきや、そうでもない。
最難関。
渡すのを忘れる、というのがある。
この場合のメンタルダメージは計り知れない。
後で自分でおみやげを食す時の塩味はちょっと強めとなる。
ただ、この場合は奇跡の復活劇がないわけではない。
渡すのを忘れたおみやげを相手先に忘れてくるという、、、ね。

かくして、おみやげを買ったのに渡せなったという体験が、次回のおみやげを買うという行動を抑制し(専門的には負の強化という)、ますますおみやげは買われにくくなるという負の連鎖により、今にいたっている。

そういうわけであるから、決して不届き者でおみやげがないわけではなく、いろいろある、ということを理解していただけば幸い。
なお、届いた場合はものすごい確率で届いたと思っていただいて差支えないと思う。

ではでは。
また。




f:id:htyanaka:20210510073125j:plain 浜坂駅か。

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2021/05/09 23:02
ひきこもり。
自宅にて。


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学振のこと(大学院へ行きたい人へ7)

学振。
このタイトルを見て、なんのことかわからなかった人。
今回はそんなアナタにこそ読んでほしい記事。
前回の記事で少しだけ触れた
博士課程に進んで研究者になりたい。
でも、経済的な問題から躊躇してしまう。
これは学生さんからよく聞かれる悩み。

実は、収入を得ながら博士課程に進む方法というのが存在する。
一つは社会人大学院生というもの。
研究職や研究ができる職に就いて研究しつつ大学院に通う。
この場合、所属先よりお給料をもらいながら大学院に通うことができる。
詳しくは、社会人経由研究者のススメで書いた。
他にもお給料をもらいながら大学院に通うシリーズとして、キャリア官僚や大手企業社員になって、社内研修の一環として選ばれるというコースもある。
博士号院生は難しいかも(研究職以外だと少ない)しれないが、修士号院生、海外MBA等はわりとある。
就職活動の際に、これらの可能性を調査してはいるというのも手。

社会人大学院生には、職場とは関係なく大学院に通うというタイプもある。
これでは、昼間は仕事に通い、夜間と休日に大学院に通うということになる。
大学院はこういった人たちに対応できるように、夜間休日に特例で授業ができるように仕組みが整えられているところが結構ある。
昼間の仕事に研究的な要素がないと仕事と学業ということになり、かなりハードになるがいないわけではない。
このコースを考える人は「あるキャリア官僚の転職記~大学教授公募の裏側~ 」あたりを読むといいかもしれない。

で、本題。
本タイトルの学振について。
ストレートの博士課程に進んだあとで、毎月の生活費を得るという方法が存在する。
これのメインの方法が、日本学術振興会・特別研究員DCに採用される、というもの。
研究業界では、略して学振という。
日本学術振興会とは文科省系の独立行政法人で、競争型の科学研究費等を出しているところ。
博士課程の院生の中から優秀な人を特別研究員DCとして採用し、毎月の生活費と自由に使える研究費を交付する。
毎月の生活費はやっと暮らせる程度のものだが、親の扶養から離れて独立するため学費が免除になる可能性が高い。
貧乏ながら研究を自力で続けることができる。
加えて、生活費とは別に院生としては少なくない額の研究費が出るため、学会参加等の経費負担がなくなる。
さらに、優秀であることが履歴書上に残るため、将来の職が得られやすくなるというメリットもある。

この学振。
DC1とDC2という2種類がある。
DC1は修士2年の春ごろに申請し、博士課程の正規年限期間が採用期間。
DC2は博士課程在学中の各春ごろに申請し、2年間が採用期間。
なお、PDという博士課程修了者向けの特別研究員もあり、これは毎月の生活費と研究費の額が上がる。

では。
この学振、どうやって取るかというと、研究計画書や研究実績などを書類申請して、審査によって競争的に勝ち取る。
審査は分野の複数の研究者が行う。
よって、研究計画書をうまく書けるとともに、学会発表や論文発表等の実績をあげておく必要がある。
勝負の相手は自分の分野の大学院生達。
腕に自信がある人は、家庭の事情で研究をあきらめなくて済むコースでもある。

さて。
この学振を取るにはどうしたらいいか。
研究能力を上げることが大事なのだが、実績の部分を意識する必要もある。
特にDC1を目指すのであれば、学部の卒論を学会発表できるか、論文発表できるか、がかなり大きい。
修士の2年生になりたての段階での業績、ということになると、修士の院生になってからの仕事ではなかなか難しい。
よって、博士課程の院に進むことを強く意識している人は、学部卒論から勝負が始まっている、と思っておいた方がいい。
もちろん、DC1に関してはそういう状況なので、研究計画でおもしろいものが書けるか、というのもポイントになる。
DC2ということになると、修士課程の仕事も大事になってくる。

取りやすい研究室、というのもある。
審査の時には、所属研究室はあまり関係ないはずなので、おそらく内部で書類の書き方や業績の書き方等のノウハウの蓄積があるのだと思う。
研究能力や業績に加えて、書類の作り方や見せ方など、通るためのテクニックというのはやはり存在する。
狙っている人やこれがないと困る人は、これを意識して研究室選びや進学先選びをするといいかもしれない。
研究室のHPのメンバの欄を見ると、その辺りが載っていることが多い。
研究室選びの訪問をする際に、学振とった人はいるかというのを聞いてみるのも手。

ただ、あまりこれにこだわりすぎて、好きな研究テーマから遠ざかる、というのは本末転倒な気はしている。
それなら企業研究員コースの方がいい。

では今回はこの辺で。
また。




f:id:htyanaka:20210516163316j:plain 羽田空港にて。

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2021/05/15 20:33
今日から梅雨入りらしい。
鳥駅スタバにて。


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