雑記帳(ブログ)

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卒業研究の進め方と落とし穴(研究をしよう25)

今回も悩める卒論生への記事。
卒論を進めていく中で、よく見られる注意点を書いてみようと思う。

論文の読み方

卒論を進めている最中に、論文を読むことは日常。
ただ、その読み方が気になることがある。
どういうことか。

卒論も中盤くらいになってくると論文はだいぶ読めるようになってくる。
最初から最後まで熟読して、趣旨の理解から問題点の指摘までしっかりできる卒論生もしばしば。
これができるようになることはとても大事なことなので、ゼミの初期段階はそういう読み方が求められる。

ところで、この読み方。
当然ながらとても時間がかかる。
全ての論文をこの読み方で丁寧に読んでいく学生さんを見ることがたまにある。
そのため、なかなか読むべき論文の数がこなせない。

論文の読み方は目的によって変化するということを知っておきたい。
例えば、その研究の明らかにした事実を根拠として自分の論文に使いたい場合。
時間がない場合は、その研究の明らかにした事実が確からしいかを判断するために、方法と結果をきちんと読めば足りる。
イントロと考察は熟読しなくても目的は達成する。
自分の論文で引用する時に、論文で言いたいことの根拠として使えるのか、そこに最適化して読んでいく。
これで、時間はだいぶ短縮されることと思う。
論文を目的を意識して、最低限の労力で進めていく、というのも時には大事。

もちろん、超重要な論文や上手な論文は精読した上で、全体を参考にすることも必要。
ただ、それは時間とにらめっこしながら、精選した論文でやればよいと思う。


ベストを尽くそう

研究活動は正解が存在せず、学校での授業を中心とした学びとは全く異なる。
このため、戸惑うことは多いし、とても苦しく感じることもあるかもしれない。
それゆえに、今までとは異なった様々な能力が伸びる機会でもある。
物事の真偽を見定めた上で、総合的に問題点も見つけ出し、そこに一定の答えを導き出す。
これはものすごく汎用性の高い能力で、研究に限らず社会に出てからかなり役に立つ。
これ以外にも、構成も含んだ文章作成能力、ロジカルな思考力、プレゼン力など、様々な能力が身につくというのは、本シリーズで触れてきたこと。

ただ。
この研究活動。
その自由度の高さゆえ、適当にそれとなく進めることができてしまう。
特に卒業研究レベルだと、形にさえすれば不合格になることは少ない(これは大学によるかも)。
それゆえ、易きに流されることがある。
で、その場合、上述の育つであろうはずの能力はおそらく育たない。
研究を通じて身につく能力は、使った時間に比例するし、打ち込んだ分だけ身につくと思って間違いない。
そういう意味で、ベストを尽くす、というのはとても大事。

特に学部4年生になって卒業研究が生活の中心になってないような場合は、もったいないなぁ、と思って見ている。
なぜ卒業研究に単位が多くついていて、4年生のカリキュラムがゆるいのか。
その意味を考えて取り組むと、とても実りあるものになると思う。
その過程で身につけた能力は、一生モノになるハズ。

ちなみに、卒論がそれなりの学術誌に掲載されることはある。
そういうことをゼミ生なりに言うと、私にはとても無理、と最初から萎縮することがあるが、そんなことはない。
本気で取り組んだ卒業研究は、半端なマインドで取り組んだプロの研究よりも優れていることはありうる。
これはプロが1つの研究に全時間を割けない(授業や雑務、複数の研究をやるため)のに対し、卒論生の場合はそれが可能だから。
研究能力は未熟ながら、時間で質を補う、ということ。
ベストを尽くした卒業研究から、一定の割合で学会発表や学術誌発表になるものが出てくる印象を持っている。
ただ、ベストを尽くしていない卒業研究がそのレベルの研究になることはほぼない。


失敗はよい

いよいよ卒論もまとめの季節になり、ある程度結果が出た。
それ以降の時期に卒論生と話すと、結果がしょぼいので恥ずかしい、とか、研究は失敗だった、とか言って落ち込んでいる場合がある。
これらについてはさほど気にする必要はないと思っている。

そもそも、プロであっても思った通りの結果が出ない、ということは多い。
いざ結果をまとめる段になって、ああこうしておけばよかった、と思いつくこともしょっちゅう。
というか、そういうことの連続である。
我々の場合、〆切がないため、追加の調査・実験をやったりして、研究をまとめていく。
場合によっては、どうやってもうまくいかず、そのネタはお蔵入りということもないわけではない。
で、そういうのはかなり運の要素が大きい。

卒論生の場合、〆切が4年生の学年末と決まっているため、やり直しがきかない。
よって、ベストを尽くした上で結果が出なかったり失敗したりするのは、運の要素やはじめての研究であることを考えると、仕方ないことだと思っている。
というか、卒論に関しては、その過程で学ぶ様々なことが重要なのであって、結果そのものはそこまで大事ではないと考えている。
よって、失敗に関しては全然気にする必要はない。
ただ、これはベストを尽くした場合の話。

そもそも、自分の研究について、結果がしょぼい、とか、失敗だ、とか言えるようになっていること自体、かなり成長している。
ベストを尽くしていないタイプの卒論生は、そもそも結果の良し悪しを判定するだけの力がついていないため、そういうことは言い出さない。
ベストを尽くしたのであれば失敗であっても胸を張ったらいいと思う。


では、今回はこの辺で。
また。




f:id:htyanaka:20210502193936j:plain これも横浜か。

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2021/05/01 19:16
GW3日目。
鳥駅スタバにて。


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Update 2021/05/01
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