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ゼミでの論文紹介発表〜資料編(研究をしよう27)

ゼミでの論文紹介。
今回は資料編。
実際の発表で気をつけることは別の記事に書いているので、そちらも併せて読んでほしい。

ゼミ資料はなんのためにあるのか。
これは、ゼミメンバに伝えるため、これに尽きる。
多くの研究室に所属してきたが、大抵の場合はA3紙で1枚もしくはA4で2枚程度、ということが多い。
ここに必要な情報を余すことなく入れ込み、かつ、伝えるという目的を達成するために作り込む。

この作業。
ものすごく技術を要する。
ただ、伝えるための資料というのは研究を離れてもどこでも使うため、ものすごく汎用性の高い技術。
ゼミ発表を通じてこの能力を磨いておくと、将来武器になる。
そのつもりで力を入れて取り組みたい。
なお、ゼミの発表形式や資料について所属ゼミやその分野によってルールがある場合はここの情報は参考程度にとどめていただいて。

ちなみに。
A4 2枚やA3に入りきらないからといって、枚数を勝手に増やす人がいるが、これはやめたい。
限られたスペースに必要なことを入れ込む、その技術を磨くことが大事。
枚数を増やしてしまうと、その技術を必要としなくなるため、当然磨かれない。
同じ理由で、文字サイズを小さくしたり、段組や余白を変えて無理やり枚数に収めるのもよくない。
そもそも、そういう資料は読まされる側としてはうれしくない。
自分が読み手だったら、見ただけでうんざりするのではないだろうか。
練習だと思って、読み手のことを考えながら技術を磨いてほしい。

では、具体的にどうするか。
論文の紹介なので、論文の内容を余すことなく書くことが原則。
イントロ、方法、結果、考察をバランスよく書く。
上記に加えて、自分の意見も記載する。
自分の意見とは批判点や疑問点、論文の評価などのこと。
忘れがちなのは論文の書誌情報と発表者の情報。
聞き手が後で資料を見直すときに、重要になるのできちんと書いておく。

作成資料は発表スタイルに依存する。
ここでは聞き手には論文原本も渡されていることを前提に書く。
論文原本が渡されていない場合は、資料に記載すべき情報が異なるので注意が必要。

まずは書誌情報と発表者の情報。
書誌情報は論文タイトルのところに一緒に書くか、タイトルの前の左肩あたりに記載する。
論文原本を見ればわかるからいらない、という意見もわからなくはないが、のちに資料を見直す場合どの論文の発表なのかわからなくなるため、あったほうが無難。
発表者の情報は、ヘッダーあたりに設定するといいか。
発表者と日付は必須。

続いて、要旨やアブストラクト。
これは、なくてもいいと思っている。
A4で2枚程度の資料だと、その資料自体がこれを充実させたものに近いから。
載せられる文字の制限を考えると優先度は下がる。
どうしても載せたいということであれば、目的と方法、結果と結論で、1文ずつ簡潔に書きたい。

次に、イントロ。
これは、なぜこの研究をやったか、を説明するのが目的。
イントロの論理構造の説明とその妥当性を検討できるようにしたい。
段落ごとに1文で要約し、箇条書きで書いていく。
段落にタイトルをつけていくような要領か。
要約したタイトルに捕捉が必要な場合、段落で扱う具体的な根拠・例示を書き込んんだほうがわかりやすい場合は、段落の下に書き込む。

例えば、以下のように。

  • 子どもの自尊感情は教育を行う上で重要
    • 谷中(2004)、野比(2012)等、総説として出来杉(2020)
    • 例えば、廊下に立たせすぎると自尊感情が低下し、成績がますます低下する(野比、2012)
  • 自尊感情は年齢によって影響を与える要因が異なる
    • 青年期は、、、、、

※まあもちろんフィクション


最後に目的、仮説があればそれを書けば出来上がり。
問題は、段落が短すぎる場合。
これは1つの段落から言いたいことを複数見つけて書き出すしかない。
その上で、論理構造や新規性、意義等を検討できるように作成する。

次に方法。
これは簡潔に、やったことをの骨子を書く。
どういう手法で、対象は何で、どういう分析をしたのか。
目的や結果との対応も考えるといいか。
よって、結果の部分を作成した後もう一回戻って方法の部分を見直すのも必要。

方法については、聴衆のレベルに合わせて、捕捉資料を用意しておくといい。
例えば、ゼミのメンバがとある分析方法(例えば、因子分析)を知らないと考えたならば、それを説明するための資料を別途用意しておくといい。
これは、自分で作成してもいいが、書籍のコピー等で代用するのが楽でいいと思う。

次は結果。
これは文でつらつら書くよりも、結果ごとにポイントを1文程度で短く表現するのがいい。
論文中に図や表がある場合は、資料中で参照するようにして、発表時は図表を見てもらうようにするとわかりやすい。

例としては、以下のように。

  • 自尊感情の年齢比較(表1)

    • 年齢グループごとに差あり
    • 小<中<高=大
  • 子どもの学校イベント重要性尺度の基礎的検討

    • 因子構造は2因子(表2)
    • α係数はそれぞれ0.9以上(本文、p112右段下から4行目)
      ・・・・・・・

※例はもちろんフィクション

続いて考察。
これは、単独で書いてもいいが、結果に併記する形でもいい。
ポイントとしては、それぞれの結果の意味すること(解釈)を1文程度で表現すること。
結果併記型の例は以下の通り。

  • 自尊感情の年齢比較(表1)

    • 年齢グループごとに差あり
    • 小<中<高=大
    • →仮説1を支持。先行研究とも一致。
  • 子どもの学校イベント重要性尺度の基礎的検討

    • 因子構造は2因子(表2)
    • α係数はそれぞれ0.9以上(本文、p112右段下から4行目)
      ・・・・・・・
    • →信頼性は問題なし、妥当性はもあると主張。

※くどいようだが例はフィクション

考察の結果としての結論も最後に書いておくといいか。
これで、論文を資料にまとめる、というところはおしまい。


最後。
当該論文に対する自己の見解を書く。
批判できるポイント、改善できるポイント、評価など。
わりと忘れがちなのだが、これが結構大事。
論文はハズレなものが結構多いのだが、そのことが指摘できるれば論文の読み込みや発表としては成功となる。
具体的な指摘法については、研究をしようシリーズの論文を読む各パートに記してあるので、それを参考にしてほしい。

論文を読む〜イントロ編前編(研究をしよう 6)
論文を読む〜イントロ編後編(研究をしよう 7)
論文を読む〜方法編前編(研究をしよう 8)
論文を読む〜方法編後編(研究をしよう 9)
論文を読む〜結果・考察編(研究をしよう 10)
論文を読む〜結論・ラスト編(研究をしよう 11)

例えば、以下のような感じ。

◎批判・評価等 - イントロは論理構造がアマイ。意義が読み取れず。 - 方法はしっかりしている。 - 尺度開発について、妥当性はあると考察も〇〇の数値が低く、言い過ぎではないか - 尺度はあやしいも、××を実証したという点では使えるか

だいたいイメージは湧いただろうか。
作るたびに技術が上がるはずなので、ぜひがんばっていただいて。
最後に、見本のフォームを置いておくので、参考にしていただけたら幸い。

見本フォーム(念を押すがフィクション)
ではでは。
今回はこの辺で。





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2021/06/20 16:21
のんびり。
鳥駅スタバにて。


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Update 2021/06/20
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