週刊雑記帳(ブログ)

担当授業や研究についての情報をメインに記事を書いていきます。月曜日定期更新(臨時休刊もあります)。

記者(僕のなりたかったもの5)

細々と続けているこのシリーズ。
いよいよ大学生に。
僕は入学前から大学院(修士)にいく予定だったので、大学では幅広く学ぶことを主眼に置いていた。
幅広く学んだ上で、大学院で特定の分野の専門性を深めようというハラ。
大学学部はリベラルアーツ(教養)をメインに考えていた。
そうは言っても、将来の進路のことも考えていて、前に書いたプログラマや放送局の裏方、映像制作の人、などをおぼろげに将来の進路ととして思い描いていた。
あとは、数学の高校教員というのもあったか。
これはまたいずれ描く。
そこで、幅広く情報系を学べて教員免許状も取れる大学として、教育学部のゼロ免コース(教員免許状を必修としないコース)の情報系に進むことにした。
各大学からカリキュラム表を取り寄せた結果、候補は3つくらいに絞られ、その中の一つに進学することになる。

さて。
大学に進んだあと何をしたかといえば、本を読みまくった。
もともと幅広く教養を身につけたいと思っていたので、暇さえあれば本を読んだ。
本自体は専門だけではなく、かなり幅広く興味の赴くままになんでも読んだ。
誰かがおもしろいと言えば取り寄せ、教員の部屋に遊びに行けば本だなを物色し、本屋の新書・文庫コーナで新しい分野の本を探した。
今の雑食系読書習慣はこの時期についたと思う。

その結果、いいなと思うようになったのが、記者。
当時、よく読んだ本の著者に立花隆さんという人がいた。
この人は読書の鬼で、本の重さで自宅を2度物理的に傾けたり、図書館みたいな自宅を建てたり、増え行く積読本を見てサラリーマンをやめたり、と、とにかくぶっ飛んだ人だった。
彼はサラリーマン時代は記者さんで、辞めたのちも物書きとして活動していた。
で、彼の書く本がことごとくおもしろかった。
田中角栄のことを調べては記事を書き、最終的に首相退陣に追い込んだのや有名な話。
科学ライターとしても有能で、彼の書いた科学系の本は他のサイエンスライターの書く本とは一線を画していた。
ああ、こういう仕事人いいな、と思ったわけ。

もともと、マスコミ業界には興味があったのは前回までに書いた。
アナウンサや技術的裏方などなど。
ただ、大学時代いろいろと本を読んだ結果、コンテンツそのものを作る人に興味を持つようになった。
様々な社会問題などを読むにつけ、それを伝える人になりたい、と。
一般向け科学系の本にへぼいものが多かったのもきっかけの一つ。
難しい科学をわかりやすく翻訳して紹介する人がいてもいい、そんなふうに思った。

で、これらができる仕事、と考えると記者ということになる。
科学部か政治・経済系の記者になって、日々各仕事をする。
好きな本も読み続けられる仕事でもある。
とてもよい、と思ったわけ。

ただ、これは大学院に行くかそれとも学部卒でそっち系に進むかで悩んだ時に、選択肢としては落ちることになる。
理由はわりと僕らしいものなのだが、ここには書かない。
その後、大学院修士課程に入るもかなり早い段階で博士課程進学に興味を失う。
修士課程在学中に就活が開始することになった。
なので大学院修士課程修了時の進路として再び出てきても良さそうなものなのだが、なぜか出てこなかった。
よって進路としてはお蔵入りとあいなった。

ただ。
コイツは未成熟なまま僕の中のどこかにいるような気がしている。

今回はこの辺で。
ではまた。




f:id:htyanaka:20201025234815j:plain 多分鳥取市内。


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2020/10/25 23:45
休暇中。
横浜にて。


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本の紹介,「戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗(加藤 陽子,朝日出版社)」

戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗
加藤 陽子(著)
難易度:☆☆


僕が二十歳の頃からずっと知りたいことの一つに、なぜ日本はあの無謀な戦争をしたのか、というのがある。
学校で学んだことや常識では、どう考えても無謀な戦争。
じゃあなんで戦争に突入したのか。
教科書には載っていない、その理由というか答えというかそういうものを求めて色々と読んできた。
この本はその問いについて、一定の解答を与えてくれるものだった。

本書では満州事変の事後処理、三国同盟、戦争直前の日米交渉、という3つにポイントを絞って戦争が起こった理由について迫っていく。
これらのポイントは多くの歴史本でよく取り上げられるもの。
筆者は近代史の歴史研究者。
彼女を講師として歴史好きの中高生を対象に行った講義を書籍化したもの。
ただ自説を展開していくという講義ではなく、中高生と対話しながら史料を丁寧に読み解いて事実を推察していくという内容。
これが大変おもしろかった。

当時中国にいた日本軍(関東軍)が満州事変を引き起こし、それが戦争へとつながっていったことはよく知られている。
が、本書では事変後に調査にやってきたリットン調査団に注目する。
この調査団は国際連盟が派遣したもので、報告書にて問題解決のための提言を書いている。
この内容について、詳しく見つつ背景情報と照らして読んでいくと意外にも日本にばかり不利とは言えないということを紹介する。

次が、ドイツ・イタリア・日本が結んだ三国同盟
これがアメリカの態度を硬化させ、戦争へと進む転機となったことはよく知られている。
ではなぜ日本はこの同盟を結ぼうと思ったのか。
どんなメリットがあって誰が進めたのか。
その辺りに迫る。

最後のトピックは戦争直前の日米交渉。
戦争に突入する年の4月に野村吉三郎駐米大使とハル国務長官を主として始められたこの交渉は双方にとって戦争準備のための時間稼ぎと言われることがある。
が、意外にも双方本気で戦争回避のために本気で交渉をしていた。
そのことを史料をもとに読み解いていく。
日本政府もアメリカ政府も強硬派和平派の双方がおり、内部での政治的駆け引きの結果、国としての人格のようなものが現れる。
当たり前だけど忘れがちな視点を再認識することができる。
ハルノートという戦争を決定づける内容の通知がいかにしてなされたか。
日本軍の内部において、アメリカが怒るポイントについて読み違いが存在した。
人々が忌避する戦争がなぜ起こってしまうのか、ヒントとなるものが得られた。

以上、本書の内容を軽く書いたが、この本の醍醐味は歴史的な内容のみにあらず。
筆者と中高生のやりとりがとてもおもしろい。
歴史好きとはいえ、筆者が発する問いに対する中高生の答えがすごい。
ああそうも考えられるか、よく中高生でそんなこと考えられるな、というような答えが頻発し、とても感心した。
これはどうも筆者も同じようで、中高生の答えを端緒として講義の内容自体が深まったように感じた。

また、筆者の展開する史料の読み方もおもしろかった。
簡単な歴史本だと事実と考えられるものの羅列に過ぎないのだが、この本では一次資料を丁寧に読み、様々な史料を合わせることで事実を推察していく。
おそらく、これが歴史研究の方法なのだと思うのだが、とても刺激的だった。
見えないものを見ようとする、というのは僕の専門分野である心理学についても同じ。
心理学では対象から直接データを得て、データを根拠に心を推察をする。
歴史学でもやり方は違えど本質は同じだということを感じることができた。
最近は歴史研究者でもない人が歴史を語ることがあるが、これは大変危険なことだなとも思った。
この方法論を学んでいない人の言説は間違っている可能性が高いということも改めて感じた。

歴史好きな人であれば、中高生から読める本だと思う。
ぜひ多くの人に読んでほしい名著。



追記:
これを書いている最中に、筆者の加藤陽子さんが日本学術会議の会員への任命拒否に巻き込まれるという事案が発生した。
彼女の著作を何冊か読む限り、真っ当で王道を行く研究者だと感じていた。
それだけに、今回の政府の介入には恐怖を感じた。
多くの近現代史の歴史研究者が紹介する戦前日本の空気に今どんどん近づきつつある、というのが僕の率直な感想。
昭和初期の人たちは、戦争で負けるまでそんな空気と国家の異常さに気づけなかった、というのは我々が歴史から学んでもいいことだと思っている。




f:id:htyanaka:20201018224704j:plain 鳥取市内にて。

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2020/10/17 18:27
読書と論考とコーヒーと。
駅前スタバにて。



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Update 2020/10/17
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社会人経由研究者のススメ(大学院へ行きたい人へ5)

大学生と話していて時々出会うのが研究者になりたい(博士号が欲しい)というタイプ。
ただ、僕はあまり職業としての研究者は勧めていない。
これは業界の状況があまりに厳しいため。
博士がたいへん余っていて、優秀でも就職に失敗することがある。
せっかく大学のポストを手に入れても、研究が思うようにできない。
この辺りのことは、以下の記事にあたりを読んでいただいて。
大学教員就職物語
大学教員公募戦線物語
日本の研究力低下についての雑感

確かに研究自体は楽しいのだけれでも、現在のアカデミックな研究業界は競争も含めてとても厳しい状況。
仕事なんて一生懸命やればどんな仕事でも楽しいもの。
なのでちゃんと稼げる別の仕事を探してみてもいいんじゃないかと思っている。
ただ。
それでもなお、研究がいいという人もいると思う。
そんな人に向けてオススメしているのが、社会人経由で研究者(博士号取得)を目指すというコース。

1番オススメなコースが修士修了後、民間企業の研究職を目指すというもの。
大きな企業は研究部門を持っていることがある。
開発部門の中に研究関係の部署があることもあれば、独立した研究所のようなものを持っていることもある。
ここを狙う。
採用も研究職について独立して行っているところを狙えば確実度が上がる。
研究職で就職したのち、社会人大学院生という形で博士号を取得することも可能。
民間研究部門と大学が共同研究をしていることもよくあり、共同研究先の大学で博士号取得なんてパタンもありうる。
僕が博士号をとった研究室には、大手自動車メーカの研究所から博士号をとりにきていた人がいた。
共同研究で大手電機メーカの研究所にいたときは、修士了で入社した社員さん達が社会人院生として博士課程に在籍し30代くらいで博士号を取得していた。
食品、化粧品、化学と様々な企業があるため、理系であれば自分の専門分野の研究で就職できそうな企業はきっと見つかると思う。

このコースのメリットはやはり、経済的安定とリッチな研究環境。
サラリーマンなので安定した給料がもらえる。
これは大きく、ストレートな博士課程の大学院生に比べ結婚や子どもを持つといった選択もしやすい。
大学の研究環境は貧弱なこともあるが、企業の場合は研究開発費がある程度あることが多く、お金をかけて研究をすることができる。
将来の心配もあまりする必要がない。

ただ、デメリットもある。
営利企業のため、テーマはどうしても会社の方針に縛られる。
また、会社の方針によって研究部門そのものが廃止になって、非研究部門に異動になってしまうこともある。
サラリーマンはつらいよ、の世界である。
まあ、現在は転職もよくあることなので、気に入らなければ転職してしまうというのも手ではあるが。

民間の研究職以外にも研究するコースはある。
例えば、小中高の教員になり、現場目線から細々と研究をする。
この場合は教科教育・教育実践が主なテーマになるか。
修士の時に研究能力を身につけて、大学教員・研究者と細々と共同研究をするというような場合もなくはない。
そのテーマについて社会人院生として博士号を取得する、ということもできる。
これは公務員や民間総合職でも可能な場合がある。
このコースの場合、通常の業務に加え研究活動が追加になるため、民間研究職コースよりは大変か。
ただ、一定数いらっしゃる。

さて。
これらのコース。
一定の研究経験を積んだ後、大学への転職も可能。
例えば、僕が共同研究でお世話になった大手電機メーカの研究所の社員さんは、そのうちの何人かが現在大学教員になっている。
小学校の教員や中学校の教員でも、大学教員への転職組を何人も知っている。
公務員やりながら、仕事とは無関係に社会人院生として博士課程に通い、研究者に転職を果たした強者も知っている。
社会人経由で大学の研究者になるコースのメリットはなんといっても、就活のプレッシャーとリスクが格段に低いこと。
大学の研究者になれなくとも、安定した職と収入がある、というのは、任期つきで失職に怯える日々を過ごすのに比べると精神衛生上大きなアドバンテージだと思う。
なお、このコースが視野に入っている場合は、日々論文を書いておく必要がある。

以上、社会人経由の研究者(博士号取得)の目指し方でした。
どうしても研究者になりたい、という人はこういうコースを考えてみるのもいいかも。




f:id:htyanaka:20201011233743j:plain 旅の車内で。
山陰線かな。

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2020/10/11 23:30
いい時間になってしまった。
自宅にて。


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Update 2020/10/11
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新書をうまく使う(大学生のための学び方入門11)

大学の授業を受けた。
何を言っているのかちんぷんかんぷん。
指定の教科書を読んでみたけど、あまり頭に入ってこない。
授業によっては教科書すら指定されていないかもしれない。
しかし、その分野はしっかり学びたい。
大学においてはわりとよくある話だと思う。

そんな時は、新書、というものをうまく使おう。
僕の記事にはたまに出てくる新書。
こいつは何かというと、文庫よりちょっと長い大きさのノンフィクションの本。
岩波新書中公新書新潮新書のように出版社ごとに名前がつけられ出されている。
コンセプトとしては、マニアックなテーマについてその道の専門家が一般向けに噛み砕いて説明してくれる読み物。
出版社ごとに色があるものの、教養を深めるにはもってこいのシリーズ。
レベルとしては大学以上でその道の初心者が読める、程度のもの。
その分野に詳しい高校生でも楽しめるかもしれない。
ただ、著者によって難易度に幅はある。
大学卒業時の読書能力のレベルをたいていの新書が難なく読めるレベルに設定するのはみなさんにオススメしている。
これについては別の記事で書いたので、そちらも参考にしていただきたく。

少し話がそれた。
で、授業の内容がわからない場合、その分野の新書をあたってみよう。
授業担当の教員に副読本として新書レベルの本を教えてほしい、というと教えてくれることと思う。
教員が役に立たない場合やハードルが高い場合は、Google先生に頼ろう。
「授業名+新書」で検索をかけて出てくる本があったら候補。
「授業名+シラバス」で検索をかけて他大学のシラバスを見てみるのも手。
シラバスによっては教科書や副読本としての新書の紹介があったりする。

授業のトピックについて深めたい場合も新書が使える。
むしろこっちの方が本道の使い方もしれない。
新書は1つのテーマを詳しく追うものなので、よりマニアックに1点を深めることができる。
例えば、心理学だったら、知能とはなんだろうとか、サブリミナル効果についてだけ学ぶとか、性格ってなあに、とか、そういうことだけを1冊の本で深めることができる。
著者の数だけマニアックなテーマが存在する上、著者はその分野の専門家で心の底からそのテーマをおもしろいと思っているので、読みこなせると楽しくてたまらない。
一回の授業のテーマごとに新書を読んでみるというヘビーな使い方から、気になったテーマやレポートを書くトピックだけ読んでみるというのまで、多様な使い方ができる。
僕の授業だと、1テーマ(2−3回分)ごとにオススメの新書を数冊紹介している。
探し方は前段落に書いた方法がそのまま使える。

ちなみに。
新書勉強方式は社会に出てからも使える。
例えば、世論で意見が割れているトピックについては、新書を1冊読むだけでだいぶ印象が変わる。
著者の偏りが気になるのであれば、著者を変えて数冊読むとだいたい問題点が整理できる。
ネットの情報やメディアの情報よりはるかに正確な情報に迫れるので、世論的な情報の真偽を自分なりに判断できるようになる。
たまに新書のコーナーに行き、全然知らないテーマのおもしろそうな新書を読むというのを習慣化すると定期的に教養的知識が入ってくる。
この方法はとてもよい。
みんなが読む流行の本ばかり読むと、みんなと同じ発想をしがちになる。
あえて、みんなと違うインプットを入れる、というのそれを打破する方法としては有効。

なお。
出版社ごとに新書の色が違う。
岩波新書はかたくてちゃんとしたものが多い、とか、中公はこの分野が厚いとか、そういうのがある。
が、ここでは書かない。
自分の目で読んで、そういうのもわかるようになっていただければ幸い。

では今回はこの辺で。
また。




f:id:htyanaka:20201005061431j:plain 高松港


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2020/09/25 18:37
出張中。
ユトリ珈琲Aossaにて。


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オンライン授業備忘録〜システム編

さて、前回は前期の授業スタイルについて書いた。
今回は授業のシステムについて。

僕の授業システム(前期前半)

ウェブカメラ

エレコムサンワサプライか、かなりオーソドックスなWebカメラを使用。
通常はオフで、必要に応じてzoomのカメラを切り替えて使った。

会議&収録システム

zoomを使用。
いろいろなツールを比較してみたのだが、画面共有システムの精度が1番よかったため。
ただ、zoom自体の画面共有の精度もガマンならず、結局スライドは別の方法を用いて画面に表示した。
この辺は次の「スライドシステム」で詳述する。

収録もzoomの録画機能を使った。
デフォルトの設定でもそこまでファイルサイズが大きくならないのがいい。
スライド+音声メイン90分で100MB程度。

スライドシステム

当初は画面共有を考えたが、これはやめた。
画面共有システムは送信側および受信側の通信環境により画面が粗くなったりコマ落ちが起きたりする。
時間も受信側でその環境により遅れが生じる。
一方で、マイクからの音声は遅延しない。
これにより、レーザーポインタの示している場所がわからなくなったり、音声と合わないことが生じる可能性があった。
画面共有を避けたのはこれが理由。

代わりに、キャプチャーボードという機械を利用した。
これは、HDMI端子の映像をWebカメラとしての出力に変換して使うというもの。
本来プロジェクターやディスプレイに出力する映像をWebカメラへ出力するという要領。
僕が使ったのは、この製品
Webカメラの映像は画面共有のような遅延は発生しない。

スライドの出力にはiPadを使用。
レーザーポインタツールがついているので、これを使って説明箇所を示す。
Apple Pencilを利用して適宜スライドに書き込みを行なっていくのもやりやすかった。

レーザーポインタツールはPCのオフィスにも入っているので、このシステムの場合iPadの代わりにPCで行うこともできる。
学会発表のようなイメージ。
ただ、この場合PCは2台必要になる。

マイクとヘッドホン

USB接続のコンデンサーマイクを使用した。
使ったのは audio-technica USB マイクロホン AT2020USB+
少し高いが、これは効果が高い。
学生に聞いてもらったが、コンデンサーマイク越しの音声は段違いでよかったとのこと。
SNS上に転がっているオンライン講義の不満の一つに音声不明瞭というのがあったので、ここはお金をかけていいと思っている。

なお、オンライン授業ではヘッドホンは必須。
音声をスピーカーで出すと、それをマイクが拾って音がループするというようなことが起こる。
学生の側の音響が悪く聞き取りづらいこともあるため、ヘッドホンを使って音を拾えるようにしておくと便利。

システム全体

で、全景としてはこんな感じ。
f:id:htyanaka:20200830191339j:plain

僕の授業システム(前期後半)

実際始まってみると、問題が結構出てきた。
特に困ったのが、映像教材の配信。
僕の授業ではDVDやYouTubeなどの映像教材を多用する。
これに解説をつけながら授業を展開する回があるのだが、上記システムでは不具合があった。

DVDやYouTubeを画面共有で流しながら解説を試みたのだが、ここで画面共有の遅延が問題になった。
流している動画と音声が合わないのだ。
画面共有による動画の遅延は聞き手の通信環境に依存するらしく、これがかなりばらつく。
当初は自分のスマホで共有動画を見ながら解説を入れてみたのだが、聞き手間で遅延がばらつくとなるとこれはできない。
よってこれに対応するため、以下のシステムが導入された。

映像ミキサー

先述のキャプチャーボードをパワーアップしたような機器。
複数の映像を入力でき、それらを瞬時に切り替えることができる。
僕が使っているのはBlackmagic Design ATEM Mini Proという機器。
使いやすくて便利。

これで、プレゼン用のiPadに加え、映像再生用のPCを接続。
映像教材をこちら経由で流すことで、先述の遅延問題は解決した。
ただ、再生中は音声を重ねることができないため、解説のたびに一時停止してマイクを切り替えて解説する必要があった。
まあ最低限はクリアと言ったところ。
これは後期のシステムで改良する予定。

映像ミキサーのモニタ用にモバイルディスプレイを導入し、映像を確認しながら切り替えができるようになったのもよかった。

iPhonewebカメラ

映像ミキサーを使って困ったのが、Webカメラ
せっかくミキサーがあるので、Webカメラもこいつを経由させてミキサーで切り替えたい。
しかしミキサーはHDMI入力のみのため、通常のUSB出力のwebカメラは使えない。

そこで、iPhoneの内カメラを使ってHDMI出力させる方法を使った。
Apple Lightning - Digital AVアダプタかましHDMIの信号を映像ミキサへ送った。
iPhone純正のカメラアプリはシャッターボタン等が映り込むので、こちらのアプリを使用。
スタンドで上からiPhoneをぶら下げ、インカメの映像をwebカメラ化することに成功した。

システム全体

改良システムは以下のようになった。
全景は以下の通り。
f:id:htyanaka:20200906191726j:plain

今後のシステム

後期は映像教材に声を載せたいと思っているため、サウンドミキサーを導入予定。
これにより、様々な音声に声を乗っけられるようになる。
マイクも複数使用できるようになるので、ついにラジオDJ風配信、学生にゲスト出演してもらう教育テレビ番組風配信も可能になる。
ああ、楽しみ楽しみ。




f:id:htyanaka:20200906192614j:plain 島根県益田駅かなぁ。

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2020/09/06 19:21
休暇中。
横浜のカフェにて。


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僕の読書物語 その2

さて、前回のつづき
前回は大学生前半の小説読みあさり記について書いた。

その小説が中心だったのは、大学生の前半。
当時はバイト代の多くが本代に消えていた(代わりにモテアイテムの車は買えなかった)くらいの本の虫。
月1万円は確実に本に使っていて、大学生後半になって専門書に手を出すようになるとこの額がどんどん膨らんでいくことになる。
小説で読む力が少し鍛えられていたところで、ノンフィクションというものに興味を持った。
多くはいわゆる新書という本。
新書についてはそのうち別に記事を書く予定なので詳しくは書かないが、ある事柄について専門家が一般向けに書いた本。
文庫より少しだけ縦長で、岩波新書中公新書講談社新書のように各社出していて、本屋さんにもコーナとして各社の新書が並んでいる。
大学図書館だとこの新書については主要出版社のものが全部揃っていたりするので、一度のぞいてみるといいと思う。

で、この新書というものに手を出した。
実は大学途中まで新書という存在を知らず、本屋で働いている友人に教えてもらって知った。
最初に手を出した本は一体なんだろうか。
おそらく授業で聞いたことのうち、気になったテーマについての新書だったと思う。
脳関係、心理関係、情報関係、生物関係、教育関係がメインで、数学も少々。
この辺りの新書で興味あるものを手当たり次第読んでいった。
最初は読むと眠くなったり、うまく進まなかったりというのがあったが、1冊1冊とこなすうちにスピードは上がっていった。

専門分野や授業系のテーマの本がいくらか読めるようになっていたところで、次はあえて知らない未知のテーマの新書を混ぜるようにもなっていった。
新書って本当におもしろくて、その道の専門家が変なタイトルでワクワクするような本を用意してくれていたりする。
大学生の頃読んだものではないが、「ルワンダ中央銀行総裁日記」なんかはオススメ。
日本人がルワンダ中央銀行総裁として赴任して国際貢献する話。
もうタイトルにやられて買ったわけだが、中身も外さなかった。
ルワンダの内戦の経緯も個人的な視点からわかる。
新書の紹介は別でもやっているので、ここではあまり書かない。
おもしろみもないし。

テーマ設定がピンになっているので、深く学べるのが新書のいいところ。
1回の授業で習った範囲に、関連する新書が何十冊も存在することもしばしば。
気になったテーマは、本を変えて何度もたどるような読み方をした。
時間はかかるものの、結構楽しいのだよね。
著者によって視点がこうも違うか、ということにも気付ける。
おまけに、試験対策的に記憶することなくうっすらとした知識が手に入る。

と、まあそんな読書生活な大学生を送っていた。
大学卒業時には新書だったらどの分野でも大体1日ありゃあ読めるようになっていたと思う。
おかげさまで、読む力については卒業後大変役に立っているし、何よりも趣味読書、を楽しめる豊かな人生を送れている。

では、今回はこの辺で。
また。




f:id:htyanaka:20200914101140j:plain 羽田空港にて。


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2020/09/05 15:15
土曜の昼間を優雅に。
服部珈琲工房にて。


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僕の読書物語 その1

本を読め。
僕が学生によくいう言葉。
本を読めると情報を手に入れることができる。
卒業後は誰かが教えてくれる、という機会は格段に減るので、それまでに読む力をつけておくといいよ、いう意味もある。
この辺りは別記事「読む力」を読んでいただければ詳しい。
まあ、それとは別に、読めるとそれだけ楽しみの選択肢が広がって人生豊かになる。
就職活動対策ではない、趣味読書、いいじゃあないか。

で。
じゃあ僕はどうやって本を読むようになっただろうな、とふと考えた。
そんなわけで、昔々を振り返りつつ、大学生くらいまでの読書遍歴を振り返ってみようと思った。

本格的な本に手を出してのは、高校2年生くらいの頃。
旅先でふらっと入った古本屋で、大好きな坂本龍馬の小説を見つけた。
司馬遼太郎「竜馬がゆく」
確か100円とか200円とかそんな価格で、年季の入ったその本は僕と同じくらい年齢だったか。
それまでは、「ほうれんそうマン」シリーズからズッコケ3人組、ドリトル先生ぼくらの7日間戦争シリーズと年齢相応のもの読んでいた。
ちなみに「ほうれんそうマン」シリーズ、若い世代を中心に知らない人も多いとは思う。
かの怪傑ゾロリがまだ主役になる前、悪役として登場していた児童向けの本。
ズッコケ3人組についてはその後、そのまま彼らが歳をとったズッコケ中年3人組シリーズというのが出ていてる。
みんな人生になにか抱えた中年になって、でもあのノリそのままに物語が展開される大人向けの読み物。
ドリトル先生は大学以後、英語を鍛えるのに英語版にもお世話になることに。
読んだことある人がこの本の英語版を語学学習の多読本として使うの、わりとおすすめ。

閑話休題
で、高2の時に本格的な小説というものに入っていった。
竜馬がゆく文庫全8巻はわりとボリュームがあり、かなり時間をかけて読み切った。
その後、司馬遼太郎池波正太郎などの時代物をいくらか読む。
大学に入ると、現代小説も混ぜていくことになる。
この本いいよ、みたいなのが増えるので、そこが始まりだったか。
江國香織はかなり読んだと思う。
この人の短編はとてもよくて、あの頃の心にスーンとした感じで入り込んだ。
スーンとしか言いようがない。
「つめたいよるに」が有名だけれども、「きらきらひかる」なんかも嫌いじゃなかった。
他には、山田詠美吉本ばなな村上春樹白石一文なんかは読んだ記憶が残っている。
村上春樹は熱狂的なファンではないけど、たまに読みたくなる作家さん。
最初に読んだ「ノルウェーの森」は読んだ当時は変わったエロ本くらいの印象しかなかったが、この作品は20年経っても忘れないのですごい作品なのだと思っている。
白石一文は僕が大学生の頃出てきた気鋭で、「一瞬の光」が印象に残っている。
小説については、長編も読むけど、綺麗な短編がたまらなく好きなんだ。
この他にも大量に読んでいるはずなのだが、当時の本はほぼ実家にあるのと、この記事の趣旨でもないので割愛。
小説もある程度読むと、読むことの体力がついてくる。

長くなってしまった。
1本の記事にしようと思っていたが、長すぎるのでここでひと休み。
続きはまた。
ちなみに今でも、学生さんはじめ誰かから小説を紹介されるとなるべく読むようにしている。
忙しいとしばらく積読本入りするものの、人から教えてもらう新しい物語を読むのは結構好き。

ではでは。
また。




f:id:htyanaka:20200914005835j:plain 東京は丸の内?


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2020/09/05 15:05
土曜の昼間を優雅に。
服部珈琲工房にて。


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