週刊雑記帳(ブログ)

担当授業や研究についての情報をメインに記事を書いていきます。月曜日定期更新(臨時休刊もあります)。

研究計画を立てよう 後編(研究をしよう 16)

さて、前回仮の仮説やら目的を決めたところまで書いた。
今回はいよいよ、研究計画。

仮の目的が出来上がったら、この目的を導き出すためのイントロの骨子を作る。
イントロそのものを書くのではなく、イントロの段落構成を考える。
段落ごとに主張したいこと、を簡潔な一文で書いていく。
例えば、こんな感じ。
(1)人間の特性はのび太型とジャイアン型に分けられる
(2)のび太型の方がジャイアン型に比べて不利な点が多く適応的でないとされる
(3)のび太型の生活環境はストレスフル
(4)のび太型は不利な点の多さのわりに健康的
(5)ストレスフルな環境は精神疾患罹患率と関連する
(6)レジリエンスの高さはストレスを受け流す
目的:のび太型の適応的な側面として、レジリエンスの特性を明らかにする
仮説:のび太型はジャイアン型に比べてレジリエンスが高い
※上記内容はもちろん架空のもの

まあこんな感じ。
これらを眺めながら、論理構造(ロジックが通っているか)を検討していく。
各段落の主張はつながっているか、論理飛躍はないか、無駄なものはないか、必要な段落が抜けてないか、などなど。
この辺はすごく難しいので、教員をうまく使いたい。
作ったものを見せると、コメントしてくれると思う。
先行研究の読み込みの時に、上記点を意識しながら読むと論理構造を検討する力が鍛えられる。

これについて、各段落で主張したいことに対して根拠を与えていく。
(1)人間の特性はのび太型とジャイアン型に分けられる
谷中他(2011)、鳥鈴(2012)、出来杉(2015)・・・
レビューとして、島猫(2018)
(2)のび太型の方がジャイアン型に比べて不利な点が多く適応的でないとされる
谷中(2016)←質研究
(メモ)量の研究が見つからない、根拠として弱いか。これ探す

こんな感じで、根拠となる先行研究を書き加える。
見つからない場合は、問題点や今後の調査のポイントなども書き込んでおくと便利。

これをやっていくと、段落で主張したいことの根拠が見つからないことがある。
この場合、残念ながら当初の論理構造で目的に迫ることはできない。
論理構造を変えるか、目的自体を変える必要がある。
なお、根拠が見つからないということは、その段落で主張したいこと自体が研究のネタになることもある。
これを目的に研究計画を立て直す、というのもあり。

まだやることがある。
目的と仮説に、どういう方法論で迫るか、を決める。
ここまでにたくさん論文を読んでいるはずなので、方法論にもある程度詳しくなっているはず。
使う方法論を決め、具体的な方法を計画する。
分析方法もこの段階で決めておく。
これで、目的を達成できそうであれば、研究計画は完成、ということになる。

ただ。
この段階に来て研究計画がダメになることもある。
目的と仮説までがどんなに完璧でも、それに迫れる方法がない場合。
この場合、方法論自体を自分で工夫するか、あきらめるか、の2択になる。
特に、先行研究から簡単に思いつくネタが他の人によって全然研究されていない場合は、このパタンである可能性がある。
方法論的にどうやっても難しそうなら、早めに軌道修正も考えた方がよい。
もちろん、チャレンジングに方法論の開発に挑む、というのであれば、止めはしない。
研究者たるもの、そういう姿勢は必要だし、偉大な研究はそういう姿勢から生まれる。
ただ、かなりリスキーなことはお忘れなく。

段落の論理構成、段落主張の根拠探し、方法論の選択、はいずれも並行してできるので、それぞれを参考にしながら同時並行的に検討修正をしていくと効率的。
そんなこんなを繰り返しながら、イントロの骨子(段落の主張とその根拠と論理構成)と方法まで書くことができたら、それが研究計画ということになる。
これがしっかりしていると、もうあとは手を動かすのみ。

なお、この方法はあくまで一例。
似たようなことをスライドで求める研究室もあれば、ラフにイントロを書かす研究室もあると思う。
最終的な研究計画の示し方はそこのルールに従ったらいいと思う。
ただ、ここで紹介した方法は研究計画を立てる際の整理にはかなり有効。
そのまま論文のラフスケッチにもなる。
中間発表や指導教員への進捗報告の資料としてもそのまま使える。

参考までに、研究計画の例(のびた、完成版)のファイルを置いておく。
よかったらどうぞ。

ではでは。
また。




あとひと息だよ。
羽田にて。

-----
2019/12/15 0:56
もう寝よう。
自宅にて。


雑記帳トップへ戻る
HPへ戻る


Update 2019/12/15
Since 2016/03/06
Copyright(c) Hisakazu YANAKA 2016-2019 All Rights Reserved.