週刊雑記帳(ブログ)

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教員免許状の裏技的な取り方

前々から書こうと思っていた、このネタ。
教員免許状には興味があるものの、忙しくて単位を揃えるだけの余裕がない。
主免許に加えて、校種の違う別の免許が欲しいが、その余裕がないのであきらめてしまう。
うちだと、小学校の免許に中高や特支を加えたいのだけど、単位揃えるのが大変だったり、途中で諦めて一切やめてしまったり、なんていうのをよく聞く。
興味はある。
でも免許は単位的に厳しいので、関連するすべての授業について取るのをやめる。
よく見る事例。
僕としては、興味あるなら副免許が取れる取れないに関わらず、受講して専門性を高めたらいいのに、と思うのだけど、それはコスパとかタイパとか、そういった事情からやらないらしい。
主免許の専門性にも深みを与えることになっていいと思うんだけど、まあ気持ちもわからなくない。

今回は、そんな悩める大学生のために、教員免許状の裏技的な取り方を書く。
まず。
結構勘違いをしている人がいるのだが、教員免許状の発行主体は大学ではない。
都道府県教育委員会である。
教員免許状の取得を謳っている大学は、取得予定単位の証明書を教育委員会へ提出し、教員免許状取得の代行をしてくれているに過ぎない。
よって、個人単位でも書類を揃えて申請することも可能。

で、この教員免許状のための単位は、1つの大学で完結させる必要はない。
通信制も含めた、複数の大学で取得した単位を併せて申請することができる。
と、いうことは、入った大学で卒業までに全部単位を揃えずとも、取れる単位のみ取っておいて、残りは後からコツコツ単位を取っていって、揃った時点で申請というやり方があるということ。
もう働きたい予定の校種が定まっている人で、副免許はできればでいいやという場合におすすめなコース。
主免許だけは絶対取るようにして、副免許状は卒業後に後から取ればいい。
副免許のための各種知識が主免許の専門性を高めるのは間違いなく、単位が無駄になるということもない。
実際に働いてみて、いらないと思えば取るのを放棄すればいいし、逆に副免許の校種に転向するという選択肢も手にできる。

後から教免コース。
単位の満たし方にはいくつかある。
一つは働きながら科目等履修をコツコツ行い、単位を満たす方法。
元の大学でも近くの大学でも通信制大学でもいい。
教職課程(正式入学すると免許が取れる教育課程)を持つ大学であれば、どこの大学の単位でもいい。
仕事は別に教員でなくても構わない。
コツコツのんびりと揃えられるのがいい。
注意点もある。
理科の免許の実験系科目、教育実習など、通信制で提供していなかったり、科目等履修で働きながらの履修が厳しかったりする科目もある。
これらについては、在学中に取得しておき、座学で科目等履修しやすい科目を残しておくというような戦略は必要。

学部の授業を履修可能な大学院に進学するというコースもある。
これは場合によっては研究に支障が出るので、あらかじめ研究室の教員に確認をしておく必要があるが、教員養成系学部の上にある大学院だとOKな場合がわりとある。
例えば、うちの院だと他学部や他大学から特別支援学校の教員免許なしで進学してきて、院の2年で学部の授業を履修、特支の免許を取得した人がいくらかいる。
大学・院によっては、そもそも免許を持ってない人を受け入れて、3年かけて免許も取らす、というようなところもある。
興味ある人は探していただいて。
いずれにしても、学部時代から取れる単位を取っておくとその分は楽できる。

もう一つ、裏技がある。
これは、現職の教員だけに与えられた裏技で、教員をしながら隣接校種や教科の免許を取得するというもの。
これは今まで話した制度とは根本的に違う制度で、教職課程のない大学(例えば、放送大学)でも対応している科目がある。
一定の経験年数+必要な科目の単位数で取得が可能。
教職課程による通常の免許取得方法と比べて単位数は少なくてすむ。
ただ、制度が教職課程による免許取得と異なるので、大学時代にとった単位が使えるのかはよくわからない。
利用したいと思う人は、あらかじめ調査しておく必要がある。

と、まあ、裏技の紹介は以上。
いずれの場合も、各都道府県教育委員会に問い合わせ窓口があるので、あらかじめ問い合わせて、どの大学でどの単位をどれだけ取れば免許が来るのか、把握した上で実行してほしい。
制度は時々変わるしこの記事の内容にも間違いがあるかもしれない。
あくまで裏技なので、自分の責任でちゃんと調べて行動していただいて。
くれぐれも無調査の思い込みで行動されませぬよう。


ではでは。
今回はこの辺で。




たぶん、智頭駅

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2023/07/29 21:27
ラーメンの列に並びながら。
横浜市内にて。



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Update 2023/07/29
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