大学出て少しした頃か。
酒を覚えた。
大学時代も飲むには飲んでいたのだが、わざわざ1人で飲むほどではなく、仲間とワイワイやるための飲み物。
そんなところがあった。
大学を卒業して、単身北海道に渡り、いろいろあって半年後には単身埼玉へ。
その後も基本的に単身で地方各地を渡り歩く生活を繰り返す。
そんな中で、さまざまな楽しいことを開発していくのだが、そのうちの一つが酒。
愛知にいる頃に覚えたのが日本酒で、これは今に続く楽しみなのだが、今回はこの話ではない。
埼玉時代だから、あれは24、5の頃か。
少し背伸びしたいお年頃。
おしゃれなバーというものに行ってみたくなった。
音楽好きとしては音楽×バーみたいなところがよかった。
当時東京にいた友人に相談してみると、ちょうど行ってみたいお店があるという。
そのバーは新宿にあった。
歌舞伎町に入る前の大通りに面した雑居ビル。
4階だったか5階だったか。
エレベータを降りると暗くてテーブルにキャンドルの灯った、別世界が待っていた。
窓際に大きなグランドピアノがデーンと構えていた。
このブランドピアノがバー用に作られていて、ピアノの周りをカウンタのようになっていた。
一目でこのお店が気に入ってしまった。
決まった時間になると、ピアノの演奏が始まる。
しっとりした空間に合わせて、あくまでバックミュージック的な演奏。
弾き手・歌い手は毎日違い、ピアノだけで聴かせる時もあれば歌をつけてくれることもあった。
ピアノ周りのカウンタでちょっと度数の高いお酒を舐めながら、
いい感じで酔った頭でスタンダードなナンバーを楽しむ。
至福。
慣れてくるとリクエストなんて技もできるようになる。
大好きなMy favorite thingsは何度も演奏してもらった。
アレンジが弾き手によって全く違うので、これがたまらない。
何回も行っていると、弾き手とも顔馴染みになってくる。
演奏の合間の休憩時間に話しかけられてお酒を飲んだりすることもしばしば。
これがまた楽しい。
話が盛り上がると、次の演奏では話したようなことを盛り込んでくれる。
こうなるともうたまらない。
そんなお気に入りバーも気づいたら閉店になり。
ピッタリくるお店というのは思いのほか見つけるのが難しく、代わりを見つけることなく今に至っている。
とある小説を読みながら、そんなことを思い出した。
しばらくぶりにこの系統の店を新規開拓しようかな。
ではまた。
高松港か。
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2022/01/10 15:17
休暇中。
鳥駅スタバにて。
Update 2022/01/10
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