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授業はきっかけと心得る(大学生のための学び方入門8)

大学で教えていると、学生さんと教員で授業に対する認識に差があるなと思うことが結構ある。
そのうちの一つが、授業で扱える内容の範囲について。
おそらく多くの教員は授業で扱える内容について、授業だけで十分だとは考えていない。
教養系の授業であっても専門系の授業であっても、教えられる内容はごく表面的な一部のものに過ぎない、と考えていると思う。
少なくとも僕はそう。
一方で学生さんはといえば、授業で扱ったことがその分野のすべてであるように感じている場合がある。
特に低学年の学生さんに多い。
が、これは間違い。

授業には大まかに2種類存在する。
一つは分野を浅く網羅的に扱うタイプのもの。
もう一つは教員が特定のトピックを拾い上げて深掘りするタイプのもの。
もちろん、この中間のものも存在する。
教員のスタンスにもよるが、前者を重視すれば深さが犠牲になり、後者に拠ればカバーできない内容が出てくる。
これは1回90分×15回しかないのでどうしようもない。
どちらを重視するかは、教員の考え方と好みによる。

前者の授業スタイルでは広く分野の内容を知ることができる一方、深さが足りないため平坦でおもしろみに欠ける授業になりがち。
知識伝達型というか、「〇〇は××である」という知識の羅列になってしまう。
高校までの授業と似たような構成だと思う。
ところが、そのような表面的な知識の背景にはかなり深い知識の積み重ねがある。
例えば、教科書の1章・1ページのみをカバーする分厚い専門書はたくさんある。
教科書の1行、授業スライドの1ページのために、複数の研究論文が存在することもしばしば。
この深い部分がマニアックにおもしろい。
ただ、授業時間の制約から、これらの深い部分のおもしろさまで扱えないことの方が多い。
よって、この部分については書籍紹介等を通じて自学を促すことになる。
これらを深く知って自分なりに知識を立体的にしたり、知識の真偽を検討したり限界を吟味したりできるようになることが、大学以降の学びでは求められる。
そういう意味で、大学の授業はきっかけに過ぎない、と思っている。
授業以外でどれだけ深められたか、がかなり重要。

では、後者の授業スタイルはどうか。
こちらの場合、授業で扱ったトピック自体はある程度深掘りされている。
授業自体も知識が創られていく過程を追体験できるのでおもしろい場合が多いと思う。
ただ、一方で、専門分野の知識が偏ってしまう可能性がある。
このスタイルの授業では専門分野の全てを網羅的に扱うのは難しい。
端折られていたり全く扱わない内容があると考えた方がいい。
この場合はそういう可能性があることを前提に、網羅的に扱っている教科書や副読本を意識して読む必要がある。
授業では教員の得意分野のおもしろさを学び、他方で広く浅くを自学でカバーするということ。

ただ。
大学生だと、その授業がどちらのタイプなのか見極めるのが難しいと思う。
そこで、おすすめしているのが、教科書1冊・新書数冊を読むというもの。
教科書は分野を網羅的に学ぶために読む。
授業で指定されている教科書でもよいし、担当教員に分野で標準的な教科書を教えてもらうというのもあり。
最近では各大学のシラバスがオープンになっているので、学びたい分野名でシラバスを探して、標準的な教科書を探してもよい。
深掘りするには、新書クラスの本を読んでみるのがよい。
授業や教科書で興味を持ったトピックについて、新書を探してみる。
教科書の場合は読書案内や参考文献の欄があるので、そこから探す。
授業で本が勧められている場合はそれを読むのもよい。
いい本がわからない場合は、興味あるトピックをもとに教員に本を紹介してもらうのもあり。
別に新書にこだわる必要はなく、専門書でも論文でも構わない。

試験で点数が取れるかは別として、このくらいやると大学生の学びとしては悪くない。
こうやって学んだものの中から、自分の研究分野が見つかったり、一生モノの読書分野ができたりするかもしれない。

ではでは。
今回はこの辺で。




羽田空港にて。


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2020/03/15 17:45
休暇中。
鳥駅スタバにて。


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Update 2020/03/15
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