週刊雑記帳(ブログ)

担当授業や研究についての情報をメインに記事を書いていきます。月曜日定期更新(臨時休刊もあります)。

卒論指導教員(研究室)の選び方 No.1 専門性

時々学生さんに聞かれるので記事にしました。
うちは地方国立の教育学部系で、教員一人一人が個人商店のように独立した研究室を持つタイプの組織。
医学部や工学部のように教授を頂点とした大人数の研究室型の組織には当てはまらないかもしれませんが、共通しているところもいくらかあると思いますので参考にしてください。

さて、選び方。
教員を見る大きなポイントは以下の3つでしょうか。
①教員の専門性
②教員の指導スタイル
③教員との相性
これらのポイントをそれぞれ説明していきます。

まずは教員の専門性。
当然ながら大学の教員には専門分野があります。
これは学生さんが考えているよりもだいぶ狭いものです。
例えば僕の場合は心理学・脳科学ですが、実際に論文を書いたりしている研究分野はその中のごく一部です。
心理学の100ページの教科書があるとすれば、その中でど専門に当たるページは1ページあるかないか、と言えば、どのくらい一部なのかわかってもらえると思います。
その教員のど専門の分野を知りたい場合は、CiNiiPubMedあたりでその教員の名前で検索をかければ論文が出てくるので、
タイトルを眺めてみたり、さっと読んでみたりするとわかります。
直接聞きに行ってみるというのもよいでしょう。

では、卒論を書くときにその教員の専門分野と自分のテーマが必ず重なっていなければならないかというと、そんなことはありません。
博士課程の大学院生でも指導教員とど専門がずれているということはあります。
まあ学部レベルだとずれている方が多いでしょう。

それでは専門分野が重なっているとどんないいことがあるか、ですが、
指導教員は専門分野であればあるほど最新の知見(論文、学会発表、その分野で世界中で誰がどんな研究をしているか等)を知っています。
方法論についても実際に使っていますのでマニアックに詳しいです。
ですので、専門分野に近ければ近いほど知識面で高度な指導を受けられます。
教員によっては自分が研究するテーマの中から学生さんが出来そうなものを割り振ってくれる場合もあります。
これをよしとするかは好みの問題でしょうか。

一方で教員の専門分野から自分のテーマからずれてくると指導してもらえないのではないかと思う方もいると思います。
これは大丈夫な場合が多いです。
教員が論文を書いているど専門の分野でなくとも,方法論は共通のことが多いですし,ロジックや論の立て方という意味では広く様々な学問分野で共通しています。
この場合は,論文の読み方や,方法論,論文の書き方等を指導してもらうことになります。
そもそも卒論のレベルでも研究をするにあたってはその分野の知識を自分で調べてインプットすることが求められます。
自分の卒論の非常に狭い専門分野については,指導教員よりも知識があるというのはふつうのことですので,自分のやりたい研究について指導教員がど専門である必要はないのです。
心理学の教員のもとで数学を研究する,など,あまりにもかけ離れている場合は無理なこともありますが,方法論が共通している場合はある程度分野が離れていても指導してもらえることがあります。
その教員の所属分野・学科・担当授業から考えていたものと研究分野・指導可能分野が違っていたり,考えてもいなかった教員が担当可能だったりすることもあります。
この辺りは後述する教員の指導スタイルにもよりますので,直接訪ねて行って聞いてみるのがよいでしょう。

卒論指導教員(研究室)の選び方 No.2へつづく



「卒論指導教員(研究室)の選び方」へ戻る
「大学生・院生へ」へ戻る
雑記帳トップへ戻る
HPへ戻る


Update 2018/03/31
Since 2016/03/06
Copyright(c) Hisakazu YANAKA 2016-2018 All Rights Reserved.