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書く力(なぜ学ぶのか、何を学ぶのか 8 )

このシリーズもそろそろ終盤。
今回は、書く力。
コイツは前に書いた、読む力ロジカルな思考力の兄貴分。
ここでいう書く、とは小説やエッセイなどを書くということではない。
説得力を持った文章を書く、ということ。
こいつがね、社会に出てから大変役に立つ。
何かを主張して意見を通したいことは社会に出るといくらでも出てくる。
この時に、説得力のある文章を書けると強い。
企画書、提案書、研究論文なんかがこの類。
プレゼンや対話で相手を説得させることもできるが、その場合でも資料としてしっかりとした文書があるのとないのとでは全然違う。
で、この力を手に入れるにはそれなりの訓練が必要。
いくら文を綴るのが得意でも、訓練や経験なしに書けるものではない。

書く力。
まずは前提として、ロジカルな思考力が必要。
説得力のある文章とは、ロジカルな文章であると同義である。
ロジカルに思考した上で、表現されたものがこの手の文章ということもできる。
なので、ロジカルな思考力が身についてないと、こういう文章は書けない。
また、ロジカルな文章を書くということは、まず自分の書いた文章を批判的に読むということでもある。
批判的に読んでみて、批判に耐えられない弱いところを書き直していく。
この過程でもロジカルな思考力を使う。
そんなわけだから、書く力にはロジカルな思考力が必須。
ただ、書く力を高めていく中でロジカルな思考力が育っていくようなところもあるので、ロジカルな思考力がまだまだだなぁ、と思っている段階でも、書く力の訓練をすることにはかなり意味があると思っている。

書く力はロジカルさのみで成り立っているわけではない。
伝えるための作文技術みたいなものがある。
コレは物語を綴るのとはまた違った技術。
文をどうわかりやすくするか。
文意が2通りになっていないか。
複雑になりすぎていないか。
段落ごとにきちんとまとまっているか。
こういうテクニックをしっかり押さえているだけで、グッと読みやすい文書になる。
説得力のある文章の1番の目的は伝えることにあるわけだから、テクニックで少しでも伝わるようになるのであれば積極的に使った方がよい。

さて。
ではこの能力をどう磨くか。
コレは大学のレポートや卒論をうまく使いたい。
ただ、漠然と文章を書いても意味がないので、まず以下から「論文・レポートの書き方」に関する本を3冊読もう。
論文・レポートに関する本
この中の、戸田山が前者の、木下が後者の、小笠原が両者を浅く解説してくれている。
どれか一つなんてケチなこと言わず、とりあえず全部読むことをオススメする。
その上で、レポートや卒論を書いてみる。
レポートだったらなるべく知ってるよアピールじゃなくて、自分の意見を表明することを心がけたい。
教員と仲良くなって、評価後レポートに赤を入れて返してくれと頼んでみるのもよい。
文章書く力を磨いているので、時間あるときに赤入れて返してくれと頼めば、教員によっては喜んで返してくれる。
卒論も同様。
卒論に関してはレポートよりも添削してもらえる可能性が高い。
研究計画の段階で背景を書いて赤入れてもらったり、卒論を早めに提出して何度か赤入れてもらえば、これはかなり勉強になる。
卒論を提出ギリギリに出して満足な添削を受けられずに卒業する学生も多いが、これはすごくもったいない。
実験や調査の演習系の授業も卒論と同じような使い方が可能。
ただ、これをやってくれない教員もいるので、教員選びはわりと大事である。
早めから研究室に出入りして、学会誌に論文を投稿してから卒業、なんてコースをたどれば、これはその過程で相当な文章力がつくことは間違いない。
が、これは学部学生ではそうそういない。
院生でこのタイプは普通にいるので、院生でこういう訓練をしていない場合には危機感を持ったほうがよいかもしれない。

まあそんなわけで、大事だなぁと思った人はがんばって磨いてくだされ。
社会に出てから、やっててよかったと思う時がきっと来るよ。




高松港にて。


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2018/10/06 19:56
コーヒーを飲みながら。
イオンの方のスタバにて。


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