週刊雑記帳(ブログ)

担当授業や研究についての情報をメインに記事を書いていきます。月曜日定期更新(臨時休刊もあります)。

なぜ、テストをするのか

僕の授業の評価は基本テストでやる。
持込不可のわりとオーソドックスなタイプのテスト。
うちの学部では珍しいのか、学生さんにとても嫌がられる。
でもやめる気はない。
今日はそんなテストについて、なんでやるの?という裏話を書く。

客観的に知識レベルを知ることができる

まずはコレ。
勉強すればそれなりに知識がつく。
ただ、どの程度自分のものになったのかを自分で正確に把握するのは結構大変。
わかった気になっていたものの、テストの問題を解いてみると、思ったよりもできない。
頭ではわかっているものの、それを言語化できない。
理解したと思っていた知識に意外な間違いがあった。
このようなことは学習にはつきもの。
ただ、これらのことにはテストやその対策をしている時にしか気付くことができない。
これがテストをやるの一つ目の理由。

ちなみに、日々教えていると、浅い勉強しかせずそのくせ自分の知識レベルは高い、と誤認している学生さんに会うことがある。
これはなるべく早い段階で気づかせてあげないと、社会に出てから困ることになる。
テストの点数というのは知識レベルの客観的な指標になるので、テストの点数を見れば自分の知識レベルをある程度把握することができる。
ヤマが当たるとか外れるとかの例外はあるが、知識レベルとの乖離はそんなに大きくないと思っている。
少なくとも僕の授業では、ヤマの当たり外れで点差がつくようなテストはやらない。

全範囲を勉強しなくてはならない

レポート課題の場合、その科目の一部を深めることでいいレポートが書けることはよくある。
これはこれでメリットはあると思うが、デメリットも大きい。
一番大きいデメリットは、その科目の内容について全範囲を勉強しなくとも単位が取れてしまうこと。
しかも、レポートの内容の良否は全体の知識レベルよりも文章力やせまい範囲の深い知識で決まる。
極端な話、100点の評価を得たとしても、その科目全体の知識レベルが低いというかとはありうる。

一方で、テストを課すとどうなるか。
どこが出るかわからないので、高得点を取るためには全範囲を満遍なく勉強しなくてはならない。
当然成績が高いということは、その科目全体の知識レベルが高いことを指す。
わかりやすい。
テストがプレッシャーとなって、学生さんはある程度勉強するようになる。
これも狙いの一つ。
本当はそんなプレッシャーなくとも学習をやってくれればよいのだが、なかなかそう理想通りに行かない。

その昔に、他大の知り合いの先生から聞いた話。
その先生は期末のテストや課題でいっぱいいっぱいになっている学生さんを不憫に思った。
そこで、普段のレポートとかを点数に加味するからテストはできなくても単位は落ちないよ、と言った。
すると、期末試験の平均点が例年よりも20点落ちたんだそう。

ね。
テスト、大事。

教員の反省のため

僕がテストをやる一番大きな理由はコイツ。
授業をやっていると、こちらはちゃんと教えた気になっているものの、うまく伝わっていないことがある。
前提として当然理解してもらっている気でいたら、全然わかってなかった。
多くの人が誤解して理解している。
逆に、難しいかな、と思っていたことが、わりと理解度の高い場合もある。
これらはテストをしてみないとわからない。

テストをして自分の考えている学生さんの理解度と実際の理解度のズレを把握する。
その上で、教え方を変えてみる。
おもしろいもので、しっかり反省して授業のやり方を変えると点数が上がることは結構ある。
これは早い話が教員側の教え方がヘボかった、ということを意味する。
しっかり反省して、次年度の授業に生かしたい。
もちろん、そのテストを受けた受講生に補足の情報を出すなどのフォローをすることもできる。

やはりテストは大事。


ちなみに、テストは実施する側も結構大変。
作るのに労力かかるし、採点にだってそれなりに労力がかかる。
返却・解説まで含めると、結構な時間を費やすことになる。
それでもわざわざテストをやる、ということはどういうことか。
裏の意味をくんでいただければ幸い。

まあ、そんなわけで、学生諸君は大変かもしれないけど、テストはやめないよ、という話。
まあがんばっていただいて。




よって、テストの出来がいいとご機嫌で酒を飲み、
悪いと教え方ヘボかったと悲しい気分で酒を飲むことに。
あ、写真は高松。


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2019/07/15 20:17
休みが終わる。
羽田からの最終便にて。


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Update 2019/07/15
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