週刊雑記帳(ブログ)

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雑食読書術

読書には2つの側面がある。
1つは自分の興味あることについて楽しむというもの。
自分の好きな作家の小説を読む、自分の興味ある分野のノンフィクションを読む、というのはこれ。
小説だとある程度期待する世界観を楽しめる。
ノンフィクションだと興味ある事柄について知識を深めることができる。
読書の大事な側面であり、これを目的に読書を楽しむ人が多いのではないだろうか。

一方で、読書には自分の世界を広げる、という側面もある。
興味がある、というのはその対象についていくらか知っている必要がある。
内容については全く知らないけど興味はあるという場合ですら、存在自体は知っている。
全く知らない、というものはあり得ない。
しかし、世の中、自分の知らないことは山のようにあるもの。
この知らないことを新たに知る、というのも大事。
自分の世界が広げることができる。

世界を広げるということについては、ウェブを含めたメディアという媒体が得意。
これらの媒体は受け手としては受け身で、待っていると知らない情報が流れてくる。
受け身で情報を待っていればいいので、知っている情報だけでなく、全く知らない情報も受け取ることができる。
ただ、メディアの特徴として、受け手が選択できる広い意味でのチャンネル(ウェブの記事も含めて)が限られているというデメリットを持つ。
このため、多数の人が同時に同じような情報を受け取ることになる。
発信する側が意図する伝えたいことに限定され、受け手の多数が喜んでくれる情報、という制約もつく。
この点も、メディアから得る情報が人ごとに異らず、似たようなものになってしまう理由。

翻って、本。
本の場合、出版される本の数が無数であるため、幅広い情報が存在する。
出版社や書店レベルで選択があるものの、それらの数が多いため、メディアと比べると選択肢が圧倒的。
そういう意味では、読書というのは情報の選択も含めて能動的な行為である。
自分の興味あることについて楽しむ、知識を深める、というのは得意だが、かなり意識しないと「自分の全く知らないこと」を知るのは難しい。
まあ、本という媒体の特性。
ただ、この読書による知らない世界を知る、という方法。
メディアのそれとは違い、多くの人と同じような情報インプットになることを避けることができる。
他の人とは異なるオリジナルな世界を広げられるのは、読書という方法のよいところ。


では、どうやるのか。
まずは、3、4冊に1冊、意図的に全く知らない系統の本を読むようにする。
ノンフィクションなら何そのタイトルや、何その分野、くらい知らないレベルがいい。
小説なら初めての作家さん。
もちろん、タイトルや名前は知っているけど内容は全く知らない、というのも悪くない。
ノンフィクションの場合難しすぎると挫折するので、新書クラスを狙う。
そして、必ず最後まで読み切る。
最初つまらなかった本が、途中からおもしろくなることもわりとあるので、とにかく最後まで読み切る。
この習慣は「読む力」をつけることにもなる。
これについては別記事にも書いたので、よかったらこちらも読んでいただいて。

次に、どうやって探すのか。
一つは、本屋でジャケ買い
特に新書コーナーや文庫コーナーが充実している大きな本屋がいい。
平積みやおすすめコーナーも悪くないが、僕はひねくれているので本棚で1冊だけ、みたいなのを買うことが多い。

SNSを利用して探す、というのもある。
最近は出版社や書店が発信をしてくれている。
これらのアカウントをフォローしておいて、よさげなのをメモしておくなんてのも有効。
SNSは著者や読者も本の情報を発信しているので、そういうのから本にたどりつく、というのあり。
僕は最近この方法をよく使っている。

一昔前までは、本の巻末についている広告的なタイトルリストもよく使っていた。
十数冊、様々な分野のタイトルを並べてくれていて、興味がそそられる。
自分に合ったレーベル(出版社・シリーズ)を見つけて、そのタイトルリストから連れてくると、難易度や毛色はハズしにくくなる。
お気に入りのレーベルができたら、その新刊を常にウォッチするというのも楽しい。

あとは、べたなところで、人の紹介というのもある。
僕は学生さんも含めて、勧められた本はなるべく読むようにしている。
少なくとも勧めてくれる人はその本をよいと思っているので、ハズレをひくことが少ない。
好きな本の中には、学生さん経由で紹介されたものもたくさんある。

と、まあそんなところか。
なお、僕が大学生の時。
大学生協ジャケ買いした本がたまたまおもしろかった。
そしてそれがきっかけとなって現在の仕事をしている。
たぶん、あの本と出合わなければ今の僕はいない。
そういう一生モノの出会いがあるのも、全く知らない分野系読書の醍醐味。
まあだまされたと思って、試してみてはいかがでしょうか。

では、また。




シーズンですね。
鳥取市内にて。

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2022/06/20 21:35
仕事上がりに。
自宅にて。


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Update 2022/06/20
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