週刊雑記帳(ブログ)

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学会へ行こう4〜学会の準備・フォロー(研究をしよう35)

学会へ行くことにした。
具体的に何をしたらいいのか。
今回はこんな人に読んでほしい記事。
学会に行く前にすること、行った後にしておいた方がいいことを書いていく。
これまでの関連記事はこちらで確認いただいて。

参加学会の検索と申し込み

ここの読者の場合、学会ってなぁに??という人もいることと思う。
自分の分野にはどんな学会があるかがわからない。
そんな人に一番おすすめなのは、教員に聞く、と言うもの。
ざっくりと卒論でこんな分野で研究したいんだけど、関連学会はどんなものが考えられるか。
これをできれば複数の教員に聞いてみよう。
なぜ、複数の教員なのか。
これは、教員によっては1つの学会にどっぷり、というタイプも多いから。
さまざまな学会を網羅的に知らない場合もあり得る。
偏らないためにも、何人かに聞いておくと間違いない。
教員の興味・研究フィールドと、自分の卒論の興味が異なる可能性は大いにある。

論文をいくらか読んでいる人は論文の雑誌からたどる方法もある。
読んできた論文のうち刺さった論文をいくつかピックアップする。
それらの論文の掲載されている雑誌うち、大学が発行している雑誌ではなくて、学会が発行している学術雑誌を探す。
あとは、どこの学会がその雑誌を発行しているか検索すればいい。
書誌情報には必ず雑誌名があるので、それをWebで検索かければ、出版主体が出てくる。
発行主体が大学か学会かわからない場合も、とりあえず雑誌名を検索かけるといい。

参加したい候補の学会名がわかったら次は学会大会の情報を探す。
学会へ行こう、とずっと書いてきたが、ここでいう学会とは、学術集会とか大会とか、学会の主催するイベントのことを指していた。
正確には学会とはさまざまな研究者が集まって作る組織のことを言う。
その学会組織が、年1回や2回、定期的に開催している研究発表イベントのことを学術集会とか学会大会などという。
言い方はその学会によって違うが、字面を見れば大体わかる。
多くの学会は過去の学会の情報を公開しているので、それでプログラムを確認、おもしろそうならその学会へ参加してみよう。

参加にはお金がかかることが多い。
ただ、学部生は激安のこともまた多い。
webで情報を確認して、お金がいくらかかるのか、調べておきたい。
また、参加に際しては事前参加登録をしておくのがおすすめ。
ほとんどの場合、割引価格が設定されているし、学会開催前にプログラムやWebサイト利用権などがやってくる。
事前準備もしやすいので、これはやっておきたい。

なお、当日参加も受け付けていることがほとんどなので、申し込み忘れた場合は当日参加の方法をwebで調べてから学会へ行くといい。

事前の下調べ

学会参加前にプログラムは一度眺めておきたい。
特に大きな学会の場合、複数のセッションが同時並行で行われているため、事前にどの時間はどこに行くか、ざっくりとチェックしておくといい。
当日の気分や聞いた上で別のセッションに行く、というのは自由。
自分の目的に合わせて、聞きたいセッションをゆるく決めておきたい。
なお、初参加で、広く卒論のネタ探しを目的としている場合はポスターセッションを中心に、かなり気になるシンポジウムや口頭発表等を入れ込んでいくのがいいか。

発表については、事前に抄録(研究の概要)が配られるのが一般的。
タイトルを眺めて興味ある、と思ったプログラムについては、抄録を確認して概要をチェックしたい。
概要を見ると、このセッションは違うな、となったり、これは絶対聞かなきゃならんやつだ!となったりする。

抄録はポスターや口頭発表についても1演題ごとにある。
まだ、学会うろつくだけでは理解が難しかも、と感じる人は、特に興味ある研究について事前にこれらを読み込み、当日聞きに行くというのも手。
全く知らん状態だと理解が難しくても、事前に情報があると理解ができる場合がある。
質問などもあらかじめ考えることができるので、当日の時間を有効活用できる。

事前の準備(研究内容以外)

・メモできるもの
歩き回って立って聞いてその場でメモすることが多い。
そのつもりでメモできる何かがあると便利。

・宿の確保はお早めに
大きな学会の場合、その都市の宿容量を圧迫することがある。
なるべく早めに宿を押さえおきたい。
福岡・札幌・仙台クラスの都市だと直前宿確保はかなり厳しいことが多い。
大都市でも他のイベントと重なったため宿確保が難しいことがある。
他の学会と同時開催などもあるが、最大の競合相手はジャニーズのコンサート。
これと被ると、宿の確保が相当に厳しくなる。
ジャニーズのコンサートと被ったため、泣く泣く学会の日程をずらした、という話を聞いたことがあるほど。

・名刺
大学院の進学を考えている人はマスト。
発表を聞いたあと、質問をしたあと、などなどに、名刺交換の機会がやってくる。
特に進学を考えていない人は学会名札をお見せするだけでいいと思うが、大学院の進学先を探している、後で連絡をとる可能性がある場合には簡単な名刺を用意しておくといい。
連絡先教えてくれたら、発表資料の電子版を送ってあげるなんてこともあり、あると便利なのがこいつ。
学部生で、とりあえず見て回るだけ、という場合はなくてもいい気はする。
お目当ての先生がいて、少し深くお知り合いになりたい、という場合は用意しておくといいか。

発表を聞いたあとに

学会で話を聞いて、なんとなく満足しておしまい、というのは避けたい。
後に残るように、発表を聞いた後にしておいた方がいいことがある。

まず、おもしろかった発表について。
タイトルや内容をメモする、以外にできることがいろいろある。
抄録以外の発表資料をその場で配っている場合は、それをもらっておく。
ポスター発表の場合は、ポスターのA4縮小版、口頭発表の場合はスライドを小さくした資料が多いか。
発表者がいる場合は、関連論文はもう出ているか聞いて、その書誌情報を聞く。
発表段階で、発表された研究内容が論文になっていることは少ないが、稀に出版されていることがある。
また、その発表研究の下敷きになった重要な論文を教えてもらえることもある。
学会から帰ってきたら、忘れないうちにそれらの論文を取り寄せて、読んでみる。

まだ論文化されていなかった場合でもその後論文化されることは多い。
本当におもしろい!と思ったら、著者名で時々論文検索かけると、論文化されたときに引っかかってくる。
名刺を持っている場合、論文化されたら教えてほしい、と名刺を渡すのも手。
相手に手間がかかるので、あまりたくさんやるものではないけど、本当におもしろいと思った発表を聞いた時はやることがある。

演題そのもの以外にも情報がある。
それは、研究者に興味を持つ、というもの。
特に、発表を見ていると、ボス(指導教官)の名前が複数の関連研究発表に載っている場合がある。
多くは、連名発表者の一番最後に名前があることが多い。
こういう場合、大体ボス研究者の内容はある特定分野に散らばっている。
その研究者はその分野で研究を活発に行っている第一人者なことが多い。
おもしろいな、と思った分野にそういう研究者の名前を見つけたら、学会から帰ってきた後でその研究者の検索をかける。
この場合、論文検索サイトではなく、Google検索でいい。
すると、本人の個人ホームページが出てくる。
この中には多くの場合は研究業績一覧(論文リスト)が公開されている。
こられのタイトルをざっと眺めると、自分の気になる研究が隠れていることがある。
ホームページに研究業績一覧が見当たらない場合は、論文検索サイトでその研究者名を検索かけることで代用できる。
結構おすすめな、研究検索の方法。
大学院進学を考えている人の進学先選びでも、こいつは正攻法の一つだと思っている。

最近だと、研究者が実名でSNSをやっていることも多い。
おもしろいと思う発表をしている研究者がいたら、アカウントを見つけた上でフォローしてみるのもおすすめ。
研究は研究者の個人的な興味に基づいて行われるものなので、その研究者をフォローしていると、自分がおもしろいと思うような情報が発信されることがある。
おもしろそうな論文や研究のネタを探す新しい方法だと思っている。
なお、ご存じの方も多いとは思うが、僕のSNS ではこういう情報は一切出てこない。


長くなった。
今日はここまで。
ではまた。




皇居前の広場にて。


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2023/02/26 14:07
この時間くらいになると混み始める。
鳥駅スタバにて。


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Update 2023/02/26
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