研究計画を遂行しさえすれば、結果が出る。
研究計画が完璧なら、ほぼ研究は終わったようなもの。
あとはこれを発表すれば出来上がり。
研究発表には2種類の方法がある。
1つは口頭やポスター等で概要をプレゼンテーションするというもの。
学会発表や卒論発表会なんかがコレ。
これについては、発表をしよう、を参考にしていただきたく。
で、もう1つが論文による発表。
論文とは何かですでに詳しく書いているが、論文は読み手に研究を精査してもらうのが大きな目的になる。
精査には結果の再現可能性の検証も含まれる。
よって、それらが可能なように詳細な記述が求められる。
論文の具体的な書き方については、論文を読もうシリーズが参考になる。
基本的にあそこに書かれていることに気をつけながら執筆していけばよい。
ここでは、論文を読もうシリーズに書かれていない補足情報を書く。
まず、必ず以下の本を読んでから書き始めてほしい。
理科系の作文技術(木下 是雄)
最新版 大学生のためのレポート・論文術(小笠原 喜康)
新版 論文の教室(戸田山 和久)
(上記3タイトルの簡単な書評はこちら)
論文を書く、というのはある種の技術が必要。
その最低限の技術を知った上で書くのとそうでないのとでは、作業効率や出来に大きく影響する。
すぐ書きはじめたいのはわからないではないが、騙されたと思って書き方本に目を通してから書いてほしい。
論文がグッとよくなるだけではなく、ビジネス系の文書についても書く技術が上がることになる。
続いては具体的な論文執筆。
イントロと方法については研究計画が役に立つ。
計画の中で段落構成や根拠の先行研究は挙げているはずなので、これを読み手にわかってもらえるようにていねいに書く。
結果、考察、まとめは論文を読もうシリーズに補足することはない。
何をするパートなのかを頭に入れて、その筋から外れないように書きてほしい。
引用文献と引用の仕方、その書き方については
まだ説明していないのでここで書く。
まず引用することについて。
先行研究を引用した責任は、先行研究の著者ではなく、引用して知見を載せた論文の著者にある。
「谷中ら(2018)はAがBであることを明らかにした」と引用したとしよう。
この場合、論文執筆者は谷中ら(2018)の研究結果を信じた、ということになる。
原典の論文に不正があった時を除いて、責任は引用した側にある。
よって、論文を精査して明らかに穴があって信じられない知見は根拠としては載せられない。
もちろん、問題のある研究として引用し、その穴を埋めにいくというような引用であれば問題ない。
時々、明らかに読んでいない研究論文や本をたくさん載せている人がいるが、これは論外。
絶対にやめてほしい。
卒論生にありがちな、読んだ本・論文を全部載せるのもよくない。
引用文献は必要最低限、きちんと引用しているもののみにすべき。
続いて引用の書式。
基本的には論文全体にわたって、引用符の付け方や引用文献リストの作り方が統一されていることが大事。
そこでオススメしているのが、学術誌を1つ決めて、その引用ルールをそのまま適用するというもの。
過去にタイトルの読んだ論文の中でしっかりしていると思った学術誌を1つ決める。
あとはその学術誌のホームページに行くと、論文投稿規定や執筆マニュアルがあるので、そこの引用ルールをそのまま真似する。
これで統一感は確実にとれる。
具体的な引用方法で迷いが出たら、その雑誌を何冊か取り寄せ、載っている論文を真似して書けばよい。
これは、書きはじめから気を付けておかないと、のちのち面倒なことになるので注意してほしい。
さあ。
あとは書くのみ。
え?まだ具体的によくわからない?
そんなあなたに、ラストアドバイス。
調査で何十本も論文を読んだはず。
その中に、かなり参考になるよい論文があったはず。
そういう論文を何本か用意する。
信頼できる学術雑誌を何冊かそろえるのもよい。
論文執筆の際、そいつらを常に横に置いておき、表現に困ったら参考にする。
自分の使っている表現が、そいつらに載っていないのであればその表現は避ける。
これだけで、わりとよくなるよ。
時々先輩の卒論を参考にする人がいるが、どう考えてもクオリティはプロの書いたよい論文の方が上なことが多い。
良質で刊行された学術論文を頼ろう。
では。
またそのうち。
ある程度かき切ったので、今後は単発トピックで書いていくことになると思う。
羽田にて。
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2019/12/15 0:56
もう寝よう。
自宅にて。
Update 2019/12/15
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