週刊雑記帳(ブログ)

担当授業や研究についての情報をメインに記事を書いていきます。月曜日定期更新(臨時休刊もあります)。

ロジカルな思考力(なぜ学ぶのか、何を学ぶのか 5 )

大学に来たのであれば絶対に身につけたい能力がコレ。
コレを身につけないで出て行くのであれば、もう大学に来た意味はない、と言ってもいいほど大事な能力だと思っている。

ちなみにロジカルな思考とは、話の筋を通して考えること、理屈が正しいこと、みたいな意味。
なにが正しいのかを考える力、と言ってもよいか。
その一つとして物事を批判的に捉える、批判的な思考というものがあると思っている。
そしてコイツ。
高校までにはあまり磨くことのない能力だと思う。
高校までは国が認めた教科書があって、かなり内容のしっかりした教材で勉強していた。
そのため、内容があっているか間違っているか、ロジカルな思考を駆使しながら読んだり聞いたりする必要はあまりない。
時間も限られているし、精査せずにさっと学び取る方が効率がよい。
ところが大学以降はそうはいかない。
専門分野の最先端な知見ほどなにが正しいかわからない状態で、個々人がロジカルな思考をもとに正しいと思うものを選びとっていかなければならない。
これは社会に出てからもそうで、専門分野に限らず、あらゆる分野にその力が必要になる。
ね、大事でしょ?
これがないと、だれか偉い人が正しいと言っているものを盲目的に信じるしかなくなってしまう。

さて。
じゃあこれをどうやって磨くかといえば、大学で用意されている、ゼミやレポート課題、卒論なんかを利用する。
もちろん、ゼミや卒論では専門性も磨くこともできる。
が、その過程でこの能力を身につけることができるのだ。
ただし、各自がこの能力を身につけることを意識しておかないと身につかない。
ただゼミへの参加や卒論をやっだだけで勝手に身につくわけではないことには注意しておきたい。

では具体的にはどうしたらよいのか。
まずは批判的な思考をみがくことを心がける。
例えばゼミなら必ず質問をするようにしよう。
発表している内容は本当に正しいのか考えながら質問してみる。
なるべく批判的なものがよい。
発表者の主張に根拠はあるのか、根拠は正しいのか、などなど。
わからなければ発表前に資料(元の研究論文など)をもらって予習してからゼミに挑むとなおよい。
内容がわかっていると、ゼミの他のメンバーや教員が鋭い質問した場合にわかるので、勉強にもなる。
ただ、批判の具体的なやり方についてはかなり長くなるのでここでは書かない。
ゼミを担当している各先生方に聞いてみるとよいと思う。
僕の別シリーズ、研究をしようシリーズも参考になる。

これをやっていると批判的な思考がどんどん磨かれていく。
こいつが育ってくると、自分がこれからやろうとしていることや、それに関する文章や発表などについても批判的に眺めることができる。
その批判をかわすためにどうしたらよいか考えることができれば、それはロジカルな思考そのもの。
これはレポート課題や卒論でもみがくことができるが、レポート課題に関しては続編の書く力に、卒論に関しては研究をしようシリーズで詳しく書くのでそっちを参考にしていただきたく。

これね、大事なわりに、この方法がよい、というのや、この本で学べる、というのがない。
大学にいる間に意識しつつ、もがきながら、学業活動の総体として学び取ってもらいたい。
がんばれ。




ロング露光で遊んでみた。
川崎の工業地帯か。


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2018/08/25 18:47
のんびり中。
定番駅前ドトールにて。


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Update 2018/07/14
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病弱児等の生理・病理・心理2018(鳥取大学)

授業内容


第1回 オリエンテーション【資料電子版UP済】
    病弱の概要(1)(10/3)
第2回 病弱の概要(2)(10/10)【資料電子版UP済】
第3回 身体の構造と機能(1)(10/17)
第4回 身体の構造と機能(2)(10/24)
第5回 身体の構造と機能(3)(11/14)
第6回 身体の構造と機能(4)(11/20)【資料電子版UP済】
第7回 循環器系の生理と病理(1)(12/5)
第8回 循環器系の生理と病理(2)(12/12)
第9回 循環器系の生理と病理(3)(12/19)
第10回 循環器系の生理と病理(4)(12/26)
第11回 循環器系の生理と病理(5)(1/9)【資料電子版UP済】
     呼吸器系の生理と病理(1)
第12回 呼吸器系の生理と病理(2)(1/23【資料電子版UP済】)


2/16(土)に集中形式で3コマ授業を実施予定。

 


関連情報


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病弱児等の生理・病理に関する役立ち情報
病弱に関する役立ち情報


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Update 2019/01/12
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病弱児等の教育課程と指導法2018(鳥取大学)

授業内容


第1回 オリエンテーション(10/3)【資料電子版UP済】
第2回 病弱の概要(1)(10/10)【資料電子版UP済】
第3回 病弱の概要(2)(10/17)【資料電子版UP済】
    病弱教育の歴史と現状(1)
第4回 病弱教育の歴史と現状(2)(10/24)
第5回 病弱教育の歴史と現状(3)(11/14)
第6回 病弱教育の歴史と現状(4)(11/20)
第7回 病弱教育の実際~院内学級(12/5)
第8回 病弱教育の歴史と現状(5)(12/12)【資料電子版UP済】
    代表的な疾患と指導上の注意~糖尿病
第9回 代表的な疾患と指導上の注意~腎臓疾患(1)(12/19)
第10回 代表的な疾患と指導上の注意~腎臓疾患(2)(1/9)
第11回 代表的な疾患と指導上の注意~呼吸器疾患(3)(1/23)【資料電子版UP済】


休講情報:4回分休講。
12月9日(日)に1日使った特別講義4コマ分を実施。

 


関連情報


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病弱に関する役立ち情報


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Update 2019/01/31
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障害児等病理学特論2018(鳥取大学・院)

授業内容


第1回 オリエンテーション(10/5)【資料電子版UP済】
第2回 神経系の基礎(1)(10/12)
第3回 神経系の基礎(2)【資料電子版UP済】(10/19)
    発達障害の基礎(1)
第4回 発達障害の基礎(2)(10/26)
第5回 発達障害の基礎(3)(11/2)
第6回 発達障害の基礎(4)【資料電子版UP済】(11/7)
    自閉症の基礎(1)
第7回 自閉症の基礎(2)(11/16)
第8回 自閉症の基礎(3)(11/21)
第9回 自閉症の基礎(4)(12/7)【資料電子版UP済】
第10回 担当テーマの調査とまとめ(12/14)
第11回 テーマ発表①~DCD,LD(1/11,予定)
第12回 テーマ発表②~SST(1/16,予定)
     LDの基礎(1)
第13回 テーマ発表③~言語発達,ADHD(1/25,予定)
第14回 テーマ発表④~起立性調節障害ウィリアムズ症候群or応用行動分析(2/1,予定)
第15回 テーマ発表⑤~境界性パーソナリティ障害(2/8,予定)
     LDの基礎(2)

 


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障害児等病理学特論に関する役立ち情報
発達障害に関する役立ち情報


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Update 2018/12/27
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本の紹介,「それでも、日本人は「戦争」を選んだ(加藤 陽子(著),新潮文庫)」

それでも、日本人は「戦争」を選んだ
加藤 陽子(著)
難易度:☆☆


この時期には戦争物をいくつか読むようにしている。
で、今年読んだうちのひとつがコイツ。
これが、本当によかった。
今年読んだ本の中で、1番のアタリかもしれない。
そんな本。
著者の加藤陽子さんは近現代史の専門家で、昭和初期の政治や国際情勢に詳しい。
彼女の本は過去にいくつか読んだことあるのだが、この本はその中でも特にによい。

この本では、明治以降日本が経験した5つの戦争について、国際情勢や国内政治などをもとに、なぜ起きたのか、何を得たのかなどを詳説する。
これがとてもおもしろいくて、わかりやすかった。
教科書のような書き方ではない。
まず、日記も含めたさまざまな記録などから事実をひとつひとつおさえる。
場合によってはキーマンの思想にまで迫る。
その上で時間の前後を比較しながら、確からしいものを選んで行く。
そうすると、ああこの戦争はこんな背景でこんな風に突入して行ったんだな、ということがわかる。
そんな感じで展開していく本。
近現代史の歴史研究とはこんな感じで進めるんだろうなぁ、というのがわかる本でもある。
それがまた、すごくおもしろいのだ。

さて。
僕がこの手の本を読むのは、主に以下の3点が知りたいから。
(1)戦後誰もが無謀と認識する、世界を相手にした戦争はどうして起こったのか
(2)開戦時点で指導者はどうやって終わらせる気だったのか
(3)明らかに負けが確定した後の1年弱、なぜ戦争は続いたのか
このうち(1)と(2)については納得できる答えがあった。
戦争を扱った近現代史の一般書は、読み終わったのに結局なんで戦争に至ったのかよくわからないことがあるが、この本ではかなり深い次元で理解することができる。
一つも答えがなかったり、納得できない理由だったりする本も少なくないので、かなりの良書。

この本では序章として、近代史を学ぶ意義が書かれていて、コイツもまたよい。
戦争とは何か。
その根本的な問いに対して基本原理を説いていく。
戦争は敵対する国家の憲法に対する攻撃という形をとる、というルソーの考えや、戦争の犠牲者数が多いと戦後社会が変わる、という考えは、なるほどなと思った。

ちなみに。
この本は歴史好きな高校生相手の講演をまとめたもの。
そのため、語り口調の文体で堅苦しくなくよめる。
時々生徒さんとのやりとりもあって、ここもなかなかのポイント。
理解が深まるのもそうなのだが、
なかなかこの高校生たちがやるのだ。
おお、そんなの答えちゃうか、というようなやりとりが見えて、感心するやら驚くやら。

戦前の歴史は現代に通底している部分もあって、現代社会を考える上でもなかなか勉強になる。
歴史的な視点を持って現代社会をながめるとまた違った何かが見えてくるのだよね。
現代人の教養として、たまにはこういう本もいかがでしょうか。
かなりオススメな1冊デス。




ぼ、ぼく、ネコ太郎です。
ウソです。名前は知りません。
都内某所にて。



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Update 2018/08/20
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太平洋戦争のお話

僕は時々戦争の本を読む。
これには理由がいろいろあるのだが、一番はなぜ戦争をするのかよくわからないから。
これを知りたくていろいろと本を読むのだが、なかなか答えには行きつかない。
戦争をする、犠牲の大きさに嫌になる、戦争はダメなものと認識する。
でも、なぜか再び繰り返される。
歴史をながめているとずーっとこうなので、歴史を深く読んでいけば何か見えてくるのではないか、と思っている。

が、今回は戦争の中でも、特に太平洋戦争の話。
この戦争については大変不思議に思っている。
この戦争、現代の多くの人が無謀だと考えている。
なのに、戦争に突入して行った。
なんでなんだろうか。
昔からものすごく不思議でたまらないんだ。
時の指導者はどうやって戦争を終わらす気だったのか。
目的はいったいなんだったのか。

ただ、これ。
読んでも読んでもよくわからない。
だいたい、時の指導者は米国の高い工業力を知っていたフシがある。
短期的にはおせるが、長くは難しい。
開戦前からそう考えている中枢の人はいたらしい。
英米留学組もたくさんいて、その人たちは当然そういう意識だったとか。
それでも戦争に突入する。
しかも、どうやったら勝ちとするのか、その戦略がよく見えないんだ。
かろうじて、ドイツが勝つことで日本も勝つ、という細い筋のストーリーがあったようなのだが、あまりにも希望的すぎる。

さらにわからないのは、なぜ戦争が続いたかということ。
特に最後の1年は勝ち目のない不必要な1年だったと思っている。
なぜかというと、終戦1年前の1944年6月マリアナ沖海戦というので日本海軍は空母全部を失い、南太平洋の制海権も制空権も失っていたから。
こうなると、この地域に侵攻されて基地が建設されることでB-29の航続距離内に入り本土が爆撃されてしまう。
この時点で反撃の糸口にどんなものがあったのか、多くの歴史書を開いても出てこないし、戦略のないかなり苦しい作戦ばかりが展開されていく。
頼みのドイツはどうかといえば、この時点で劣勢で翌1945年5月には負けてしまう。
この時点で勝つシナリオはないわけだ。
それでも戦争はダラダラ続いていく。
空襲で多くの街が焼け野原にされ、沖縄を攻められ、原爆を2つも落とされ、満州に攻め入られ、下手をすれば戦後我が国が北と南に別れてしまいかねない状況に陥る。
国内での戦争犠牲者の多くが最後の1年半に集中していたらしいので、続けても意味のない戦争のせいで犠牲者が増えたとも言える。
そんなわけだから、特に後半の戦争がなぜ続いたかの理由を知りたいと思っているが、今のところ合理的な理由にはたどり着けていない。
見通しが甘い中で戦争につながる様々な出来事が積み重ねられ、失敗に気づいても後戻りや修正をせず、最終的に大した覚悟も戦略もなく戦争を始めたら、やめられなくなってしまった。
今のところ、そんな風にあの戦争を捉えている。

あの戦争のことを考えるのは、純粋な興味からだけではない。
戦争が悪いという意識が共有される中で戦争が繰り返されるということは、戦争には何か原理のようなものがあって起こりやすいものなのではないか、と思っているから。
もしそうだとすれば、現代にだって起こりうる。
そういう意味では学ぶべきよい教材。

あの戦争は軍部が悪い的な論を聞くことがあるが、僕はそれだけではないと思っている。
あの時代、大正デモクラシーがあり、限定的ながら民主主義は導入されていた。
世論を全く無視ということはやはりできないはずで、そんな仕組みの中で少しずつ戦争に向かっていったということは意識しておかなければいけない思っている。
例えば、軍国主義に利用される治安維持法なんかは政党政治の下で誕生している。
もともとは共産主義を防ぐための法律だったが、これが別目的で使われていくわけだ。
のちの戦争の引き金のひとつになる満州事変にしても、新聞は軍部支持が多かったという。
新聞の先には国民がいる。
読者に支持されない論調の記事は書きにくいことを考えてみると、当時の世論がどんなものだったか想像できる。
ドイツのナチスだって、民主主義の仕組みの中から誕生しているわけだしね。

今の日本は民主主義で動いているわけなので、最終的には僕ら一人一人に責任があるはず。
それに民主主義な現代でも気を抜くと戦争は起きかねない。
まあそんなわけで、たまには歴史に学んでおくのも悪くないんじゃないかな、というお話。




銀座かな。


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2018/08/21 12:17
休憩中。
鳥取市内にて。


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Update 2018/08/21
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研究をしよう No.1 はじめに

卒論生・修論生、ゼミ、研究系の実習の授業で、研究ってなぁに?論文ってなぁに?という話をよくする。
せっかくなのでその話を記事としてまとめてみようと思う。
なるべくどの分野にも通じるようなことを書くつもり。
ただ、ボクもせまい専門分野で生きている人間で、あらゆる専門分野に精通しているわけではないので、ある分野ではちょっと違うというようなことを書いてしまうかもしれない、というのはあらかじめお許しいただければうれしい。

内容としては、研究論文とは何か、検索の方法などのテクニカルなこと、論文の読み方、その他大切なことをトピックごとに書いて行く予定。
ボクの教えている学生さんをはじめ、研究がなんだかようわからんという学生さん、研究に興味あるそれ以外の方にも読んでいただき、なにかの役に立てたらいいな、と思っている。




工場地帯って、なんか好きなんだ。
川崎の工場地帯にて。


研究をしよう 2 へとつづく


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2018/07/19 23:39
そろそろ寝ようかという頃。
自宅にて。


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Update 2018/07/19
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