週刊雑記帳(ブログ)

担当授業や研究についての情報をメインに記事を書いていきます。月曜日定期更新(臨時休刊もあります)。

社会人になった君たちへ

学校を卒業して、多くの人は雇われて働くことになる。
今回は、そんな雇われ新社会人に向けて書く。
なんと言っても初めての社会人、労働者。
雇われたらやっておいた方がいいこと、というのがあるのだが、知らないことが多い。
で、トラブった時に損をすることになる。
そうならないように、労働者としてやっておいた方がいいことをいくつかアドバイスしておく。
入った職場がブラックなことはたまにあるし、全体としてはホワイトなんだけどその部署がブラックな場合や特定の人が職場をブラックに変える、というのはある。
ブラックにやられたあとでは、エネルギーが切れて何もできないことが多いので、元気なうちに準備をしておきたい。
何度も言う。
どんなホワイトな職場でも、ある日急にブラック化することはある。
そのことは肝に銘じておいてほしい。

働き始めたらやっておくこと1:書類の保管

入社すると「労働条件通知書」というやつをもらう。
これは労働基準法で義務づけられている書類で、労働契約のうち重要事項が記載されている。
この書類は必ず保管しよう。
トラブった時にものすごく役に立つ。
この書類は会社と自分が結んでいる雇用の契約(約束事)が載っているもの。
どんな契約で働いているのかは一度確認をしておきたい。
また、職場について何かおかしいな、と感じた時に、この契約が守られているかを確認したい。

就業規則も大事。
手に入れておきたい。
就業規則は労働契約のうち、細かな部分を定めたもの。
トラブった時に、就業規則がどうだったのが、解決に役に立つことがある。
トラブった上で辞めた(解雇、自己都合退職とも)場合、あとから就業規則を手に入れるのは難しくなるので、早めに手に入れて保管しておきたい

これらの書類については、トラブって辞めてしまってからでは手に入らないと思った方がいい。
備えあれば憂いなし、と思って備えたい。
まあもちろん役に立たないのであればその方が望ましい。

ここで重要なことは、契約関係の書類を保管しておこう、ということ。
契約に反していたら文句を言おうということではないので、そこは間違いのなきよう。
文句を言う、というのは、たとえ正当であっても慎重さが必要。

組合に入っておく

職場に労働組合があるのであれば、入っておくのが無難。
労働契約というのは契約なので、一般の契約と同様で、当事者同士は対等な関係で結ぶものである。
ところが、会社と労働者なんて力関係的に対等なわけがない。
そこで対等性を実現するために法的に用意された仕組みが労働組合である。
我が国の労働法制は、労働組合を前提に整備されている。
法律上もかなり手厚く保護されており、雇い主はないがしろにすることができないようになっている。
労働者が組んで団体で会社とやりとりするための仕組みと考えていただければそんなに外れない。
ハラスメントがあったり、会社に契約違反があったりすれば、会社に改善を働きかけたりもする。
団結することで、よりよい処遇を実現する話し合いをすることもあるのだが、ここでは趣旨とズレるので書かない。

この労働組合
基本的には、加入者同士が役割を果たしながら相互に助け合う互助会・自治会的な性質を持つ。
よって、入っていなければ何かあった時に助けてもらえない。
助けてもらえることもあるが、それはちょっと虫がいいハナシ。
そんなわけだから、自分を守るためにこれに入っておいた方がいい。
上司と部下の関係とはちょっと違う結びつきになるし、お得な情報をもらえたりもする。

なお、労働組合は給料あげて、待遇改善して、よりよい職場環境を実現して、ということを使用者に働きかけるという役割もある。
組合が強くなると、待遇は良くなり、組合が弱くなる(なくなる)と職場はブラック化しやすい。
そういう意味でも、入っておきたい組織である。

おかしいと思ったら記録

おかしいと思ったら、とにかく記録を残すのが大事。
勤務時間については、例えば職場のメールから自分のメールに、出勤・退勤のメールを送っておくと記録になる。
無理なら、職場を出る時に自分のプライベートメールから自分宛にメールをするのでもいい。
メールで残せないものはノートとかでもいいので、忘れないうちに記録に残しておこう。
なるべく客観的に、外の人に見せるつもりで記録を残すというのは大事。
使うか使わないからあとから決めるとして、おかしいと思った場合にはこれをやる。
記録は身を助ける。

外の人に相談する

仕事関係でトラブった場合、まずは自分で、そのあとは身近なところ、と手順を踏んで相談していくことが多い。
ただ、これで解決しない場合、なるべく早く外の人に相談したい。
労働関係のトラブルは精神的にもかなりやられるので、本当にどうしようもなくなった時には、自分の状態もボロボロで冷静な判断ができなくなっていることも多い。
ブラックな職場な場合、違法なローカルルールが常識化していて、もはや何が正しくて何が間違っているかすらわからん、ということになることもある。
こういう時、外の人の冷静な意見は役に立つ。

相談相手はプライベートな知り合い、弁護士さん、行政担当者の3者がある。
まずオススメがプライベートな知り合い。
できるだけ社会人経験豊富な年上がいい。
親との関係が良好なら親は悪くない。
小中高大の時の教員で信頼できるのがいるなら、そこでも構わない。
自分に何が起きているのかを整理するために、一旦第三者からアドバイスをもらう。
話すだけでも楽になるし、自分の状態を客観視できて次の対策を考えることもできるかもしれない。

トラブルがいよいよ本格化した段階で僕が一番おすすめしているのは、弁護士さんに相談すること。
法律相談は1,2万円もあればできるので、論点を整理した上で保管書類や記録を持って相談する。
弁護士さんというのは法律に基づいて紛争を解決するプロで、様々な紛争を経験している。
どういう解決策があって、どんなメリット・デメリットがあるかまで提示してくれる。
様々な事例をもとにしたデメリットの提示というのは、法律家にしかできないもので、今後どういう対応を取るか、というのの参考になる。
労基署などの行政の動かし方も知っているので、まずは弁護士さんに相談というのはわりとオススメしている。

で、最後が労基署などの行政。
明らかにあかん場合は、行政指導という形でなんとかしてくれることもある。
ただ、公権力を行使することになるので、法的に明らかなダメな点と保護しなければならない必要性がないとなかなか動いてくれない。
公的な機関が力を行使するということに間違いがあってはいけないので、それは仕方ない。
なので、この点も含めてまず弁護士さんに相談してみる、というのがいいと思っている。

また、トラブっている時は、職場からなんらかの重要な決断を迫られることがある。
例えば、自主退職、労働契約変更などがある。
こういうのにサインをしてしまうと、あとからではなんともならないことが多いので、この時点で弁護士さんと相談しながら決断する、というのがいい。
何度も言う。
弁護士さんは紛争のプロで揉め事には強い。
依頼者である限り完全な味方である。
お金はかかるが、十分ペイする。

労働法を知っておく

何かあった時に法律は自分を守ってくれる。
ただし、弱者を自動的に守ってくれる、ということはない。
法律は知っている者だけが使える武器や防具といった道具であり、知らなければ使いようがない。
これは労働法だって同じ。
と、いうわけで、問題のない平時にこそ、さっとでいいから労働法を学んでおきたい。
労働法を学ぶには、以下の記事が役に立つので参考にしていただいて。
労働法を読む

では今回はこの辺で。
また。




都内にて。

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2025/04/03 21:09
出張中の宿で書いている。
札幌市内にて。



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Update 2025/04/03
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