ヤンキーと地元 ――解体屋、風俗経営者、ヤミ業者になった沖縄の若者たち (ちくま文庫)
打越 正行(著)
難易度:☆
すごい本を読んだ。
Twitterの社会学界隈で評判になっていて、気になって読んでみたのだが、とにかくすごい本だった。
著者の打越さんは僕の1つ歳上の社会学者。
研究手法としては、ある社会の中に入り込んで、関係性を作りながら観察を行うというもの。
参与観察と呼ばれる。
数字を用いて研究を行う量的研究に対して、内容の質で研究する質的研究の1つ。
参与観察は心理学でも用いられる手法で、関係性を築くことでしか得られない何かに迫りたいときに使用する。
この本では、その手法を用いて、暴走族やヤンキーといった、アウトローではないがやんちゃしている若者の社会に迫る。
そもそも、研究したい対象がいる場合、学生の場合は指導教員から対象を紹介してもらうことが多い。
が、この本は、のっけから違っていた。
たむろしている暴走族のメンバーに近づいてき、仲間に入れてくれないか、と頼みに行くのである。
ぶっ飛んでいる。
このエピソードは卒業研究のため、と書いてあったので、大学4年生の頃から単独でそういうことをやっていたらしい。
打越さんは地方国立大出身なので、僕が教えている学生や僕自身と属性がそう変わらない。
すごい行動力だなぁ、と本の冒頭から関心した。
その後、パシリになってその立場から参与観察を行うという手法を確立する。
大学院生になり、沖縄の暴走族に近づき、関係性を築いては調査を行う。
警察に職質されたり、連れて行かれたり、とそういうエピソードには事欠かない。
なんといっても、暴走族の走りに自分もメンバーのステッカーを貼ったバイクでついていくのだから、警察からすると何者?となる。
当の暴走族のメンバーからも、警察の内偵者ではないかと疑われたりしながら、最終的にはそうではない、という信頼を得てパシリの立場から参与観察が行えるようになる。
それにとどまらず、暴走族として夜やんちゃしている彼らが昼何しているのかが気になり、彼らが働く建設現場に自分も労働者として入り込み、彼らの社会を明らかにしていく。
他にも、風俗経営の現場、ケンカ、などなど、様々なフィールドに潜り込む。
それらから見えてくる、あまり描かれることのないヤンキーの社会がとてもおもしろかった。
これ、できる研究者はなかなかいない。
社会学や心理学、教育学あたりを学んでいる学生や隣接研究者にオススメ。
教員や児童福祉の現場で働く人、それらを含めた子どもに関わるフィールで働こうとしている学生にも読んでほしい内容。
研究とは何かを知りたい学生や一般の人、文系の研究について触れてみたい理系の人なんかも楽しめるか。
平易な記述であるため、上記の人たちだけでなく、教養の書として誰でも読むことができると思う。
本当におもしろい本だった。
ぜひたくさんの人に読んでほしい。
では、今回はこの辺で。
また。
甲子園の時期っすなぁ。
-----
2025/03/20 18:23
今日は春を分ける日。
鳥駅スタバにて。
Update 2025/03/20
Since 2016/03/06
Copyright(c) Hisakazu YANAKA 2016-2025 All Rights Reserved.