週刊雑記帳(ブログ)

担当授業や研究についての情報をメインに記事を書いていきます。月曜日定期更新(臨時休刊もあります)。

知らないことを知る方法

何年間も書こう書こうと温めていたネタ。
何度も書きかけてはポシャってきたのだが、今回こそと思って書き始めた。

知らないことを知る。
知らないことを学ぶ。
そんなの知ろうと思うこと、学ぼうと思うこと全部に当てはまるじゃんか、と思われる方も多いと思う。
では、表現を変えてみる。
分野の存在すら、トピックの存在すら知らない事柄について知る、だとどうだろうか。
事柄があることは知っていて、興味や注意、優先順位が低い、というものは結構あるが、そうではなく、そもそも存在することすら「知らなかった」ことを知る方法、と言ってもいい。
知らないわけだから、知るためのアクションを起こしようがない。
結構難しいと思わないだろうか。
しかし。
自分の生活・行動の範囲は限られることから、そういう分野の方が多い、というのも事実。
そして、知らないことの中に、とっても大事なもの、とってもおもしろいものが転がっているのもまた事実である。
でも、知らないわけだから知りようがない、という矛盾にぶつかる。
どうしたらいいのだろうか。

受動的な情報、能動的な情報

何かを知るとき、受動的に受け取る情報と、能動的に掴み取る情報がある。
ここではそれぞれを、受動的な情報、能動的な情報と呼ぶことにする。
能動的な情報とは、極端にいうと自分で探しに行く情報のことを言う。
よって、その情報が存在することもしくはありそうなことを知っている必要がある。
一方で、受動的な情報。
こいつは、情報の発信者に情報選定を全て委ねるような情報ということになる。
この受動的な情報、能動的な情報というのは完全なものは少なく、どちらかといえば能動的、受動的、といったものが多い。
そして、完全に能動的、受動的な情報は少なく、特に完全に受動的な情報というものはなかなかない。

例えば。
自分は心理学を勉強したいんだ。
そこで、心理学の一般書を読もう。
これは、能動的な情報の取り方ということになる。
ただ、完全に能動的かと言えば、そうとも言い切れず、図書館の配架や教員のおすすめ、Amazonの評価など、多少受動的な部分もある。
心理学の一般書にのっているものは、著者の選択した範囲のトピックしか載っていないため、この部分も受動的と言えるかもしれない。

では、受動的な情報はどうか。
友人としゃべっていて、偶然出てきた全く知らない話題に興味を持った。
これは受動的な情報といえよう。
これを足がかりに能動的に情報を得るというのはあり得る。
授業の中で全く知らないことを教員が言っていて、初めてその事柄を知った、というのもこれにあたるか。
ただし、これらも完全に受動的か、と言われればそうも言い切れない。
友人は趣味趣向が似ていることが多いし、授業も元々何らかの興味を持って履修していることが多い。
全く存在も言葉も知らないことについての授業を取ることは、選択科目ではあまりないと思う。

ここまで読んだみなさまは、知らないことを知る方法として、受動的な情報の取り方がキーとなることは何となくわかることと思う。
しかし、完全に受動的な情報というのを取るのはかなり意識しないと難しい。

現代社会は能動的な情報が過多

現代社会は、ITの普及によって能動的な情報がかなり多くなっている。
例えば。
ネット検索なんかは最たるもの。
自分でキーワード入れて検索しているわけだから、能動的な情報そのもの。
いやいや、でもそれはネットで偶然目にして、、、だから受動的なんだ、という意見もあろう。
が、ネットで目にしたものは本当に受動的なのだろうか。
これはかなり怪しい。
と、いうのも、ネットは検索や閲覧の履歴を元に、ユーザが興味を持ちそうな情報をあげてくる。
よって、自分の興味の範囲内にある、知らない事項、の可能性が極めて高い。
全く知らないことが引っかかってくることはかなりレアである。

SNSはどうだろうか。
これも同様。
そもそも、フォローする情報を自分の興味に基づいて決めている。
その上で、SNSのシステム側が、ユーザが興味持ちそうなものを選んで表示する。
だから、かなり能動的な情報の取り方になっている。
これはYouTubeなどでも同様。
1回見た映像に似た情報ばかり、永遠に流れてくる、というのは経験したことがあるだろう。

これらは全て、受動的な顔をしながら、実は能動的な情報であることを意味する。
つまり。
ネット社会である現代社会においては、能動的な情報であふれているということ。
知らない情報を知っているようで、実は興味ある分野の情報に限定されている、ということは意識しておきたい。

受動的な情報を意識する

知らないことを知る方法、という、本記事の本旨に戻る。
これは、受動的な情報を意識して取る、ということに尽きる。
ただ、ネット上の情報がすでに自分の興味関心に偏っている、というのが前項で述べた通り。

では、どうするのか。
これは、今でもネットが発達する以前の古いやり方が役にたつ。
情報の選定から何から何まで、他者に委ねるというやり方。
次項以降いくつか紹介するが、基本的に自分の知識や興味の影響を避ける、という方法を選択することに尽きる。
で、知らないことを知ったら、あとはその事柄を能動的に仕入れる。
こうすることで、知らないことを知っていくことができる。

オールドメディアを活用する

新聞・ニュースなどのオールドメディアは、受動的な情報を得るツールとしては適していた。
ただ、ここでいうのはネットで記事単位で入手する情報のことは言わない。
新聞であれば、紙面構成されているその紙面全体、ニュースであれば番組全体を指す。

例えば。
新聞の朝刊・夕刊といった紙面は、知らない情報で満ちあふれている。
1つ1つは知っていること、興味あるものもあるのだが、全体で見ると、全く知らないこと、興味の範囲外のこともたくさんある。
毎日でなくてもいい。
定期的に紙面について最初から最後まで目を通して知らないことをチェックする、というのは、知らないことを知る方法としてはかなり役に立つ。
紙面には新刊書評コーナーなどもあり、そこから未知の本をあたる、といったこともできる。
日曜日だけコンビニで新聞を買う、電子版の新聞購読をして特定曜日だけ意識して隅から隅まで読むようにするなど、さまざまなやり方が考えられる。
大きなニュース番組でも同じような使い方ができる。
最初から最後まで見る・聞くことで、「知らないこと」への感度が上がる。
もちろん、ニュース番組や新聞社によって、情報の偏りが出ることは否めない。
その点では、どれを選ぶかの時点で能動的な側面もあるのだが、それでも全体から情報を取ることで受動的な情報をかなり取ることができる。

僕のおすすめは、NHKのラジオで、朝のニュース番組か19時のニュースとその直後の掘り下げ番組、22時の1時間のニュース番組。
かなり、色々な情報が登場し、知らないことを知ることができる機会が多い。
出てきた著名人の名前を押さえ、その人の著書を読むというのもオススメ。
いずれも、NHKラジオらじるらじるというアプリで、オンタイムでなくても(過去の放送として)聴けるのがいい。
家事をしながら、通勤通学やその準備をしながら、など、ながら聴きで聞き流して受動的に情報を取る。
無料の情報としては、かなりの質だと思う。
本の紹介などもしていることがあり、それをメモして読むなんて使い方もできる。

受動的な情報という意味では、オールドメディアはネット・SNS等のニューメディアにいく段も勝る。
ぜひ活用してほしい。

推しを活用した受動的な情報源を作る

推しを作るという時点で、能動的な側面は避けられないのだが、それでもこの人は知らんこといろいろと教えてくれるなあという個人はいることと思う。
個人でなくて、グループや媒体でもいい。
そういう人などを推しとして、ウォッチしておき、そこから受動的な情報を仕入れるという方法もなくはない。
オールドメディアほどではないが、「知らないこと」にアクセスすることができる。
オールドメディアに比べると、偏りや情報の確度で劣るという点では注意が必要なものの、ニューメディア世代にはお手軽で受け入れやすいと思う。

問題は、推しを作る時点で、能動的になっているという点。
間違うと、単なる能動的な自分の興味の範囲内のことを知るツールとなってしまう。
いかに偏りをなくし、「知らないことを知る」という推しを作るか。
この辺りにかなりの技術がいる、ということは意識しておきたい。
最初のうちは、やはりオールドメディアを活用する前項の方法の方がオススメ。

本屋・図書館の新書コーナーを活用する

本屋や図書館の新書コーナーに行く。
そして、タイトルを眺め、「全く知らない」を基準に選書する。
何じゃそりゃ、というくらい、全然知らないものがいい。
毎回だとしんどいので、選ぶ本の1−2割をこうする。
これによって、「全く知らない」事項を、わりと深く知ることができる。
新書クラスの難しいところは、読む技術を磨いている途上にある読者の場合、難しすぎて途中であきらめるということが発生するところか。
読書仲間や、何でも聞けるご意見番みたいな人を用意しておいて、なんで??となったら仲間やその人に聞きに行く、というのも手。

なお、新書以外に、叢書や選書といったちょっと深くなった書籍や、岩波ブックレットのように時事ネタをスポット的だが少しライトに扱うシリーズもオススメ。
僕は、岩波ブックレットのタイトルを定期的に眺めて、「知らない」を基準に連れてきては目を通す、ということをやっている。
わりと勉強になる。
世の中知らんことだらけだということを実感する日々。


おっと、いけね、長くなった。
だいたい書きたいことは書き切ったので、今回はこの辺。
追加の記事はあるかもしれない。
ではまた。





横浜の有名なところ。


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2025/02/23 19:31
コーヒーを飲みながら。
鳥駅スタバにて。



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Update 2025/02/23
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