授業で呼吸器のことをしゃべった時のこと。
鼻から喉の構造をしゃべり、喉の中で気管の直前にある構造の話をした。
喉頭という部分で、ここには声帯というものがある。
ここはね、2つのひだを振るわせて声の元を作るんだよ、と説明した。
唇をギュッと閉じ、その上で思いっきり空気を外に出す。
すると、ぶーって音が鳴る。
このような原理で、喉の声帯は音を作り出す。
この時、弦楽器と一緒で、声帯を強く引っ張れば高い音がなり、緩めれば低い音になる。
そもそもの長さが長ければ、これも弦楽器同様、低い音になる。
こんな話をした。
すると、その回のリアクションペーパー(授業の質問)に以下のようなものがあった。
声を高くしたり低くしたりすると、喉仏が上がったり下がったりするが、なぜか?
ほほう。
知らんぞ。
まあ、声帯を引っ張る筋肉のつき方と、その構造と動きで喉仏もそう動くんだろうな、というのは予想がついた。
しかし。
喉仏が声の高低で上下するというのは知らなかった。
こういう場合。
僕はまず本当か確かめるために自分で観察する。
研究室を出て最寄りのトイレ(共用)の鏡の前に行き、喉あたりを見ながら、
「あー、あ〜↑、あー↓」
などと声を出してみる。
見るのだが、どうも喉仏が見づらい。
動いているのか、動いていないのか、以前に、喉仏自体がよくわからない。
手で喉のあたりを触るとそれっぽいものがある。
これを触りながら、
「あー、あ〜↑、あー↓」
とやると、どうも動いている。
しかし。
解剖書を見ると、これが喉仏なのか、その下の軟骨なのか、これが判然としない。
本当に、声の高低で喉仏が動いているのか、その事実自体が正しいのか押さえられない。
そこで、今度は、共用スペースにいた声の低いお兄さんをつかまえる。
「あの、ちょっと横を向いて、外を向いてください。あ、そう、そんな感じ!ちょっと上を向いて。」
うーん、はっきり喉仏が見える。
声を出してもらうと、ちゃんと動く。
しかし、声の高低変えた実験までは頼めず。
この時点でだいぶ不審者然としている自覚はあって、あと一歩が踏み越えめず。
ただ、事実として横を向くと喉仏が観察でき、動きも見ることができることはわかった。
自室に戻り、自分の喉を触りながら、再び、
「あー、あ〜↑、あー↓」
ふむー。
そこに。
コンコン。
同僚の先生の登場である。
やった、彼なら頼める。
そこで、横を向いてもらい、喉仏を捕捉。
「あーって言ってみてください!次は高い音で、あ〜、そうそう!じゃあ次は低く!」
確かに動いている。
高くすると、下に動く。
低くすると上に動く。
事実であるようなので、解剖の構造から考えればよい。
問題はほぼ解決した。
で。
ついでに。
その同僚の先生に、僕の喉仏が動くかも観察してもらった。
「あー、あ〜↑、あー↓」
僕:「僕のも動きました??」
同:「ないですね。」
僕:「え??」
同:「喉仏。」
僕:「え???」
同:「喉仏、ないですね。」
僕:「え!!!」
と、いうわけで、声が変わってから約30年の月日を経て、自分の喉仏がない、ということがわかった、というオハナシ。
極めて何の役にも立たないシリーズでありました。
確かに声、高めだからなー。
低いイケボに憧れるなー。
では、また。
雪の鳥取の一コマ。
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2025/02/02 18:47
日曜日が暮れていくよ。
鳥駅スタバにて。
Update 2025/02/02
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