いよいよ卒論も追い上げ。
もうじゃんじゃん書きたい。
でも、書けない。
大昔に、論文を書くという記事を書いたのだけど、あれを読んでも書けない、いう人はいると思う。
今回はそういう人たちに向けて、ちょっとしたヒントとやったほうがいいことを。
次回、卒論添削頻出事項を書いてみたいと思う。
なお、このシリーズはレポート課題をこなす大学生・高校生全般にとっても役にたつことと思う。
ぜひ、卒論生以外も読んでいただいて。
方法から書いてみる
何から書いたらいいかわからない人におすすめなのが、方法から書く。
方法はやったこと、もしくは今やっていることをそのまま人に説明すればいいので、お手軽にかける。
その分野の学術雑誌についてはここまでに詳しくなっているはずなので、それらを手元におく。
で、それらの論文ではどんな項目が共通に書かれているか、そのあたりから記載されているかを把握する。
あとは自分のやったこと、やっていることを記載していくだけ。
方法というのは対象がはっきりとしているので、言語化も1番容易なもの。
言語化・書く技術に長けた人ならわりとサッと書けるハズ。
今、調査等真っ最中な場合は、調査終了時にならないと書けない数字などは「xx」などの伏せ字にして、調査終了時に記入するといい。
例えば、以下。
研究協力者の人数は男性xx 名、女性xx名(平均xx ± 標準偏差xx 歳)であった。
言語化・文章化の技術としてはそんなに高くないので、この段階で早めに指導教員に見せて赤入れしてもらうと、少しずつ書く力が上がり、別の箇所を書くときに役にたつ。
方法に何を書くかについては、読者が研究を真似して再現の検証が可能にするため、というのが1つの基準となる。
あとは、論文を読む〜方法前編、論文を読む〜方法後編に書いてあることが参考になるか。
方法のあとは結果も書ける。
やっている最中のもの、やる予定の分析について、伏せ字で書いてしまい、ちゃんと結果が出てから正式な数字を書く。
図表についても、ここにこんなのを入れる、というようなメモ書きを書いておく。
例えば、
分散分析の結果、Aの主効果が有意〜云々〜であった。
(ここに表2←平均値と標準偏差、優位差がわかるやつあとで作る)
のような感じで。
書きながら、結果の書き方、図表の作り方については、別記事が必要だなぁと思ったので、これについてはいつか書こうと思う。
段落等の構成を考える
次はイントロ・考察。
ここが書けない人が多い。
基本的に何を書けばいいかわからない状態で書くのは難しい。
そこで、1つ1つの段落で主張したいこと(以下、メッセージと書く)をまず書く。
これはシンプルなほうがいい。
その上で、これらの段落のつながりはおかしくないか、つまりロジックの構造を考えていく。
これ。
研究をしようのヘビーな読者はどこかでみたことある、と感じた方もいるのではないだろうか。
そう、これ、研究計画を立てよう(前編・後編)で書いたことと同じ。
具体的なことはこれらの記事と研究計画を立てる〜実践編あたりを参考にしていただいて。
1つ1つの段落で書くことが決まったら、実際に段落のメッセージを文章にしていくという作業に入る。
これについては、次の項目で詳しく書く。
もちろん、研究計画がしっかり立てられている人はこの作業はいらない。
なお、1つの段落のメッセージが決まったら、全体の段落メッセージが全部完成しなくても書き始めてしまっていい。
書くことは考えることでもある。
書いているうちに、別の段落のメッセージが浮かんできたり、今書いている段落のメッセージが変わったりする。
その都度、段落のメッセージを書き換えた上で、段落・論理構造を吟味すればいい。
なお。
段落のメッセージについては、段落の頭で明示しておき、論文が完成するまでは消さないほうがいい。
書いているうちに段落のメッセージがわからなくなる、というのはよくあること。
何を書きたいのか、というのは、書く技術が未熟なうちは忘れてしまいがち。
書いているうちにどんどん脱線してしまい、段落のメッセージがぼやけるというのは本当によくある。
慣れるまでは明示しておきたい。
段落で伝えたいことを意識して文を並べる
段落のメッセージが決まったら、これを文章に落とし込む。
基本は、メッセージに説得力をもたすこと。
先行研究や世に出ている各種統計から根拠を与えられるといい。
例えば、AはBである、ということが段落のメッセージだとする。
そうすると、段落ラストでは、AはBである、ということを読者に納得させるように文を綴るというのがお仕事になる。
まず、「AはBである」という主張を導入する。
これは、問いかけの形でもいいし、可能性でも、言い切りでもいい。
今まで、たくさん読んだであろう論文たちが、どのように切り出しているのかを参考に、自分に合った表現を使う。
その後、根拠を並べることになる。
先行研究の例示、各種統計による根拠の明示、など、説得力をもたす文を構成していく。
ゴールは、AはBである、という主張に説得力をもたすこと。
このように、AはBである、としめてもいいし、書かずともわかるだろという文運びであれば、あえて書かないというのもあり。
段落の頭と最後については、段落間の関係も意識する。
前の段落を受けて、次の段落メッセージが当然来るだろう、と予想されるようなものの場合は特に問題はない。
ただし、次の段落メッセージが意外なものだったり、視点や流れを変えるものであれば、それを相応の接続詞を使わなくてはならない。
段落の接続は、段落頭に担わせる場合と、前の段落の後ろに担わせる場合の2つがある。
どちらでも構わないので、読者によって読みやすいようによい方を使いたい。
これは段落内の文についても同様。
自分が読者だったらと仮定して、当然次にこれが来るだろう、という文を並べたいが、そうでない場合は接続詞をしっかりと意識して書きたい。
なお、接続詞が多すぎる場合は、当然次にこれが来るだろう、という読者期待を裏切り続けているので、文章としては読みづらくなる。
文や段落の構成を見直すことも視野に、文・文章を直したい。
辞書を引こう
文字を綴るのに、辞書を引かない、という人が増えている。
悪いことは言わない。
逐一、辞書をひこう。
ちょっとでも使い方に疑義が生じたら、とりあえず辞書をひく。
これだけで、文・文章はグッとよくなる。
辞書をひくことの重要性は論文に限らないので、この際スマホに辞書アプリを購入することをおすすめする。
Google検索ではなくて、辞書に聞くというのが大事なポイント。
この辺りは、辞書をひこう(大学生のための学び方入門20)にも書いてあるので、参考にしてほしい。
徹底的に読者視点で
文章は、人に伝えるために書くものである。
よって、徹底的に読者視点に立って書け、というのはよく言うこと。
初めて出てくる用語が説明されていないということはないだろうか。
説明が不足しているということはないだろうか。
勝手に自分だけが知っている知識を前提に書いていないだろうか。
この辺りを徹底的に意識する。
段落構成や段落内の文の構成もそう。
この段落の次にはこの段落のメッセージが来るだろうな、という読者の期待にそって書くというのは大事にしたい。
文の場合もしかり。
この過程はものすごく難しい。
ただ、身につけると書く力がものすごくつく上、発表や説得といった、様々なシーンで役にたつ。
自分の思考から自分を切り離して想定他者を置く。
そして、その無知な想定他者にわかりやすく伝える。
書く力、伝える力の基礎として強力な武器になるので、卒論の中で磨いてしまいたい。
声に出して推敲する
意外と力を発揮するのが、声に出して推敲するというもの。
言語の基本は音声言語である。
黙読していた時には気づかなかった引っ掛かりが、音読すると出てくるというのはよくある。
引っ掛かりを感じたら、文か、文の構成か、接続か、のいずれかがおかしい。
声に出して、その原因を突き止めておかしなところをしっかりと直したい。
なお、どんなおかしな点があるのかについては、理科系の作文技術に詳しく書かれているので、それを参考にしたい。
読まずに書いているのであれば、先にこの本を読んだ上で論文執筆をしたい。
以上、つらつらと書いたが、詰まっている諸君の助けになれば幸い。
検討を祈る。
ではまた。
雪の鳥取市内。
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2024/12/30 20:42
コーヒーを飲みながら。
鳥駅スタバにて。
Update 2024/12/30
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