ずっと昔に、卒業研究のスケジュールを考えるという記事を書いた。
今回はこれに関連して。
こういうスケジュールを示すと、必ず出てくるのが、
「後から本気で遅れを取り戻すんで、今は就活がんばります!」
というタイプ。
そんなことは可能なのか、について、書いていく。
まず、前提として。
前に書いた卒論のスケジュール。
朝から晩まで卒業研究三昧というような生活を想定して書いてはいない。
平日の日中、1−4限(90分×4時限)の時間を卒業研究に使うくらいのイメージで書いている。
遊ぶ時間も、バイトする時間も、就活の勉強をする時間も、あるという前提。
なお、僕の個人的な意見としては、研究だけしていろとは全く思っていない。
むしろ、大学生というのは特別な時間なので、研究だけしているのはもったいないという考えの持ち主。
ただ、卒業研究の教育効果は絶大なので、ちゃんと取り組んだ方がいいとは思っている。
では、本題に入る。
卒業研究の遅れは取り戻せるのか。
これは、ほぼ無理だと思っていただいていい。
うちの実績値だと0%である。
他の研究室も含めて、いろいろな事例を集めてみても、ほぼ0%。
遅れは取り戻せない。
ギリギリになって、睡眠時間を削って、えらい目にあってなんとか提出まではいく。
ただ、遅れが取り戻せているわけではないので、本来時間を使うべきあらゆる工程を省いた末に出てきたもの。
やはりちゃんと時間を使った人との差は全く埋まらず、クオリティとしてはどうやっても低くなってしまう。
そして、本来、研究活動の中で得るはずだったいろいろなものは得られずに終わってしまう、ということになる。
なぜ、そんなことになるのか。
まあ、これはちょっと考えたらわかる。
平日の日中時間を使うことを前提として考えたスケジュールがこの記事。
各指導教員が示すラフなスケジュールも大体同じような前提をもとに作られている。
当たり前なのだが、2ヶ月遅れれば、その2ヶ月分の時間をどこかで確保しなくてはならなくなる。
例えば、2ヶ月の遅れに対し残り半年あれば、平日の作業時間を2時間くらい増やして追いつくという計算になる。
これが、残り半年で、遅れも半年分であれば、純粋に平日の時間を倍にしなければならない。
これが半年続くとか、超人でもない限りかなりきつい。
残り3ヶ月で半年分遅れているとかとなると、理論上不可能になる。
いや、オレはできる!という人もいるかもしれない。
が、人間の集中力というのはそんなにもたない。
単純に作業時間を2倍にすれば、作業も2倍進むのかというとそうはならない。
研究のような知的作業は特にこの傾向が強く、時間使ったわりに進まない、ということが起こりがちになる。
焦りも生まれ、精神衛生上も極めてよろしくない。
じゃあ、1つの工程を時短で!という意見もあろう。
これもかなり難しい。
時短は、何度かやったことがある経験者がやることである。
卒論生の多くは、研究活動自体が初めて。
1つ1つの工程について、思っていたより時間がかかった、という場合がほとんどで、思ったより早く終わることはほぼない。
やったことないのに、最初から時短を考えるのがなかなかカッコイイ。
が、その通りうまく時短できるスーパーカッコイイ人には出会ったことはない。
そもそも。
卒業研究というのは、多くの大学生にとって、年超えの超長期でプロジェクトを進める初めての機会。
だから、勝手がわからず、期末のレポート課題に毛が生えたくらいのイメージで考えて突き進んでえらいことになるのだろう。
半年のレポートならなんとかなることもあるかもしれない。
が、超長期のプロジェクトは、進捗を間違えると越えられな時間の壁に阻まれてしまう。
悪いことは言わない。
1ヶ月遅れくらいならともかくとして、数ヶ月遅れになっている場合は、就活に全振りみたいなことはしない方がいい。
就活に軸足を置きつつ、研究も細々と続けて遅れが致命的にならないくらいにしといてほしい。
それに、就活などで長期間研究をやらないと、再開時は続きから研究をスタートとはならずに、思い出すところから研究がスタートになる。
これも想定していない時間ロスの1つだと思う。
このあたりも含めて詰まるポイントについては、卒論生はどこで詰まるのかにも書いているので、参考にしてほしい。
さて。
なんでこんな記事を書いているのかといえば、毎年毎年卒業生の要望があるから。
えらい目にあって、その教訓を後輩に伝えたくなるらしい。
飲み会などで伝えたくてたまらないのだが、当の下級生には全く危機感がなくて、伝えきれない。
よく考えたら、自分もそうだった、とそこで気づくらしい。
なお、冒頭の就活がんばってから遅れた分は後から取り戻すと言うタイプ。
卒論が全部終わった後で、よく伝えることがある。
遅れを取り戻すことができるんなら、就活前に研究の計画を前倒しで進めることも出来るハズ。
でも、それができなかった時点で、遅れを取り戻すのも難しいんだよねー、と。
だいたいは、ハッとしてその通りと言う。
まあ、でも、それも含めて卒業研究ってところもある。
ただ、苦しんだ思い出よりも、楽しかった思い出を残してほしいなぁ、と思ってこの記事を書いている。
それに、卒論から学べるものを最大限学んで出ていってほしいとも。
では、今回はこの辺で。
また。
横浜のあそこのあれ。
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2024/10/14 19:55
今日はお休み。
鳥駅スタバにて。
Update 2024/10/14
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