週刊雑記帳(ブログ)

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根拠をWebに求めるな(大学生のための学び方入門17)

大学で勉強をしていると、さまざまな調べ物をすることになる。
日々の勉強、レポート、卒業研究。
その中で、安易に使われすぎているなぁ、と思うのが、Webの情報。
今回はこのテーマで書く。


確かにwebの情報は便利ではある。
Wikipediaを中心とした詳しい内容に当たれるもの、難易度的に簡単なもの、など、検索をかけると知りたい情報にすぐたどりつけて大変便利。
よって、ついつい、頼ってしまう。
ただ。
Webの情報はかなりいい加減な、間違った情報が混ざっている。
日々の勉強や、学問系の調べ物で、Webを使う人が多いが、これらの場合はweb情報を避けるのが無難。
これらの行為では、「わからない」という理由で調べるということがほとんど。
しかし、「わからない」ということは、出てきた情報については、自分で真偽の判定ができないため、正しいものとして受け入れるしかない。
正しい情報も含まれるかもしれないが、間違った情報も一緒に取り込むことになる。
レポートや研究であれば、間違った情報をもとに作業が行われることになり、最悪間違った結論が導かれる。
勉強であれば、間違った知識を身につけることになる。
いずれも、無駄どころか、有害ですらある。
これは、AIの使用にも言えることで、このあたりは前に書いた通り。

普段から大学生と接していると、彼らが指導の中で間違ったことを書いてきたり報告してきたりすることはよくある。
これらは、学問的な事実から分析方法まで幅広い事柄について生じる。
そんなことは授業資料にも、論文にも、書籍にも書いてあるはずがない。
そこで、「それ、どこから得た情報?」って聞くと、たいていは「ネットで調べました」というのが返ってくる。
だよねぇ、という感想。

では、なぜwebの情報には偽物が多いのか。
それは、書き手がまた玉石混在だから。
そもそも誰が書いているかもよくわからないことが多い。
あまりに手軽に誰でも情報を発信できるため、内容について全然詳しくない人が書き手になれてしまう。
書く上で参考にしている情報や、知識レベルが担保されない。
顔が見えないだけで、書いているのは広告収入ほしさの同い年大学生、ってことだってありえる。
もちろん、専門家が書いているweb上の情報もあるのだろうが、どの情報が専門家のものかがよくわからない。
もし、専門家が書いていたとしても、どの程度力を入れて書いているのかはわからない。
そういうわけで、間違った情報がどうしても多くなってしまう。
これは、wikipediaレベルでもそう。

では、どうしたらいいのか。
基本は、ちゃんとした出版社の専門家の書いた書籍に根拠を求める、ことを徹底すること。
なぜか。
専門家が著者・編者として名前を明示している場合、通常は自分の信用をかけて書籍を出している。
間違いがある場合、専門領域内の仲間や世間様から信用を失う。
自分の名前に傷がつくわけ。
さらに、出版社のレベルでも信用をかけて編集をする。
いい出版社の場合、編集担当がかなり細かくチェックをかけて、間違った情報を減らす努力をする。
それでも間違いが含まれている場合は、間違っている部分について読者(専門家を含む)から指摘され、次の改訂で修正されることが多い。
こういう仕組みなので、ちゃんとした出版社の専門家の書いた書籍というのは正しい情報かなり多くなる。
根拠としてはweb情報よりも格段に質が高い。

特に大学生は「根拠をちゃんとした書籍に求める」を徹底したい。
理由は3つある。
1つ目はここまで書いた通り、間違った情報に自分の知識を守るため。
どんなに時間を使って一生懸命作業したところで、間違ったものがたくさん入り込んでしまってはどうしようもない。
無駄どころか有害ですらある、というのも前に書いた通り。

2つ目は、その作業こそが、正しい知識を得るための方法であり、大学生のうちに身につけたい技術であるから。
知りたい情報があるときに、どういう書籍にあたれば質の高い情報を得ることができるか。
どうすれば、より正しい情報に行き着くことができるか。
これは大学生のうちに身につけておきたい、重要な知の技術である。
で、身につけるためには、日々これを実践する以外に方法はない。
ちょっと面倒で、時間は取られるかもしれないが、必要なこと。
これができない人が、ゆくゆく歳をとって陰謀論やらなんやらの怪しい情報にやられてしまう。

3つ目は、このレベルの書籍を読む力を身につけるため。
大学生のうちに磨きたい力として、読む力があることは前に書いた通り。
「根拠をちゃんとした書籍に求める」ができるためには、そのレベルの書籍を読む力、を身につける必要がある。
webで情報を連れてくる大学生に、なんでそうするのか聞くと、書籍が難しくてわからないから、という答えが返ってくることが多い。
しかし、だからといって書籍を避けて簡単なweb記事に情報を求め続ければ、永遠に「ちゃんとした書籍」は読めるようにならない。
大学生というのはそういう技術を身につける訓練の期間でもある、というのを忘れないようにしたい。


そんなわけで。
根拠をwebに求めるな、ちゃんとした書籍に求めよ。
それを徹底するだけで、だいぶ正しさに近づけるし、能力が身につくよ、というお話。

なお、ここまで書いて気づいたが、「ちゃんとした書籍」の選び方がわからんかもな、と思った。
なので、次回はこのトピックについて書く予定。
ただ、結構長くなったので、今回はここまで。
ではまた。




山陰のどこか。

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2024/06/09 20:03
日曜日の夜に。
鳥駅スタバにて。



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Update 2024/06/09
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