週刊雑記帳(ブログ)

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それって仕事なの??〜兼業編(大学教員・研究者という生き物 11)

謎に満ちたこの業界のことを書いていくシリーズ。
今回は本人たちもよくわかってない、それって仕事なの??的なお仕事を紹介。
この業界に入っていくらか時間が経った。
が、説明するのが難しい、仕事なのか仕事じゃないのかよくわからない仕事、というのが存在する。
今回はこれの紹介。
なお、僕は全て仕事だと思っている。
が、主たる雇い主の大学はそうは思っていない。
そういう仕事が結構ある。
今回はその兼業編。

兼業なんだから、いちおう仕事ではある。
ただ、好きで兼業を受けていている、と思われがちだが、そうでないものも多い。
収入は発生するものの、それを目的に受けているわけではなく、お金以外の目的でやっていることが多い。
しがらみで断れない、本業に活かすため、持ちつ持たれつの精神、地域貢献、キャリアアップのため、なんかが兼業をやる理由としては多いか。
これは業界外の人にはわからないかもしれない。

非常勤講師

わりと多いのがこれ。
大学等の学校で、お願いされて決まった授業のみを担当する。
本業に影響がないように、近隣の学校で可能な場合は毎週担当、無理なら休日集中講義というスタイルが取られる。

この制度、元々はその大学にはいない専門分野の教員を教育上の目的のため特にお願いして連れてくる、といったものだった。
例えば。
情報系の大学で、情報ネットワーク論の専門の教員がいないので、別の大学にいる専門の先生にお願いして学生に聞かせたい。
こういった感じ。

そういうわけだから、持ちつ持たれつなところがあり、自分も頼むので、自分が頼まれた時は断らない、というスタンスのことが多い。
最近では、常勤教員削減による非常勤授業の増加や、博士就職難により複数の非常勤講師を掛け持ちして生計を立てる専業非常勤講師、というパタンも出てきて、昔とはまた少し変わってきたものの、まだまだそういう側面はある。
やはり、頼まれればむげにはできない。

この非常勤講師。
相手方よりお給料は発生する。 ただ、それは授業を実施している時間のみに出て、準備時間には出ず、書籍を買う等の経費は持ち出し。
お金のためにやる、というよりは、持ちつ持たれつとか、社会貢献、他の学校の学生のため、というモチベーションでやっていることが多いと思う。
研究専業の人だと、教育的経験を積むためにやる、ということもある。

公的セクターのお仕事

非常勤授業以外の頼まれ仕事で、多いのはこれ。
行政から〇〇委員会の委員をやってほしい、地域の学校から評議委員をやってほしい、とかそういうもの。
これも基本的には断りづらい。
学生教育やらなんやらで、地域のさまざまな組織にお世話になることは多い。
こちらもお願いすることがあるので、お願いされたときは喜んで引き受ける。
特に地方大学だと、大学数と学識経験者の数が圧倒的に少ないので、結構な頻度でお願いがある。
まあ、どうしても無理、という時以外は断らないようにしている。

公的セクターのお仕事は地域から以外のものもある。
例えば、文科省系や専門分野の監督省庁系のお仕事。
大学制度の改革を議論する、教育制度の改革を議論する、など。
共通テストの作問委員、科研費(コンペ勝ち抜き型研究費)の審査委員、などなど、我々の利用しているシステムの運営側の仕事もまた同業者の誰かが担っている。
これらはお給料が発生することが多いものの、お給料欲しさにやっている人はたぶんほとんどいないのではないだろうか。
大変さにお給料は見合っていないので、ボランティア的な感覚の人が多いと思う。

公的セクターのお仕事には、完全ボランティアなものもある。
お世話になっている学外の方からの相談、支援の要請など。
大学間連携のプロジェクト参画などもある。
どれも持ちつ持たれつ系か社会貢献系で、義理と人情的に断れない案件が多い。

講演

結構多いのがこれ。
様々な組織からこれを頼まれる。
特に知名度が高い人は数が多い。
基本的には講演料が発生するものの、ほとんどの場合大した額ではなく、お金目的になることはない。
自分の専門性に関連してお話を頼まれるので、そこで感じている意義のあることや問題意識を社会に広めるためにやることが多いか。
私大の有名人だと、一回の講演料がすごい額らしいので、そういう場合は別だと思う。
が、僕の周囲にそんな人はいない。

発表準備+移動があるので、しゃべっている時間に加えてわりと時間は取られる。
2時間県外でしゃべれば、ほぼ1日仕事。
これに準備の時間が別途必要になる。
まあ、僕の場合は自分の専門知識の社会還元と考えているので、よろこんでやらせていただく方向ではあるけど。

原稿の執筆

特定のことにマニアックに詳しいので、色々な原稿の依頼が来るのも我らが職業の特徴。
招待論文や、専門書、教科書の一部の依頼なんてのはまあよくある。
一般向けの雑誌記事やら、組織内部向けのなんらかの原稿ってこともある。

頼まれ仕事以外にもある。
自分が主導して教科書や一般向け書籍、一般向け雑誌記事を書く場合。
専門書の場合は研究活動になるが、これらの本は研究ではないので、業務というよりは兼業に近い。
まあ、教育目的、と考えれば本務と言える気もするが、その分授業が減るわけでも校務分掌が減るわけでもないので、+αのお仕事であることは間違いない。

この原稿シリーズは、〆切が存在することがほとんど。
僕の場合は、毎度毎度〆切前追い詰められ作家ごっこを楽しむことなる。
あれは、精神的につらい。
でも、依頼先はしがらみ系か、誰かへの知識還元・社会貢献系かのどちらかなので、頼まれると引き受けてしまう。
で、〆切前に苦しむ、の繰り返し。

なお、本や原稿ともなると、印税いっぱいでしょ?とよく言われるのだけど、全くそんなことはなく。
マニアックな本や記事にそこまでのお金は発生せず、え?これだけ??本当に???みたいな額がほとんど。
作業時間を時給に直すと最低賃金を大幅に割る額と思っていただけたら、大きくは外れない。
ただ、そうでない売れっ子作家ばりの方もいるという噂は聞く。
実在の人物は見たことない。



とまあ、兼業系は、思いつくのはこのくらい。
たぶんこれ以外にも分野によって変わった兼業がたくさんあると思う。
が、収拾つかなくなるので、このあたりにとどめておく。

なお、それって仕事なの??系お仕事には、「学会のお仕事」というのもあって、コイツがまた大変不思議な仕事なのだが、長くなるのでこれは次回。
今回はこのへんで。
ではまた。




そろそろ今年度初の神宮を考えたい。
神宮球場にて。

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2023/04/17 22:20
今日は早帰りだった。続けたい。
自宅にて。


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Update 2023/04/17
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