週刊雑記帳(ブログ)

担当授業や研究についての情報をメインに記事を書いていきます。月曜日定期更新(臨時休刊もあります)。

長期休暇のぼくら(大学教員・研究者という生き物8)

大学の授業期間は1セメスターあたり4ヶ月程度。
うちの場合、4−7月と10−1月に授業をやって、その直後に試験をやるというスケジュール。
まあ、大方の大学がこんなスケジュールで動いていることと思う。
大学生はそれ以外の期間は長期休みに入り、比較的自由にいろいろなことができる。
そのせいか、世間様や学生さんからは大学教員というお仕事は長期休暇があってうらやましい、と言われることがある。
でもね、そうは問屋が卸さないよ、というのが今回のお話。

まず試験期間直後。
大学生の場合、試験やレポートが終わったら開放感がやってくる。
が、しかし。
教員はそこからが本番。
これらの採点がある。
これが想像しているよりもはるかに大変。
1人に5分かけて丸付けしてたとしても、1時間で10人強。
60人の受講生がいればそれだけで一日仕事。
たいがいは集中力がそんなにもたないので、これよりも時間はかかる。
1人あたりの採点時間はもっと時間がかかることもある。
特にレポート課題でしっかり採点をするとなるとそれなりの時間がかかる。
そして、これが科目数分。
これで1-2週間はつぶれる。

採点後はシステムに成績を入力する。
その後、必要に応じてテスト結果のフィードバック(テスト結果の分析と講評の作成、追加課題の作成、答案の返却等)を行う。
これも結構時間がかかるもので、1週間くらいはバタバタしている。

それ以外にもいろいろある。
卒論や修論等の研究活動は長期休暇中も止まらない。
よって、これらの相談は常にあることになる。
夏はまだよいが、冬は卒論生・修論生が切羽詰まっているので、研究指導業務は激増する。
年始年末休みは紅白を見ながら卒論に赤を入れていく、というのが割とよく聞かれる話。
それが2月あたりに食い込んでくる。
卒論・修論は試験論文であるので、これの審査も行う。
これはうちだと2月のメイン業務。
真面目にやると結構大変。

まだまだ。
入試関係業務も入り込んでくる。
オープンキャンパスやらAOの試験問題作成やらが夏の長期休暇に、通常の入試業務が春の長期休暇にそれぞれ入り込む。
入試業務は入試情報の検討・公開から、問題作成、採点業務、合格者の選定等々結構大変。
当たり前なんだけど、これ、通常業務に加えて教員の誰かがやらなければならない仕事。
ミスが許されないのでかなり気を使い、時間が取られる業務でもある。
結果、8月と2月はこれらに追われて下手すりゃ授業月よりバタバタして終わる。

じゃあ、9月と3月は?というと。
まだ少し時間に余裕があるものの、お休みかと言われればそうはならない。
まず、次の学期の授業の準備と前述の入試関連業務、研究指導なんかが入り込んでくる。
これらに加えて、研究業務を行わなければならない。
我々大学教員は、業務の半分以上は研究ということになっている。
通常月に研究があまりできない場合、ここで激しく研究活動に打ち込むことになる。
休んでいる場合ではない。

9月はこれに加え、研究費(科研費)の申請書を作るなんていう作業も入り込んでくる。
これは研究費の申請書作りは業界外の人にはなかなか大変さがわかってもらえないが、例えると、社運をかけた大型プロジェクトの企画書作成主担当になったと思っていただければ大きくは外れないと思う。
相当な時間を費やして書く。
それこそ人によっては1ヶ月ほど申請書とにらめっこなんていうこともある。
なんでそんな力を入れるのかといえば、研究費が取れないと研究がストップするから。
今地方国立を中心に大学から支給される研究費が激減されており、研究費が取れないと研究者生命に関わる、と考えている人も多いと思う。
僕なんかはのんびりのほほんとしているが、こっちの方がレアケース。

と、まあ、そんなわけで。
長期休暇中、我々、わりと忙しいのだよ、というお話でした。
別に仕事なので大した不満はないが、長期休暇遊べていいなぁ的なコメントをもらうと、それは違うぞ、と思うのでした。
ではでは、また。




f:id:htyanaka:20200817124959j:plain ああ、横浜帰りたい。

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2020/08/17 12:48
今日は休暇。
鳥駅スタバにて。


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Update 2020/08/17
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