前回は研究室の選び方について書いた。
では、よさげな研究室を見つけたら、すぐそこを選んでしまってもいいのか。
答えはNoである。
研究室を決めるにあたってやっておくことがある。
まず、研究室・指導教員の選び方。
これは卒論の研究室・指導教員の選び方と似ている。
この辺りは別記事卒論指導教員(研究室)の選び方に書いているのでそちらも参考にしていただきたい。
卒論と違うのは、研究と専門性の部分がより重視されるところ。
特に、研究者が将来の進路として視野に入っている場合は、研究者育成能力や研究業績が多いかどうか、分野がマッチしているかどうか、がかなり重要になる。
他大進学の場合、これらについて情報収集をして判断する必要がある。
主には以下の方法によって知ることができる。
研究室見学
王道の方法。
院の試験を受ける前に必ずやっておきたい。
メール等で研究室のボスである教員に進学を考えているので話を聞かせてほしいと連絡をする。
たいていの場合はOKの返事が来ると思うので、実際に会って話を聞いておこう。
どんな教員なのか、指導方針はどのようなものなのか、研究室の環境はどんな感じか。
教員だけではなく、研究室に所属する助教さんや院生などにも話を聞きたい。
挨拶ついでに連絡先を交換しておいて、後日気になることを聞くというのもおすすめ。
特に、院生の声は極めて役に立つ。
研究室の指導スタイルが合わないとえらい目に合う。
ブラックな研究室というのも存在するので、その辺もしっかり見極めたい。
ちなみに僕はこの辺の情報が一切なく、試験前に研究室訪問をしなかった。
試験に受かった複数の院に事後的に面談に行き、後から研究室を決めた。
今考えてもすごいことをやったと思う。
絶対におススメしない。
Webによる研究室の調査
今はWebに研究室の情報が出てくる。
事前にどんな研究室なのか調べておく。
ポイントは、教員の数、院生の数、研究論文にどのようなものがあるか、研究論文の数はどんなものか、科研費の取得状況、など。
教員が複数いる場合(例えば、教授がボスで、部下に准教授、助教がいる場合等)、教員1人当たり何人くらいの院生がいるか調べる。
あまりにも多すぎる場合は、指導がしっかりとしてもらえない可能性がある。
ひと学年3人を超えているようだと、注意が必要。
一概に人数が多いから指導できないというわけでもないので、気になったら在籍する院生あたりと連絡を取ってどのくらいの頻度で指導してもらえるかを聞いてみるのも手。
研究論文はその研究室の研究分野や研究のレベルを知ることができる。
研究室のホームページを見てみると大体の場合は研究論文一覧が載っている。
載っていない場合は、CiNii(日本語論文)とPubMed等(英語論文)に教員名を入れて検索する。
多くの場合は、研究室を主宰している教員の名前が一番最後になった、複数著者の論文が出てくる。
一番目に載っている著者がたいていの場合は研究を主導した研究者(院生・研究員・教員)、最後が指導教員となる。
これを見ると、その研究室の所属員がどのような研究をやっているのか等、その研究室がカバーしている範囲がわかる。
自分ではどんな研究ができるか、なんとなく知ることができる。
論文の質の判断が可能なのであれば、実際に論文を何本か読むことで、その研究室のクオリティも知ることができる。
論文の数なんかも判断基準としては使える。
研究室の院生の論文数は、将来自分がそこで書くであろう論文の数を予想することができる。
科研費他、研究費の獲得状況も参考になる。
教員名でweb検索をかけると科研費の獲得情報が出てくる。
コンスタントに研究費が獲得できている研究室は研究力が高いことを意味する。
こういう研究室に行くと、研究にお金がかかる場合や学会参加旅費等にサポートをしてもらえることが多くなる。
ただ、これは教員のスタンスによるので、研究室の所属員にそれとなく聞いてみるのもよい。
修了生のその後
もう一つ大事なのがこれ。
修了生の進路がどうなっているか。
修士了だったら博士進学が多いのか、そうでないのならばどういった進路に進んでいるのか。
博士了の人で大学教員になった人はどの程度いるのか。
研究職としての進路にはどのようなものがあるのか。
研究職ではない進路としてどんなものがあるのか。
この辺りは進学したい人の目的によって異なるので、どれがいいという話ではないが、自分の目的と照らし合わせて吟味する必要はある。
これは修了後の自分がどうなっているか、イメージするのにも役に立つ。
ちなみに修士了が極端に少なくほぼ博士課程に進学する研究室では、修士で民間就活するのはわりと大変。
修士だけ取って民間就職するコースを考えているのであれば、そういう人が一定数いる研究室を選びたい。
以上、研究室を決める前にすることでした。
これ、結構大事。
夕暮れ写真は楽しい。
高松かな。
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2020/04/12 23:22
ひきこもり。
自宅にて。
Update 2020/04/12
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