週刊雑記帳(ブログ)

担当授業や研究についての情報をメインに記事を書いていきます。月曜日定期更新(臨時休刊もあります)。

ちゃんと勉強したけど点数が取れなかった人へ

僕の授業評価は試験による。
100%試験のみ。
これの理由については前に書いた。
読んでない人はこちら『なぜ、テストをするのか』を読んでいただきたく。

さて。
今回はテスト後のハナシ。
やってみると予想外に点が取れなかった、という人が出てくる。
自分では結構勉強した。
なのにこの点数なのは納得いかない。
そんな人たちに、振り返ってほしいポイントを書く。
僕の授業じゃなくとも役に立つことと思う。

勉強時間が圧倒的に足りない

大学の単位は授業時間×2倍の自習時間を想定している。
これはわりと知らない学生さん多いのだが、日本の大学制度ではそうなっている。
まあ、そうでなくとも、授業だけ聞いて他は無勉強なんてので得られる知識なんてたかが知れている。
授業の時にわかった気になっても、その場限りですっかり忘れている、なんてことは多い。
少なくとも資料の見返し、教科書の読み込みは必要。
点数が取れなかった人に問う。
教科書・資料は何度読み返しただろうか。
単位落とした人で、教科書を3回以上読んだ人はいないと思う。
僕の授業・試験に関しては断言できる。
他の教員の授業でも、まあ当てはまるんじゃないだろうか。
教員としては、複数教科書を読んだり紹介した関連書籍を読んだり、そうやって深めてほしいと思ったりしているが、まあそこまでやらなくとも、一冊のしっかりした教科書と配られた資料の読み込みくらいはやりたいもの。

やった気になっている

よくあるのが、このタイプ。
徹夜でやったのに点数が取れなかった。
時間をかけたのにあまりできなかった。
本当にやっている場合もあるのだけど、実はあまりできていない、という場合もある。
例えば、徹夜。
ものすごくやった感が出るのだが、実時間に直すと大したことがない。
疲れてしまってぼーっとしている時間が長い。
これは定期的にやってる場合も同じで、実はスマホをいじっている時間が長くて勉強した実時間は少ない、なんてこともある。
これは勉強に限らず、卒論や仕事に関しても言えることなので気をつけたい。

わかった気になっている

教科書・資料に一通りは目を通している。
もうわかったので試験も問題ないだろう。
なのに、思った以上に点数が取れなかった。
この場合、わかった気になっているだけの場合が多い。
その場で理解すること、と、知識として定着するほど理解することは違う。
授業や教科書・資料でわかった、としても、知識を体系として理解しているとは限らない。
その場で理解したことから派生する、細かな疑問に答えることはできるか。
チェック用の問題を解くことができるか。
このあたりをしっかりと確かめたい。

間違った知識を身につけている

勉強はした。
理解を確かめる問題も解ける。
この場合たまにあるのが、理解が間違っているというもの。
大学レベルの教科書・資料に載っている課題・問題には模範解答がないことも多い。
あっているか心配な場合は友人同士で答え合わせしてみると、思いがけず間違いに気づくことがある。
もちろん、教員に質問してみるのもよし。

言語化、試験テクニックの問題

勉強をして、理解も完璧。
でも点数が取れない場合がある。
試験で問題を解くには、(1)問題で問われていることを的確に把握し、(2)その答えを言語化する必要がある。
これができないと、いくら勉強して本質を理解しようとも、点数は取れない。
これは単位認定試験だけではなく、就活などこれから受ける全ての試験に共通するので最低限のポイントはおさえておきたい。

まず(1)について。
採点していてよくあるのが、聞かれたことに答えていないというもの。
「〇〇とはなにか」と聞かれているのに、〇〇とはなにか答えていない。
この答案はわりと多い。
たぶんうっすらわかってるんだろうな、とは思っても、聞かれていることにしっかり答えていなければ満点にはならない。
問題文をよんだら、聞かれている点を必ず把握し、もれなく答えるクセをつけておこう。

また試験の場合、何の科目の問いなのか、という文脈も大事。
「〇〇病について説明せよ」という問いでも、臨床医学か、障害児教育学か、遺伝生物学か、で問われていることは変化する。
臨床医学なら代表的な治療法や予後の話は欲しいだろうし、障害児教育学なら〇〇病になることで学校で気をつけることなんかも求められている。

(2)については、試験テクというよりは一般的な力になるので、日頃から意識して鍛えておくしかない。
試験においてこの辺の力不足だな、と思う解答で多いのが、説明が足りない、というもの。
自分が知っていることを相手が知っているとは限らない。
むしろ、ほとんど相手は知らないと思った方がよい。
ところが、当然説明すべき内容を端折って解答してしまう。
試験は自分が理解しているということをアピールする場なので、説明はていねいに、抜けなく、でも要点を絞ってコンパクトに行いたい。

言語化ではないが、似た説明不足の解答でグラフや図の説明・必要情報がない、というものもよく見る。
グラフを書くなら、軸が何を指して単位は何で1メモリどれくらいの数を表しているのかが必要。
図の場合でも、描いたものの説明を適宜する必要がある。

なんとなく伝わる、ではなく、明確な意図を持って伝えることを心がけたい。

それでもダメなひとへ

おそらくここまでの全てをちゃんとやっている人は、試験で単位を落とすことはない。
それでも高得点が取れない、と悩んでいる人もいるかもしれない。
ただ。
もしそういう場合はあまり気にする必要はないと思う。
きっと、点数には現れていないだけで、力は確実についていると思う。
試験は万能ではないので、高得点=高知識、とならないこともある。
表層的な試験テクに長けた人の方が深い理解をしている人よりも高得点を出すことはありうる。
高得点がたまたまでなかったか、試験の方がよくなかった可能性だってある。
あまりに気にせず、自信を持ってほしい。


以上、試験についての記事でした。
まあ、僕の単位は上記をやっていて落ちる人はいないと思う。
おそらく本気で試験を作っている多くの先生の単位もそうではなかろうか。

ではでは。
また。




都内にて。


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2020/02/23 23:57
お疲れモード。
自宅にて。


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Update 2020/02/23
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