週刊雑記帳(ブログ)

担当授業や研究についての情報をメインに記事を書いていきます。月曜日定期更新(臨時休刊もあります)。

本の紹介,「大人が知らない子どもの体の不思議(榊原洋一(著)、講談社ブルーバックス)」

大人が知らない子どもの体の不思議
榊原洋一(著)
難易度:☆
関連分野:病弱生理、小児保健、小児発達学、生理学、発達心理学


子どもは大人と比較してできないことが多い。
それが成長に伴い大人に近づいていく。
まあ、こんな子ども観を持っている人が多いのではないかと思う。
が、子どもと大人の違いはそんな単純なものではない。
全くもって別物である、と言えるような違いもたくさんある。
骨は大人よりも子どもの方がしなやかで、骨折時大人と子どもでは対応が変わる。
子どもの方が脱水症状になりやすく、これは腎臓の機能に起因する。
などなど、例を挙げれば枚挙にいとまがない。

本書はそんな子どもと大人の違いについて、小児科医がわかりやすく解説した本。
身体・生理機能から心の発達まで幅広く書く。
3部構成からなり、1部で子どもと大人で質的に異なる事柄をいくつか紹介。
2部3部では世にあふれる言説についてQ&A方式で答えていく。
エビデンス(研究結果)を重視して書かれており、書かれている内容は確かなものが多い。
研究がなくてわからないものは正直にその旨が書かれてあるのもよい。
子どもに関する本の中には、研究者が書いていであっても、
根拠のない本人の思い(込み)で書かれているものが多いが、
この本はそのようなことはなくしっかりしている。

同種の本では大人の身体や生理・心理の知識を前提とするものもあるが、この本は大人に関する知識がなくとも読める。
保育士、教員、医療関係者等、子どもと関わる職を目指すあらゆる人に読んでほしい。
現在子育て中の人にもオススメ。
もちろん教養としても楽しめる1冊。



本の紹介へ戻る
雑記帳トップへ戻る
HPへ戻る


Update 2017/11/22
Since 2016/03/06
Copyright(c) Hisakazu YANAKA 2016-2017 All Rights Reserved.