仕事が忙しい。
年々忙しい。
平日はひたすら仕事だけして、気づくと1ヶ月半年1年と過ぎて行く。
目の前の仕事を切って、次に現れる仕事を切って、次の、、、の繰り返し。
1つ1つの仕事は大物ってわけではなく、ただ、その数がとてつもなく多い。
ひたすらタスクを切っていく無限ループな感じ。
しかし、なぜこんなに忙しいのか。
今回はこれの自己分析を書いてみようと思う。
わりと他者の忙しさというのはわからないもので、同様の理由で忙しくなっている若手の周りにいる中堅・ベテランに届くといいなぁ、と。
僕はというと、すでに中堅からベテランに入りかけていて、仕事をこなすことに関してはたぶんなんとかなるし、忙しさ自体はもうなんともならない。
さて。
忙しい理由の1つは授業の数が多いこと。
これは、前に 別記事:大学教員の持ちコマ数について で書いたが、時間は有限なので、授業の数が多いと時間が取られる。
僕の場合は、授業の準備時間にわりと時間をかけるので、まず研究時間が削られ、それではみ出る分が超過勤務として積み増される。
授業数をあまりこなしたことのない人にはよくわからないらしいのだけど、授業が1つ増えると負担は結構なものになる。
今まで準備や研究の時間に使えてた時間が、授業の時間になるために使えなくなる。
その上、その授業のための準備時間が新たに必要になる。
僕も授業が増えるまではこの意味に気づいていなかったのだが、体感としては1科目追加で半日から1日分の時間がなくなる。
担当分野も原因の1つ。
僕の担当は大枠としては特別支援教育学という分野。
この分野は、障害児教育に関するあらゆることを教える幅の広さを持つ。
この分野の特性として、教えることに関しては「深く狭く」ではなく、「広く浅く」を求められる。
筑波大学クラスだと30人以上いるスタッフで分担できるのだが、それを3人で分担する。
僕は生理病理心理(肢体不自由・病弱・発達障害)+肢体不自由の教育+病弱の教育+特別支援教育全般を担当している。
生理学だとほぼ全分野をカバー、病理学も各領域で子どもでよく見られる疾患はほぼカバーする。
心臓の生理・病理から心臓病、腎臓や糖尿病も教える、というと、医者の知り合いにはわりと驚かれる。
心理学も発達系から測定系まで幅広く網羅する。
教育に関しては、各障害群の教育史から現行制度、理念を押さえる。
大変なのは、障害者系・教育系法制度で、しょっちゅう改正・変更があるため、これらをフォローしておかなくてはならない。
担当科目やポストによって「広く浅く」を求められることはうちの分野に限ったことではなく、教養担当や基礎科目担当の教員はこれを求められることがあるはず。
幅の広さは、自分の研究分野を大幅に超えることになる。
深く狭く、であれば、自分が研究している分野を中心に知っていることを教えればいいということになるので、教えるための知識を得るための勉強は少なくて済む。
が、幅広く教えるということになると、自分の研究分野を超えることになるので、新たに勉強することが増える。
いかに広く浅く、とはいえ、教えるにはそれなりの深さの知識が必要。
教科書、専門書、学術論文を取り揃えて勉強し、それでも出てくるわからないことを都度つぶしながら教える。
まあ、この作業、僕はあまり嫌いじゃない(むしろ楽しい)のだけど、時間自体はかなり取られるので、忙しさという点では大変になる。
それでいて、自分の研究に生きるかといえば、ほとんど生きない。
僕はここ10年で、心臓の発生から先天性心疾患、循環器系にかなり詳しくなったものの、この筋の研究をすることはこの先もないと思う。
これは、卒論・修論の研究テーマでも同様で、過去に心臓について研究したいと相談されたものの、それは無理、と断ったことがある。
研究については、心理学の手法を用いた障害・心理・教育系の何かしか指導できない。
生理学・病理学系だと脳機能なら指導は可能だが、学部生が気軽にやるにはお金がかかりすぎるため、これも簡単には難しい。
と、まあ、特殊事情はこんなところか。
これらの大変さはマイノリティの事情ゆえあまり共有できず。
僕に関してはこの枠組みで楽しく仕事できているのでまあいいかと思っているが、この状態に困っている人は確実にいるはず。
特に、新人・若手はこういう状況にいると研究がストップしてキャリアが詰む。
研究者としてのアイデンティティが揺らぐ人もいる。
そういう人たちの困り感が周りの中堅・シニアに認識されるといいなぁ、と思いながらこれを書いたところ。
あとは、シニアになった僕への備忘録としての意味合いも。
忘れてしまって、そんなもんだよ我慢せい、とか言ってしまうおバカさんにはなりたくないもの。
では、今回はこの辺で。
また。
東京は皇居前、、、だと思う。
-----
2025/06/01 18:07
音楽を聴きながら。
鳥駅スタバにて。
Update 2025/06/01
Since 2016/03/06
Copyright(c) Hisakazu YANAKA 2016-2025 All Rights Reserved.

