週刊雑記帳(ブログ)

担当授業や研究についての情報をメインに記事を書いていきます。月曜日定期更新(臨時休刊もあります)。

ひたすらボーっとした日曜日記

昨日に重要業務が終わり。
その夜に確定申告も終わり。
めずらしく、積まれている〆切間近の仕事がない状態。
大変爽快な気分だったので、昨夜は人がいなくなった時間帯に馴染みの焼き鳥屋に行き、プチ打ち上げ。
疲れていたためかにわかに酔い、つぶれるようにおやすみ。

で、今日。
久々に目覚ましをかけなかったので、起きたら9時11時、12時。
ぜいたくの3度寝。
家事などをやっつけ、ベランダに出ると、風が大変気持ちいい。
これは、いつものスタバ・ドトールじゃないな、という気分になった。

と、いうわけで、ぶらぶらお散歩モード。
鳥取市内、こういうとき行きたい場所は結構ある。
まずは市内ど真ん中の旧袋川の河原に。
ここはあと半月もすると桜がたまらない。
ただ、今日はまだ準備中。
つぼみ、いくらからふくらんではいて、あと少ししたらという感じ。

その後は、お気に入りの本屋チェックでおもしろそうなのを1冊購入。
そのまま、本通りの北上を続け、元市役所を過ぎ、県庁を過ぎ、久松山へ。
鳥取城跡。
ここの城跡は高いところにあるため、市内が見渡せる。
ここで市内を眺めながらしばしボーっとする。
たまに本を読んで、またボーっとしての繰り返し。
あぁ、よき。

いつまででもいたかったのだけど、今日の天気は夜から雨。
あまり遅くなれないので、バイバイ。
往路は本通りだったので、帰りは一本西の智頭街道を駅方面へ。
通常だとそのままスタバかドトールのコースなのだが、今日は人がいないところがよい。
こんな時は、Drop Innのカフェスペース。
ここはホテルのロビー的な立ち位置なのだが穴場。
コーヒーを飲み、ぼんやりしきったあと、これを書いている。

新入生向けに何か書こうともしたのだけど、気分が乗らなかった。
まあたまにはこういうのもいいだろう、と思った次第。

なお、鳥取お初の新入生向けに、今回登場したスポットをコメント入りで公開してみた(地図右上の拡大地図を表示、をクリックすると見やすいか)。
よろしければ、散策していただいて。


ではまた。




f:id:htyanaka:20220314224436j:plain あと少しで春、ですなぁ。
これはいつかの横浜の春。

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2022/03/13 18:27
ボーっと生きていたいマン。
ドロップインにて。



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Update 2022/03/13
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本の紹介,「高崎山のサル(伊谷 純一郎,講談社文庫)」

高崎山のサル
伊谷 純一郎(著)
難易度:☆


高崎山という山がある。
名前から群馬県にあると勘違いされるが、大分県にある。
大分駅からバスで2−30分くらいで行ける小さな山の名前。
この山の麓には、高崎山自然動物園という施設がある。
普通の動物園とは違い、野生のニホンザルを餌付けしてあり間近で見ることができるというちょっと変わった施設。
群れの気分で出没したりしなかったりする、普通の動物園とは趣を異にする動物園。
このサルたちは人間は無害と思い込んでいるので、まるで我々をまるで石ころか何かのごとく気にせず行動してくれる。

さて。
この本はそんな高崎山のサルの観察を通じて、サルの生態を紹介した本。
と、言っても自然動物園で観察した、という話ではない。
話は自然動物園ができるずーっと前の話。
高崎山のサルが人間に全く慣れておらず、野生のサルの生態も全くわかっていない戦後すぐの時期。
のちに有名になる1人の若い研究者が、全くゼロから野生のサルの生態を解き明かしていく内容。
これが、とてもおもしろい。

この本は2つの側面から楽しめる。
1つはニホンザルの生態。
サルはヒトに近い種。
彼らがどのような性質を持っているか。
特に社会性については、人間というものを考える上で示唆に富むもの。
オスには個人ごとに厳格な上下関係があり、さらにグループごとにも上下関係がある。
これが大変おもしろい。

野生のサルの生態を知る、というだけでも十分おもしろいのだが、この本はもう一つの楽しみ方が出来る。
それは、研究実録記的な楽しみ方。
この本は野生のサルの生態がほぼわかっていない1950年春から始まる。
1950年といえば、戦後5年足らず。
まったくの手探りからの研究の記録がおもしろい。
どこにサルがいるのか、群れの頭数は何頭なのか。
それすらわからない中、ノートと鉛筆と身体のみで立ち向かっていく。
これはね、ものすごい迫力があるよ。
本当に少しずつ、調べ方がわかっていく、わからないことがわかっていく。
これが、研究の醍醐味なのだが、この辺りを著者の歩みとともに追体験できるのがたまらない。

この本は大学生によくおすすめする本でもある。
研究とはどういうものか、これがよくわかるというのが理由の1つ。
ワクワクも、対象に集中する姿勢も、研究となにかがよくわかる内容。
もう1つの理由は、伊谷さんという人物による。
読んでみるとすごい内容だと感心するのだが、何よりもすごいと思うのが、この調査が開始した1950年、伊谷さんは若干24歳。
本が出版されたのが1954年だから28歳。
この歳でこういう研究ができる、こういうものが書ける、というすごさを知ってほしい。
なお、伊谷さんは経歴を読んでいくと、エリートコースを歩んでいるっていうわけでもない。
北大予科を落ちて鳥取高等農林に進んだり、その後受けた京大も一度は落ちて再受験で合格したり。
試験成績と各種能力(ここでは研究能力)は別なんだよ、というメッセージも込めている。

好きすぎて何度か読んでいる、大好きな1冊。
この本を読んでから高崎山に遊びに行ってみるのもまた楽しい。
なお、伊谷さんの著作は他にも紹介しているので、興味があればそちらも読んでいただいて。

ではまた。




f:id:htyanaka:20220306173033j:plain その、高崎山にて。
触れられる位置にこんなかわいいのが。

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2022/03/06 17:27
卒業生と遭遇するなど。
鳥駅スタバオフィスにて。



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Update 2022/03/06
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研究時間捻出試行錯誤日記 働く時間編

研究をする時間がない(このトピックのややまじめな記事はコチラを読んでいただいて)。
困ったことに本当にない。
あまりにも研究ができないので、時間の使い方をモニタ・分析したことがある。
その結果、やはり純粋に時間がない、というのが結論であった。
僕が12時間集中力を切らすことなくフル集中することができ、瞬時に別の仕事へと没入できるスーパーマンだったらちょっとは研究もできよう。
しかし、残念ながらそのような優秀さなんてものはカケラもなく、日々苦闘しながら働いている。

そもそも、自分の業務スタイルもよくない。
まず、研究中心ではない。
教育中心に考えている。
しかし分野がら、教育することが研究に直接つながらない。
でも授業には手を抜きたくないし、卒論生の指導は最優先にしたい。
学生さんの研究室訪問は質問の有無にかかわらず大歓迎。
研究室の敷居は下げておきたい。
この仕事を志した理由が教育にあるので、このスタイルは基本的には変えたくない。
なお、研究教育以外の頼まれ仕事は「はい!よろこんで!」の精神で引き受けるのが信条だったのだけど、これは廃止した。
過労死しそうになった。

その上で。
できる範囲で、なんとか研究時間を捻出できないか、いろいろと試してきた。
今回書くのは、まあほぼ試行錯誤と失敗の記録である。

帰宅時間を遅くする

何も考えずにやっていたのがコレ。
1日12時間滞在くらいが目安。
朝は普通の時間に来て夜遅くまでいる、世間によくあるスタイル。
最初の方はコレで時間を幾らか捻出できた。

が。
研究室の敷居を下げすぎたせいで、来訪者も僕がいる時間を把握して来るようになった。
質問、相談、ただただしゃべりに。
まあこれ自体は狙ってやっていたことなのでいいのだが、ちょっとやりすぎた。
なんかあんま仕事が進まないなぁ、と気づいて記録をつけたところ、1日の来訪者が10人を超えた日もあった。
作業が進まないので、授業準備だけでいっぱいいっぱいに。
ついに白旗。
遅い時間の来訪についてはお断りすることになった。

朝型に切り替える

これは唯一少しだけ成功した方法。
朝の方が捗るので、早朝に出勤して早くに仕事をはじめ、ちゃっちゃと帰宅する。
目安は8時間くらい滞在して、夕日が出る前には帰宅といった感じ。

これは大変快適。
朝は頭がスッキリしており仕事がサクサク片付く。
これで余った時間を研究に!となった時期もあった。

しかし、これにもまた落とし穴が。
朝仕事が捗るのは疲れがしっかり取れていることが前提。
業務上の何かが集中したり、日中何かに時間を取られたり、研究に集中しすぎたりすると、帰る時間が遅くなる。
すると、疲れが溜まり、次の日の朝は眠くて眠くて仕事にならない。
場合によっては起きられない。
そりゃあそう。
ただ朝早い時間帯の出勤時間が増えただけになっているのだから。

かくして、いくらかは効率的になりはしたものの、研究時間が捻出できるほどにはならなかった。
無念。

昼で帰る

もともと裁量労働制詳しくはこちら)につき、出勤時間にしばりがない。
じゃあ、もういっそ、家で仕事したらいいんじゃないか。
頭がスッキリしているうちに職場での仕事を終えて、残りは家の書斎で仕事したらいい。
どうせ仕事の半分くらいはどこでもできる仕事なんだし。
環境を変えることで集中力を復活させられるし、規則正しい生活もできる。
独身で自宅は極めて静かなので、作業効率も上がる。
弁当も必要なくなり、持ち運びの手間、作る手間も減る。
それに、うまいご飯も食べれる。
と、まあ、在宅勤務にヒントを得て、これはいい考えだ、となった。

で。
やってみた結果。
作業効率が上がる、というのはその通りだった。
ただね。
作業時間そのものが減る日があることに気づいた。
まず、昼までに帰れなかった場合。
お弁当がないため、外に食べにいかねばならず、これが時間ロスになる。
しかもお腹が空いていると理性的ではなくなるため、待ち時間の多いラーメン屋に行きたくなる。
もともと自作弁当は時間節約のためにやっていたので、その分仕事時間が減る。

さらに。
家で自炊が基本になるのだが、ご飯がいちいち手間のかかったものになる。
ご飯を作り始めて、食べて、食器洗うところまで考えると、結構な時間ロス。
だったら、そのへん踏まえて手間のかからんもの作ればいいじゃないか、という声も聞こえてきそうだが、そうは問屋が卸さない。
お腹が空いているときの僕は理性的ではなく、どちらかと言わなくても愚か者の類である。
うまいパスタ、とか、自家製カレーとか、そういう手間のかかるものばかり思いついて時間を潰す。

と、いうわけで、この方法、時間当たりの仕事効率と生活の質は向上するものの、絶対的な仕事時間はやや減少するため、そこまで画期的な方法とはならなかった。


長くなったので今回はここでおしまい。
いろいろもがいているよ、っていうお話兼単なるバカ話。
まあ担当授業数が多すぎるのが直接的な原因なのだが、これはすぐにはどうにもならない。
がんばっとるわけです。




f:id:htyanaka:20220228213229j:plain 鳥取かなー。

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2022/02/05 18:17
休暇中。
鳥駅スタバにて。


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Update 2022/02/05
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卒論生はどこで詰まるのか(研究をしよう29 卒論特別編)

今回は卒業研究、その成果としての卒業論文の話。
これから取り組む人に読んでほしい記事。
学部3年生以下や修士1年生なんかを想定した。
なお、理想的なスケジュールについては別に書いてあるのでコチラも参考にしていただきたく。

さて。
卒論も論文大詰めともなると、うちの学生が口をそろえて、言うことがある。
それは、もっと早くからやればよかった、というもの。
そして、後輩に会うとそのように強くアドバイスするのも毎年行事。
でも、まあ伝わらない。
実は彼らも1年前に先輩たちから同じアドバイスをもらっているはずなのだが。
つまり、まあ共通して毎年繰り返されているのが、「時間が足りない」ということ。
いや、先輩や教員からずっと言われていたじゃないか、と言うと、こんなに大変だとは思わなかった、というのも繰り返される弁。
そこで、今回は卒論生がいったいどこに時間をとられて最終的に時間が足りなくなるのかを書く。
なお、学生さんを見ていると、時間が取られる箇所はその人の技能や性質によっても大きく変わる。

時間見積もりが最初からアマイ

理想的なスケジュールの記事でだいたいのかかる時間を書いているのにも関わらず、話半分でしか信じていないタイプ。
書いてある時間よりもはるかに少ない時間でできるという根拠のない自信をお持ちだったりする。
ただ、それが間違いであることは、多くの卒論生が終盤に気づく。
分析にこんなに時間がかかるとは思わなかった、調査はもっと時間を短縮できると考えていた、あたりは頻出反省の弁。
自分の予想していた時間の2〜3倍時間が必要、というのがだいたい共通して出てくる意見。

じゃあなぜ、期限に間に合うのかと言えば、それは火事場の馬鹿力的なパワーと、締切間際作家ごっこみたいな生活の賜物。
なお、それでもほとんどの場合は埋めきれないので、クオリティが犠牲になる。
時間が足りない、というのに気づいてからの作業は不安との戦いでもあるため、精神衛生上大変良くない。
なんで知っているのかと言えば、僕もですね。。。

また、真面目にやっていると自分の研究のクオリティについても把握できるようになっているので、それを発表しなければならないことからくる苦しさも追加される。
まあこれは、真面目にやっていない人にはやってこない苦しさ。
目利きとしての研究能力が身についているからこそ感じることができるので、成長したということなのだが、苦しいことには変わりない。

長期イベントの影響を軽視

就活や院試、教育実習など、最終学年には長期間研究ができない重要イベントが存在する。
この影響は絶大で、多くの学生さんがこれでやられる。
抜けている時間分の研究が止まるだけならリカバリー可能な人もいる。
ただ、実際はそうはならない。
ヒトは忘れる生き物である。
1ヶ月研究生活から抜けると、抜ける前にやっていたことも結構忘れてしまう。
だいたい戻ってきて、それを思い出すところからスタート。
抜けていた期間+思い出す期間がロスになる。
これらの長期イベントが断続的にやってくる学生さんだと、結局数ヶ月分の時間にロスが発生し、最後に大パニックとなりがち。

これを避けるためには、これらのロスを見込んで前倒しで卒論を進めるか、長期イベントの最中も細々と研究をやる(1日1−2時間でもいい)かのどちらかが必要となる。
ただ、後者を選択した学生さんでも、長期イベントの大変さの前に、まあいっか、となって結局大幅時間ロスに繋がるパタンはよく見る。
気をつけたい。

技能不足による思わぬ時間ロス

研究を進める上で必要な基礎的な技能がある。
研究に直接必要な論文の読み方、方法論の知識等は、まあわかると思う。
それ以外にもある。
読む力、書く力といった一般的な能力は結構効く。
PCの技能なんかもそう。
あるところまで順調だったのが、そういうので時間を取られるというのはある。
研究のテーマによって必要となる各種技能は多種多様なので、どこでそういったことが起こるかはわからないが、起きることがあるという前提で余裕を持って進めた方がいい。
なお、これに関しては、逆もあり、その人の技能が一般より高いために思ったよりも時間がかからないこともある。
前もって備えるとしたら、ゼミの初期段階で論文の読み方や方法論の知識などをおさえておくことなんかが考えられる。
なお、これらの技能については、卒論を通じて磨くこともできるので、時間は使うけど成長もするので、時間に余裕がある場合は問題にならない。
うちの研究室だとPCの技能については実感を持って身についたと感じるらしい。

失敗による時間ロス

研究という営みに失敗はつきもの。
どんなに完璧な計画だと思っていても、蓋を開けて見ると予想外の失敗があったり、意外な結果が出てきたりする。
その調査だけでは結論を導けない、調査や分析をやり直す必要がある、文献調査をやり直す必要がある等々。
研究には想定外の追加プロセスが必要になることは多々ある。
時間に余裕がなかったがために、これらのための時間をどうやっても捻出できず、というのはまあある。

これは前述の理想的なスケジュールくらいの余裕があれば、リカバリーが可能。
ただ、多くの場合は理想通りは進まないので、時間が逼迫した後半にこれらのロスがやってきて苦しむ。
予想外のことや失敗は起こりうる、という前提で研究に取り組みたい。

卒論〆切近くの混雑

これだけ説明しても、なお、後半追い上げで行くから大丈夫、と考える人がいる。
このタイプ、ある視点が欠落している。
自分のがんばりではどうにもならないことがあるという視点。
特に、自分以外の誰かの時間を使う場合。

例えば、研究で行う調査や実験。
12月、1月は慌てた卒論生がこれらを依頼しまくる。
依頼された側からすると、またか、となる。
夏や秋口であれば簡単に協力してもらえるものが、協力してもらえない。
結果、調査や実験の期間が予想以外に長引く、ということになる。
それに、誰かに協力を依頼するのに研究が練られていない、というのは非常に失礼。
研究倫理的に問題がある。

〆切前の混雑で最も影響が大きいのが、指導教員の混雑。
〆切間際の教員、指導している人数やスタイルにもよるが、大変混むと思っておいた方がいい。
論文を見てほしい、と依頼しても、後ろで他の卒論生の論文も見ていることがほとんど。
ここで待ち時間が発生する。
教員は卒論の指導だけやっているわけではない。
卒論の提出時期は、他の授業の試験関連の業務、入試業務、各種年度末処理等々、大変忙しい。
簡単には捕まらないし、ある程度待ち時間が発生するというのは頭に入れておきたい。
これもスケジュールに余裕があるほど回避できる。
忙しくない時期を狙って効率的に教員を利用する、というのは結構大事。

なお、日々の我々の激しい働き方を見ているせいか、土日祝日夜にも作業してもらえると考えている人がいるが、そんなことはないと考えておくのが無難。
無理させると、その教員からプライベートな時間を奪うことになる。
他人の時間を大事にする、というのは、社会に出てからも大事な姿勢だと思う。
僕に関してはできる範囲で見るというスタンスなので、あまり気にせずに依頼したらいいが、土日の作業はあまり期待できないのは多分みなさんわかっている。


長くなった。
今回はこの辺にしておこう。
ではまた。




都内にて。

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2022/02/12 13:43
朝からスタバでコーヒー。
鳥駅スタバにて。



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Update 2022/02/12
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本の紹介,「ゴリラとピグミーの森 (伊谷純一郎,岩波新書)」

ゴリラとピグミーの森 (岩波新書)
伊谷純一郎(著)
難易度:☆☆


伊谷純一郎さんをご存知だろうか。
霊長類研究・人類学研究界隈では有名な人で、(広い意味での)サルの研究者。
生まれは大正15年だから、青春時代を戦争と共に過ごした世代。
野生のサルやゴリラ、チンパンジーの生態をフィールドに入り記録・解明していく研究手法を採った人。
ただ。
彼の初期の著作は単なる専門的な学術書という形式のものではない。
サルの生態を体系的にまとめた専門書ではなく、彼の研究記のような作り。
これがとてもおもしろい。

この本は、彼が35歳の時に出版されたもの。
前年の1960年ウガンダタンザニアに単身入り、ゴリラを追った研究の記録。
当時のアフリカはコンゴ共和国が独立・動乱の状態にあった。
もともとはゴリラの餌付けにて研究を行う予定であったが、調査予定地周辺の混乱等で予定通りには進まない。
ゴリラの餌付けどころかゴリラそのものをなかなか見つけられない、などハプニングの連続。
そんな、研究の記録をまとめたのが本書。
研究というともっとスマートな印象を持つ人が多いと思うが、この本はそんな印象を覆す。
研究記というよりは命をかけた大冒険記といったほうがいいかもしれない。
なお、ピグミー(Pygmy)とは中央アフリカ熱帯雨林地帯に住んでいる狩猟民族の総称。

アフリカに入るなりコンゴの動乱で先が読めないというところから始まり、のっけからすでにおもしろい。
その後、どう進むか全くわからない研究や旅行の展開もおもしろい。
現地で助手スタッフを1人雇い、調査の森では現地の民族を雇い森に分入る。
車は故障するし、ゴリラは見つけられないし、サファリアリには襲われるし、もうすごい。
この著者、死ぬんじゃないか、というリアリティあふれる大冒険が展開される。

現地の民族とのやりとりもおもしろい。
文化が全く異なる、森の奥の狩猟民族を雇うのだが、個性豊かな彼らとの交流は興味深い。
異なる狩猟民族間の文化・価値観のぶつかり合いなども想像をこえており、文化・価値観の相違と社会的コミュニケーションの難しさについても色々と考えさせられた。
僕は心理学をかじっているので、そのあたりを考える、これまでにはない知識を得ることができた。
ゴリラ、と題にあるが、どちらかというとピグミーとの交流からヒトについて考える本、と言った方がいいかもしれない。

なお、伊谷さん。
鳥取にもゆかりがある。
彼の生まれは鳥取市内。
その後、京都で育つのだが、高等教育で鳥取に戻ってくる[1]
鳥取高等農林専門学校(現・鳥取大学農学部)で学んで、卒業後京大理学部に進んだらしい。
鳥取高等農林に進む前に北大予科に落ちていたり[2]、京大理学部も一度は落ちているらしいので、研究能力と学業成績が必ずしも一致しない、のかもしれない、 とも思ったりした。
まあ確かに、スマートに学業を修める人にこういう研究はできない気がした。

少し話がそれたので、話を本書に戻そう。
知ることへのあくなき欲望からこんなことができるのだと感心させてくれる。
偉大な研究者の背中を見ることができる本。
研究とはなにか、激しい世界の一部を見ることができる、大学生へおすすめの一冊。
読むにあたっては、Googleマップあたりで地名を調べながら読むと旅気分を味わえてなお楽しめる。

ではまた。
氏の初めての著作、高崎山のサルについてもいずれ紹介しようと思っている。




f:id:htyanaka:20220214192117j:plain 川崎かな。


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2022/02/12 12:47
朝からスタバでコーヒー。
鳥駅スタバにて。



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Update 2022/02/12
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谷中研究室のスタイル

さて.
そろそろ研究室選びの時期.
結構大事だと思っているのが,研究室との相性.
学生さんも結構気にしているものの,よくわからないという声を聞く.
先日もツイッターで以下のようなものを見た.


なるほど,これは大事だ.
うちも公開してみようと思うに至った.

そこで今回はうちの研究室のスタイルについて書いてみようと思う.
これをもとに相性を考えていただいて.
なお,研究室の指導方針や学べる事などは過去に書いているので下の記事も参考になる.
谷中研究室で研究したいと考えている人へ
谷中研究室のメリット・デメリット
僕の研究室に向いている人・向いていない人

また,一般的な研究室の選び方については以下をどうぞ.
卒論指導教員(研究室)の選び方

指導:フラット・支援型

基本的には上下関係がはっきりした指示・命令型の指導ではなく,学生さんのモチベーションによる研究活動を支援していこうというタイプ.
自分で考えて自律的にやってほしいと思っている.
意見が対立することはあって,その場合はフラットな関係で議論する.
僕が間違っていることももちろんある.

指示に従ってやりたい,というタイプは向いていないか.

テーマ:自由・学生の興味に沿う

僕の研究と学生さんの研究はきっちりわけている.
このため僕が研究テーマ等を渡すことはしない.
学生さんは自分の興味に基づき,自由にテーマを設定できる.

数値を扱う方法論はわりと得意で,それ以外の方法論については一緒に勉強していくスタイル.
研究テーマについては主は学生さん,従が僕で,後方支援に徹する感じ.

リソース:希望者の早い者勝ち

指導のためのリソース(僕の時間)は希望者の早い者勝ち.
やっていないから呼んで注意するとか指導するとか,そういうのはない.
わからないことがあり次第,研究室に突撃してどんどん質問する,何かを依頼する,などをすると,順番に対応していく.
なお,学期末や卒論提出間際は,わりとみんな指導を求めてくるのでリソースの確保が難しくなりがち.

活動:個人戦・強制的なイベントなし

ゼミで授業時間以外に何かする,というのは基本的にはない.
グループで組んで研究をするなどもない.
週1-2回のゼミ以外は,個人ごとの活動になる.
なお,希望する3年生には4年生の研究の手伝いをしてもらう,というのも考えてはいるものの,今のところ実現していない.

運営の主体:学生

運営の主体は学生.
決まりやルールも各々で決めたらいいと思っている.
こちらから設けているルールは,実験室の飲食禁止と仲良くやってね,くらい.
あとは好きにやっていただいて.

研究室の賑やかさ:年による

これは年による.
おとなしい場合が多い気はするが,にぎやかな学年もある.

イベント:学生が企画すれば

研究室の飲み会,親睦会等のイベントは僕が企画することはない.
ただ,学生さんが企画すれば極力参加するようにしている.
過去には,夏休み突入打ち上げ飲み会,実験室クリスマス会,お別れ会などがあった.
隣のゼミと合同で,ボーリング大会,カラオケ大会,ゼミ室鍋パなんかも.

教員・学生の人間関係:学生に合わせる

ドライかウェットかは,学生さんに合わせる.
相手がドライなタイプならドライ,ウェットなタイプならウェットになっているのではないかと思う.
ただ,根が感情的な人間ではないので,ウェットといってもドライに見えるかもしれない.

男女比:女性多

これも年によるが,女性の方が多い傾向.
数年に一度,男性が多い年がやってくる.
まあ,これは現任校の特徴でもあるが.

進学率:1-2割(外部推奨)

大学院に進む人はあまり多くない.
うちの研究室への院進学はあまり奨めていない.
これは,せっかくだから別の世界を見ておきなよ,という意味合いによるもの.
どうしても,というなら止めはしないけど.
そういうわけだから,外部の院に進むことによるトラブル等は心配ない.

研究時間と土日祝日

理系の研究室なんかだと,実験室にいなくきゃいけない時間などが決められている場合がある.
うちはそういうのはない.
土日祝日についても休むことを推奨.
やはり息抜きは大事.
まあやりたい人を止めることはしないが.
自分のペースで好きにやったらいいと思っている.

ただ,このルールは僕についても当てはまる.
基本的に土日祝日は学生対応をしない.
質問なども平日日中の通常の時間にお願いしている.
切羽詰まっているときは相談に乗らないでもないが,みんなが毎年それをやったため、疲労困憊満身創痍になった.
よって今は,できれば休みたいと主張している.

その他

実験室があり,自分の机と書棚がもらえる.
静かに使うのであれば,研究以外でも使ってもらって構わない.

研究室への敷居が低いのも利点のひとつ.
わからないことがあればいくらでも質問していい,という方針なので,使い倒したい人はおすすめ.

ほかには,,,,あ,チョコレート.


では,今回はこの辺で.




f:id:htyanaka:20220207221459j:plain ゼミ合宿はやってみたいのだけどねー。
松江にて。


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2022/02/07 22:09
寝る前。
自宅にて。


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Update 2022/02/07
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お気に入りのバーの話

大学出て少しした頃か。
酒を覚えた。
大学時代も飲むには飲んでいたのだが、わざわざ1人で飲むほどではなく、仲間とワイワイやるための飲み物。
そんなところがあった。

大学を卒業して、単身北海道に渡り、いろいろあって半年後には単身埼玉へ。
その後も基本的に単身で地方各地を渡り歩く生活を繰り返す。
そんな中で、さまざまな楽しいことを開発していくのだが、そのうちの一つが酒。
愛知にいる頃に覚えたのが日本酒で、これは今に続く楽しみなのだが、今回はこの話ではない。

埼玉時代だから、あれは24、5の頃か。
少し背伸びしたいお年頃。
おしゃれなバーというものに行ってみたくなった。
音楽好きとしては音楽×バーみたいなところがよかった。
当時東京にいた友人に相談してみると、ちょうど行ってみたいお店があるという。

そのバーは新宿にあった。
歌舞伎町に入る前の大通りに面した雑居ビル。
4階だったか5階だったか。
エレベータを降りると暗くてテーブルにキャンドルの灯った、別世界が待っていた。
窓際に大きなグランドピアノがデーンと構えていた。
このブランドピアノがバー用に作られていて、ピアノの周りをカウンタのようになっていた。
一目でこのお店が気に入ってしまった。

決まった時間になると、ピアノの演奏が始まる。
しっとりした空間に合わせて、あくまでバックミュージック的な演奏。
弾き手・歌い手は毎日違い、ピアノだけで聴かせる時もあれば歌をつけてくれることもあった。
ピアノ周りのカウンタでちょっと度数の高いお酒を舐めながら、
いい感じで酔った頭でスタンダードなナンバーを楽しむ。
至福。

慣れてくるとリクエストなんて技もできるようになる。
大好きなMy favorite thingsは何度も演奏してもらった。
アレンジが弾き手によって全く違うので、これがたまらない。
何回も行っていると、弾き手とも顔馴染みになってくる。
演奏の合間の休憩時間に話しかけられてお酒を飲んだりすることもしばしば。
これがまた楽しい。
話が盛り上がると、次の演奏では話したようなことを盛り込んでくれる。
こうなるともうたまらない。

そんなお気に入りバーも気づいたら閉店になり。
ピッタリくるお店というのは思いのほか見つけるのが難しく、代わりを見つけることなく今に至っている。
とある小説を読みながら、そんなことを思い出した。
しばらくぶりにこの系統の店を新規開拓しようかな。

ではまた。




f:id:htyanaka:20220117210225j:plain 高松港か。

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2022/01/10 15:17
休暇中。
鳥駅スタバにて。


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Update 2022/01/10
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