週刊雑記帳(ブログ)

担当授業や研究についての情報をメインに記事を書いていきます。月曜日定期更新(臨時休刊もあります)。

教育やめたこと色々話

この大学で教えるようになって時間が経った。
もともとが教育がしたくてこの仕事を志したので、いろいろとやりたいことを試してはみた。
ただ、授業準備がゼロからなので初年度が一番忙しい、という前評判には見事に裏切られ、年々忙しくなってゆく。
その中で、忙しさゆえに消えていった実践たちと消えそうな実践たちを書き残しておくことにした。
遠い将来、事情が変わって忙しくなくなったときに、復活させる備忘録として。
なぜ忙しくなっていったのか、については、別トピックでまた書く。

補習

教育実習等のやむ得ない事情で授業が受けられないことがある。
特に所属しているところはミニ教育学部みたいなコースであるため、学生の教育実習の数が多い。
小学校へ行って、少し戻ってきて、すぐ中学校、ということになると、授業の4割くらいを抜ける学生が出てくる。
大学のきまりでは不利にならないようにしなければならないため、赴任後2年くらいは、補習授業をやることにしていた。
抜けた学生のうち希望者を集めて、授業の内容をもう一度しゃべる。
時間としては90分×5回×2科目分。
学生が少人数なのと、演習部分はあとでやっておいてもらうのとで、実時間としては実際の授業時間の2/3くらいになる。
手間はかかるものの、教育効果・学生満足度とも高い取り組みだった。
3年目に授業が増えたのを機にやりにくくなり、4年目にさらに授業が増えて完全に消滅した。

課外の勉強会(自主ゼミ)

前任校時代から統計学の勉強会をやっていた。
卒論には絶対に必要だし、現代教養としても必要。
そういったことから、毎年半年くらいかけての統計学勉強会をやっていた。
授業や自学で身につけてもらうのが本来なのかもしれないが、なかなかうまくいっていない。
そこで授業ではできないような少人数ゼミ形式の勉強会を開いていた。
みんなで本を読み込んで来て、わからないところを章担当学生に質問して解決するというスタイル。
これは教育効果が高く、全員が勉強するのでかなり力がつく。
が、これも3年目に余裕がなくなり積極的に声をかけなくなった。
積極的には声をかけないものの、やってと頼まれればやる、というスタンス。
気に入ってる実践ではあるものの、絶滅危惧種

映画鑑賞会

1,2年目まで実施。
授業で扱ったことに関連する映画を希望者を募って放課後に見る、ということをやっていた。
回数は半期に2回程度。
本当は月イチくらいで、いろいろな分野の先生の解説付きで名作を見る、なんてのをやったら楽しいだろうな、と思っていたが、拡充する前に忙しさに負けてついえる。
無念。

試験答案の返却と解説

僕のテストは難しいので、せめてアフターケアはしっかりしようと、答案の返却を実施している。
希望者には答案をざっと見て、できなかったところや答案のクセを個別に解説していた。
3年目くらいからつらくなり、どんどん簡素な説明になり、4年目からは一部科目でこれをやめた。
まだ学部専門科目ではこれをやっているが、いつかできなくなるのではないかと思っている。
同じく、試験の講評をA4で2-3枚ほど書いて還元しているが、これもいつまでできるか自信がない。

オフィスアワー以外の質問対応

僕が大学で本格的に教えるようになった時、一番最初に気になったのが学生に対する教員の敷居の高さ。
わからないことはもっと気軽に質問に行けばいいのに、必要以上に教員との距離を感じている学生が多かった。
そこで、僕の授業に限っては質問しやすい雰囲気を出すように心がけた。
オフィスアワーに限らず、研究室にいればいくらでも質問に答えるようにしている。
このため、試験前は身動きが取れなくなるくらい入れ替わり立ち替わり学生が質問に来るようになった。
最近は僕の担当外の授業・卒論の質問にくる学生もちらほら。
これ、結構時間を取られるのでなんらかの制限が必要かな、とも思うことがあるが、当面はこのまま運用の予定。
ただ、状況が大きく変わればわからない。


以上、教育裏話でした。
大学生の頃は思いもしなかった大変さと日々向き合っている。
ただ、おもしろいのでがんばれている。




そろそろいい時期。

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2020/03/08 17:17
久々休暇。
鳥駅スタバにて。


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Update 2019/01/27
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障害児等神経生理学研究2020(鳥取大学)

授業内容


第1回 オリエンテーション(5/12)
    脳と神経の基礎(1)
      最初~ニューロンの基本構造
第2回 脳と神経の基礎(1)(5/19)
      グリア細胞~主な受容体の種類
第3回 脳と神経の基礎(2)(5/26)
      シナプスの位置とシナプス後電位~ラスト
    脳と神経の基礎(1)
      最初~肉眼解剖学
第4回 脳科学の方法(1)(6/2)
      細胞構築学~TMS法
第5回 脳科学の方法(1)(6/16)
      tDCS~単一ニューロン記録法
    脳科学の方法(2)
      最初~MRIの原理
第6回 脳科学の方法(2)(6/23)
      MRIの原理~fMRIの原理
第7回 脳科学の方法(2)(6/30)
      fMRIの応用例~NIRS
    視覚系と解剖(1)
      最初~錐体細胞
第8回 視覚系と解剖(1)(7/7)
      杆体細胞~外側膝状体
第9回 視覚系と解剖(1)(7/14)
      一次視覚野
    視覚系と解剖(2)
      はじめ~2次視覚野
第10回 視覚系と解剖(2)(7/21)
      腹側経路~背側経路
     聴覚系と解剖(1)
      はじめ~内耳
第11回 聴覚系と解剖(2)(7/28)
      蝸牛~ラスト
第12回 平衡感覚・味覚・嗅覚系と解剖(8/4)
      ポイントのみ
     体性感覚系と解剖(1)
      4つの圧・振動センサー~S1の位置
第13回 体性感覚系と解剖(2)(8/18)
      S1の活動~
     運動系と解剖(1)
      最初~脊髄と運動
第14回 運動系と解剖(2)(8/25)
      一次運動野
第15回 運動系と解剖(3)(9/8)
      高次運動野
     言語系と解剖~音声言語(1)
      最初~発話システム
第16回 言語系と解剖~音声言語(2)(9/15)
      音声言語理解~ラスト
     言語系と解剖~文字言語(1)
第17回 高次脳機能と解剖(9/28,予定)


    



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Update 2020/08/03
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肢体不自由児等の教育課程と指導法2020(鳥取大学)

授業内容


第0回 接続チェックなど(5/1)
第1回 オリエンテーション(5/13)
    肢体不自由の概要(1)
     最初~解剖学と生理学まで
第2回 肢体不自由の概要(2)(5/20)
     肢体不自由と解剖学~病因・疾患を知る利点まで
第3回 肢体不自由の概要(3)(5/27
     二次障害~ラスト
第4回 肢体不自由教育の歴史(1)(6/3)
     最初~戦前~学校教育法施行
第5回 肢体不自由教育の歴史(2)(6/10)
     学校教育法施行~義務制施行
第6回 肢体不自由教育の歴史(3)(6/17)
     義務制の反対運動~ラスト
第7回 特別支援教育の現状と仕組み(1)(7/1)
     最初~現状
第8回 特別支援教育の現状と仕組み(2)(7/8)
     対象児童生徒の特徴
第9回 特別支援教育の現状と仕組み(3)(7/15)
     肢体不自由教育と児童生徒の変遷~
第10回 教育課程と指導上の特徴(7/29)
第11回 指導計画の基本(1)(8/5)
       最初~授業づくりの基本
第12回 指導計画の基本(2)(8/19、予定)




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Update 2020/08/16
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肢体不自由児等の生理・病理・心理2020(鳥取大学)

授業内容


第0回  接続チェックとか(5/1)
第1回  オリエンテーション(5/13)
     肢体不自由の概要(1)
       最初~解剖学と生理学まで
第2回  肢体不自由の概要(2)(5/27)
       肢体不自由と解剖学~二次障害・褥瘡まで
第3回  肢体不自由の概要(3)(6/3)
       重複障害児~ラスト
第4回  身体の構造と機能(概要)(6/10)
       最初~呼吸器まで
第5回  身体の構造と機能(概要)(2)(6/17)
       消化器
第6回  身体の構造と機能(概要)(3)(7/1)
       泌尿器~
第7回  身体の構造と機能(概要)(3)(7/8)
       DNA~
     神経系の構造と機能(1)
      最初~ニューロン
第8回  神経系の構造と機能(2)(7/15)
      ニューロン~活動電位の生成
第9回  神経系の構造と機能(3)(7/22)
      活動電位の伝達~体性神
第10回 神経系の構造と機能(4)(7/29)
      自律神経~脳の構造
第11回 神経系の構造と機能(5)(8/5)
      大脳の構造
     感覚器の機能と構造
第12ー13回
     大脳の機能(オンデマンド配信型)
第14ー15回
     骨と筋肉の構造と機能

     


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Update 2020/08/08
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プログラマー(僕のなりたかったもの3)

わりと現実に落とし込めていたのがプログラマ
今でこそ心がどうとか、脳がどうとか言っているが、昔はコンピューターの人だった。

僕が小さい時はまだワープロが専用機として存在した時代。
もともと機械が好きだったので、コンピューターっぽいものに憧れがあった。
小学校時代はデパートのワープロ売り場に行っては、カチャカチャキーボードを叩いて遊んでいた。
別に大したことをしているわけでもなく、キーボードカチャカチャが純粋にかっこいい、と思っていたのだと思う。

中学生になると選択授業というのがあり、コンピューターを本格的にいじるチャンスがやってくる。
あの選択授業。
カリキュラム上はどういう立ち位置だったのか、今となってはわからないが、学年の全員が複数のプログラムから興味ある内容を選んで学ぶ、みたいな内容だったと思う。
並行して開講されていたのには英会話とかあった気もするので、だいぶ幅広い選択肢があったはず。
僕はもう迷いもなくコンピューターを選んだ。
そこでBASICという初歩的なプログラミング言語で運勢テストか何かを実装して喜んでいた。
初めて本格的にコンピューターをいじった回だった。

あまりにおもしろかったので、中3の進路選択で商業高校の情報科に進学すると宣言する。
親としては普通科経由大学進学を想定していたらしく、寝耳に水だったよう。
大反対され、オレは泣き叫び、最終的に普通科進学とセットでパソコンを買ってもらう、ということで妥協となった。
あの頃の熱量が懐かしい。

高校に入ってからはパソコンで遊びつつ、大学は情報系に入って勉強するんだ、と思っていた。
だが、大学受験で失敗する。
センターが振るわず、国立だと某地方大の電気電子工学科にしか受からなかった。
情報系は全滅。
仕方ないのでハードウェアとしてのコンピューターを極めるか、とも思ったが、やはりプログラムを勉強したく、仮面浪人ののち、情報系のコースに入り直した。
この情報系コースの選択にはほかにも理由があるのだが、これはまたそのうち書く。

大学ではさまざまなプログラミング言語を勉強した。
ただ、早い段階でプログラマになる未来は消えていたように思う。
プログラミング自体は楽しかったのだけれども、ほかにやりたいことができてしまった。
そんなわけで、プログラミングを学ぶことはただの趣味として楽しみつつ、全く別の未来を考え始める。
気が多い人間だったのよー。

ただ、この時学んだプログラミング技術はその後の仕事で大いに生きることになる。
将来役に立つ立たないで学ぶものを考えるべきではない、と考える実体験の一つがこれ。
楽しいなぁと思うものを興味の赴くまま勉強しても、将来役に立つことがある。

さて。
当時は考えもしなかったが、プログラマはその後結構お金になる職業へと変貌した。
あの時プログラマ志望のままだったら今頃お金持ちかなぁ、なんてことを考えつつ、でもあの時に戻れたとしてもプログラマはないな、と思っている。

まあそんなこんなの、なりたかったもの第3弾でありました。
このシリーズ何の役にも立たない単なる昔話なれど、そんなことは気にせず続ける予定。




季節ですな。
横浜か。

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2020/03/15 21:06
疲れとるのー。
自宅にて。


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Update 2020/03/15
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校長先生と仕事の話

遠く昔、高校生だったころの話。
当時の僕はドラムと出会い、狂がつくほどドラム漬けの毎日だった。
朝早く登校して、0限補習をサボってドラム練。
3時間目ののち早弁をし、昼休みはドラム練。
部活(吹奏楽部)の時間は当然にドラムをひたすら叩く。
母校は定時制もあったため、部活後も20時くらいまではドラムが叩ける。
まあ、言葉通り、ドラム漬けな日々だった。
あまりにもドラム三昧だったため、校内では「ドラムの人」で個人認識が可能なほどだった。

そんなことをやっていれば、当然学業成績は奮わない。
高3の夏の三者面談では、このままでは国立はどこも受からないと言われ、親は嘆き悲しんだなんてことも。
我が家の掟で私立はダメ、国立受からなきゃ家出て働いて自立せよ、ということだったので、結構シビアな状況。
ただ、僕自身は打ち込んでいるものを投げ出してなにが受験だ、と思っていた。
受験をいいわけに好きなことを我慢すれば、この先ずっとそういう生き方をする羽目になる。
9月の文化祭までやり切って、残りを死ぬ気でやれば国立の下の方くらいにはかするだろう。
そんな根拠のない自信を持っていた。
まあそういうわけで、ドラム狂はドラムを叩きまくり、そのまま文化祭まで突っ走った。
その後、文字通り死ぬ気でがんばり、センターでこけるもまあ最低ラインの国立大は後期でひっかかった。

この時の経験はその後かなり力になる。
それまではわりと平凡で目立たない奴だった。
何かを本気でやった、というのの初の回だったと思う。
こういう経験はやはりあると強いもので、大学以降の自分の物事の進め方に大いに影響をしている。
ドラムは一生の趣味になり、こちらも人生において欠かせないものにいなった。
そういうわけだから、高校のドラム三昧生活がなければ今の自分はないなと思うほど大事なイベントとなっている。

さて。
そんなドラム三昧な生活。
後日談がある。
卒業して数年後に教育実習で母校に帰った時の話。
実習の最後の方で打ち上げと称して飲み会が開かれた。
もう母校から異動していなくなった先生も何人か駆けつけて、プチ同窓会のような飲み会が開催された。
その席上での思いがけないことを聞く。

当時僕は朝から晩までドラムを叩いていた。
まあ、よく考えればわかりそうなものなのだが、当然のごとくご近所から苦情が来ていたというのだ。
しかし、当時僕はそんなことを聞いたことも注意を受けたこともなかった。
どうしてか。
それは、当時の校長が必死でかばってくれていたからなんだそう。
ご近所には、あれは教育の一環だと頭を下げて回り、やめさせることを是とはしなかった。
おかげで僕は得難い経験を積むことができた。

おそらく彼にとっては、近所迷惑だから少し控えるようにと僕に注意する方が簡単な選択肢だった。
そして多くの働く大人はそうすることと思う。
その方が怒られないし、トラブルは避けられる。
しかし、この校長先生は自分の教育者としての信念の方を優先した。
生徒のことを常に考えて、自分の仕事哲学に重きを置いて、判断をしたのだろう。
それを僕に告げるでもなく、もちろん誰からか感謝されるわけでもなく、ただ淡々と自分の仕事としてそれをやった。

これ。
働くようになって思うのだが、結構すごいことだと思っている。
働きはじめは自分の信念・理想を持ち合わせていることが多い。
ただ実際には、上司に怒られ、組織の理不尽にやられ、厳しい現状に妥協し、現実と理想はどんどん離れていく。
自分の身はかわいいもので、言い訳をしながら自分のためになることを選択しがちになる。
自分の本来の役割はわかっているものの、言い訳をしながら役割を放棄して易きに流れやすくなる。
しかし、それでも彼は退職間際の年齢で、こういう仕事をした。
出世は早い方ではなかったので、まあそういうことなんだろうと思う。

以上、僕が働くにあたって大事にしているエピソード。
僕の仕事人のモデルのひとつになっている。
自分でも、とは思うものの、これがね、難しいんだ。
職業人としての年を重ねるごとに彼の偉大さを感じているところ。

さて。
君たちはどんな職業人になるのだろうか。
どうあってほしい、みたいなことは言わない。
悩みながら楽しみながら、自分が満足できる職業人なってくれること願っている。
ただ、大変な時はがんばりすぎず、ほどほどにね。
仕事なんて定年まで走るマラソンみたいなものだから、つぶれるほどがんばっても仕方ない。

ではでは。
卒業おめでとう。
4年間どうもありがとう。




横浜にて。


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2020/03/22 23:05
休暇中。
自宅にて。


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Update 2020/03/22
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授業はきっかけと心得る(大学生のための学び方入門8)

大学で教えていると、学生さんと教員で授業に対する認識に差があるなと思うことが結構ある。
そのうちの一つが、授業で扱える内容の範囲について。
おそらく多くの教員は授業で扱える内容について、授業だけで十分だとは考えていない。
教養系の授業であっても専門系の授業であっても、教えられる内容はごく表面的な一部のものに過ぎない、と考えていると思う。
少なくとも僕はそう。
一方で学生さんはといえば、授業で扱ったことがその分野のすべてであるように感じている場合がある。
特に低学年の学生さんに多い。
が、これは間違い。

授業には大まかに2種類存在する。
一つは分野を浅く網羅的に扱うタイプのもの。
もう一つは教員が特定のトピックを拾い上げて深掘りするタイプのもの。
もちろん、この中間のものも存在する。
教員のスタンスにもよるが、前者を重視すれば深さが犠牲になり、後者に拠ればカバーできない内容が出てくる。
これは1回90分×15回しかないのでどうしようもない。
どちらを重視するかは、教員の考え方と好みによる。

前者の授業スタイルでは広く分野の内容を知ることができる一方、深さが足りないため平坦でおもしろみに欠ける授業になりがち。
知識伝達型というか、「〇〇は××である」という知識の羅列になってしまう。
高校までの授業と似たような構成だと思う。
ところが、そのような表面的な知識の背景にはかなり深い知識の積み重ねがある。
例えば、教科書の1章・1ページのみをカバーする分厚い専門書はたくさんある。
教科書の1行、授業スライドの1ページのために、複数の研究論文が存在することもしばしば。
この深い部分がマニアックにおもしろい。
ただ、授業時間の制約から、これらの深い部分のおもしろさまで扱えないことの方が多い。
よって、この部分については書籍紹介等を通じて自学を促すことになる。
これらを深く知って自分なりに知識を立体的にしたり、知識の真偽を検討したり限界を吟味したりできるようになることが、大学以降の学びでは求められる。
そういう意味で、大学の授業はきっかけに過ぎない、と思っている。
授業以外でどれだけ深められたか、がかなり重要。

では、後者の授業スタイルはどうか。
こちらの場合、授業で扱ったトピック自体はある程度深掘りされている。
授業自体も知識が創られていく過程を追体験できるのでおもしろい場合が多いと思う。
ただ、一方で、専門分野の知識が偏ってしまう可能性がある。
このスタイルの授業では専門分野の全てを網羅的に扱うのは難しい。
端折られていたり全く扱わない内容があると考えた方がいい。
この場合はそういう可能性があることを前提に、網羅的に扱っている教科書や副読本を意識して読む必要がある。
授業では教員の得意分野のおもしろさを学び、他方で広く浅くを自学でカバーするということ。

ただ。
大学生だと、その授業がどちらのタイプなのか見極めるのが難しいと思う。
そこで、おすすめしているのが、教科書1冊・新書数冊を読むというもの。
教科書は分野を網羅的に学ぶために読む。
授業で指定されている教科書でもよいし、担当教員に分野で標準的な教科書を教えてもらうというのもあり。
最近では各大学のシラバスがオープンになっているので、学びたい分野名でシラバスを探して、標準的な教科書を探してもよい。
深掘りするには、新書クラスの本を読んでみるのがよい。
授業や教科書で興味を持ったトピックについて、新書を探してみる。
教科書の場合は読書案内や参考文献の欄があるので、そこから探す。
授業で本が勧められている場合はそれを読むのもよい。
いい本がわからない場合は、興味あるトピックをもとに教員に本を紹介してもらうのもあり。
別に新書にこだわる必要はなく、専門書でも論文でも構わない。

試験で点数が取れるかは別として、このくらいやると大学生の学びとしては悪くない。
こうやって学んだものの中から、自分の研究分野が見つかったり、一生モノの読書分野ができたりするかもしれない。

ではでは。
今回はこの辺で。




羽田空港にて。


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2020/03/15 17:45
休暇中。
鳥駅スタバにて。


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Update 2020/03/15
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