週刊雑記帳(ブログ)

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教員から学ぶこと(なぜ学ぶのか、何を学ぶのか 11 )

専門や教養を学ぶ。
英語力や統計能力を身につける。
ここまでそんなことを書いてきた。
ただ。
これらについては、大学に入らなくても身につけることができる。
現代社会は出版業界が確立していて、あらゆる知識は書物経由で目に入れることができる。
インターネット上にもかなりの情報が転がっている。
ニュースやTedなど、生の英語やアイディアに触れることも簡単にできる。
そう考えると、大学で学ぶ意義とはなんであろうか。
改めて問い直してみたい。

「僕は大学に専門知だけを学びにきたのではない。書物では学べないことをあんたら(教員達)から学ぶために来たんだ。」
これはかなり年上の知り合いが大学生の時に大学教員に言い放った言葉。
これはある意味的を射ている。
専門的な知識技能を身につける。
教養を身につける。
大学で身につけるべきさまざまな能力を身につける。
これらを学ぶとき、教員から学べる、というのが大学の1つの醍醐味だと思っている。

教員から学ぶと言ってもいろいろなものがある。
まずは効率よく学ぶ、というもの。
教科書にしろ専門書にしろ論文にしろ、教員はその道のプロ。
上手く使うと、書籍のみで学ぶよりもはるかに効率的に学ぶことができる。
教科書を読んでから、授業を聞いてみよう。
本でわからなかった箇所が驚くほどよくわかる場合がある。
いや、アイツの授業は下手だから本の方がマシ、と思う方。
質問に行ってみよう。
多対一の授業形式ではわからなくとも、一対一ではわかることが多い。
騙されたと思って実践してみるといい。
これだけで、かなりの時短で教科書の内容を理解することができる。

教員から学べることはこれだけではない。
教科書等の書籍には書いていないことを学べるのも大きい。
よくよく授業を聞いてみよう。
教科書に載っていることだけを話している教員なんてほとんどいない。
教科書のたった1文をかなりていねいに、説明していることがある。
今研究中で、まだ教科書に載っていないホットな内容をレクチャーしてくれる場合も多い。
授業の途中にアドリブでポロっと話したことが、実はものすごくおもしろい場合もある。
授業中に全くメモしていなかったり、全く聞く気がない人がいることがあるが、これはかなりもったいない。
このスタイルで身につく専門性が教科書のレベルを超えることはほぼないと言っていい。
そして、専門家なら誰でも知っていることなのだが、教科書の内容って薄っぺらいんだ。
幅広い内容を字数制限がある中で書くわけだから、これは仕方ない。
だからこそ、教科書以上の内容を学ぶ意識で授業に臨むのは結構大事。
これらについては質問をするというの手法もかなり有効。
書籍以上で授業以上な何かを手に入れることができることと思う。

それ以外にも、教員から学ぶことはある。
大学教員というのは変わり者が多い。
ちょっと社会に出てからは出会えないタイプの人間わんさかいる。
おかしな経験をしてきた人。
我が強くて長いものに巻かれないタイプ。
専門分野で天才的な才能を持つ研究者。
何でもかんでも知っている教養人。
本当におもしろい人がたくさんいるので、大学にいるうちに関わってみるといろいろと得るものがあると思う。
自分の専門分野に限らず、専門外の学問やら読書やらが大好きな人間も多いので、そういう教員と仲良くなるとおもしろい本を紹介してくれたり雑学の話を聞かせてくれたりすることもある。
案外そういうところで、一生ものの何かを手に入れたりすることがあると、個人的には思っている。

まあ、そんなんなわけで、教員から学ぶ、というのは意識しておいても損はないよ、という話。
ではまた。




渋谷ですな。


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2019/11/24 23:24
仕事終わり。
自宅にて。


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Update 2019/11/24
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