週刊雑記帳(ブログ)

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研究を探す〜論文以外編(研究をしよう 13)

今回は論文によらない研究の探し方。
論文は完成した研究であるということは前回書いた。
では、他にどんなものがあるのか。

本・博士論文

完成した研究で、雑誌以外の方法でまとめられているものがある。
それは博士論文。
これは博士号をもらうために個人が書いたもの。
内容の一部は学術雑誌に論文の形で発表されていることもあるが、丸々全部を雑誌に載っていることは多くない。
これは、雑誌の多くに文字数制限があるのに対し、博士論文は制限がほとんどないため。
博士論文は3桁ページになることがあるので、これをそのまま載せるのまあ難しい。

ただ、この博士論文。
そのテーマとそれにまつわる関連トピックが詳しく載っていることがあるので、場合によっては役に立つ(ただ、玉石混交)。
なので、自分の興味ある分野の博士論文があるのであれば、手にとってみるというのは悪くない。
てはどうやって読むのか。
1つ目として国会図書館を利用する方法がある。
ここには博士論文が収蔵されているので、所定の手続きを経て読むことができる。
最近は電子版も充実しているらしい。

2つ目は書籍版を読むというもの。
博士論文が大作になる分野では、博士論文に加筆修正を加えて専門書として刊行・発売するというのがよく行われる。
これを手に入れて読む。
探し方は、博士論文を書いた人の名前をAmazonか何かで検索し、博士論文のテーマに近い書籍があったら、たぶんそいつがお目当ての本。
買う前に実物を手にできるのであれば、まえがきかあとがきあたりを見ると、その旨が書いてある。

博士論文のよいところは、やはり網羅的に文献を知ることができるところ。
博士号を取るための試験論文でもあるので、それなりにしっかり書かれている(ことが多い)し、引用文献もかなり多めでリストもしっかりしている。
レビュー論文的な利用もできるし、書籍版なら自分の論文に引用することもできる。
先輩の学部卒業論文を参考にするよりは、はるかにためになると思う。

学会発表

学術論文にまとめられる前の、現在進行形の研究を知ることができるのが、学会発表。
通常、研究は学会発表を経て学術論文にまとめられる。
つまり、学会に行くことで、論文にはなってないけれども最新の知見、を知ることができる。
学会発表というと、大勢の聴衆の前でスライドを使って講演、みたいなのをイメージしがちだが、そんな敷居の高いものばかりではない。
おススメはポスター発表。
発表者は自分の研究をまとめた大きなポスターを用意する。
それが各自のスペースに張り出される。
学会の規模にもよるが、何十枚か何百枚か、場合によっては4桁になることも。
発表者にはポスターの前に立っていなければならない時間が決められており、その時間にポスターの前に行くと、発表者から対話に近い形で話を聞くことができる。
講演型とは違って、こちらのレベルに合わせて話をしてもらえるのが特徴。
「学部生でこの研究に興味を持った」と言うと丁寧に教えてくれると思う。
学部学生・院生から大御所研究者までいて、幅広く触れ合えるのも醍醐味。

学会によって研究を探すメリットはいろいろある。
1番のいいところは、時間をかけずに手軽に情報を仕入れることができること。
ポスターなら1研究10分もあれば内容を把握できる。
講演型もまあ20分くらいだろう。
ポスターで研究者対話する中で、知っている研究論文の情報を教えてもらえることもある。
数日どっぷり学会に参加するとかなりの情報が手に入る。
自分の専門外の勉強をしやすいのも学会のメリットか。

まだ完成していない研究であるため、 まだ引用価値のあるものは少ないが、おもしろいと思った研究は発表者の名前をフォローしておくと後々論文として出てくることもある。


以上、論文によらない研究の探し方でした。
ではでは、今回はこの辺んで。
さあて、お次は何を書こうかな。




横浜にて。


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2019/05/25 20:29
ひさびさにおやすみなのだ。
鳥駅スタバにて。


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Update 2019/05/25
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