週刊雑記帳(ブログ)

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大学教員就職物語(大学教員・研究者という生き物6 )

業界外の人に会うたびに聞かれるのが、どうやって大学教員になるのか、という質問。
どうも日常接している職員さんですらよくわかっていない人がいるよう。
そこで今回はこのトピックで書いてみる。
聞くも涙、語るも涙。
なるの、結構大変なんだ。

大学教員になるための前提条件として、専門家である必要がある。
よくあるルートとしては研究者ルート。
大学学部卒業後、2年大学院の修士課程に行って修士号を取り、さらに3〜4年の大学院博士課程で博士号をとる。
大学院を勉強するところと勘違いしている人がいるが、これは間違いで、あくまで研究をするところ。
研究しまくって研究能力と専門家としての知識技能をみがく。
その証明として修士号、博士号の学位を得る。
ある一定の専門性が身についたところで、ようやく大学教員になるためのスタートについたことになる。
博士課程修了で、標準最短が27歳。
ここまでは奨学金で借金背負いつつ、お金は稼いでいないことが多い。
同世代がプライベートを充実させていく中、人によっては地味にしんどい時期でもある。

さあ、この後すぐに大学教員、と思われるかもしれない。
が、そうは問屋がおろさない。
昔々は大学院修了後すぐに教員になれていたらしいが、今はそんな人はあまりいない。
キビシイキビシイ就職活動を生き抜かなければならない。
どのくらいキビシイのかと言えば、たぶん大学生が経験する新卒の就活よりよっぽどキビシイ。
昔は出身研究室の指導教官が紹介してくれた、とも聞くが、今は博士あまりの時代な上に、公募による選抜が一般的。
これがね、まあ落ちまくる。
‪1勝100敗! あるキャリア官僚の転職記 大学教授公募の裏側‬ という本があるほど。
しかも競争相手は他大学ですでにバリバリ教員やっている人も含む。
ただ優秀であれば受かる、という代物でないのだ。
が、このあたりは次回書く。

まあそんなわけで、院生が終わるまでに正規ポストを射落すなんてことはなかなかない。
すると、どうするか。
とりあえずの職として、非正規任期付きの大学教員か研究員(ポスドクという)におさまり、その間に技能磨きと就活を行うことになる。
これがなかなか曲者で、収入が安定しない。
他の業界と同じように非正規はおしなべて待遇が悪い。
研究業界では特にバラツキが大きく、年収200万円台から正規並みまで幅広い。
だいたいは、ポスドクを数年、非正規教員を数年くらいやる。
ポストを異動するときに収入が3桁万円落ちることや、職位が落ちることもザラ。
大変なんです、ホント。

そこまでして、大学教員に必ずなれるかというと、そうでもない。
需要に対して博士人口が多すぎるので、優秀なのにどうやっても就活うまくいかないということが起こる。
研究が盛んな分野は研究が仕事のポスドク・非正規教員(研究専任)のポストはたくさんあるものの、教育の需要は研究と比べるとかなり少なくなるので、正規ポストは得難いということも起こる。
そうこうしているうちに、耐えきれなくなって他業種転職する組や高齢非正規組が現れる。
このくらい競争が激しくなると、就活がうまくいく要素は運の要素が相当大きくなる。
優秀なのに就職できない、運の要素が大きい、の詳細はまた次回書いてみようと思う。

まあそんな過酷な世界。
他業種の人にはなかなかわかっていただけない。
わりと大変なんです。




羽田空港にて

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2019/06/02 18:17
休暇中。
鳥取北ジャススタバにて。


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Update 2019/01/27
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