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論文を読む〜結果・考察編(研究をしよう 10)

さて、いよいよ論文を読む、も佳境。
次は結果と考察。

まずは結果。
ここには方法に対応する形でつらつらと結果が書いてある。
基本的にはそれ以上でもそれ以下でもないので、イントロ・方法ほど注意深く読む必要はない。
方法に対応する形できちんと書かれているか。
方法で書いてあることと結果の記載が異なってはいないだろうか。
そんなあたりに気をつけて読む。

イントロ、方法が優れた論文であれば、結果を見るだけで結論をつかむことができる。
目的に対応した結果がどうなっていたか。
それがすなわち結論ということになる。
特に仮説通りの結果が出ている場合は、イントロの仮説イコール結論なのでわかりやすい。
読み方のポイントとしては、どの結果がどの目的と対応しているか、その辺りを考えながら読むといったところか。

ところが。
そんな簡単でよい論文はなかなかない。
イントロ・方法がうまくない論文の方が多数派。
それらが完璧であっても、仮説通りの結果が出るなんてことは研究ではなかなかない。
イントロで述べた予想と反する結果になったり、一部は仮説を支持し一部は仮説を支持しないなんて結果が出てくることもよくある。
結果が先行研究の結果と一致しないこともまたある。
すると、湧き上がってくる疑問としては、なんでそうなったのか、ということが大事になる。
そこで登場するのが考察である。

そういうわけだから、考察では結果に対する説明・解釈を行う。
この結果はなんで予想と違ったのか。
どうしてそうなったと考えるのか。
他の研究の事実を引用しながらその理由が書かれている。
また、ほとんどの研究には関連する先行研究が存在する。
研究結果がそれらの先行研究の結果と一致しているのか、異なっているのか、一部の研究とのみ整合性が取れているのか。
そのあたりについて、なぜそうなのか、をロジカルに説明することが求められる。
先行研究と異なっていても、予想と異なっていてもロジックが通った説明ができるのであれば、それはよい研究ということになる。
読み手としてはこのあたりをしっかりと読み取って、論文のよしあしを判断するということになる。

また、考察には研究の限界が述べられていることもある。
イントロ・方法が甘いために、どうがんばっても穴がある場合がある。
研究をやっている最中に新たに穴に気づく場合もある。
そんな研究の穴について、記述するのも考察の役割のひとつ。
書き手の研究者は誠実に問題点を書くべきだし、もし書いていなかったとしても査読者から指摘されて書かされるなんてこともある。
穴があったらダメなんじゃないかと思う人もいるかもしれないが、必ずしもそうではない。
穴が結論にそこまで影響を与えないこともあるし、穴があることを前提にその結果を限定的に評価することもできる。
穴があって限定的であっても、それでもなお研究に価値がある場合だって存在する。
読み手はこれらのことを読み取って、論文の評価をするのが仕事ということになる。

考察ではこれらのことを文章で展開しながら、論理的に結論と結びつけていくことが求められる。
つまり読み手の仕事としては、究極的には、結果を受けて結論が正しいのか、
正しくないとすれば、結果のどこまでは信じられそうなのか。
結果までは完璧なのに、考察で論理飛躍が起きていて結論が正しくない、というパタンも結構あるので注意が必要。
考察の中で、「○○だから××」と書かれているものの、理屈になっていない、なんてことはよくある。
その場合、当然結論は言い過ぎか、場合によっては間違いということになる。
これらをロジックをもとに判定する、ということになる。
ここもパスすればいよいよすばらしい論文。
が、なかなか巡り会えない。
もし出会ったら、それはお手本となりうるので、書くときの参考資料としても使って欲しい。

以上、結果・考察編でした。
次回、もう一回だけ「論文を読む」小シリーズを書く予定。
ではでは。




横浜市内のとある片田舎にて。



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2018/10/22 18:41
帰るかのう。
鳥取駅スタバにて。


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Update 2018/10/22
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