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論文を読む〜方法編後編(研究をしよう 9)

さて、前回のつづき。
方法の章ですべきは研究の正しさの検証。
ここを読み取っていく。

正しさの検証のためには、やったことが余すことなく記載されている必要がある。
これは再現性の検証のためにも必須。
論文によってはこの情報が不十分なため、検証が不能な場合がある。
例えば、質問紙を実施した、とあるのに、引用も含めて具体的な質問項目がわからない場合。
こういうタイプの研究は正しさ・再現性の検証不可能につき、信じられぬ。
こう判断して、ゼミなどでの発表の際もそう報告する。
自分の研究の先行研究などでも引用はしない方がよい。
間違っている情報を元に自分の論を組み立てると、土台から崩れてすべてが水の泡、ということにもなりかねない。

記載が十分な場合。
内容を一つずつ吟味していくことになる。
まずは研究の目的と方法が対応しているのか。
わりと見かけるダメ論文では、目的に方法が対応していない、というものがある。
〇〇を検討する、と書いてあるのに、方法でそこにアプローチしていない。
これはもう、結果に行く前からハズレが決定している。
がっかり感を胸に、次を当たるしかない。

目的と対応していても、その方法論ではアプローチ不能な場合もある。
これの判定には、その方法論についての知識が必要になる。
例えば、質問紙法とはどういう方法でどんなことができるのか。
観察法ではどんなことが調べられて、どこまで主張することができるのか。
ゼミをやっていてよくあるのが、方法論についてあまり調べず論文を紹介してしまうというもの。
よほど奇抜な方法論でない限り、教科書があるのでしっかり読んで方法論の勉強をした上で、方法の記述について判定をしたい。
この過程は最初はかなりめんどうなのだが、何回か繰り返すとその分野の方法論に精通することになる。
だんだんと研究論文がちゃんと読めるようになるし、自分の研究を進める上でどの方法論を使えばよいかの選択肢も増える。
しっかりとやりたい。

目的に対して、方法論もマッチしている、となれば、いよいよ細かな部分の検討ということになる。
どんな分析をして、どう記述したのか。
例えば、統計ならどういう基準を使ったのか。
基準は甘くないだろうか。
研究の対象は偏っていないだろうか。
もっと突っ込んだ分析はできないだろうか。
この辺については、結果を読みながら戻ってきて読み直して検討するというのも大切。
方法論の細かな批判については難しいので、ゼミや卒論指導の時間をうまく利用したい。
さすがに教員は日常論文を読んでいるはずなので、批判には慣れている。
ベストを尽くして検討・批判を行って、教員の見解を聞いてみる。
見落としや、注意すべきポイントが学べる。

さあ、ここまで読んでどうやら正しそうだ、問題なし、となれば、いよいよよい論文な可能性が高い。
ワクワクしながら、結果や考察、結論を読み進めようということになる。

さあ、方法についてはここまで。
ではまた。




川崎の工場地帯にて。
このもの悲しさと静けさがたまらない。


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2018/10/22 18:41
帰るかのう。
鳥取駅スタバにて。


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Update 2018/10/22
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