週刊雑記帳(ブログ)

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大学教員ってどんな人?(大学教員・研究者という生き物3 )

どんな人が大学で教えていているか。
今回はそんな話を書いてみる。

高校までの教員はわりとわかりやすい。
大学で教えることの勉強を多少なりともして、免許を持った教えることのプロ。
じゃあ大学はというと、かなり違う。
そもそも免許なんてないし、アイデンティティとして「教える人」を最優先に持っている人はいそんなに多くないと思う。
そもそも大学のポストによっては教えなくていい人すらいる。

じゃあどんな人が多いかといえば、一番多いのは研究をする人。
研究者と呼ばれている。
研究が好きで、マニアックに一つの分野を深く調べている。
まだ人類の誰も知らないことを調べて、ワクワクしたりゾクゾクしたり。
ずーっと一つのことだけを考えていて、浮かんできた新しいアイディアを論文にまとめたり。
研究するために大学教員になった、というタイプはかなり多い。
たいていは大学院に進学して、研究のトレーニングを受けている。

研究者ではないが実務に長けている人なんかもいる。
例えば、学校教員としてのキャリアがあり、おもしろい実践をしてきたその分野の有名人。
医者、弁護士、公務員、技術者などなど、多様な分野のすごい人がいる。
細々と研究的なことをやってきた人もいるが、あくまでメインではない。
実務経験の部分が買われて大学教員になっている。
資格的な職業人養成の場合、その学生教育には欠かせない人材。
大学教員をやりながら、兼業でそれぞれの専門的なお仕事を継続しているケースも多い。
研究者教員の場合、次の転職先も大学ということが多いが、実務家の場合は元の職業に戻って行くことも少なくない。

他にもおもしろい人たちがいる。
例えば、芸術家。
実務家のちょっと変わった部類だと考えることもできる。
僕の知っているところだと、彫刻家、音楽家、書家なんかがいる。
芸術系の大学だと多数派になると思うが、そうでない大学でも必要に応じていらっしゃる。
文学の作家なんてのもここに入るのかな。
このタイプの教員は現役でその道の活動をしていることが多い。
研究室で彫刻を彫っていたり、コンサートを開いたりしていて、研究者教員からすると少し違った世界が広がっている。

さて。
紹介したいろいろなタイプの大学教員。
共通していることが一つある。
それは、何かの専門家であること。
狭い範囲で深くその専門を極めてきた人が大学教員というわけ。
だから、幅広く知識を持った、教えることのプロである高校までの教員とはちょっと違う。
大学というのは最先端の専門的なことも学ぶところなので、教えることのプロであることよりも専門家であることの方が優先されて人材が配置されているのだね。
高校までに比べて教えるのが下手な人が多いのはそういうこと。
そもそもアイデンティティが「教える人」よりも「専門家」に寄っていることが多いので、教えるということにどれくらい力を入れるかは本人次第になる。
時間は有限なので、「教える」に力を割くと専門分野のお仕事の進みが遅くなる構造になっていて、なかなか難しい問題。
教育と専門領域の話は長くなるので別立てでそのうち書こうと思っている。

ではまた。




高松市内にて。


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2018/10/21 18:17
お仕事後に。
鳥取市内にて。


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Update 2018/10/21
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