週刊雑記帳(ブログ)

担当授業や研究についての情報をメインに記事を書いていきます。月曜日定期更新(臨時休刊もあります)。

メリットとデメリットを考える

メリットとデメリットを比べて、よく考えて決める。
まあ、みんなよくやっていることだと思う。
さてここで少し思考実験をしてみよう。

ある重大な犯罪が起きたとする。
状況から考えるにこの人以外に犯人は考えられない。
ただ、決定的な証拠がない。
警察は法律に則った取り調べのみで、手荒な取り調べはしていない。
被害者は苦しんでいるのに、犯人らしき人は捕まえられない。
そんな中、そんなのおかしいよ、という世論が湧き上がり、少しくらい手荒な取り調べはやむなし、という流れになる。
あ、ちなみに、犯人らしき人は本当に犯人ね。
あなたはこの流れに賛成か、反対か。
どう考えるだろうか。

この場合のメリットは犯人を捕まえることができること。
デメリットはなんだろうか。
賢明なみなさんはお気付きのことと思う。
きっと、冤罪事件が増える。
そう、上の例は世にある冤罪事件の構図になってる。
世の中には手荒なことに弱い人がいて、無実なのに思わず自白してしまうことがある、というのは過去の事例からわかっている。
この場合は犯人なんだからいいじゃん、と思う人もいるかもしれないが、こういうのは全ての人に使われると思って考えないと間違う。
冤罪を防ぐか犯人を捕まえるか。
だいぶジレンマが伴うわけだ。

次の例。
生活保護費をもらうなりパチンコで使ってしまう人たちの様子が報道された。
不正にもらっている人たちもいるらしい。
生活保護、なくても生きていけるんですけどねー。」(プライバシーのため音声は変えております)
これを防ぐために生活保護費の要件を厳しくしよう。
さあ、どう考える?
要件を厳しくした時のメリットは不必要な生活保護費が減ること。
デメリットはすぐ出てくるかな。
たぶん、必要な人の中で生活保護を受けられない人が出てくる。
不景気の頃餓死者のニュースが出ていたが、そういうのは増えるんじゃないかな。
これが僕が考えるデメリット。
つまりこれも一見メリットしかないように見えるけど、だいぶジレンマの伴う事柄。

いやいやまて。
犯人だけに厳罰を。
不必要な人からのみ生活保護費を取り上げればよいじゃあないか、と思われる人もいると思う。
それはね、僕は無理だと思っている。
統計を使っていろいろなことを見ていくということをやっているとわかるのだが、あらゆる事柄は確率で決まる。
で、その確率を完全に0%とか100%にするのは難しい。
どうやっても例外や思いがけずの値みたいなのが入ってくるのだ。
統計をかじったことのある人であればわかると思う。
何か制度ややり方を変えるというのは、この確率をいくらか動かすことだと考えている。
理想値に近づけることはできても理想値にすることはできない。
だから、そういうものだと思って考えなきゃならないと思うんだ。

ところで。
思考実験でメリットを考えるとき、目の前の事例からそれを考えたことと思う。
それに対して、デメリットはどうだっただろうか。
目の前の事例からいったん離れて、違う事例で考えたんじゃないだろうか。
そう。
デメリットに関しては想像力を働かせてこれをやらなければならない。
なので、メリットに比べてデメリットは見つけづらいし、場合によっては気づかないこともある。
デメリットに気づくには時間をかけてよーく考えることが必要。
自分では気づけないものもあるので、他人の意見からそれを拾うことも大事。
その上で、メリットとデメリットを並べて、意見や行動を決める。
簡単なようで意外と難しいのだよ。

そんなわけで、今回の話のポイントは以下の2点。
メリットとデメリットをちゃんと比べよう。
統計的な考え方は大事だよ。




見上げてごらん。
夜空の星を。
あっ、まだ昼だった。
九州のどっかかな。


-----
2018/08/31 11:49
出張移動中。
岡山市内にて。


雑記帳トップへ戻る
HPへ戻る


Update 2018/07/14
Since 2016/03/06
Copyright(c) Hisakazu YANAKA 2016-2018 All Rights Reserved.