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本の紹介,「脳からみた自閉症 「障害」と「個性」のあいだ(大隅 典子(著),講談社ブルーバックス)」

脳からみた自閉症 「障害」と「個性」のあいだ(大隅 典子(著),講談社ブルーバックス)
大隅 典子(著)
難易度:☆☆


この仕事をしていると、
発達障害について学びたいのだが何かよい本はないか」と聞かれることがよくある。
発達障害については注目されているせいであろう、扱う書籍はわりと多い。
なので、それらの中からその人にあった本を選んで紹介するようにしているのだが、
そのうち少し困るケースが出てきた。
初学者・一般向けの本はわりとある。
当事者手記のような本もいくらかある。
が、少し勉強してもう少し先へ行こうとしている人に紹介できる本が少ないのだ。
一般向けの簡単な本の次は、ぐんと難しい專門的な内容になってしまう。
これが障害の背景にある脳や遺伝の話になるといよいよ難易度が上がり、もう、どうにもこうにも。
そんな中で、この本は発達障害のひとつである自閉症について簡単すぎず難しすぎず、絶妙なバランスで書かれた好著。
一般向け書の内容は大体わかっているが、医学的な専門書はちと難しい。
そういう人にオススメできる数少ない本である。

著者の大隈さんは発生の脳研究者。
発生とは受精卵が細胞分裂を繰り返し成体に変化していく過程のことで、そこには遺伝的な話も絡む。
この本では脳とその発生の基本的なこと、遺伝の基本的なことを解説しながら、それらと自閉症とのつながりを解く。
内容は平易でわかりやすく、必要なことがコンパクトにまとめられており読みやすい。
この分野を初めて読む人でもそれなりに理解ができると思う。
自閉症についてはその特性や支援の方法を扱った本は多いが、この本にはそれらの内容は薄い。
代わりにその背後にある自閉症の「なぜ」に迫ることができる内容になっている。
本書の対象は自閉症に絞ってあるが、他の発達障害を含めた遺伝的・先天的な脳性疾患全般の理解にも役に立つ。

自閉症発達障害について簡単なことは知っており、障害のメカニズムや基礎知識を知りたい人にオススメ。
現場の教員や教員を目指している人にぜひ読んでほしい1冊。



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Update 2017/12/15
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