週刊雑記帳(ブログ)

担当授業や研究についての情報をメインに記事を書いていきます。月曜日定期更新(臨時休刊もあります)。

本の紹介,「理科系の作文技術(‪木下 是雄‬,岩波新書)」

理科系の作文技術
木下 是雄(著)
難易度:☆☆


すべての大学生に早い段階で読んでほしいと思っている本がこれ。
「理科系の」とは書いてあるものの、内容は理科系に限られない。
報告書や論文などを含め、すべてのビジネス系の文章をわかりやすく書くための技術を解説している。
わかりやすい段落構成はどうすればよいか。
わかりやすい文とはどういうものか。
レポートや卒論ではこれらの作文技術がものをいう。
そして、社会に出てから書く企画書や報告書など、組織の中で何かを伝えたいときに書く文章においてはこの技術が大いに役にたつ。
大学で書かされるレポートや卒論はこれらの文章技術を学ぶという意味合いが大きい。
このような作文技術について、エッセンスをまとめたのがこの本。

文章の組み立て方、わかりやすい表現、意見と事実の区別など、大学で学ぶべき作文技術についてはほぼこの本で学ぶことができる。
特にパラグラフについては詳しく、このトピックだけでも読む価値があると思う。

大学ではレポートをたくさん書かされることになるが、この知識を知って書くのと知らずに書くのとでは大きな違いがある。
やみくもに書くのではなく、早い段階でこういう知識を入れて、実践練習として課題レポートに挑みたい。
レポートの数だけ、自分の文章はよいものになっていくはず。
その集大成として卒論を望むことで、この手の文章を書く力はかなり鍛えられる。
社会人になったときにかなり役に立つ力を手に入れることと思う。

なお、この本。
最近マンガバージョンが出ている。
マンガバージョンは文章力が未熟な会社員と上司のやり取りを軸にストーリーが展開する。
いきなり新書版が難しい人はまずはマンガバージョンから、というのもいいかもしれない。
マンガバージョンは簡単な代わりに情報がやや薄いので、常に机の上に置いて使うというような使い方は難しい。
まずはマンガバージョンでハードルを下げて新書版を読み、新書版の方を作文技術の辞書のような感じで机上に備えるような使い方がベストか。

ちなみにこの本。
僕も大学生の時に読んだ。
出版されたのは僕が生まれたくらいの頃なので、かなり長きにわたり多くの人に読まれている。
どれだけいい本かわかるだろう。
すべての人にオススメしている一冊。


ちなみに、作文技術を学ぶには以下のリンクも参考になる。
論文・レポート・発表に関する本
よかったらどうぞ。




ニコタマにて



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Update 2019/05/26
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ただただ本を読んだ1日の話

先日市内を歩いていたところ、同僚の先生が推しの本屋を見つけた。
のぞいてみるとなかなかよい。
本の配置といい雰囲気といい、よい。
思わず読んでみたくなってしまう。

こんなことを思った。

そこで本日。
実践してみることにした。
小説を買う予定だったのだが、奥の棚で彼が買ってくれとこちらを見ていたので、コイツに。
我ながら渋いチョイス。
ことわざを軸としたエッセイで、のんびりした気分で読める、よいチョイスだった。

問題は、どこで読むか。
今日は市内を散策しながら複数のお気に入り読書場を巡って読むことにした。

久松公園

まずは、スタート地点。
どこにするか悩んだところだったが、時期と気候、風的にここしかない、となったのが久松公園
ご存知、県庁の裏手にある旧城跡。
この時期のここは最高なんだ。
眺めは最高、風は心地よい。
花見のシーズンと違って人も少ないのでのんびりできる。
ひさびさに来たけど、やはりたまらない。
小一時間ほど読んでぼーっとして書き物して。
飲み物を忘れなければもう少しいるとこなれど、うっかり忘れたので下山する。
喉かわいた。
大変景色がいいんだ。

カフェソース

下山後自販機で喉を潤して、市内をぶらぶら。
真教寺公園でニホンザルを観察して、さあそろそろ読書タイム。
どこにしようかな、と思って入ったのがココ。
大学生が好きそうな市内じゃ有名なオシャレカフェ。
ブレンドコーヒーを頼んで、ことわざの続きを読む。
時間帯によってはおしゃべり組が多いのでのんびり読書とはいかないけど、本日は奥のスペースを貸切状態。
あまりにも居心地よかったのでコーヒーおかわりしちゃった。
でも外の空気が恋しくなって来たので、バイバイ。
居心地は大事。

袋川の河原

カフェソースから少しだけ県庁方面に移動。
するとやってくるのが、袋川。
ここでぼーっとしたり本を読むのは心地よい。
読書スポットな河原は市内に3つくらいあるのだが、ここは桜の木のおかげで木陰になるのがよいんだ。
というわけで、ここで少しのんびり。
風がね、本当に心地よい。
外の空気に満足できたので、次行こう。
と、思ったのだが、予定ありの時間になってしまったのでここまで。
あー、楽しかった。

どこかわかるかな。

この角度ならわかるか。

スタァバックス珈琲

予定が終わった後は安定のスタバへ。
いやぁ、よい1日でござきました。
こういう時間は大事にしていきたいもの。
おしまい。





久松公園で見つけたタンポポ
ここからならどこへでもいけるね。


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2019/04/08 18:17
休暇中。
横浜のカフェにて。


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Update 2019/06/02
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研究を探す〜論文編(研究をしよう 12)

今回からは研究の探し方について。
研究には大きくわけて論文になっているものとなっていないものがある。
論文になっているものは研究が完成したもの、なっていないものは進行中か完成しなかったもの、ということになる。
今回はそんな論文の探し方と注意について書く。

論文を探す

論文の探し方には主だったものとして、以下のものがある。
(1)データベースで探す
(2)雑誌で探す
(3)引用文献から探す
(4)著者から探す

(1)は知っている人も多いと思う。
(3)もまあわかりやすいか。
それぞれ順番に説明していく。

(1)データベースで探す

インターネット時代、メジャーな方法。
世の中には論文のデータベースと呼ばれるものがある。
例えば、日本語論文だとCiNiiが有名。
英語だと、医学系ならPUBMED、総合的にはWeb of Scienceや出版社系のScience Directなんかが知られている。
大学によって契約しているデータベースがあるので、大学図書館のホームページに行って使えるデータベースを調べてみよう。
使うデータベースを決めたら、キーワードを入れて検索をかける。
あとは出てくる論文のタイトルを眺めて、気になる論文に狙いをつける。
狙いをつけたらアブストラクト(抄録)を読んでみる。
アブストラクトから思ったような論文か、読むべき論文か、記事の種類などを判断する。
読むべき論文なら本文をダウンロードするなり取り寄せるなりする。

(2)雑誌で探す

ひと昔前まではわりとやられていた手法。
やりたい分野の学術雑誌に狙いを定めて、ひたすら雑誌を読みあさる。
タイトルで狙いを定めてアブストラクトで本文読むかを判断するところはデータベースで探すのと同じ。
例えば、教員の研究やら実験室に分野の学術雑誌がたくさん並んでいることがあるので、片っ端からあさってみる。
また、いくつか論文読んでいると、自分の興味ある論文がよく載っている学術雑誌がわかるので、図書館に行ってその雑誌のコーナーでバックナンバーを読みあさる、というのもある。
大学図書館だと閉架図書雑誌コーナーがあるので、蔵書を調べた上でカウンターで相談してみよう。
データベースの方法では見つからなかった論文が見つかると思う。
考えてもいなかった研究テーマが見つかるかもしれない。
研究で何をやろうか見当もつかない人はこの方法から入るのは悪くない。

(3)引用文献から探す

本や論文を読むと、引用文献欄がある。
そこから論文を探してくる方法がコレ。
研究テーマが決まっていない人や、決まったもののまだあまり論文が探せていない人にオススメな方法。
興味ある分野の本や展望論文あたりを読んで、その引用論文リストの中からおもしろそうなのを連れてくる。
この方法の最大の利点は、そこで紹介されている研究は一応はその道のプロが選んだものであるということ。
クオリティの高い研究に当たる可能性が高い。
ここから見つけて読んだ論文が、引用元の本や論文でどのように引用されているのかも知ることができて勉強になる。
もちろん、この方法は本や展望論文に限らない。
読んだ論文に載っている引用文献リストは有力な先行研究の情報源になりうる。
ある程度論文を読んだ人であっても有用な方法。

(4)著者から探す

最後は少しマニアックな方法。
学部生だと知らない人も多いのでは。
ある程度論文を読み進めていくと、ある研究分野で何本か論文を書いている研究者がわかることがある。
この場合、この研究者の名前で検索をかけてみる。
データベースだけでなく、googleのような一般的な検索エンジンでも検索してみる。
すると、その人の研究業績リストが見つかることがある。
この業績リストをくまなく見てみよう。
データベースでは見つからなかった論文があるかもしれない。
関連のテーマでおもしろそうなものが見つかるかもしれない。
何度も論文で名前を見るということは、同じような興味で精力的に研究をしている可能性が高い。
場合によっては大学院進学につながる縁になるかもしれない。
この方法は結構使える。
名前は何度も見るわけではないが、すごく質の高い論文だと思った研究者の名前も検索してみるとおもしろい。
クオリティの高い、勉強になる論文がわんさか見つかることもありうる。

論文を取り寄せる

論文の探し方はだいたい書いた。
次は論文本体の取り寄せ方。

インターネットでデータをダウンロードする

学生さんにとってはいちばんんメジャーな方法だろうか。
最近の論文はうれしいことにPDFなどの形式でインターネットからダウンロードできる。
これ自体は特に説明はいらないかもしれないが、ちょっとだけ注意点がある。
ネットの論文電子版は学内からしかダウンロードできないものがある。
本来は買わないといけないものなのだが、大学が出版社と契約しているために学内からだと自由にダウンロードできる形になっていたりする。
このタイプの論文は結構多いので、論文探しやダウンロードは学内でやったほうがいい。
また、ユーザIDとパスワードを入れることでダウンロードが可能になるものもある。
大学図書館のWebページに電子ジャーナルリストや使い方の説明が出ているので、ダウンロードできない場合は該当しないか情報をチェックする必要がある。

図書館で取り寄せる

ちょっと前まではこの手法が主流だった。
ただ、現代の学生さんはダウンロードできない=読めない(読まない)と考えるらしい。
これは大変よくない。
これからやろうとしている研究がすでにやられていたらどうするのか。
全く同じでなくても似たような研究がすでにされていて論文になっていたら、自分の研究の価値は著しく落ちる。
関連しそうな論文はすべて読むべきである。
大学図書館には論文の取り寄せに関してはかなりの専門性があり、書誌情報(著者、タイトル、雑誌名、ページ数、出版年など)があればどんな論文でも取り寄せてくれる。
気になる論文があったら大学図書館を活用してじゃんじゃん取り寄せよう。
一編2-300円くらいだし、大した金額ではない。
研究に必要なコストだと諦めて、気になったらとりあえず取り寄せたい。
ダウンロードできるのがいい論文で、できないのがダメな論文であればまだよいのだが、実際にはそうではないのが困りものなとこ。
商業ベースで大学と契約しているかしていないか、古いか新しいか、などでダウンロードが可能かどうかが決まるので、論文のクオリティとダウンロードのできるできないは関係ない。
よい論文はダウンロードできないところにあるかもしれない、と考えて、図書館取り寄せを活用してほしい。

長くなったが、今日はこのへんで。
次は論文によらない研究の探し方を少し。





東京駅らへんにて。

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2019/03/03 14:44
ポレポレ。
鳥取ドトールにて。


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Update 2019/03/03
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恒例福井出張日記2019

この週末は恒例の福井出張だった。
年に4週末ほどある集中講義の1回。
土日に朝から晩までしゃべり倒すという結構ハードなイベント。
保育士さんや幼稚園の先生の卵達に教育心理学やら発達心理学の授業をする。
なんでわざわざ福井なのかといえば、前任地が福井でその時代からやっているから。
本務校の大学とは色々と違っていて、教え方の勉強にもなるので楽しくやらせてもらっている。
ちなみに、教育心理学発達心理学は本務校ではやらない(予定もない)レアもの。

さて。
そんな福井。
どうやっていくのかといえば、車で行く。
特急で行ってもよいのだが、本数が少ない上に終電がギリギリ。
時間もそんなに変わらないし、自由がきくので車を使っている。
片道6時間程度。
日本海側をえっちらおっちら行く。

金曜日に大学で一仕事終え、夕方に出発。
行きはうまいつけ麺屋さんに行くというのがミッションになる。
このあたりは去年記事にしているので、そちらを読んでいただきたく。
今回も閉店時間ギリギリに滑り込み、無事つけ麺を食してご満悦。

土日は日中ひたすらしゃべりまくりで役目を果たし、日曜の夕方に授業は無事終了。
帰途につくことになった。
いつもよりも少し早めに出ることができたので、鳥取には10時くらいには帰れる予定、だった。
たっぷり寝て疲れを癒す、はずだった。
ところが、そうは問屋が卸さない。

まず、出だし。
窓を開けて走ってみたところ、風が非常に心地よい。
高速では窓を開けて走れない。
これは、少しかかるけど下道だなー、となった。
これで1時間半プラス。
で、音楽かけつつのんびり下道をドライブ。
時々コンビニに寄って、休憩がてら出張中に読みはじめた瀬尾まいこの長編に目を通し、ゆっくりゆっくり進む。
舞鶴まで来たところでご飯。
ご飯を食べ終わったところで休憩がてら、また瀬尾を読む。

そこで困ったことが起きた。
とてもとても困ったことが。
この瀬尾まいこがとてもよかったのだ。
夕飯を食したはなまるうどんで集中して読んでいたところ、物語は佳境に。
しかし、この本、できればカフェで読み終えて余韻に浸りたい。
はなまるうどんや車の中で読み終わりたくない。
そんな類の名作だったのだ。
しかし、明日以降に持ち越しはいやだ。
続きが気になる。
なるべくすぐに読みきりたい。
ああ、困った。
本当に困ったぞ。

調べると福知山にスタバがあり、閉店までには時間がありそう。
そこで急遽、舞鶴から高速に乗り、福知山のスタバにイン。
閉店間際に読みきり、ちゃんと余韻にも浸り、幸せな気分で福知山を後にした。
これでプラス1時間。

おかげで、結局鳥取帰り着いたのは1時前。
なお、そのあとこれを書いているので寝るのはさらに遅く。
実に愚か者。
でも楽しかったからよいのだよ。
まあそんなこんなの福井出張でございました。

ちなみに次は9月の1週目の週末。
福井はもちろん道中の京都・兵庫も卒業生が点在しているので、タイミング合えば声かけていただきたく。
懐かしい面々のお仕事奮戦記あたり、聞いてみたいもの。

ではでは。
ひさびさの旅日記でした。
たまにこういうのも書いてみようと思っている。




越前そば。
うまいんだ。


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2019/05/20 2:17
もうすぐ寝る。
自宅にて。


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Update 2019/05/20
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本の紹介,「読めなくても、書けなくても、勉強したい ディスレクシアのオレなりの読み書き(井上 智 他,ぶどう社)」

読めなくても、書けなくても、勉強したい ディスレクシアのオレなりの読み書き
井上 智、井上 賞子(著)
難易度:☆


ディスレクシアという障害をご存知だろうか。
世の中には生まれつき読むことが極端に苦手な人たちがいる。
このような障害をディスレクシアという。
特定の学習領域が極端に苦手な障害を学習障害(Learning Disability / Learning Disorder; LD)といい、ディスレクシアはこのお仲間。
ちなみに学習障害の上位概念は発達障害

この本はそんなディスレクシアの当事者が半生を振り返りながら書いた本。
筆者がディスレクシアという言葉と出会ったのは40代中盤。
それまではなぜだかわからないが読めない、転じて、書けない、ということに悩みを抱えながら生きてきた。
ディスレクシアを知り、自分の困難の原因がわかって腑に落ちた。
でも、苦しかった過去は戻ってこない。
なら、せめて、今を生きる同じような子どもたちには理解と支援の中で育ってほしい、という想いからこの本を書いたという。

読み書きができないと学校な中ではしんどい、というのは想像がつく。
ところが、読み書き困難のしんどさは社会に出てからもつきまとう。
差別やいじめ、劣等感。
そこからくる自己防衛的な素行不良。
このようなディスレクシアの困難さを肌で感じることができる本である。
専門がらディスレクシアがなんたるか、ということについては詳しいが、この本には想像を超える苦悩が詰まっていて考えさせられた。

さて。
この本は世の中の多くの人、子ども達に読んでほしいと思っているが、特に読んでほしいのが学校の先生とその卵たち。
特別支援学校の先生ではなく、特に小中高の先生に読んでほしい。
文字が読めないということは、まずは学校の中で困ることになる。
そこで一番のキーとなるのが教員の存在である。
著者が小学生だった当時は昭和40年代。
当時は発達障害学習障害の知識や対応は知られていなかった。
このため、著者への対応も散々で、どんどんこじらせていく。
本来、文字が読めないだけなので、対応次第では国語以外の教科に得意なものがあってしかるべきなのだが、そうはならなかった。
読めない書けないをこじらせ、劣等感が植え付けられ、自己防衛のための行動を獲得し、学びや学校そのものから逃避していく。
登場する教員たちがどんどん著者を追い詰めていく。
よかれと思っての対応が、こんなにも人を追い詰めることがある。
無知の怖さを知ってほしい。
救いは、彼に光をあてる先生が2人いたことか。
このあたりも含め、教職関係者にはかなり示唆に富む内容。
ディスレクシアだけではなく、子どもの「できない」を新たな角度から考えるきっかけとしても使える。

内容はきわめて平易で、中高生から読める。
軽い読み物として2,3時間もあれば読み切れる。
教育関係者はもちろんのこと、全ての大人に読んでほしい一冊。
かなり、おススメです。




羽田空港にて。



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Update 2019/02/25
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ネット広告のおススメ事件

ウェブの広告はすごい。
欲しいものを次から次へと当てては、オレにお金を使わせようとする。
欲しい本やらコンピュータやら、こうね、タイムリーに紹介してくれるわけさ。
あとはクリックするのみ。
実によくできている。

で、ね。
数年前。
ネットのやつ、何を思ったかオレに転職を勧めるようになった。
転職したいオーラを出してたのだろうか。
しつこいほど転職を勧めるわけ。
これがまた、かなり魅力的な求人で、年収がね数倍になるらしいのよ。
もう、いっそ転職に走ろうかと思ったほど。

ただね。
問題点がひとつ。
誘ってくる職が「診療部長」「病院副院長」とかそんなのばっか。
どうも、ネットのやつ、オレのことを医者と勘違いしたようでね。
しばらくの間、このうらやましいオファーが嫌がらせのように続いたという。

ネットのやつも大したことない。




ちなみに、こののち、看護師長としての転職を勧めるようになったという。
ネットのやつめ。
羽田空港にて。


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2018/10/22 23:17
就寝前に。
自宅にて。


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Update 2018/10/22
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本の紹介,「伝えるための心理統計: 効果量・信頼区間・検定力(大久保街亜、 岡田謙介,勁草書房)」

伝えるための心理統計: 効果量・信頼区間・検定力
大久保街亜、 岡田謙介(著)
難易度:☆☆☆☆☆


ここではやさしめの本を扱うことが多いのだが、今回は少しマニアックなやつを。
心理学をやっていると統計検定をよく使う。
この統計検定についてまず整理し、問題点を挙げて、いくつかのアドバンスドな方法を紹介したのがこの本。
t検定、分散分析、相関、重回帰分析。
この辺りのことを一通り知っていて、使ったことある人が次に読む本。
興味はあるけどまだ学んでいないという学生さんや上記のキーワードにピンとこない学生さんは、まずは以下の本を読んでほしい。
‪はじめての統計学‬
入門はじめての分散分析と多重比較‬

心理学を含め、数字のデータを扱う分野でよく使うのが統計検定。
簡単に言うと、確率的にこのデータとこのデータには差があるよ、と主張するときに使う道具になるのがこいつ。
世に出ている論文には大体こいつが使われていて、統計検定で差があるよ、とされたものを根拠として結論が導かれる。
ただ、本当にそれでいいの?と言う論が出てくるようになる。
例えば、鳥取県民と島根県民の年収を比べてみたら統計検定で差があるとされたとする。
でも、その平均値はたった1円しか違わなかった。
確かに統計的には差があるのだろうけど、1円の差なんて本質的な意味はない。
このあたりが統計検定の限界になるわけだが、そこで新たな統計的道具立てが必要となる。
それが、効果量という概念。

まあ、そういう系統の話をわかりやすく解いてくれている良書である。
特に効果量の話はすごくわかりやすいので、コイツについていまいちよくわからない人は、学部生、研究者問わず、ぜひ読んでほしい。
他にも統計推定からメタ分析、ベイズ統計まで、初歩の統計学の問題点と、その先にある統計学のツールを知ることができる。
統計書というと難解で難しいイメージがあるが、この本はサクサクと軽い読み物であるかのように読むことができた。
統計を使ったことある人であれば、難なく読み進めることができると思う。
書名は心理統計になっているが、統計検定を使っているあらゆる分野の人の役に立つと思う。

かなりオススメです。




博多かな。
たぶん、どんたく。



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Update 2019/01/27
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